場所は岩手県八幡平市、ここに「雲上の楽園」が存在する。 松尾鉱山アパート廃墟群 かつて松尾鉱山という硫黄鉱山が存在した。 この松尾鉱山の歴史は古く、すでに江戸時代にはその存在が文書に記されているほどだ。 明治に入ると本格的な硫黄鉱石の採掘が開始され、山は大規模に開発され、ここに大勢の炭鉱夫とその家族が移住し、大きな炭鉱町が山の中に出来上がった。生産量の多さから東洋一の硫黄鉱山と言われ、戦後に建設された従業員や家族のための鉄筋コンクリートアパート群は、水洗トイレ付のセントラルヒーティング完備であり、町には小・中学校、病院などの施設があり、当時の最先端都市を人は「雲上の楽園」と称した。 だが、そんな雲上の楽園にも限りが見え始める。 高度経済成長に伴う硫黄需要の減少と輸入の増大に採算は悪化し、石油精製時の脱硫作業における副産物としての硫黄の生成により、硫黄鉱石の需要にとどめをさし、1972年には