第一部 日本文化と漢字・漢文 第三章 日本漢字音と字音かなづかい (7)反切法で日本漢字音(漢音)を知る方法 漢字は「表意文字」ですから、どういう音であるのか見ただけでは分かりません。今なら日本漢字音を調べるには、漢和辞典を見ればよいのですが、漢和辞典は、ようやく明治の終わり頃になってから現れたものです。大正時代の漢和辞典としては、上田万年の『大字典』(今は講談社から新版が出ている)、服部宇之吉・小柳司気太の『詳解漢和辞典』(冨山房)、簡野道明の『字源』(角川書店)などが、今でも入手できます。これらは当時名著として、もてはやされたものです。 漢和辞典がないころは、『康煕字典』や『正字通』、『字彙』などの中国の字典を用いるほか、『広韻』などの韻書によって漢字音(漢音)を確かめていました。これらの本には漢字音が「反切法(はんせつほう)」で書かれています。「反切(はんせつ)」とは、漢字二文字で漢