法律は、原則として、日本国内の領土の全域にその効力を及ぼします。この「領土」は、領海、領空も含む広義の領土を意味するものです。したがって、日本の領海上や領空上で国内法に違反する行為をすれば、国内法が適用され、処罰できます。これに対して、海外で国内法に違反する行為をした場合には、原則として国内法が適用されないので処罰できません。 しかし、海外での違法行為に国内法を適用できないという原則を貫徹すると、法律の実効性を確保できない場合もあります。そこで、法律の中には、日本国外での違法行為に国内法を適用する旨の規定を置き、その効力を日本国外にも及ぼすものが存在します。 刑法(明治40年法律第45号)は、第1条第1項で「日本国内において罪を犯したすべての者に適用する」と原則を定める一方で、同条第2項等でその例外を定めています。例えば、次の場合は、日本国外で刑法違反の行為をしていますが、その行為者には刑