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つつが虫病(ツツガムシ病、恙虫病)は、病原体(リケッチア)を有するダニの一種であるツツガムシの吸着により起こります。農作業、山林作業、土木作業、レジャーなどの活動の際、土の中で生活するツツガムシに刺され、その5~14日後に発症します。生活環境が自然豊かな場合、自宅周辺で刺され感染することもあります。つつが虫病の発生は、春と秋の二つのピークがあり、今回震災により大きな被害が発生した東北地域では、春の患者発生が多く報告されています。 平成23年3月に報告された福島県の症例<速報>は、震災の前に感染、発症しました(http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3741.html)。福島県は春と秋の二つのピークがあり、この発生報告は、震災した東北地域の春のつつが虫病シーズンが始まったことを意味し、臨床現場では注意が必要です。また、洪水などの土砂災害により、有毒ツツガムシが生
3月11日の宮城県三陸沖を震源とした「平成23年(2011年)東日本大震災」におきまして、被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、犠牲になられた方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。国立感染症研究所感染症情報センターとして出来ることは限られているかと存じますが、少しでも皆様が安心して生活できるよう当センターとして、できる限り有用な情報を提供していく所存です。 改めて被災地におかれましては、一日も早く普段の生活に戻れますよう、皆様のご無事と健康を心よりお祈り申し上げます。
2011(平成23)年1月に千葉市内の飲食店(寿司店)を原因施設とするA型肝炎ウイルス(HAV)による食中毒事例が発生したのでその概要について報告する。 なお、本事例は、患者の共通食が当該寿司店によって提供された食事に限られていること、患者および調理従事者の便からHAVが検出されたこと、患者を診察した医師から食中毒患者等届出票が提出されたことから、寿司店を原因施設とする食中毒と断定し、2011年1月28日~1月30日までの3日間の営業停止処分となった。 2月7日における感染症法に基づくA型肝炎発生届患者は36名であり、千葉市保健所は感染経路等の詳細な調査を現在も継続中である。 2011年1月21日、4件のA型肝炎発生届が市内医療機関から千葉市保健所にあり、同保健所は食品や井戸水等の同一感染源を介した集団発生を疑い調査を開始した。その後、複数の市内医療機関からA型肝炎発生届があり、1月28日
ポリオの件ですが、感染症情報センターのHP によりますと、昭和50年から52年生まれの人の抗体価が低いとありますが、その元データである図を見ますと、たしかに1 型はそれでいいようですが、3型の場合は1970年(昭和45年)から77年(52年)にわたって抗体価が低いように思われます。現在その年代の母親が多いと思われるのですが、親にも子供と一緒にワクチンを勧めたほうがよいでしょうか。またその場合は、対象は昭和50~52年生まれなのか、昭和45~52年生まれなのか、また、子供にポリオワクチンを接種している保健所で対応可能なのでしょうか? A: 昭和50~52 年生まれの方にはポリオワクチンの接種をすすめています。それは、まさしく先生ご指摘の1 型の抗体保有率がこの年代で低いという結果からです。(3型は比較的問題が少ない) 1型と2 型は、2回接種をしていればほぼ100%に近い人が抗体を獲得します
「SSPE青空の会」は亜急性硬化性全脳炎(SSPE)に罹患した患児とその親の会で、現在、90名の会員を有する。SSPEは脳内で変異した麻疹ウイルスによる遅発性ウイルス感染であることが、解明されて(1969年)から既に40年以上経過したが、麻疹の感染から長い潜伏期間を経て、なぜ変異型麻疹ウイルスとなりSSPEが発症するかの機序についてはいまだに解明されていない。また、以前に比べて予後が改善され、死亡までの期間が延びているとはいえ、決定的な治療法は確立されておらず、個人差はあるが、現状では、平均15年で死亡する深刻な感染症である。 麻疹罹患後、麻疹自体はいったん治癒して、健常な子供として成長し、その間、SSPEになる可能性があることは、全く予期されないで過ごす。そして、多くは5~10年後に、行動や知能に急な異変が生じて、初めて、深刻な病気に罹患したことがわかる。そして、それまで元気に生活してい
感染症の話トップページへ 2003年第1-2週合併号(2002年12月30日〜2003年1月12日)掲載 ◆レプトスピラ症 ワイル病、秋やみなどに代表されるレプトスピラ症(leptospirosis)は、病原性レプトスピラ感染に起因する人獣共通の細菌(スピロヘータ)感染症である。病原性レプトスピラは保菌動物(ドブネズミなど)の腎臓に保菌され、尿中に排出される。ヒトは、保菌動物の尿で汚染された水や土壌から経皮的あるいは経口的に感染する。1999 年4 月に施行された感染症法では、レプトスピラ症は届け出疾患に含まれていない(註:2003年11月施行の感染症法一部改正により、4類感染症となった)。 疫 学 本邦では、1970 年代前半までは年間50 名以上の死亡例が報告されていたが、近年では衛生環境の向上などにより患者数(死亡者数)は著しく減少した。しかしながら、現在でも散発的な発生は各地で
(Vol. 31 p. 108-109: 2010年4月号) 近年、淋菌の薬剤耐性化が高度化しており治療剤選択の幅が制限されてきている。世界に先駆け、日本において1990年代末に経口第3世代セファロスポリン剤(セフェキシム)耐性淋菌が出現し、2000年以降、国内各地でその分離頻度が高まった。その結果、セフェキシムをはじめとする経口セファロスポリン剤は淋菌感染症治療に用いることが推奨されない状況となった。淋菌感染症治療に頻用されたフルオロキノロン剤に関しては、既に分離株の80%以上が耐性であり、治療効果は期待できない。日本性感染症学会の治療ガイドラインでは、第3世代セファロスポリン注射剤であるセフトリアキソンあるいはセフォジジム、ならびにスペクチノマイシンの単回投与が推奨されている 1)。 セフトリアキソンは世界的にも淋菌感染症治療の第一選択剤であり、治療効果が期待できるその他の薬剤はスペク
(Vol.24 p 107-107) ムンプスウイルスは、 「流行性耳下腺炎」、 「おたふくかぜ」の原因ウイルスとして知られているが、 multitropicであるため広く全身の臓器に感染する。中でも、 唾液腺、 膵臓、 睾丸などの腺組織や髄膜、 内耳などの中枢神経系には感染を生じやすい。ここではムンプスウイルスの内耳感染によって生じるムンプス難聴について概説する。 ムンプス難聴は表1に示すとおり、 一側性に、 急性発症を生じ、 聴力損失は重症のことが多く、 改善しにくいなどの特徴がある。発症年齢は15歳以下が多く、 なかでも5~9歳に多いと報告されているが(1, 2)、 一側性の発症が多いため、 症状を十分に訴えられない幼少児では、 見落とされている可能性もある。確実例は、 ムンプス発症、 すなわち耳下腺または顎下腺の腫脹の4日前より腫脹後18日以内に発症する急性高度難聴とされるが(診断
(Vol.28 p 64-65:2007年3月号) 2006年11月に国内で36年ぶりに相次いで2例の狂犬病事例が発生した。以下に横浜市の事例について報告する。 症例:65歳、男性。 主訴:発熱、嚥下困難。 現病歴: 2004年より貿易業のためフィリピンに滞在。2006年8月末にマニラ近郊で友人の飼いイヌに右手首を咬まれた。曝露前も曝露後も狂犬病ワクチン接種を受けなかった。10月22日仕事の都合で一時帰国した。11月15日より倦怠感と右肩甲骨痛が出現した。市販の感冒薬を内服していたが、11月18日より飲水が困難となり、11月19日に前医救急外来を受診した。感冒と診断され、解熱・鎮痛薬の処方を受けた。11月20日発熱、呼吸苦が出現し、再度前医を受診した。興奮状態にあり、精神疾患も疑われたが、海外でのイヌへの曝露歴から狂犬病を疑われ当院に紹介入院した。 既往歴:特記すべき事項なし。 生活歴:貿
(Vol.28 p 63-64:2007年3月号) 本邦での狂犬病は1957年以降には発生しておらず、輸入症例でも1970年のネパールでイヌに咬まれて死亡した症例のみである1)。今回、我々は36年ぶりに発生した狂犬病輸入症例を経験したのでその概要を報告する。 症 例 現病歴:患者は糖尿病で他院通院中の60代男性、主訴は発熱であった。入院85日前~69日前と37日前~19日前にフィリピンへの滞在歴があった。入院7日前頃に発熱、咳、鼻汁、左手のしびれを自覚していた。かかりつけの病院で感冒薬の投与を受けたが改善しなかった。入院3日前より水が飲み込みにくいという症状が出現した。入院前日に発熱が持続するために当院救急外来を受診した。脱水所見がみられ点滴を施行したところ、症状は軽快したためいったん帰宅した。翌日、「虫が見える」などの幻視症状が出現し、血液検査上脱水所見も進行していたため、入院した。この
感染症の話トップページへ 2003年第15週号(2003年4月7日〜13日)掲載 ◆サイトメガロウイルス感染症 ヒトサイトメガロウイルス(以下CMV)感染症は、CMVの初感染、再感染あるいは再活性化によって起こる病態で、感染と感染症は異なることを明確にする必要がある。通常、幼小児期に不顕性感染の形で感染し、生涯その宿主に潜伏感染し、免疫抑制状態下で再活性化し、種々の病態を引き起こす。このウイルスが感染症を発症するのは主に胎児(一部は先天性CMV 感染症患児として出生)、未熟児、移植後、AIDS患者、先天性免疫不全患者などであるが、免疫学的に正常であっても肝炎や伝染性単核症などを発症する場合があり、注意を要する。尚、感染症法の元では、本ウイルスによる急性ウイルス性肝炎が4類感染症全数把握疾患であるが(註:その後、2003年11月施行の感染症法一部改正により、5類感染症全数把握疾患のウイル
感染症の話トップページへ 2004年第22週号(2004年5月24日〜30日)掲載 ◆RSウイルス感染症 Respiratory syncytial virus(RSV)は年齢を問わず、生涯にわたり顕性感染を起こすが、特に乳 幼児期において非常に重要な病原体であり、母体からの移行抗体が存在するにもかかわらず、 生後数週から数カ月の期間にもっとも重症な症状を引き起こす。また、低出生体重児や、ある いは心肺系に基礎疾患があったり、免疫不全のある場合には重症化のリスクが高く、臨床上、 公衆衛生上のインパクトは大きい。 疫 学 RSV感染症は世界中に存在し、地理的あるいは気候的な偏りはないが、特徴的なことは、いずれの地域においても幼弱な乳幼児でもっとも大きなインパクトがあることと、毎年特に都市部において流行を繰り返すことである。流行は通常急激な立ち上がりをみせ、2〜5カ月間持続するが、温帯地
餅つき大会で発生した小型球形ウイルスによる食中毒-滋賀県 1997(平成9)年11月17日、滋賀県内のS小学校で全児童66名中20名の欠席者があり、欠席した児童はいずれも嘔吐、腹痛等の胃腸炎症状を呈している旨、管轄保健所に通報があった。疫学調査の結果、欠席者は17日20名、18日21名、19日6名、20日3名であり、ピークは17、18日の2日間と短期間であった。また、児童の家族にも胃腸炎症状を呈する者がおり、これらの児童、家族の多くは11月15日にS小学校主催の3世代交流餅つき大会に参加していたことが明らかとなった。さらに、参加者以外に、持ち帰った餅を食べた家族で胃腸炎症状を呈する者があったことから、この餅を原因とする食中毒事件であると判断した。 餅を食べた人数は、児童66名、教諭13名、児童家族 103名の合計 182名であった。このうち、胃腸炎症状を呈した人数は50名であった。それぞれ
(Vol.28 p 49-51:2007年2月号) 2005年12月頃より、北海道道央~道西にかけてスズメの死体が頻繁に観察されるようになり、2006年7月28日現在、道庁の発表によると、その数は1,517羽に達し、数に差はあるが14支庁全域と広範囲の地域にわたって発見されている(表1)。特に4月に入り、雪解けが進むにつれて、解けた雪の下からスズメの死体が発見される事例が目立った。そのために、ほとんどの死体が腐敗、乾燥しており、厳寒期以前に死亡したものと推察された。また、北海道各地でスズメの個体数の減少や、餌台に来るスズメが衰弱して死亡するなどが報告されているが、2006年5月以降には死体の発見例はほとんどみられなくなった。これらのスズメを対象として、ある研究機関が病理検査、細菌検査を行い、6羽中6羽にそ嚢炎を観察し、うち1羽からブドウ球菌を分離したが、明確な死因は特定されなかった。また、
(Vol. 29 p. 50-51: 2008年2月号) 破傷風(tetanus)は、破傷風菌(Clostridium tetani )の感染により、菌が産生する毒素によって開口障害・強直性痙攣等を引き起こす急性細菌性感染症である。新生児破傷風は、破傷風トキソイドに対する免疫を持っていない母親から生まれた新生児に発症することがある。本症の死亡率は約30%と高く、特に新生児においては約75%と死に至る危険性が高い。新生児破傷風は、分娩時に不潔な臍帯切断を行うことにより発症し、発展途上国での大きな問題の一つとなっているが、日本では1995年を最後に報告されていなかった。 今回、新生児破傷風と診断した1例を経験したので報告する。 症例:日齢5の男児、顔色不良(前医受診時)。 現病歴:日齢4啼泣消失・哺乳不良・顔色不良出現、近隣の救急病院を受診された。前医到着時、全身チアノーゼ著明、SpO2 50
【安全性】 パンデミックワクチンは安全ですか? 現在までに完了した研究の結果では、パンデミックインフルエンザワクチンは季節性インフルエンザワクチンと同じ程度安全であるとされています。これまでに見られた副反応は、季節性インフルエンザワクチンで観察されたものと同様のものです。 妊娠中の女性に対する安全性はどうですか? これまでのところ、妊娠や受胎能力、胚の発生あるいは胎児の発育、出産や出生後の発達に対して、パンデミックインフルエンザワクチンによる有害事象は見られていません。臨床における研究の中で、妊娠中の女性に対する新型インフルエンザ感染の重症化リスク増加の観点から、供給量が許す限り、妊娠中の女性は予防接種を受けさせるべきグループです。 最近の研究では、感染した妊娠中の女性は、感染した一般の方々よりも、集中治療室での加療を受ける機会が10倍高いこと、入院した症例の7-10%は妊娠の第2三半期か
カンピロバクター属菌は2004年現在、17菌種6亜種3生物型から構成されている。ヒトのカンピロバクター感染症は胃腸炎症状を主たる臨床像とし,その原因菌の95〜99 % はCampylobacter jejuni subsp. jejun(i 以下C. jejuni )で、C. coli は数%に止まる。また、敗血症や髄膜炎、膿瘍などの検査材料から分離されるカンピロバクターはC. fetus subsp. fetus であることが多い。カンピロバクター感染症はC. jejuni 腸炎、またはC. jejuni 食中毒とほぼ同義語と考えてよく、ここではその周辺に焦点をあてて概説する。 疫 学 C. jejuni はC. coli と共に1982年、食中毒起因菌に指定されて以来、食中毒事例数においてサルモネラ、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌に次ぐ発生頻度を示している。しかし、C. coliによ
感染症の話トップページへ 2002年第6週号(2002年2月4日〜2月10日)掲載 ◆腸管出血性大腸菌感染症 疫 学 1982 年に米国でハンバーガーを原因とする出血性大腸炎が集団発生した事例において、大腸菌O157 が下痢の原因菌として分離された。その後北米、欧州、オーストラリアなどでも集団発生が相次いで発生している。我が国では、1990 年埼玉県浦和市の幼稚園における井戸水を原因としたO157 集団発生事件で、園児2 名が死亡して注目された。その後、1996 年に入り爆発的な患者数の増加をみた。この年の5月岡山県に始まった集団発生から、7月には大阪府堺市での患者5,591名に上る集団発生事件へと進展、その主な原因は給食あるいは仕出し弁当であった。1997年以降、集団事例の報告数は減ったものの、散発事例における患者数はほぼ横ばい状態で年間千数百人の患者が発生している。 また、現在の複雑
はじめに:パンデミック(H1N1)2009の流行は世界規模で起こっており、諸外国からは小児の重症例が報告されている 1)。わが国でも流行が全国で急速に拡大しており、小児の重症例発生の報道も耳にする。今回、特記すべき既往歴のない4歳児のインフルエンザA(H1N1)pdmウイルス感染症に重症肺炎を合併した症例を経験したので報告する。 症例:4歳、男児。 出生歴:39週1日、2,450g、正常経膣分娩で出生。 成長発達歴:特に異常を指摘されていない。 既往歴:特記事項なし。 家族歴:母:全身性エリテマトーデス(SLE)・皮膚筋炎。 現病歴:2009年8月23日(入院2日前)より湿性咳嗽が出現、24日(入院前日)には活気不良、経口摂取不良となり、夜間38.5℃までの発熱がみられていた。8月25日に前医を受診、room airでSpO2 83%と低酸素血症を認め、胸部X線写真で右下肺野に浸潤影を認め
診断の基本的な考え方 新型インフルエンザA(H1N1)は、診断過程において臨床症状や身体所見から季節性インフルエンザとの鑑別は不可能である。また、下記に述べているようにいわゆる迅速診断キットの性能は病原診断として完璧なものではないという認識を持って使用すべきものである。RT-PCR検査はより性能が高いものであるが、日常的な検査法でないことは言うまでもない。 新型インフルエンザA(H1N1)の診断においては、地域や職場、家庭内、学校における流行の状況ならびに有症状者との接触の有無、程度を勘案し、迅速診断キットの結果にかかわらず、臨床的な総合診断を中心にするという診療スタンスが望ましい。また、インフルエンザ以外の発熱や呼吸器症状をきたす疾患である可能性についても常に念頭に置く必要がある。 迅速診断キット 迅速診断キットは感度がそれほど高くはないため、その結果が陰性でもインフルエンザ感染を否定す
重症例や死亡例のリスク因子、特徴 国内で8月25日までに入院を要した症例427例の情報9)によると、年齢は5~19歳が249名(58.3%)で最も多く、性別は男性241名(56.4%)、女性186名(43.6%)であった。基礎疾患を持つ者(妊婦3名含む)は180名(42.2%)おり、そのうち慢性呼吸器疾患(喘息含む)が95名(52.8%)であった。急性脳症と診断されたものが8名(1.9%)、人工呼吸器の使用は20名(4.7%)であった。 合併症発症のリスク因子として米国CDCは季節性インフルエンザに準じて表2のように、また危険な兆候を表3のように提案している。実際の重症例に関しては、現在までに存在する2つの報告の要旨を表4に示す。ミシガン州からの報告での"肥満"を除くと、どちらの報告でも基礎疾患のない重症例が少なからず見受けられた。メキシコからの報告では入院した肺炎例の中でみると死亡例では
抗インフルエンザ薬 新型インフルエンザウイルスA(H1N1)に対して、リン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)、またはザナミビル(商品名:リレンザ)などのノイラミニダーゼ阻害剤は効果が期待されるが、アマンタジン(商品名:シンメトレル)またはリマンタジン(国内未承認)は耐性遺伝子が確認されており、推奨されていない。抗ウイルス薬の効果に関しては、新型インフルエンザA(H1N1)に関する知見は限られているが、季節性インフルエンザでは、早期投与により有症状期間を短縮することや、重篤な合併症を防ぐ可能性が報告されており、これらに準じるものと考えられる。有症状期間の短縮は1日前後との報告が多い1)。また肺炎、脳症などを予防できるとする十分なエビデンスはない。新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスに感染したほとんどの症例は、合併症なく短期間で治癒していることと合わせ、生来健康で合併症のリスクが少ない場
2009年8月21日(ジュネーブ)-WHOは本日、H1N1パンデミックウイルスに感染した患者の治療における抗ウイルス薬の使用方法に関するガイドラインを発行した。 このガイドラインは、現時点でこれらの薬に関する安全性と効果に関する研究結果のすべてに目を通した専門家が集った国際委員会で得られた共通の認識に基づいて作成されている。オセルタミビルとザナミビルの使用は、重症化や死亡例、入院あるいは入院期間を減らす為に使用すべきという点が強調された。 パンデミックウイルスは、現段階ではノイラミニダーゼ阻害薬として知られる薬に対して感受性があるが、第2選択抗ウイルス薬であるM2阻害薬に対しては耐性がある。 パンデミックウイルスに感染した世界中のほとんどの患者は、典型的なインフルエンザ様症状を呈し、治療薬を服用しなくても、完治している。元来健康な患者で、合併症を呈していない場合は、抗ウイルス薬で治療する必
国立感染症研究所のページへ|感染症情報センターについて|引用リンクについて|サイトマップ IDWR|IASR|感染症流行予測調査|JANIS > サーベイランス > IDWR > 過去10年間との比較グラフ(週報)> インフルエンザ インフルエンザ Influenza cases reported per sentinel weekly [定点当たり報告数] Copyright ©2004 Infectious Disease Surveillance Center All Rights Reserved.
感染症の話トップページへ 2001年第43週(10月22日〜28日)掲載 ◆髄膜炎菌性髄膜炎 化膿性髄膜炎のなかで髄膜炎菌を起炎菌とする疾患を髄膜炎菌性髄膜炎という。髄膜炎を起こす病原性細菌はいくつか知られているが、大規模な流行性の髄膜炎の起炎菌は髄膜炎菌のみであることから、流行性髄膜炎ともよばれる。 疫 学 日本においては第二次世界大戦前後が症例数のピークで、1960年代前半からは激減しており、近年では極めて稀な疾患となっている(図1)。1986 〜1994 年の間での小児性化膿性髄膜炎184例のうち、髄膜炎菌によるものはわずか1例(0.5%)と報告されており、日本では特にBおよびY群が起炎菌であることが多い。 しかし、海外においては特に髄膜炎ベルト(meningitis belt)とよばれる、アフリカ中央部においてその罹患率が高く、また先進国においても局地的な小流行が見られている
本文書は、新型インフルエンザA(H1N1)患者が国内で多数発生し、第三段階(まん延期)*となった時点で、新型インフルエンザの患者などからの医療関連感染(院内感染)をできるだけ防止するための、暫定的な手引きである。今後、知見が積み重なるに従って改訂される可能性がある。 *ここで言うまん延期とは、必ずしも政府や地方自治体が宣言する「発生段階」と一致させる必要はない。それを踏まえて、地域の流行状況や医療体制も参考にしつつ、柔軟に判断することが肝要である。 推奨される感染対策 すべての医療機関において、すべての外来患者を含む来訪者に対する発熱や咳、くしゃみなどのインフルエンザ様症状を指標としたスクリーニングを行う。医療機関の入り口に近いところでその有無をチェックする インフルエンザ様症状を呈している患者と、そうでない患者を別の領域に誘導する これらの業務に従事するスタッフは、常時サージカルマスクを
背景 2009年5月16日、日本で初めてとなる新型インフルエンザA(H1N1swl)の最初の3例が神戸市によって報告された。その後、新型インフルエンザは、兵庫県北部や西部、あるいは近隣の大阪府にて検出が相次ぎ、2009年5月19日午前1時現在、全国で163例に上っている。本まとめは、5月19日現在まで神戸市内において確定例となり、入院あるいは外来にてフォローされた43例について、国内事例の臨床像に関する情報を医療機関に迅速に提供し、新型インフルエンザの診療の資することを目的としている。 なお5月19日現在、感染症法上、新型インフルエンザ等感染症は2類と同等に分類され、入院の上での治療を行うことが必要とされている。そのため、新型インフルエンザ患者全例に対して、神戸市でも当初入院による治療が行われた。本稿においても、法的に入院を要したこれらの患者を対象としている。しかしながら、医療機関における
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