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買ってよかったもの
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毎年年末には、年越しそばとおせち料理の材料購入のため、ニューヨークまで買い出しに出かけている。そのついでに毎回Bryant Park近くの紀伊國屋書店に立ち寄り、目ぼしい日本語の本を物色してついつい買ってしまうのだけど、この本も買った本の中の一冊。漫画版(参考)や小説の復刻版(参考)もあったが、最も古い版の岩波文庫を買ってきた。 この本のことを、宮崎駿が新作映画のタイトルに使うというニュースで知った人が多いのではないだろうか。自分もかくいうそんな人達の一人で、この本のことは知らなかった。ほんと、無知である。存在すら知らない良書って山ほどあるんだと改めて思った次第。 「君たちはどう生きるか」は日中戦争が始まった1937年に執筆され、「日本少国民文庫」の最終刊として発表された。巻末の作者あとがきによると「日本少国民文庫」の刊行は軍国主義の勃興に対して、少年少女を時勢の悪い影響から守りたいという
明けましておめでとうございます。2017年もどうぞよろしく。本業が忙しい時期を迎えていることもあって、ブログの更新は滞りがちなのだけれど、気が向いたら更新していくつもりなので、今後も読んでいただけたら幸いです。 一年の出だしですが、ここでは昨年紹介記事を書こうと思いながらも書けなかった論文を短いコメントと一緒に紹介していこうと思います。あくまで簡単な紹介なので、詳細が気になる方はぜひ論文を読んでみてください。 では、以下に書いていきます。ある程度吟味したんだけれど、それでも長くなってしまった。 RNA修飾の解析 先日、Nature Methodsでも2016年のMethods of the yearにも選ばれていたEpitranscriptomeの解析はとても印象に残った。次世代シーケンサーの技術革新によって、今まで観察することのできなかったRNAの修飾を今までよりも容易に観察できるように
このようにヘビが人類の歴史において、信仰や嫌悪の対象となってきたのは、牙が見せる凶暴性や毒の存在など様々な理由があっただろうが、脚を持たない独特な外見も大きく影響していたかもしれない。 「ヘビはなぜ脚を持たないのか?」 そんな素朴な疑問に対して、ゲノム生物学と発生生物学という別々の観点から迫った、興味深い2つの論文が出ていたので、簡単に紹介したい。 ヘビのゲノム比較から明らかになったエンハンサーの変異 1つ目の論文は複数のヘビゲノムの比較からヘビの脚の欠失のメカニズムに迫ったものでCellに発表された(参考)。 詳細は書かれていないものの、ヘビのゲノム比較を通して、ZRS(Zone of Polarizing Activity[ZPA] Regulatory Sequence)というエンハンサー配列に着目している。魚からヒトに至るまでのほぼ全ての脊椎動物でZRSは保存されているが、ヘビでは
前にピンズラーを始めたという記事をブログに書いた(参考)けれど、あれから始めたヒンディー語のコースについて、30日間のPhase Iをつい先程終えた。 本当はもう少し早く終わっているはずなんだけど、疲れて休んでしまった日があったので、少し遅れてしまった。1月中には終わらせたいと思っていたので、ぎりぎり間に合った。Listening sectionが終わって、Reading sectionがまだ残っているので、それをゆっくりと進めていくつもり。ピンズラーのヒンディー語は残念なことにPhase Iしかないので、これでおしまいになる。 Phase Iを終えて、ヒンディー語を話せるようになったかというと、全く持ってそんなことはなくて、ごく基本的な単語を学んで、文法的には男性名詞と女性名詞の動詞や形容詞の活用と、命令形、さらに未来形と過去形を学んだという程度。それでも周りのインド人の話す内容は断片的
年の瀬。ブログで年の瀬というと、年内のまとめみたいな記事がよく上がるので、その流れに乗って、今年出た論文とか注目を集めた研究などの中で個人的に気になったものを、まとめて書いてみようと思う。今年は本業が忙しく、科学記事をほとんど書けなかったので、その埋め合わせも兼ねて。個人的な関心によっているので、生物学、中でも分子生物学ばかりになるけれど。 CRISPR/Casシステムの発展 去年話題をさらったCRISPR/Casシステム(参考)だけれど、今年はさらなる発展を見せた。中でも大きな進展は、Cas9 endonucleaseの構造が解かれたことだと思う(参考1、参考2)。普段、構造関係の論文はどちらかというと読まない方なのだけど、濡木研の論文は興味深く読ませてもらった。 他にも、Cas9をKnock-inしたマウスを用いたin vivoの応用例が報告されたり(参考)、条件さえ整えればRNAも認
最近、インターネットで氷水をかぶる動画が流行っていますね。 この氷水かぶりは、ALS協会を支援するキャンペーンで、筋萎縮性側索硬化症の研究や患者支援に対する寄付を募るとともに、病気を多くの人に知ってもらおうという企画なのだとか。指名された人は、24時間以内に氷水をかぶって10ドル寄付するか、かぶらずに100ドルを寄付するか、もしくは両方という選択をし、次に3名を指名できるらしい。この企画はマサチューセッツ州在住のALS患者Pete Fratesさんの呼びかけで7月末に始まったらしく、最初はボストン大学出身の野球選手が多かったらしい。その後、口コミにより広がって、今こんな状況になったとのこと。 この企画、実にアメリカらしいと思う。アメリカだから、というのもあるんじゃないかな。実際、ティム・クック、マーク・ザッカーバーグ、ビル・ゲイツ、ジェフ・ベゾスといったそうそうたる面々が氷水をかぶっている
本書は冒頭、LHCにおけるヒッグス粒子の発見の描写から始まる。素粒子物理学の標準模型が完成した瞬間である。人類がペンと頭脳だけで導き出したモデルを、自然界も採用していたことが明らかになった。本書の言葉を拝借するなら「人類、やるじゃない!」。以後、本書では標準模型に則りながら、「強い力」と「弱い力」、そしてヒッグス粒子に至るまでの研究進展と研究背景を解説していく。 著者が「標準模型は、40名以上のノーベル賞受賞者を含む数多くの物理学者たちが、さまざまなアイデアを出し合って作り上げたものです。何か辻褄の合わないことが見つかるたびに別の理論を継ぎ接ぎして、苦労して織り上げたパッチワークのようなものです。」と書いているように、素粒子の標準模型はとても複雑で、個々の現象を記述する複数の理論の組み合わせによって、出来上がっている。複雑さは上の図を見ても分かるだろう。 ただ、本書は実によく配慮してあって
日本でどれだけ報道されているのかは分からないが、現在、西アフリカでエボラ出血熱の感染が拡大している(参考)。現在確認された患者は567人で、死者は350人にもなっているらしい。 これまでの最大のエボラウイルス流行は2000年にウガンダで確認された425人というものであり、今回の流行はそれを超え、既に記録にある限り、世界最大の流行となっている。さらに今回は都市部での感染拡大が広がっており、予断を許さない状況だ。国外に広がれば、パンデミックの恐れすらある。 長いことブログをやってきて、これまでに何度かエボラウイルスについて書いているのだけど、改めて覚え書きとしてまとめて書いておこうと思う。ウイルスはそこまで詳しくないので、専門家のご指摘は大歓迎。 エボラウイルスとは エボラウイルスは、フィロウィルス科(参考)に分類されるRNAウイルス。本来の宿主はコウモリではないかという説があるが、今のところ
5月は本業が忙しかったのと、前の記事に書いた通り、しばらく本を読むことに集中していたので、ブログから遠ざかっていたけど、ちょっと気晴らしに(古いネタを掘り返しつつ)軽く書いてみよう。 この話は先月Twitterにいる生物系研究者界隈で少し盛り上がっていて、TLで見かけた時には「これはとても大事な情報だなあ」と思っていたのだけど、誰かがまとめてブログに書くわけでもなし、Googleで検索してもTwitterで話題になった情報が出てくるわけでもなし、ということで泡沫ブログながら、この話題を自分が参照する用にきちんとまとめて記事に書いておきたくなった。Togetterとかにまとまっているんだろうか。 タイトルにもあるように、ヒト成人の推定細胞数の論拠について。日本ではよく60兆個という数字が使われるが、具体的な根拠の無いまま、これまで勝手に使われてしまっていた。この多くの人(研究者)が言及するヒ
前3つのエントリーで、生命科学の研究と向き合う時、どういう考え方ができるかという私見を書いてきた。 → Pursuing Big Oceans : 生命科学研究での考え方1「論理:アブダクション」 - livedoor Blog(ブログ) → Pursuing Big Oceans : 生命科学研究での考え方2「着眼点:ティンバーゲンの4つのなぜ」 - livedoor Blog(ブログ) → Pursuing Big Oceans : 生命科学研究での考え方3「手法:4つの動詞」 - livedoor Blog(ブログ) 最後に3つのエントリーを総括して、改めて考え方を順を追って、書いてみようと思う。 生命科学研究を行うときの考え方 ① 先行研究をよく読み、「ティンバーゲンの4つのなぜ」で挙げた4領域において、研究対象についてどんなことが明らかになっているのかを調べる。研究対象としなくて
前のエントリーで「ティンバーゲンの4つのなぜ」にしたがった、生物学的視点に基づく研究の枠組みを紹介した(参考)。次はこの枠組みに沿って、具体的な実験系を立てることになる。第三弾のこのエントリーでは、実験系を立てる時にどういう考え方ができるか、という話をしてみる。 生命科学の実験系は4つの動詞でまとめられる これは昔授業を受けた、ある先生からの受け売りなのだけど、生命科学の実験系は4つの動詞でまとめることが出来る。その動詞とは、以下の4つ。 増やす 減らす 変える 見る 「増やす」と「減らす」は、量を「変える」ことなので、大雑把には2つの動詞で済んでしまうけれど、「増やす」と「減らす」は「変える」とは若干意味合いが異なるのと、生物系の研究では頻繁に使われるので、ここでは別の動詞とした。 この4つの動詞を分子生物学で使われる具体的な手法に当てはめると、こんな実験手法が挙げられる。 増やす・・・
1つ前のエントリーで実験科学に用いられる論理として、アブダクションの話をした(参考)。繰り返しになるが、アブダクションとは、1.仮説を立て、2. データを取り、3. 仮説との比較を繰り返すことによって、推論していく論理のことだ。 続く第二弾のエントリーでは、最初の仮説をどのようにして立てるのか、という話をしようと思う。ここは正直難しいところではあるし、うまく体系立てて書けるか不安なのだけど、生命科学研究のスタート地点を見つける手助けとして、「ティンバーゲンの4つのなぜ」を紹介したい。 「ティンバーゲンの4つのなぜ」とは? 「ティンバーゲンの4つのなぜ」はオランダの動物行動学者ニコ・ティンバーゲン(参考)にちなんで名付けられた、「なぜ生物がその機能を持つのか」という疑問に対する解答を4つの領域に分類したものだ。生物研究の4領域と言ってもいいかもしれない。 その4つの領域とは以下の通り。 至近
生命科学の研究と向き合う時にどのように物事を考え、どのように研究を進めていくか。 この問いに答えるのはとても難しい。研究内容や研究対象といった科学的事柄についてはきちんと体系化され、知識としてまとめられている反面、一段階上の研究手続きや考え方といったものはあまり体系化されていないからだ。研究室内で一子相伝よろしく、直属の上司から教わる形で伝わることがほとんどであり、おそらく研究室や研究者によって千差万別なのだろう。 そこで、生命科学研究における考え方について、自分なりに思索したものを4つのエントリーに分けて、書いてみようと思う。ただ、あくまで一個人の私見であるので、参考程度にしてほしい。 第一弾となる、このエントリーでは、全ての考え方の基本となる「論理」の話からしていく。 論理の種類 実験科学で用いられる論理には大きく分けて、3つの種類がある。演繹、帰納、そしてアブダクションの3通り。 演
正直なところ、この話は万人受けするとは思えないし、実際大きなニュースになっているわけでもないけれど、生物というものを捉えていく上でかなり重要な示唆を与えている仕事ではないかと思ったので、ブログで紹介してみることにする。 今回紹介したいのは、つい数日前にNatureの電子版に出た以下の論文。なんか今、雌ちんちんの発見(参考)といった"性"のことが話題に上がっているけれど、こちらは蝉コロンさん案件ではなく、至ってくそ真面目な話で精子と卵細胞が受精をするのに必要な、卵細胞側のタンパク質を見つけたという仕事だ。ただね、地味だけど凄いと思うのよ、これ。 → Juno is the egg Izumo receptor and is essential for mammalian fertilization : Nature : Nature Publishing Group 生命の誕生におけるギリシ
ここしばらくブログを書くまとまった時間が取れなかったので、Twitterで呟いてから、だいぶ間が空いてしまいました。というか、もう1週間経ってしまったので、さすがにそろそろ書くのを躊躇う感じがありますが、日本に残してきた筆頭著者の論文がようやく世に出ました。 → Yeast Osmosensors Hkr1 and Msb2 Activate the Hog1 MAPK Cascade by Different Mechanisms -- Tanaka et al. 7 (314): ra21 -- Science Signaling このブログは一応匿名でやってきたのですが、せっかくブログが有るのだから何か自己紹介的なものを書いてみようと思います。最初は丁寧な論文解説も考えたのですが、今回はそうした専門的な話はしません(興味のある方はTwitterにいるので、いつでも話しかけてください)
いちいち例を挙げる事はしないけれど、ここ数年、かなり重大な論文不正が相次いで報告されているように思う。こうした事例の経過を見るにつけ、気に掛かるのは、怪文書に近いようなブログエントリーや週刊誌などのマスコミへのリークをきっかけとして問題が明らかになることが多いことだ。 捏造が悪しきことであることは明白だけれど、あら探しのような捏造探しも良い行動とは思えない。科学とは知見を提唱し、批判と検証を繰り返しながら積み重ねていく知的活動だ。私達は巨人の肩に立つ小人なのである(参考)。捏造探しとはこうした科学的活動を根本から否定する行動であり、とても悲しい気分になる。科学者の良心を信じていたい。 とはいうものの、万が一捏造を見つけてしまった場合、見過ごす訳にいかないのも現実。そして、日本で論文不正を告発するには上述の通り、怪文書のようなブログやマスコミを使うしかないのが現状だ。いわゆる私刑だ。また論文
STAP細胞という酸や物理的なストレスを細胞に与えるだけで多能性を獲得するという、衝撃的な研究結果が理化学研究所のグループにより発表されて、話題になっている。ここまで生物観を揺るがすほどの衝撃を受けた論文は久々だ。 理研のプレスリリース(一番わかり易い解説) 体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見 | 理化学研究所 噛み砕いた解説 「ストレスで細胞が初期化」の衝撃 - むしブロ 論文2報 Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency : Nature : Nature Publishing Group Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency : Natu
2014年、ブログへの初エントリー。ブログ初めということで2014年の予想話でもしようと思う。といっても、2014年のサイエンスにおける予想をNature誌が載せていたので、それを翻訳しつつ、自分の感想を加えて書く程度のこと。元の記事は以下になるので、詳しく読みたい方はどうぞ。 → What to expect in 2014 : Nature News & Comment 遺伝子改変サル 慶応大学の岡野栄之教授のグループ(参考)を含む、いくつかのグループが免疫系や脳の疾患を持つ遺伝子改変サルの作成を目指しているとのこと。最初のキメラ猿の報告がたった2年前にCellに出たもの(参考)なので、次の段階の論文が出るのは時期尚早な気がするが、疾患解析を目的とした遺伝子改変サルの作成は、間違いなく世界の何処かで進行中だろう。 倫理的な問題をはらんでいるが、マウスよりもサルの方が近縁のため、人間の疾
実は少しばかり忙しいのだけど、Twitterに「書こうかなー」とか書いちゃったし、ざっと書いてみよう。つい数日前のことだけど、「新たな遺伝コードを発見、遺伝子制御に関与か」というニュースが話題になった(参考)。元の論文はこれ(参考)。 このニュースもメディアにありがちなキャッチーなタイトルを付けて、読者の気を引くという手法が悪く作用してしまった例だ。しかも、事の発端が大学のプレスリリースだけにひょっとしたら研究者本人の意図もあるかもしれない・・・というのが情けない(参考)。 一部で紛糾(参考)していたように、タンパク質のコード領域が転写因子の結合領域としても機能するduonの報告は以前からあった(参考)。duon自体は新しい知見ではない。というか、研究者自身もそのことは理解しているようで、今回Scienceに出た論文でも関連論文(ぱんつさんがググって見つけていたのもあった)が5報も引用され
専門的でマニアックな話になるだろう。先週ぐらいの話になってしまうけれど、いつものように論文を読んでいたところ、ある論文で2A ペプチドによるPolycistronicな遺伝子発現という今まで知らない技術が使われていた。そのことをTwitterに呟いたところ、その技術を使っている方々から多くのフィードバックを頂いた。 2Aペプチドについての情報をインターネットで調べていくうち、英語ではある程度の情報があるのに対し、日本語では関連する情報が殆どないことに気付いた。そこでメモ書き程度に、日本語で書いておこうと思う。自分がこの技術を実験で使っているわけではないので、きちんとした解説ではない。あくまで、ただ興味があって調べただけなので、細かな部分で誤りがあるかもしれない。もし見つけたら、コメント欄などで指摘してくれると嬉しい。 Cistronとはなにか まず初めにCistronとは何かという話をしよ
Jane B. Reece Lisa A. Urry Michael L. Cain Steven A. Wasserman Peter V. Minorsky Robert B. Jackson Benjamin Cummings 売り上げランキング: 128,219 ついでに長くなるけれど、目次も貼り付けておく。 1 イントロダクション:生命研究の主題 第1部 生命の化学 2 化学と生命のつながり/3 水と生命/4 炭素と生命の分子レベルの多様性/5 巨大な生体分子の構造と機能 第2部 細 胞 6 細胞の旅/7 膜の構造と機能/8 代謝(導入編)/9 細胞呼吸と発酵/10 光合成/11 細胞の情報連絡/12 細胞周期 第3部 遺 伝 13 減数分裂と有性生活環/14 メンデルと遺伝子の概念/15 染色体の挙動と遺伝/16 遺伝の分子機構/17 遺伝子からタンパク質へ/18 遺伝子の発現
昨日〜一昨日とはてなブックマークですい臓がん発見に関わる画期的な手法を開発した15歳の少年の記事が話題になっていた(参考1、参考2)。 15歳のJack Andraka君は叔父をすい臓がんで亡くしたことをきっかけに、インターネットを通して、すい臓がんについて調べ、すい臓がんの検査が1回800ドルととても高く、また既存の手法では30%のすい臓がんを見逃すことを知る。そこで、Jack君はより手軽な値段で、より優れた新たな手法を開発できるのではないか、と考え、開発に乗り出す。開発の経緯については、彼がTEDで話したトークがあるので、聞いてみるといいと思う。とっても感動的。 ただ、彼が作ったという画期的方法についてTEDの動画を見ても、また話題になっている記事を読んでも、詳細やその学術的背景/立ち位置がよく分からなかったので、インターネットで分かる範囲で少し調べてみた。 Jackくんがすい臓がんの
学名はGoniurellia tridens。ラテン語の語彙がそれほどあるわけではないけれど、見た目の通り、the three-in-oneという意味が学名にあるらしい。発見は今から100年ほど前。アラブ首長国連邦で1910年に発見されたハエで(参考)、透明な翅(羽)(注:参考)の中にアリの模様があるのが特徴。このアリの模様、きれいに6本足に2本の触角を持ち、さらに頭部、胸部、腹部に分かれていて、完璧に昆虫を表現している。[13:53追記 アリではなくJumping Spiderではないかという話もあるようだ] G.tridensは約5000種ほどいるハエ目ミバエ科(tephritidae)のハエの1種で、ミバエ科のハエの多くは、カラフルなカラー/模様を持つことが知られている(参考)。またアラブ首長国連邦にいるミバエ科には、単純なものから複雑なものまで27種類ほどG. tridensのよう
先週、同僚とデータの解釈や統計処理について話していた時に考えたことを、うまく自分の中で消化しきれていないのだけど書いてみる。こうした類のことって皆、どう考えているのかな? 平均の比較 ある集団のデータを比較する際の統計量として「平均」はよく用いられる。平均は直観的にも分かりやすい指標だし、計算するのも簡単だ。そして、対応する2集団の間で「平均」の差がどれぐらい統計的に有意かを検定するためによく用いられるのが、Student's t-testだ(参考)。t検定はExcelに標準でTTEST関数が備わっているぐらい、ごく一般的な検定方法だと思う。余談だけれど、Studentというのは、統計学者のウイリアム・ゴセットが会社に秘密で論文を投稿するために使ったペンネームから来ている。 実際、生物系の論文ではStudent's t-testを用いて、平均の差が統計的に有意だと示しているデータは数多く存
世にいる男性のほとんどは、幼稚園〜小学生ぐらいの頃に一度恐竜に魅了される経験があるんじゃないかと思っている。かくいう自分も幼稚園ぐらいの頃にあった恐竜ブームの影響で、図鑑を買ってもらい、よく恐竜の絵を眺めていた。 例えば、ジュラ紀で最も強い恐竜はアロサウルス、白亜紀で最も強いのはティラノサウルスとして覚えたり、パラサウロロフスのトサカは鳴き声に使っていたとか、頭突きをするパキケファロサウルスとか、トサカがたくさんあるステゴサウルスとか、未だに覚えている恐竜を挙げるとキリがない。今思えば、学問としての生物学に最初に触れ合ったのは、古生物学からだった。 さらに言うと、90年代前半は、安達祐実がT.Rexと仲良くなる映画をやったり(参考)、Steven Spielbergが、かの有名な恐竜動物園の映画を作ったり(参考)と、社会的にも全世界で恐竜ブームが盛り上がった時期で、夏には多くのデパートで恐
TwitterのTLを見ていて、金子勇さんの訃報についてのツイートがいくつか流れてきて、インターネットでは毎度のこと、ガセネタがよく流れるので、信憑性は疑わしいといつもは思うところなんだけど、関係者と思しき人達がこれだけ相次いでツイートしているのを見ると、確かなことなのだろう。お悔やみ申し上げます。 Winnyの作者として著名な金子勇さんが昨日の午後6時55分 急性心筋梗塞で亡くなられたとの報が入りました。昨年総務省にいたときに少し一緒にお仕事する機会がありました。その後東大の基盤センターに移られ、ご挨拶に行かねばと思っていた矢先。ご冥福をお祈りいたします。 — 上原 哲太郎 (@tetsutalow) July 6, 2013 金子勇さんのことを知ったのは今から12年ぐらい前、ネットを見ていて知ったのと、同級生がこんなものがあるとWinnyを教えてくれたのが、ほぼ同時ぐらいだっただろうか
Google Readerが今年の7月1日で廃止になるよう(参考)で、ネットではRSSに関する議論が盛り上がっている。ここではRSSの是非について細かい議論をするつもりはない。大雑把に自分の考えを言っておくと、確かにRSSは一般に普及しなかったが、かといってSNSが代替の情報源になるとは思えない。まずSNSはノイズが多い。また今回のRSSリーダーの廃止は、最初にSNSに情報を流す人の存在を軽視しているように思う。 堅苦しい話はさておき、Google Readerが廃止に決まって、RSS環境の見直しをしている人もいるんじゃないだろうか。せっかくだから論文をチェックするのに、RSSが向いているよ、という話をしよう。俺も最新の論文はLivedoor Reader(参考)を使って、RSSでチェックしている。大学院に入った頃からずっとこうしているので、この環境がなくなったら、論文チェックに困るだろう
極東ブログ(参考)に出会ったのは、今から8年ぐらい前のこと。その頃はまだ大学院に入りたての23歳で、ネットではアルファブロガーというのが持て囃され、切込隊長やR30さんなどのブログと合わせて、極東ブログのことを知り、世の中にはこんなすごい人がいるんだ、と感動したのを覚えている。以来8年とちょっと、1日も欠くことなく極東ブログやfinalventの日記を読んできた。ちょっとしたファンです(笑) 自分の世界観の形成に極東ブログが与えてくれた影響は計り知れません。極東ブログを読み始めた頃は、記事によってはブログの内容が全く理解できないことがあって、この人は何を言っているんだと自分なりに調べたこともあった。ブログで紹介されていた本も何冊も読んだ。極東ブログがなければ、国際政治、歴史、宗教、哲学、思想について、ここまで視野を広げることはなかったと思う。本当に感謝してます。 そんなfinalventさ
数年前に開発されたある面白い技術を更に改良して、実に面白いことをしていた論文がNatureの電子版に出ていて、これって幾つかの研究分野について研究手法を大きく変えていくんじゃないかと思ったので、泡沫ブログながらここで紹介してみようかと思う。久しぶりの真面目なブログ更新。 その面白い論文というのはこれ。TALENと呼ばれる技術を使って、ゼブラフィッシュのノックアウトを作成している。Nature Newsの解説記事もリンクしておこう。 → In vivo genome editing using a high-efficiency TALEN system : Nature : Nature Publishing Group → Custom gene editing rewrites zebrafish DNA : Nature News & Comment この技術のすごいと思うところ こ
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