サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
画力アップ
blogs.jp.reuters.com
1900年に出版され映画にもなった「オズの魔法使い」は、当時の米国の金融政策をめぐる議論を暗喩して書かれた寓話だったとの説がある。 当時の米国は金本位制度だったが、大きな金鉱脈が見つからなかったことなどから世界的に金の供給量が減り、貨幣を増やしたくても増やせず深刻なデフレを引き起こしていた。1880年から1896年の間に物価水準は23%も下落。負債の実質価値は増大し、借金を抱えていた農民を苦しめ、銀行は相対的に豊かにした。 そうしたなか1896年の米大統領選挙はデフレ対策が大きな争点となった。金に加えて銀も通貨発行のベースとすれば貨幣の供給量を増やすことができるとして、金銀本位制を提唱したのが民主党のウィリアム・ジェニングス・ブライアン候補。一方、共和党のウィリアム・マッキンリー候補は金本位制の維持を訴えた。物語はその大統領選をモチーフにしているという(政治色はなかったという説もある)。
福島第1原子力発電所の事故が、将来的に電気自動車(EV)の普及を阻むきっかけとなるのではないか─。 深刻化する原発事故が自動車産業に与える影響を検討する中で、こうした考えが浮かんできた。これまでEVへの電気供給は少なからず原発の存在を前提としており、この事故によって国の原発推進政策が見直されれば、その前提が崩れかねないと思ったのだ。 EVは「走行中に二酸化炭素を排出しない」「ガソリン車に比べてランニングコストが安い」といったことが代表的な導入メリットだ。それが火力発電所で化石燃料を燃やして起こした電気を使うのであれば、「エコな自動車」としてのEVの魅力が多少なりとも色あせる。 また、家庭でのEVへの充電は夜間電力を利用するのが経済的とされる。原発は特性上、出力の調整が難しく、夜間でも昼間と同じように発電する。そのため需要の落ちる夜間でも電気が利用されるよう、夜間の電気料金を抑えているという
ロイター通信上海支局 Carlos Barria 1年前、私はロイターの取材チームの一員として巨大地震に見舞われたハイチにいた。そこでは約25万人が命を落とし、100万人が仮設避難所での生活を余儀なくされた。 そして今年、3月11日に発生した東日本大震災の取材チームに加わることになり、沿岸地方に壊滅的な打撃を与えた巨大津波の爪あとや原発危機を追った。 2つの大地震は非常に異なるものだ。地球の反対側に位置し、全く異なる文化的背景を持つ全く異なる国で起きた。ハイチは西半球の最貧国で、政局は混乱が続いていた。一方の日本は世界で最も裕福かつ近代的な国で、世界第3の経済を持ち、ハイチにいち早く支援を送った国でもある。 しかし、この2つの大規模災害を取材し、いくつもの共通点があることに気付かされた。 宮城県気仙沼市でがれきの中を歩きながら、この惨状をどう伝えたらよいかと思案していた自分の目の前は、およ
政府内で浮上した東京電力の一時国有化論。 福島第一原子力発電所事故で見込まれる巨額な賠償金や復旧費用の負担で財務内容の悪化が避けらず、資本基盤のき損リスクを強く意識。今後の復興処理や安定した電力事業継続を踏まえると、国からの支援が必要ということなのだろう。 株式市場は国有化論に敏感に反応。東電株は30日、3日連続してストップ安の466円で引け、1951年に付けた上場来安値393円も視野に入り始めた。「国有化になれば最悪のシナリオとして、厳しく株主責任が問われる可能性もゼロではない」(株式トレーダー)との警戒感から見切り売りが相次いだ。 大き過ぎて潰せない(too big to fail)──。金融市場で何度となく危機に直面するたびに耳にする表現だ。社債市場では東電の国内普通社債(SB)に大口売りが観測されず、東電株の急落をしり目に冷静を装っている。 「まるでマーケットを人質に取られているよ
ロイターコラムニスト 田巻一彦 *本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれており、ロイターの見解、分析ではありません。 電力の制約が日本国内の生産を長期間下押しする可能性が出てきているが、生産の減少が輸出の停滞につながり、貿易収支の赤字が予想外に継続する可能性がある。原油価格の上昇基調が続き、貿易赤字が大幅に拡大すれば、経常収支の赤字転落の可能性も“白昼夢”と片付ける問題でなくなる。 日本の財政赤字問題に神経質な金利市場や、今は「リスク回避の円買い」と反応する外為市場で注目される展開もあり得るだろう。生産の回復がなかなか進まないケースに備えて、今からシミュレーションしておく必要がありそうだ。経常赤字が現実になれば、遠い未来の出来事と思ってきた長期金利上昇や円安の可能性を多くの市場関係者が身近かに感じるだろうと予測する。 経済産業省が30日に発表した2月鉱工業生産(速報値)は前月比プラス0
*ロイターUSサイトReuters Full Scopeからの抜粋です。 3月11日、巨大な地震が日本を襲った。沿岸部に破壊的な大津波が押し寄せ、核の大惨事の瀬戸際に立たされた。この大災害を取材した8人のロイターのカメラマンが現地で見た光景を語った。 東京支局カメラマン 花井亨 あまりにも大き過ぎる被害と悲しみに、どんな言葉も思い当たらない。ただ、今は母国で起きたこの現実を写すことだけに専念したい。 バンコク支局カメラマン Damir Sagolj 普通の日本人がこの大惨事に対処する様子に興味を持った。これまで色々悲劇的な出来事を取材してきたけれど、今回はまったく特別だと言うほかない。略奪は無いし食料や燃料や避難所での居場所をめぐる争いも無い。皆寒くて空腹であるにもかかわらずだ。この人たちは燃料を手に入れるために数キロもの列を作って待っている。まるで遊歩道でおしゃべりしながらアイスクリーム
映画「ソーシャル・ネットワーク」を観た。激変する中東情勢への影響も含め、いま世界で最も注目される会社、フェイスブックの創業期を描いた物語で印象的だったのは、無料の音楽データ交換を実現するナップスターを立ち上げたショーン・パーカーが、フェイスブック創設者のマーク・ザッカーバーグたちを諭す場面だ。 ナップスターが著作権侵害で音楽業界から訴えられ敗れたことを同席したザッカ―バーグの親友から指摘されたパーカー役のジャスティン・ティンバーレイクが、「裁判ではそうだが、負けたのは音楽業界さ。CDは売れなくなっただろう」と言い放った台詞には膝を打った。(もっとも、パーカー氏本人は、「映画は完全なフィクションだ」と発言している。)◆注意:ロイター日本語サイトで“ショーン・パーカー”と検索すると記事が出ます 著作物のコピーを容易にするデジタル・テクノロジーは、インターネットの普及以前からコンテンツ産業と相性
前週、矢継ぎ早にマネジメント・バイ・アウト(MBO、経営陣が参画する自社買収)が発表された。1月31日にMBOを発表したワークスアプリケーションズを先陣にエノテカ(2日)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(3日)、アートコーポレーション(4日)と相次ぎ、週明け7日も田中亜鉛鍍金がMBOを発表している。 MBOが活発化している背景は様々だ。よく言われるのは意思決定の迅速化。非上場化で利害関係者を減らし、機動的な経営体制を構築するという。最近ではアジア圏を中心とする海外進出に拍車がかかっているが、上場企業のIR担当者からは投資家から投資回収の是非を問われるなど迅速に動きづらいとの声が多い。また、有価証券報告書の作成や監査報酬など上場維持のコスト負担が重く、多様な資金調達や知名度上昇などの上場メリットと見合わない点や、第三者による買収リスクを軽減する点が挙げられる。 ただ上記のような要因はこれ
国内の人口減少が要因となって成長期待が持てなくなった結果、大企業・中小企業、製造・非製造業を問わずこぞってアジアの成長取り込みに動いている。しかしその実態を見ると、アジアでのシェア拡大に焦るせいか、製品コンセプトが現地需要とミスマッチとなる例や、交渉戦略やリスク意識が希薄な例があるようだ。 この冬放送されたNHKの「灼熱アジア」では、そうした落とし穴が見え隠れてしていた。ゴミ再資源化装置を中国に売り込もうとした中堅化学企業が、価格で折り合えず受注を逃しかけたかに見えたが、現地大学との共同研究の誘いに調印、受注を獲得した例を取り上げていた。短期的に見れば、中国での取引の足がかりを得たことで、中国進出を果たした成果を収めたと言えるだろう。 しかし一方で、中国企業が求めていたのは単純な粉じん処理機能であり、日本企業の持ち込んだ高付加価値機能は不要と言われ、装置自体は買いたたかれた。現時点では不要
信長関連の本を読み漁っていたと言われるのが小泉元総理。 彼は信長を理解し、任期4年で一時代を築きました。 ですが、織田信長が果たして現在のような民主主義の世の中を認めたかというと非常に疑問です。 信長は良くも悪くも独裁色が強かったからです。 菅総理に信長を求めるのは無理があります。 彼が目指しているものは、私が知る限りでは一人のカリスマの存命によってのみ成り立つ改革ではないからです。 菅総理は記事にもある通り、奇兵隊のような沢山の様々な人で達成され、紡がれる歴史を参考にしているようです。 菅総理には抜きん出た能力もカリスマも見られません。 小泉氏や小沢氏に比べれば凡人と言えるかも知れません。 彼はサラブレッドでもありません。 能力もカリスマも家柄も特出してないというのに、それがどういう訳か現在我が国の総理大臣をやっています。 これは異常事態です。 どうしてこうなったのか
あなたの就職活動を漢字一文字で表すと──「苦」。 就職情報サイトを運営する毎日コミュニケーションズが来春卒業予定の大学生、大学院生を対象に行ったアンケートで、こんな結果が得られたという。景気低迷などを理由に企業が新卒採用を抑制するなか、学生の就職活動は長期化しており、金銭面・精神面で苦しさが増している。2年連続で1位となった。 ちなみに、2位には「楽」がランクイン。やや意外な感もあるが、楽だった、というわけではなく、楽しかったと回答する学生が目立ったそうだ。インターンシップへの参加や幅広い就職活動を通じて多くの人に出会い、自分を大きく成長させることができたことが楽しいと感じたという。3位以下は「迷」「進」「動」「耐」「難」「縁」「疲」「知」。いずれも就職難のなかで、懸命に活動する学生の姿をイメージできる文字が続いている。 同アンケートは新卒学生の採用状況を明らかにするため、同社が2000年
東京電力の公募株式(申込期間13日―14日)が個人投資家の間で人気を集めている。発行株式数2億5415万株(オーバーアロットメントを含む)、概算の手取り調達額4469億円の大型増資にもかかわらず、公募株式を取り扱う証券会社では抽選で顧客に配分するほどの盛況ぶりだという。 それもそのはず、今回の公募価格は1株1843円と25年前の低水準。予想配当利回りは3.25%にもなる。民間企業でありながら恐らく潰れることはない(電力料金は総括原価方式であり、電力会社は基本的にコストを全て回収できる事業モデルだから)と誰もが考える優良企業である。ゼロ金利時代の運用難で個人が飛び付くのも無理はない。 しかし、仔細にみればこれほど理解しがたい増資がかつてあっただろうかと思わずにはいられない。自己資本規制に迫られ普通株増資しか選択肢がなかったメガバンクとは状況がまったく異なるからだ。日本の電力業界は一般に債務に
モンゴルの巨大炭田開発が動き出した。開発されるのはモンゴル南東部のタバントルゴイ炭田。埋蔵量は世界最大級の60億トン超とされる。 モンゴル国内では自国資源が外資主導で開発されることに抵抗もあり開発着手が遅れていたが、モンゴル政府は開発企業を選定する入札を10月に実施する意向を示した。 中国などの鉄鋼需要が増え続けるなかで、豪州に偏在する製鋼用石炭(原料炭)が北東アジア域内で確保されることは、日本や韓国、中国などにとって、資源安全保障上歓迎すべきことだろう。 日本からは伊藤忠商事や住友商事なども意欲を示しているとされるほか、三井物産も中国の総合エネルギーグループである神華集団との業務提携を通じて、開発に興味を示している。韓国やロシア企業、英豪系のBHPビリトンやリオ・ティント、ブラジルのヴァーレ、スイスのエクストラ-タなど資源メジャーも入札に参加するもよう。 原料炭は、日本の2009年度輸入
うわさの米パンを食べてみた。 表参道にあるカフェ「Zip Zap」では、三洋電機が10月8日から発売するライスブレッドクッカー「GOPAN(ゴパン)」で作った米パンを、通常メニューを注文すると無料で試食できる(9月30日まで)。 個人的な印象で恐縮だが、パサつきもなくしっとり感もあって米の匂いや味も特に感じない。言われなければ普通のパンだと思うだろう。干ばつの影響でロシアが小麦やトウモロコシなど穀物の出荷を一時的に禁止する方針を示したことで小麦価格が急騰、代替品としてコメへの期待が高まっているなかであり、昼どきの店には大勢の客が来店していた。 これまでも米粉を使って作る「米パン」はあったが、米粉は流通量が少なく価格も高かった。三洋電機の「GOPAN」は、家庭にある生の米から直接、米パンが作れる。洗米した米220グラムと水、塩、砂糖、ショートニング、グルテン、ドライイーストを入れて約4時間で
外国為替市場で3日、ドルは一時85.84円まで下落し8カ月ぶりの安値を更新した。複数の市場関係者によると、今年4月、5月と日本の短期国債を大量購入した海外勢の買い意欲は足元でも続いているもようで、直近の外為市場における「円選好」と連動しているとの声もある。 財務省が発表している国際収支統計の国別データをみると、5月に英国勢が短期債を5兆5329億円、中国勢も6948億円買い越している。4月も英国勢は3兆6154億円、中国勢は1978億円の買い越し。英国勢は4、5月で合計9兆1483億円を買い越していた。そのほとんどが短期国債とみられている。 複数の市場筋によると、英国勢のデータの中には、ロンドン所在の銀行、証券を経由した英国以外のマネーが多数含まれており、かつてはその大半が中東産油国のオイルマネーだったという。 ただ、最近は事情が変わってきており、中国マネーのウエートが高まっているという。
欧州の財政危機問題が、ハンガリーに飛び火した。 きっかけは4日のハンガリー首相補佐官の発言だった。ギリシャのような危機に陥るリスクがあるとの率直は発言は、真剣さが評価されず、市場は動揺。 その後に2010年の財政赤字目標の達成を目指すと政府が表明しても、ユーロの下落は止まらず、週明けの市場でもユーロ/ドルは1.2ドルを割り込んだ水準で推移した。 ある邦銀関係者は「予想されたこととはいえ、ユーロ圏は病気にたとえると、多臓器不全だ。ユーロに加盟していない国の危機でも、欧州の信用に打撃になる。あちこちで財政危機が噴出すれば、EU当局は対応できなくなる」と、先行きの暗さを指摘する。 市場の一部にあった明るい見通しでは、欧州危機をきっかけにしたユーロ安で、独仏などの大国が輸出を拡大させ、その経済的な効果で財政赤字の圧縮に伴うユーロ圏内のデフレ効果を相殺するというシナリオだった。 だが、ハンガリーが混
サッカーにおける「韓日格差」が再び広がったようだ。韓国相手にホームで3カ月間に2度も完敗を喫した日本代表。内容の悪さに加え、ワールドカップ南アフリカ大会の初戦、カメルーン戦まであと3週間に迫ったタイミングで、岡田武史監督が日本協会の犬飼基昭会長に進退伺いし、記者会見で監督自らその事実を公表したことにはあきれてしまった。 試合翌日のスポーツ各紙が岡田監督の発言について「選手との信頼関係にヒビが入るのは必至」などと批判したのも当然だろう。「4強」を目標に掲げる同監督に対し、ロイター日本語サイトのオンライン調査では回答者の約90%が予選リーグ敗退を予想している。 オランダとデンマークを含む強豪3カ国と真剣勝負ができることは、日本サッカーの世界でのポジションを知る上で絶好の機会だと思うが、敵前逃亡とも取られかねない指揮官の発言が飛び出す始末では、このチームを真剣に応援しようというモチベーションさえ
スタンダード&プアーズ(S&P)が27日、ギリシャのソブリン格付けを3段階引き下げ、ジャンク(投機的)級等となる「BBプラス」にした。S&Pは同日、ポルトガルの長期格付けも2段階引き下げた。 欧米の市場は動揺し、外為市場でユーロが売られ、各国の株式市場は軒並み大幅な下落となり、マネーは逃避行動を取って、独連邦債や米国債の利回りが急低下した。 ドイツのショイブレ財務相は27日、ギリシャを失望させないと表明。ポルトガルのテイシェイラ・ドスサントス財務相も同日、債務超過の削減に向けて最善を尽くすと述べ、ソブリンリスクがさらに延焼しないよう懸命の“火消し”に努めた。 だが、市場には危機が拡大するのではないか、との懸念が台頭している。ギリシャは、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)に対して支援制度の発動を正式に要請したが、ドイツが支援のための条件を設定し、マーケットの疑念をかきたてていた。 外資
昨年12月から会社の許可を得てツイッターを始めた。アカウントは@y_shidaで、私の「つぶやき」を追っている「フォロワー」は現在700人程度。やってみると、これがなかなか面白い。 タイムライン(TL)といわれる画面に自分がフォローしている人のつぶやきが次々に流れてくる。私は金融市場関係者や学者、ジャーナリストを中心にフォローしているが、その分野の専門家の生の声がどんどん更新されていく。TLをみて「今起きていること」に気づかされたことが何度あったことか。 対して、私の発信はというと、残念ながらいまだ手探り状態だ。ロイターはツイッターポリシーを定めており、第一報はツイッターには流せない。私的なつぶやきも原則禁止。守秘義務もある。これはロイターが培ってきたジャーナリズムを守る上で必要なルール。こうした中で、何を流せば読者にとって有益なのか、試行錯誤を続けている。 報道機関のツイッター利用は大き
ロイターのカメラマン村本博之さん(43)が今月10日、バンコクでの反政府デモを取材中に銃撃を受けて亡くなった。私が1993年にロイターに入社して以来、少し年上の「ヒロ」さんは、優しい兄貴分のような存在だった。数多くの取材を共にした先輩を突然失い、信じられない気持ちと悲しみに暮れる日々が続いている。 そんな中でヒロさんの遺品となったカメラに残っていた映像が12日公開された。カメラは反政府グループと治安部隊の間の緊張が一気に流血の騒乱にエスカレートする様子をとらえている。 突然近くで爆発が発生。兵士が倒れ、他のカメラマン、そして治安部隊の兵士も走って逃げる中で、ヒロさんはゆっくりと後退しながらカメラを回し続ける。そこには目の前で起きていることを、なんとしても伝えようとする彼の意思が表れている。 しかし騒乱の中で、ヒロさんは胸を撃たれそのまま帰らぬ人となり、ジャーナリストが時として直面する危険を
金型最大手のオギハラ(群馬県太田市)の国内5工場の1つが4月1日付で中国の電池・自動車大手比亜迪(BYD)に買収された。 金型は日本の製造業の競争力の源泉ともされるが、国内需要の低迷と自動車・電機メーカーによる安価な中国・韓国製金型の採用で苦境に直面。海外から格好の買収対象となっている。 オギハラは自動車のボディーやボンネットなど車体を構成する鋼板の加工に使われる大型の金型メーカー。零細企業が多い金型業界で、オギハラは従業員が約800人と異例の“大規模”で、一時は世界最大手の金型専業メーカーでもあった。国内需要の低迷で2009年にタイの自動車部品大手、タイサミットの傘下に入っていた。 今回買収されたのは館林工場(群馬県館林市)で、同工場の従業員80人などは当面雇用が維持される見通し。館林工場は一部従業員が昨秋から近隣の富士重工業の工場に出向するなど、需要低迷による余剰人員の処遇が課題となっ
富士通と野副州旦・前社長との激しい対立が先週末、表面化した。 昨年9月末の「辞任」の取り消しを求めて動いた前社長と、「好ましくない企業グループとつながる人物との付き合いがあった」として、「病気療養」という辞任理由を突如翻した会社側。野副氏は相談役からも解任され、会社から追い立てられた。 日本を代表するIT企業でいったい何が起きたのか──。関係者から漏れてくる話をつなぎ合わせても、高層ビルの密室で起きた解任劇の真相は依然として不透明だ。当事者でない限り価値判断できない情報が多く、事実関係も立場が異なれば解釈が割れる。 野副氏は、社長辞任の取り消しとともに、名誉回復や企業統治が正常に機能したかどうかを調査するよう会社側に求めている。ただ、社内外の関係者の多くは「野副さんが経営陣への返り咲きを狙っていることはなない」との見方を示しており、同氏が要職に復帰する可能性は低いとみられる。 事業の選択や
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 EDWARD HADAS Reuters Breakingviewsコラムニスト 日本経済は1990年代の株式および不動産バブルの崩壊から依然として立ち直れずにいると考えられている。だが、その認識には基本的な誤りがある。 確かに資産価格は回復していない。株価は今もってピークから75%近く低い水準にあり、地価もピーク時を約60%下回っている。消費者物価指数は20年近くにわたって安定的に推移しており、政府は日銀に対し、再びインフレ率をやや上向かせるための措置を講じるよう求めている。 これまでの政府から日銀に対する圧力の多くがそうだったように、今回もその要求は明確な形で実現しそうにない。今後も物価安定、低成長、膨大な財政赤字といった日本経済を表す表現は変わりそうにない。
4日の11月米雇用統計で、非農業部門雇用者数が事前予想の13万人減に対し、1.1万人減と大幅に上振れる方向となったため、米市場では米雇用情勢のV字型回復を予想する声さえ出た。 ドルは対円で急上昇して90円台を回復した。米利上げが遠くであっても見通せるなら、最弱通貨は円になって、円が「調達通貨」の代表になるとの思惑が広がったようだ。 だが、この結果は本当に手放しで喜べるのか。みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、人材派遣が増加を続ける一方、正社員の増加まで米トップ企業が踏み込んでいないと指摘する。 また、東海東京証券・チーフエコノミストの斎藤満氏も、今回の雇用統計の結果は、ADP全米雇用報告やISMの雇用関連のデータとかなりのかい離があり「実態に比べて、今回の雇用統計の結果が強すぎる可能性がある」と分析。V字回復論は「楽観的に過ぎる」と述べている。 さらに問題なのは、米産業
ドル/円が14年ぶりに86円台へと下落した。市場では、ポジションの傾きをはじめさまざまな要因が指摘されているが、最も大きかったのは、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録で示された中身だろう。 米連邦準備理事会(FRB)が24日に公表したFOMC議事録では、これまでのところドルの下落は「秩序のある(orderly)」動きであると言及した。 市場関係者の多くは「米通貨当局がドル下落を容認した」(邦銀関係者)と受け止めた。 最近、市場関係者の中でささやかれているシナリオでは、米当局が緩やかなドル安を容認し、輸出主導で景気の回復を目指す。バランスシート調整に苦しむ個人や米企業の現状を見れば、米国の内需主導で景気を回復させるのは難しく、ドル安をテコに輸出拡大で米景気を離陸させる。その間、超低金利政策は持続され、ドル安の基礎的な構造をサポートする──という思惑だ。 さらに日本や中国で円や元の通貨高
12日の円債市場で長期金利が低下したが、それは鳩山由紀夫内閣が進めている「事業仕分け」への期待感が高まり、歳出削減への思惑が高まったからだとの見方が一部に出ている。 だが、邦銀関係者の1人は、この指摘に首をひねる。「確かに長期金利は1.3%台へと大幅に低下したが、事業仕分けを評価して円債先物や現物を買っていたと言う話は、あまり聞かなかった」と話す。 複数の市場関係者によると、12日に行われた5年債の入札では大規模な資金量を誇る国内金融機関が大量に買ったほか、大手都銀の一角も買いに回ったとの観測が出ていたという。入札後の市場動向は、ロイターの分析記事をみていただくとして、事業仕分けが直接的なインパクトを与えなかったことは、どうも確かなようだ。 さらに公開の場で、批判の矢面に立った官僚の様子をテレビのニュースやインターネットで見た人たちの中には「彼らがかわいそうな場面もあった」と、オープンな討
*この投稿は、ロイターの「インサイト」コラムに掲載された寄稿を抜粋しました。 双日豪州会社 経理マネジャー 唐原 研 オーストラリア準備銀行(RBA)は、10月6日と11月3日に利上げした。初回の利上げはリーマンショック以来、先進国では初めてだった。先進国の中で、いち早くオーストラリア経済が回復軌道に乗り始めた理由は何なのか。 景気拡大を支えてきたのは、石炭、鉄鉱石、石油、ボーキサイトなどの豊富な天然資源である。特に金融危機直前には、資源ブームによる価格高騰や急速な経済成長を遂げる中国の資源需要増加により、資源輸出は価格、数量ともに大幅に伸びていた。この堅調な経済に対し、金融危機の与えた影響は一過性で、早期の回復に至ったという見方もある。 また、ラッド政権による金融危機対応に対し高い評価がある。その柱となったのが財政支出と金利引き下げである。財政支出では、個人への給付金、住宅取得支援、各種
日本マクドナルドホールディングスの2009年1─9月期の連結営業利益が01年の上場以来最高を記録した。 節約志向でランチ代をカットする風潮がサラリーマンに広がっているところに「コーヒーの無料配布」が実施された。客数や客層の拡大につながったと会社側は説明している。 一方でファーストリテイリングの10月国内ユニクロ事業の既存店売上高は前年比35.7%と大幅に伸びた。低価格路線がここでも消費者の節約志向に合致したといえる。 低価格を志向する消費者の一部で、ちょっとした現象が起きているらしい。ユニクロで買ったTシャツに安い材料で刺繍やパッチワークを施して「自分流」のファッションを楽しむ動きだ。 そうした手芸用品を低価格で販売しているユザワヤは最近、ターミナル周辺に進出し、大型店の撤退したスペースに店舗展開している。 ある金融市場関係者が耳打ちしてくれたことだが、最近のユニクロとユザワヤの出店したケ
ユニクロを出店するファーストリテイリングは、2010年8月期に連結営業利益が前年比10.5%増の1200億円と2期連続の過去最高益更新を見込んでいる。 低価格とファッション性を両立させた商品群で、国内ユニクロ事業が好調を持続すると見込んでいることが好決算の要因だが、この先のビジネス拡大は、アジアが握っているようだ。 柳井正会長兼社長は8日の決算発表時の会見で、アジアを最大の成長機会と位置づけ「本格的な利益貢献が始まる」と述べた。同社は2010年春には上海に世界最大規模のグローバル旗艦店をオープンさせる。 中国本土や香港などから日本国内への旅行客の中には、東京でユニクロに行き、大量に購入して帰国するパターンがはやっているという。縫製は中国で行われている製品が多いのに、どうしてそんなに人気なのか。その秘密は、ユニクロブランドが中国で高付加価値として浸透していることにあるらしい。 ある国内市場関
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『討論×闘論 | ブログ | Reuters.co.jp』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く