起こってはいけない事件が、起こった。 事件が起きたのは今朝未明。 西の都より遥か西方に位置する孫さんの家の中では、激しい夫婦の営みが行われていた。 孫さんの妻であるチチさんは、久方ぶりに帰宅した孫さんの体を2度、3度と求めた。心に生じた寂しさを、体で埋める――それは、夫婦としてはごく自然の成り行きであろう。体力に自信のある孫さんは、嫌がることなく妻の求めに応じたという。 体力に自信があった――悲劇はおそらく、この過信から生まれたのではないか。全ての事故は、過信・慢心から起こる。それは歴史が物語る、純然たる事実だ。 4回戦目に差し掛かった時のことである。さしもの銀河一の武闘家といえども、『抜かずの4回』は相当の試練であったのだろう。目は空ろ、息も絶え絶え、加えて、長く続いた戦いの中で堆積した疲れ……。それら全てが相まって、刹那、孫さんの下半身のバットコントロールは大いに――乱れた。 「そりゃ