三者の、武術への造詣の深さをご存じの方であれば、この賛辞がどれほどの価値を持つものであるか、ご理解いただけると思う。 佐川本人は、年齢について生前こう述べていた。 「衰えを歳のせいにするから進歩が止まってしまう」 「合気は技術だから、体さえ動けば何歳になってもできる。むしろ理が深まるからだんだん上手になる」 男子なら、誰もが一度は、強い男に憧れる。そして、強くなりたいと願う。だが、そのやんちゃな願望を、成人してもなお保ち続ける人は稀だ。まして、老境に差しかかれば、肉体の衰えに直面し、諦めない人などまずいない。どんな達人であっても。 しかし、ここにただひとり、この最も単純で無骨な夢を、人生の全てをかけて、死ぬまで追い続けた男がいた。これはひょっとして、史上最も純粋な男子の物語である。 ◆佐川幸義の生涯◆ 佐川はもともと、近代日本最高の達人と評価されている、大東流合気柔術・武田惣角の内弟子だっ