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パリ五輪
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日本語の中の漢字は、この先、どうなっていくのだろう? これは未来の日本語の書き手、つまり若い人たちに託されることだ。 たとえば、いま高校2年生のひとクラスを二分してディベートをさせてみる。 テーマは「どうする、日本語の漢字?!」である。 生徒を出席番号順に並べ、前半を漢字存続派に、後半を漢字廃止派に分けて、議論をたたかわせる。 どんな議論が展開され、どんな結末に至るのか、ちょっと興味がある。 ディベートはゲームでありスポーツでもあるから、議論の内容もさることながら作戦や戦略も重要である。 かりに私が漢字廃止チームの監督なら、開始早々、意表をつく主張を持ち出して敵を混乱させる戦術をとりたい。 つまり、「漢字は読むこともできず、書くこともできない文字である」といきなり宣言してしまう。その根拠は、このブログの何回か前に書いたのでそちらをご覧ねがいたい。 当然、相手方からは「そんなことを言っても、
たしかに、欧米諸語には正書法というものがある。 しかし、それだって決して書きかたの決定版というわけではない。 ドイツの新しい正書法も混乱しているようだし。 正書法というのは、制定したその瞬間から現実のことばとの乖離がはじまり、それがどんどん大きくなって、やがて改定しなければならなくなる。その繰り返しである。 スイスやフランスでも、「正書法なんていいかげんなもんじゃ」と言う人はいる。 結局、ことばは生きものだから、人間が用意した枠の中に押さえ込むのはどだい無理なのだ。 このことは、日本語だけでなく、程度の差はあってもすべての言語に当てはまると思う。 ところで、前回、日本語の書きかたは自由で多様性に富んでいる、同時にでたらめでいいかげんで不安定だ、というお話をした。 たしかにそうだけれども、同じ書き手がそのつど行き当たりばったりの気まぐれな書きかたをするわけではない。 だれでも、自分なりの書き
日本語は縦に書くこともできるし、横に書くこともできる。 同じ内容を「である体」で書くこともできるし、「ですます体」で書くこともできる。 TPOさえまちがわなければ、その選択は書き手の自由と良識にまかされる。 文字づかいやテンの打ちかたにいたっては、書き手のお好みしだいである。 かな文字主義者が、「きのう おとなりさんから おいしい いちごを いただいたので こどもたちに たべさせました」と書くところ(分かち書きの方式は複数あるようですが)を、 漢字好きの人なら、「昨日、お隣さんから美味しい苺を頂いたので、子供達に食べさせました」と書く。 むろん、この両極端の間に多くのバリエーションがあるし、人によっては「いちご」のところを「イチゴ」と書くかもしれない。 かくして、この短い文でも書きかたは十人十色になる。 つまり、日本語の書き手は中身以前の段階で、すでに個性や創造性を発揮することができるのだ
たった26個の簡単な文字、幼稚園のこどもでもわかる文字だけで、古今東西、森羅万象を書きあらわせる、というのは、日本語の表記システムとはちがった意味で英語表記のすごいところだ、国際共通語の地位を得たのもむべなるかな、というのが前回のお話でした。 しかし、人間界の出来事でいいことづくめ、というのは少ない。 英語表記に用いるローマ字にも、なきどころはある。 ローマ字は、単独の文字だけでは何もあらわさない(「I」、「a」のようにわずかな例外はあるが)。 複数の文字の組み合わせ、つまりつづりの形になって、はじめて音と意味をあらわすことができる。 しかし、つづりの形になっても、一義的に音を定義することはできない。 英語では、「WRITE」も「RIGHT」も「RITE」も、まったく同じ発音なのはみなさんご案内のとおりだ。 発音だけではわからず、文字によってはじめて弁別できる、というのは、日本語、特に漢語
漢語は中国語起源のことばだが、ふつう外来語とはいわない。 日本語におけるその歴史の古さ、数の多さのために、ひとつの独立したカテゴリーとしてあつかわれている。 もちろん和製漢語もずいぶん多いが(どれが和製なのかよくわからなくて困ります)、字音語つまり音よみの語であるかぎり、漢語のカテゴリーにはいる。 日本語の中に漢語は多い。 いやになるほど多い。 どれくらい多いか、けさの朝日新聞(大阪本社版)から一例をあげる。 例1 裁判員制度は、法律の専門家だけでなく市民も裁判の審理に参加する。司法を市民にとって近い存在にするねらいもある。 二つの文からなる短い記事だが、自立語ベースで計算すると第1の文では漢語含有率100%、第2の文をあわせても90%以上にのぼる。 新聞は限られたスペースの中にできるだけ情報を詰め込まなければならないので、日本語における漢語の多さを例証するには格好の材料だが、話しことばで
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