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中東情勢
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ポスドク:1人採用で5百万円…文科省が企業に「持参金」 2009年5月6日、上のような見出しが毎日新聞に躍った。 正規雇用がかなわずあぶれている博士たちのことが、大問題となって久しいが、その解決へ向けた動きは遅々として進まない。 そんななか、今回、文科省は、「ポスドクを採用した企業へ1人につき500万円を支給する」そうだが、その予算枠はたったの5億円。人数分にして100人分にしかなっていない。ポスドクや専任非常勤講師の身分で、困窮生活にあえぐ博士たちは、すでに4万1千人を下らないにもかかわらず、このうちの1%をはるかに下回る人数分しか準備金はないのである。 さてこの支援策、ほんの少しでも役に立つなら、それでもまだ納得できるかもしれないが、ほぼ無駄に終わるのではないだろうか。 というのも、企業が博士を取りたがらない理由は、これまでもさんざん述べてきたとおり、 ①年功序列の中に博士を位置づけに
『博士漂流時代―余った博士はどうなるか?』,榎木英介/著, ディスカヴァー・トゥエンティワン, を 著者の榎木英介氏からご恵贈いただきました。感謝致します。 この時期、世の中を読み解くキーワードの一つには「就活」が必ずあがってくる。一一月一六日付の時事通信によれば、来春卒業予定の大学生の就職内定率は、先月十月一日の時点で約五八%だそうだ。これは調査開始以来最低で、就職氷河期と呼ばれた二〇〇三年すら下回るという。 若者が仕事につけない国の未来は、普通に考えれば決して明るくないだろう。だが、こんな衝撃的なニュースを耳にしても、恐らく全く動じないと思われる人たちがいる。それは、日本の博士たちだ。 別に、「常人を凌ぐ胆力があるから」とか「一喜一憂しない冷静さがある」とかではない。 数値そのものが、彼らにとって見慣れたものになっているからだ。我が国における「博士」の就職率は、概ね六〇%近くでずっと推
*大学院に進学すると…… 携帯電話が鳴り、画面を見ると、大学時代の同級生からだった。着信ボタンを押して耳にあてると、「動けない、助けてくれ」と弱々しい声がする。わけがわからず、とにかく場所を尋ねて探しにいくと、路上にそれらしき人物を見つけた。お腹の辺りを押さえて力なくうなだれている。近づき声をかけると、呟くような返事が一言、「ハラヘッタ」。抱きかかえてみて、その軽さに驚いた。彼は、たしか大学院に進学していたはずだが、どうしてこんなことになったのか。頭は混乱するばかりである。 事情を尋ねると、彼は恥ずかしそうに語った。修士課程を出た後、就職先が見つからず、パチンコ台の組み立て工場で〝高卒〟と偽り働いていたが、クビになった。会社の寮を追い出され、パチンコやスロットを旅打ちしながら町から町へと渡り歩いていたが、それも行き詰まり、「おまえのいるこの土地にたどり着いた」とのこと。 仕方がないと思い、
先日、『希望難民ご一行様』(光文社新書)の書評を書きながらふと思った。 「俺たちをあきらめさせてくれ、か。全国の博士院生がもしこの台詞を聞いたとしたらどんな反応を示すだろうか・・」 高学歴ワーキングプア問題にかかわってきてしみじみと感じていることは、学ぶものたちにとって、今は展望が全く見えない世の中であるということだ。だとすれば、彼らがやるべきことは、まずはいろんなことに「あきらめをつける」ことなのかもしれない。そのうえで、しぶとく「学び」続けるしかないのではないか、と先の本を読んでみてそんな思いを強くしている。 大手私大や旧帝大などでは、就職が極めて厳しい状況にある大学院生(博士課程)に対して、やっと重い腰を上げ民間に仕事を見つけるための「キャリア支援」を行うところも増えてきた。が、うまくいっているという話はあまり聞かない。そもそも、お客さん(院生)が集まらないというぼやきもよく耳にする
『ホームレス博士』発売まで二週間をきりました。この時期はいつも結構そわそわします。同じ出版社の本の動きなんかも結構気になるところです。8月発売の光文社新書5冊はどれもグッとくるタイトルのものばかりなので、なおさらです。迷いつつ、今回はこの一冊を選んで書評を。 『希望難民ご一行様』 古市憲寿/著 解説/本田由紀 生きづらさを抱えながら彷徨う若者たちの姿に、社会や大人たちが戸惑い、時に強く非難する光景は、二一世紀に入る前からも繰り返し見られた。かつても今も、親世代は若者を理解したいがなかなか出来ず、「若者論」はそんな大人たちの不安を静めてくれる貴重な手がかりであり続けてきた。 だが、若者の〝生きる力〟が減退する理由をなんとなくわかったような気になった後も、どうしたら彼らにこの殺伐とした世の中で〝生き続ける〟力を授けることができるのか、というところで親たちはまだ悶々としていたのではないか。親に
『ホームレス博士』、校了です。途中いろいろありましたが、おかげさまで無事に、すべての作業が終了しました。さて、その途中のことを「あとがき」に書いていたんですが、なんと残念なことにページ数の関係で半分にカットとなりました。惜しいなと思っていたところ、編集部から全文公開の許可を頂けましたので、ここに本よりも一足早くアップいたします。 アマゾンでの予約も始まりました。 ---本では上半分がカットとなっています--- あとがき 入稿を終え、初稿ゲラ待ちをしていた七月半ば頃だったろうか、突如、運営するブログの掲示板が荒らされた。「あなたの名前から察するに出身は寺ですよね? とすれば、いざとなれば自分は寺に逃げ込むつもりなんだ? なんだ結局、(弱者の味方を気取っているが)ようは金持ちのお遊びか」。 すぐに管理を強化したが、その後もこの匿名の人物からの誹謗中傷は続き「削除しても無駄。あちこちに書き込むか
『ホームレス博士』(光文社新書) 2010年9月17日発売予定 以下、カバー文面より。 若手博士たちとの対話でよく出る話題に、次のようなものがある。 「どうして博士号まで持っているのにこんな仕事をしているの?」と、世間から質問されることが「最もイヤなんだよね」。 彼らは、食べるためにさまざまなバイトをやっている。塾や家庭教師にとどまらず、飲食店や洋服の販売員、コンパニオンや建設作業員といった肉体労働、なかには人に言えないものもある。 パチプロ生活では、そこのところが一番快適だった。なにせ、知らない人たちの集いの場である。「博士号を持っているのにパチンコ生活ですか?」などと、余計なことは間違っても聞かれない。 (本文を再構成)
『ホームレス博士』、中身ちょい出しです。 以下、帯より。 『高学歴ワーキングプア』から3年。 その後、博士たちに何が起こったのか? 鈴木謙介氏(関西学院大学准教授)との対談を収録。 ・非正規の職でも「あればまだまし」 ・東大卒の博士でも就職率は四〇パーセント程度 ・教員も事務員も非正規だらけ ・職なし・非正規博士は一〇万人 ・ホームレス博士を生み出す究極の格差社会―アカデミック・ワールドのいびつな構造 ・仕事を得られるかどうかは運次第 ・学部卒が支配する国・日本 ・奨学金返済という枷―博士たちは構造的にワーキングプアへと仕立てられる ・大学院は我が国に必要なのか? ・ストレートの院生より二留の学部新卒 ・美大の現実 ・量が増えたから質が下がったのか? ・博士の放置プレイは国を滅ぼす
いろいろと些末なことが続き、更新の間があき恐縮です。 前期は終わりましたが、ホッとする間もなく、テストに採点、さまざまなイベントと続くのがこの時期ですよね。いつものこととはいえ、すこしばかり夏バテぎみです。みなさまも、どうぞ、お体をご自愛ください。 さて、先週、久しぶりにくびくびカフェにお邪魔してきました。 美味しいコーヒーを頂きながら、小川恭平さんとしばし歓談しました。 運営に役立てて頂ければと恥ずかしながら、くびくびを応援するサイン入り拙書『アカデミア・サバイバル』を差し入れに少々・・。すると、店内におられらた常連さんが、さっそく一冊お買い上げくださり小川さんと感激の一瞬を味わいました。 実は本書には、くびくびのお二人(小川さん、井上さん)にロングインタビューを行い、どんな経緯で・なぜ・どのような気持ちでこのカフェを開くことにしたのかをまとめ収録しています(P42~51, P232~2
□□09月16日までの限定でお届けします(毎週土曜日+α更新)□□ これは、私がまだ大学院生だった頃、日々のストレスのはけ口として、当時運営していたHP上で綴っていたものです。データを整理していたら、たまたま出てきたため、再活用できないかと検討してみました。 見直してみると文章の荒さが目立ちましたが、一般の人たちに、我が国の大学院の現状を知ってもらうには、もしかすると、こういうテキストのほうが楽しんでもらえるのかもしれない、と思った次第です。そんな訳で「恥をさらしてみるか」と腹をくくってみました。テキストには手直しを入れ、少しはマシにしてみたつもりです。 今月発売予定だった『ホームレス博士(仮)』(光文社新書)が9月16日にずれ込んだこともあり、お詫びの気持ちを込めまして、発売日までの二ヶ月間限定という形で恐縮ですが毎週土曜日に更新したいと思います。 では、さっそく、第一話から以下に復活。
このところのワールドカップや大相撲賭博、参院選など大きな出来事の陰に隠れ、私たち研究に携わるものにとって、大事なニュースが少し軽く扱われていたかもしれない。 2010年7月8日の産経ニュースの見出しにもう一度注目してみたい。 文科省SOS 運営費交付金など削減なら「阪大・九大消滅も」 6月に閣議決定した「財政運営戦略」によれば、今後3年の間は「基礎的財政収支対象経費」は前年度を上回らない方針だという。つまり、交付金はこれまでと同じかそれ以下しかもらえないわけだが、現実には水準維持は難しいらしい。社会保障関係経費が増えることで、しわ寄せがくるという理由からだ。 とばっちりにより、どの程度の予算の減額になるかを文科省が試算した。すると、削減額は約927億円。その影響を規模に表すと冒頭の九大・阪大消滅、となるそうだ。 すでに、国立大学法人32大学理学部長会議が緊急声明を発表し、「予算削減は、国の
参院選、言葉もなし。政界再編、こうなってくると現実味を帯びてくるが、そんなことしている暇はあるのだろうか。あまりに頭が痛く、気分を変えたく『地獄の一丁目一番地、大学院へようこそ』を更新します。 □□09月16日までの限定でお届けします(毎週土曜日+α更新)□□ これは、私がまだ大学院生だった頃、日々のストレスのはけ口として、当時運営していたHP上で綴っていたものです。データを整理していたら、たまたま出てきたため、再活用できないかと検討してみました。 見直してみると文章の荒さが目立ちましたが、一般の人たちに、我が国の大学院の現状を知ってもらうには、もしかすると、こういうテキストのほうが楽しんでもらえるのかもしれない、と思った次第です。そんな訳で「恥をさらしてみるか」と腹をくくってみました。テキストには手直しを入れ、少しはマシにしてみたつもりです。 今月発売予定だった『ホームレス博士(仮)』(
ポスドク問題の解決に、文科省と経済産業省が手を組んで乗り出すそうだ。(ポスドク:就職難解決へ 10年後の完全雇用目指し本腰 毎日新聞:2010年7月6日) 政府は、新成長戦略として「科学・技術立国」を高らかに謳い、先に発表された「2010年版科学技術白書」にも、博士の増産を目指すことが明記されている。その絡みなのだろう、博士課程修了者の完全雇用を二〇年に実現するという、壮大な目標も掲げる。 実現すれば、無論、こんな素晴らしいことはないが、いくつかの疑問が頭をもたげる。 たとえば、科学技術白書で説明される「博士の就職率」。 三割がポスドク、二割が進路不明、そして五割がなんと大学や企業などへの就職とある。 一般の人が見たら、誤解を招くような表現である。「結構、就職してるじゃないか!」と。 だが、この「大学や企業への就職 五割」という数字には、実は問題が含まれている。正規雇用での「就職」は(白書
いわゆる若手と呼ばれる博士たちを含む、さまざまな立場の「博士号持ち」の人に会って話を聞く機会が多い。 いつも感心するのが、みなさんえらく面白いことをやってらっしゃるということ。しかも、相当レベルが高い。ひとつのことを極めた方ばかりなので、考えてみるとそう不思議ではない。 確かな知識と旺盛な探求心のもと知的活動に勤しむこんな博士たちのことを、もっと世の人たちに知って欲しいとも思うのだが、どうにも機会が少ない。 少子化で、大学内に若手を正規採用するポストが激減していることが少なからず影響している。ほとんどの場合、非正規雇用かそれすらもない場合が珍しくない。 日本は役職を重視する社会である。正規雇用されない以上、役職上は組織の末端に位置づけられてしまう。そうなると、どうなるか? たとえ博士号を持っていたとしても、扱われ方は大学院生あたりと同じレベルにとどまる。 実際には、彼らは何年も研究キャリア
日本共産党の宮本岳志衆議院議員が提出した「大学院博士課程修了者の就職確保と研究条件改善に関する質問主意書」(2010年6月14日)と政府答弁書(2010年6月22日)を拝見。 政府は、「高学歴ワーキングプア」の意味するところが必ずしも明らかでないとして、非常勤講師の雇用問題についてはほぼ無回答。 日本の私大の講義の約6割が、非正規雇用の先生たちによってまかなわれている現状を指摘されておきながら、なぜきちんとした回答を頂けないのか不思議だ。 たとえ文科省が「(言葉の意味が)わからない」と言っても、市民や現場(アカデミア)には既に「高学歴ワーキングプア」という言葉は広く浸透しているというのに。 当局は、非常勤講師の待遇は、個々の大学の判断によって行われるべきものとして捉え、基本的に介入などは考えていないようだ。 今後のさらなる博士増産計画との絡みなのだろうか。高学歴ワーキングプア問題をスルーし
英科学誌ネイチャーが、世界の科学研究者を対象に「待遇の満足度調査」を行ったそうだ。給与、休日、健康、年金、労働時間など8項目についての満足度を調べたらしい。欧米諸国や中国、インドなど16カ国中、日本は最低だという。(日本人科学者、待遇に不満? 満足度調査で最下位に, asahi.com, 2010年6月24日) 関係者は、このニュースを聞いて、それぞれの立場で複雑な思いを抱えていることだろう。教授・准教授・講師・助教などの間だけでも、受け止め方は大きく異なるだろうし、ここにポスドクや専業非常勤講師などが入ればもっとややこしくなるはずだ。 一番トップがもし、「そうだ、私たちの待遇は酷い」と言ったとする。すると、ただちに二番目は「私たちはさらに酷い」となるだろう。三番目は「なにを贅沢な」となり、一番下は「自分たちの待遇こそ改善してもらいたい」と続いていくのは目に見えている。きりがない、が、まだ
昨日、名古屋大学の学祭にて講演を行ってきました。 労働組合「首都圏青年ユニオン」の書記長をされている、河添誠さんとご一緒させていただきました。 当日、教室は満杯で、学園祭の熱気が教室のなかにしっかりと入り込んでおりました。 その熱気を受け、私も高学歴ワーキングプアについて熱く語りましたが、個人的には河添さんのお話が本当によかった。 「弱い立場に追い込まれていくにつれ、もはや何一つ声をあげることもできなくなっていく。とにかく生きようと必死になればなるほど、足下をすくわれる形で罠にはまり、そして生きるか死ぬかというところに追い込まれる」 ハケンという労働の位置から、なぜ離れようと思っても離れることができないのか。 手持ちに現金がほとんどない、貯蓄がないという状況のなかでは、定住のための家を借りて住むこともできない。 早く屋根の下で安心して暮らしたいなら、寮などがセットとなったハケンという職種に
6月15日発表の2010年版科学技術白書について思うところあり。 「まじですかい?」 報道各社の記事によれば、白書の内容は概ね以下のようにまとめられる。 *現在の問題 → 日本の科学技術の競争力低下 *今後の大きな目標 → 新しい価値を創造できる人材育成を急ぐ / そのためにさらなる博士の増産 *ハードル → 研究費の政府負担比率が小さい / 博士の就職難 *対策 → 博士号取得者の社会での幅広い活用を支援 *希望的観測 → 企業における採用率のアップ / 研究に限らない道の開拓(新聞記者や高校教師など) / 博士の知を共有できる社会の実現 科学技術白書なんで「文系博士」に全く触れられていないのはまあいいとして、これまで推し進めてきた「大学院重点化」の総括もほとんどなされていないように見えるのは、一体どういうことなのか? 表面的には「博士の就職難」といった現象を採り上げてはいる。だが、なぜ
管首相が所信表明演説で高等教育現場の環境整備についてこう触れた。 「我が国の未来を担う若者が夢を抱いて科学の道を選べるような教育環境を整備するとともに、世界中から優れた研究者を惹きつける研究環境の整備を進めます」 本気で進めて頂けるのであればむろん、これほど嬉しいことはない。 しかし、民主党は昨年末の事業仕分けで、研究職ポストをめぐって深刻化する雇用問題に対し、「市場原理にまかせればよい」などの無定見ぶりを発揮したばかりである。 文部科学省の「若手研究育成」事業に対し、縮減を求めた仕分け人たちのつけた理由に、あきれ果てた若手博士たちは少なくない。 集約すると、概ねこうなる。 「就職困難な若手研究者への生活支援的意味合いが強いので、税金を投入する必要性や意味をそれほど強く感じない」 現場をあまりにも知らないと批判せざるを得ない。 二〇〇九年一月十八日付の『朝日新聞』(朝刊)では、理系ポスドク
2010年05月16日に明治大学で開催されたシンポジウム「高学歴ワーキングプアの解消を目指して」に飛び入りで参加してきた。得るものの多いシンポだった。以下に、益川敏英先生(ノーベル物理学賞 2008年受賞)のご講演を中心とした報告を行う。 まず、先生は、「いまの高学歴ワーキングプア問題は、実は新しい問題ではない」と切り出された。いつの時代にもあったことが、現代という時代のなかでいままた深く採り上げられるようになった、と。 思えば、昭和三年あたりの世界大恐慌のさなかは、「大学は出たけれど」という言葉がはやった時代だったし、1970年あるいは1980年代頃の新聞を眺めても既に博士の就職問題に関する記事がぼちぼち見つかる。確かに、高学歴者が就職できない時代というのは、過去からずっと浮かんでは消えを繰り返してきた。だが、それらと現在との間には、ひとつだけ見逃してはいけない大きな違いがある。過去に発
ご無沙汰しております。 ちょっといろいろありまして・・ 実は、7月刊行予定の『ホームレス博士』がまたもや延期になってしまいました。読者のみなさまには大変申し訳なく思います。少しでも状況のご説明をさせていただければと思います。 さる6月2日の夕方、携帯が鳴りました。見ると、担当編集者のM氏でした。受話器を耳にあてると、申し訳なさそうに「来月以降に刊行月を延ばしてもらえないでしょうか」との申し入れが。社内事情というやつでした。 瞬間的にピンとは来ていました。というのも、この出版社は、前日の6月1日に新たなる旅立ちを迎えていたからです。そもそも連絡はメールが主体ですから、電話があること自体が緊急事態発生を物語っています。 さて、会社に一体なにが起こったかといえば、初の大リストラです。その様子は、対象者自らが赤裸々に内部事情を語り、業界内外から大変な注目を浴びているブログ『たぬきちの「リストラなう
新しい年度が始まりました。大学は最も賑やかになる季節ですが、私たち「高学歴ワーキングプア」の気分は逆に、一番盛り下がる日なのかもしれません。 「何も変わらない同じ一年が単にひと回りした」だけですから。 そんな囚人のような生活からどうしたら脱出できるのか。 春らしく、心軽やかに日々を過ごす、こんなささやかな夢は、どうすれば叶うのだろうか。 高学歴ワーキングプア問題に、果たして救いはあるのか? 前著『高学歴ワーキングプア』以来、ずっと考えてきたテーマです。 一作目から二年半かかりましたが、答えに少し近づけたように思います。 2010年07月16日、『ホームレス博士』。光文社(新書)より刊行されます。 副題:国家の詐欺で、日本から静かに高学歴層が消えてゆく 帯:派遣村化・ブラック企業化する大学院 著者:水月昭道 どうぞ、お楽しみに。 (なお、タイトル・副題・帯は「仮」ですので、変更の可能性もあり
衆院選、どこの政党を支持するか、大変に難しい問題です。 私たちにとっての関心事は、やはり「仕事」を得られるか、というこの一点にあるはずです。 雇用対策をどれほどきちんとやってくれるか。 各種業界の構造を正確に理解して、個別の対応策を練っていただけるか。 こういうところに注目していきたいところです。 たとえば、「年越し派遣村」では貧困の可視化が行われ、製造業における問題点をあぶりだしたことで、この分野における労働問題の解決に確かな動きが生じています。 業界は全く異なりますが、高等教育界における労働問題についてはどうでしょうか?京大くびきりアイランド(現・くびくびカフェ)に見られるように、この業界は超格差社会になって久しくたちます。しかし、そのことになんらの改善の動きも見えません。大学の専任教員と学生の間に立ち、研究や教育の質の維持に縁の下で支える若手博士や研究員たちは、ほぼ無償のボランティア
心理・教育・仏教・仏事・まち・グルメ・建築・書評・文章指南等について書くニャ🐈 2007年、『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)刊行。日本の博士の窮乏を自身の経験とともにコミカルに綴った本書は8万部のベストセラーになったニャ🐈 以来、現代に生きることの意味をさまざまな角度からユーモアを交え問う文筆活動を続けているのニャ🐈 博士(人間環境学 九州大学) 僧侶(西本願寺系列寺院住職) 好きな言葉: 「〝こだわり〟を手放すのが楽になる道ニャ🐈」 仏事・教育問題・若手研究者の就職事情・心の安寧・わかりやすい表現の仕方・現代寺院事情などに関する執筆・講演多数ですニャ🐈 □□ □□ □□ ※執筆・講演・講義・取材等のご依頼や各種ご相談は下記↓までどうぞニャ🐈 drikiru(at)mail.goo.ne.jp お手数ですが、(at)は @ に変更してください。
昨夜、「クローズアップ現代」で、大卒者が就職できない中国の現状リポートがあった。 向こうでは、「中国大就職難」とよばれているそうだ。 構図は、日本の場合と同じで、学生数の急増が求人数を超え、需給バランスが崩れたことにあるようだ。 中国政府は、新たな人材活用の場を創出するために、研究所等を創設したりといったことをすすめているそうだ。 それに引き替え、もらい手のない博士に500万円をつけて産業界に〝引き取って〟もらおうというような政策をすすめる我が国、日本。 その予算は五億円ほどというが、つまらないバラマキをするでなく、それを資金にして新たな仕事の場の創出を試みるほうがよいのではないだろうか。 高等教育を受けた「博士」の知的サービスに対する、市民からの潜在的需要は少なくないはずだ。 以前にご紹介した、「京大くびきりアイランド」では、派遣切りにあった人やシングルマザーなどに対する支援を視野に入れ
先週日曜日の夕方、京大正門前に浮かぶ「くびきりアイランド」(旧・首切り職員村)を訪ねた。 時計台前にある大きな楠の下、縦横に伸びるブットイ枝の下に優しく抱かれるようにして、コタツを中心に作られた高座は、デンと正門を見据え、島の首都を主張していた。 島と大学正門を結ぶ直線上には、魚の頭だけがさながらさらし首のように置かれ、この場所がいかなる意味を持ち、どんな気持ちが込められて作られたアイランドであるのかを、控えめに?周囲へと語りかけていた。 首切り島の最高責任者である、小川恭平さんと井上昌哉さんにさっそく話を聞いてみた。 質問は、次の二点。 ①どうしてストを始めたのか? ②今望んでいることは何か? 当日は、急な訪問だったこともありお二人とも忙しく、そのため井上さんに代表して胸の内を語って頂いた。 東大文学部を卒業後、京大の人間・環境学研究科に進学した井上さんは、休学を含め大学院修士課程に7年
水月昭道【公式】 念仏・研究・文筆の日々 2007年、『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)刊行。日本の博士の窮乏を自身の経験とともに綴った本書は8万部のベストセラーとなる。 以来、現代に生きることの意味をさまざまな角度から問う文筆活動を続けている。 博士(人間環境学 九州大学) 僧侶(浄土真宗本願寺派) 好きな言葉: 「〝私〟を手放す」 教育問題・若手研究者の就職事情・心の安寧・わかりやすい表現の仕方・現代寺院事情などに関する講演多数。 □□ □□ □□ ※執筆・講演・講義等のご依頼、各種ご相談は下記↓まで。 drikiru(at)mail.goo.ne.jp お手数ですが、(at)は @ に変更してください。
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