サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
画力アップ
koiti-yano.hatenablog.com
ある所で雑談をしていた時に、標本抽出に関して基本を誤解している人がいたので少し解説した。その時のことを少しエピソードを交えてblogに書いてみよう。 フジテレビの「トリビアの泉」という番組の中に「トリビアの種」というコーナーがある。そこではたとえば「日本の理髪店に置かれている漫画で一番多いのは○○である」というようなことを調べて「トリビア(面白いけど無駄な知識)」として紹介する。その場合には実際に全国の理髪店に行ってどんな漫画があるのかを調べてランキングを作ってトリビアを決定するのだが、全国のすべての理髪店を調べるわけには行かないので一部を取り上げて全体を推定することになる(統計学の出番だ!)。 そのため、いつもそのコーナーでは「何々大学の統計学の先生」というのが登場して「全国の理髪店からおよそ2000店を調べれば信頼性がおけます」などと解説するのだ。僕はそういった場面を見るたびに心の中で
以下、自分用の覚書: 概況: 2016年9月23日現在、「超過準備に対するマイナス金利(negative interest rate on excess reserves)」を実施しているのは日銀(BOJ)、デンマーク国立銀行(DNK)、欧州中央銀行(ECB)、スウェーデン中央銀行(Riksbank)、スイス国立銀行(SNB)、ハンガリー国立銀行の6行である(各国の中銀の順番は順不同)。 以下、「超過準備に対するマイナス金利」をマイナス金利政策と呼ぶ。 日本語によるまとめ: 日銀レビュー:欧州におけるマイナス金利政策と短期金融市場の動向 https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2016/rev16j02.htm/ 英語によるまとめ: Negative interest rates: Central bank reserves and liqui
CentOSに飽きてUbuntuに切り替えたため、CUDA toolkitをインストールする必要があり、その作業メモ。 [インストール・ガイド] 以下のLinux Getting Started Guideの通りにするだけ: http://developer.download.nvidia.com/compute/cuda/6_5/rel/docs/CUDA_Getting_Started_Linux.pdf [NVIDIA製品とLinuxのバージョンの確認] lspci | grep -i nvidia uname -m && cat /etc/*release [GCC等の開発環境をインストール] 必要な人のみ sudo apt-get install build-essential gcc --version [既存のnvidiaやcuda関連のドライバ等の削除] dpkg -l |
Twitterでのshavetailさんの図に少し違和感があったので、自分でも似たような図を作ってみました。 (Twitterのこの呟きの図を少し直したもの)
本日発売の「週刊エコノミスト」の連載「視点争点」に矢野の記事「アベノミクスで実質賃金は緩く上昇」(文字数に制限があり、このタイトルになりました)が掲載されています。紙数の関係上、参考文献を載せられなかったので、このエントリーで補足します。 ケインズが「雇用・利子および貨幣の一般理論」で「実質賃金は景気に反循環的半循環的である」と述べたがの1936年。それに対する実証的批判はダンロップとターシスによってそれぞれ1938年、1939年に行われました。当時ダンロップは24歳で、アメリカからケインズの所に留学中。その後、89歳まで生きたダンロップは1998年にJournal of Economic Perspectivesにこの論争(実質賃金は反循環的半循環的か順循環的か)についてサーベイ論文(というか回顧論文?)を書いています。 http://pubs.aeaweb.org/doi/pdfplu
リフレ派の新しい本が出ました。大好評販売中です! リフレが日本経済を復活させる 作者: 岩田規久男,浜田宏一,原田泰出版社/メーカー: 中央経済社発売日: 2013/03/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (14件) を見る 岩田規久男・浜田宏一・原田泰編著 「リフレが日本経済を復活させる:経済を動かす貨幣の力」、中央経済社、ページ数:291ページ、価格:1800円、発売日:3月18日 目次 序(岩田規久男・浜田宏一・原田泰) 第1章 デフレの即効薬は金融政策(浜田宏一) 第2章 金融政策はストック市場からどのように波及するのか(安達誠司) 第3章 貨幣がなぜ実質変数を動かすのか(矢野浩一) 第4章 資産市場はどのように実体経済を動かすのか(平野智裕・青柳潤) 第5章 貨幣と金利との関係はどうなっているのか(原田泰) 第6章 財政政策は有効か(飯田泰之) 第7章 金融政策運営の望
[前提] 1. ターミナルが使える 2. gfortranをインストール済みである [ダウンロード] http://www.census.gov/srd/www/x12a/x12downv03_unix.html からomegav03src.tar.gzをダウンロードする。 tarを使って解凍する:tar -zxvf omegav03src.tar.gz $ cp makefile.lnx makefile.osx エディターでmakefile.osxを開き、以下の記述を FC = ifort LINKER = ifort 以下のように書き換える FC = gfortran LINKER = gfortran $make -f makefile.osx x12aが実行ファイル
経済セミナー『2011年4・5月号』から始まった「プラクティカル確率論」ですが、『2012年2・3月号』で全6回の連載が無事に終了しました。 最後に「どのような意図でこの連載を始めたのか」や「各回はどのようなことを意図して書かれたのか」をまとめておきたいと思います。 [執筆の意図] 経済学部で学ぶ学生の皆さんに 「確率を学ぶとそれなりに面白そうだ」と思って欲しい 「確率を学ぶと経済・経済学への理解が進む」ことを理解して欲しい と考えて執筆しました。 経済学を学ぶ上で確率の知識は重要だと思うのですが、日本の私立大学文系では「数学は不得意」もしくは「数学は嫌い」という学生が少なくありません。そのため、数学の不得意な学生の皆さんが楽しみながら読める確率入門が必要ではないかと思っていました。 さらに確率を学ぶと経済学のモデルを理解するのに役立つという側面があることも見逃せません。しかし、そのような
東日本大震災を始め、辛く悲しい出来事が多い一年でした。仕事も忙しくあまりblogを更新することも出来ませんでしたが、年末ですから今年、記憶に残った本をいくつかご紹介したいと思います。 [量子力学この一冊] 矢野の大学時代からの友人である森田邦久氏の新著が「量子力学の哲学」です。量子力学というのは物理学の一分野で、たとえば「電子」などというミクロな*1物質の振る舞いを分析します。 電子などのミクロな物質には「粒子と波」の両方の性質が観測されるなど、ミクロな世界では我々の日常生活では少し理解しがたい現象が発生します。 そのため、それをどのように理解すればいいのか、が重要な問題になってくるわけです。「シュレディンガーの猫」と言われる話に端的に表される問題ですが、学問的には「量子力学の解釈問題」とか「量子力学の観測問題」などと呼ばれています。 大学時代に森田氏と矢野(ともう一人の友人F氏)は物理を
本日の東京大学経済学部応用統計ワークショップでの発表資料をアップロードしました。時間が足りなくて、日本語英語が入り交じっています_| ̄|○ 応用統計ワークショップ(2011年6月16日)発表資料 http://dl.dropbox.com/u/2260564/yano/lecture04.pdf 応用統計ワークショップ http://www.cirje.e.u-tokyo.ac.jp/research/workshops/stateng/stateng.html
ニューケインジアンの立場から「震災復興における所得移転と通貨発行益の活用」について検討しました。 矢野浩一「震災復興における所得移転と通貨発行益の活用:あるニューケインジアンからの提案」 http://dl.dropbox.com/u/2260564/tohoku/tohoku001.pdf 上記論文による検討の結果、 (1)まず「通貨発行益を利用する財政政策とインフレーションターゲット」の併用策を実行し、 (2)それでも震災復興に不十分であった場合には所得移転を利用する政策を実行する 「二段階政策」が良いのではないかという結論に達しました(詳細は論文をご覧ください)。 3月13日(日)夜からモデル構築を始めたのですが、様々な業務の合間に書いたので、実質的には四日間程度の短期間で作成した論文です。いろいろ不十分な点があるかと思いますが、ご意見等いただければ幸いです(なお、ご意見を反映して論
来年度に向けて「マクロ計量経済学」の講義サイトを解説しました。現時点ではまだReal Business Cycleモデルやニューケインジアンモデル、フィナンシャルアクセラレーターのノートのみですが、最終的には(つまり「来年度末」には)小国開放DSGEモデル、DSGEモデルのMCMC推定や流動性の罠(ゼロ金利制約)などの解説が追加される予定です(あくまでも予定です)。 また、演習としてはCEPREMAPを中心に開発されているdynareを用いる予定にしています。 マクロ計量経済学(2011年度) http://sites.google.com/site/macroeconometrics2011/
以前からある方に「大不況(the Great Recession)をDSGEで分析した論文にはどのようなものがあるか」という質問をいただいていました。残念ながらなかなか時間が取れず先延ばしになっていたのですが、先日少し時間がとれたので、幾つかまとめてみました。 大不況(the Great Recession)とDSGEモデル〜ある方からの質問への回答〜 さて、ご質問の「大不況(the Great Recession)をDSGEで分析した論文は」とのお話ですが、結構いろいろあるので、おおよその話を書かせていただきます(矢野の知る限りサーベイはまだありません)。 [長年に渡る研究の上に現在の議論がある] 現在のアメリカの状況は(1)金融機関の破綻や資産価格の下落、(2)デフレ(もしくはディスインフレ)、(3)ゼロ金利制約(もしくは流動性の罠)といった面で1930年代のアメリカの大恐慌、1990
えーっと御陰さまで昨日、無事に上海より帰国しました。 さて、ある人から「矢野さんの講義資料をアップロードしているサイトがいろいろあってわかりにくいので、少しまとめてください」というご要望をいただいたので、今までやってきた講義のためのサイトを一覧にしてみました。 [すでに終了した講義] 経済学入門(駒澤大学経済学部・2009年度[通年科目4単位]) 注:基本的に2008年度と同じ内容ですが、いろいろ細かい手直しをしているので、基本的には2009年度の方をご参照ください。 経済学入門(駒澤大学経済学部・2008年度[通年科目4単位]) 注:2008年度は学生から要望があり、少しだけ行動経済学を取り上げました。2009年度の講義には入っていないので、行動経済学に興味のある方はその部分だけ2008年度をご参照ください。(infoseekが無料Webサイトサービスを終了してしまったため、現在はアクセ
上海生活も三日目です。現地時間で夜の11時45分を少し回ったところです。 ホテルが会場から少し遠いところを取ってしまったので、地下鉄で乗り継いで会場まで行くのですが、人民広場駅での大混雑の中での乗り換えにも慣れてきました。 今日はJesus FernandezJuan Rubio-Ramirez先生と話をしました(間違いがあったので[追記(2010年9月1日)]をご参照ください)。以前、矢野のDiscussion paperにコメントをくれた事があって名刺を渡すと「やあ、君の事覚えてるよ」なんてことを言ってくれました。僕の名前を覚えていてくれるなんてちょっと意外でうれしかったです。飛ぶ鳥を落とす勢いのStar professorなのに気取らない気さくな方でした。 [追記(2010年9月1日)] Unrepresentative Agent先生から「君が上海で会ったのはJesus Ferna
現代の統計学では非復元抽出と復元抽出の高速処理が非常に重要です。例えば昨日のエントリーのbootstrap法などは現代統計学の最重要手法の一つですが、復元抽出が大きな役割を果たしますし、矢野が専門としているモンテカルロフィルター(粒子フィルター)でも復元抽出が必須です。bootstrapでもモンテカルロフィルター(粒子フィルター)でも復元抽出の実行速度は速ければ速い方がよいです(一般に実行回数が非常に大きくなるため)。 復元抽出ならばWalker's alias methodが(矢野の知る範囲内では)かなり速いと思います。 どの程度速くなるかは場合によると思いますが、矢野が作っているモンテカルロフィルター(粒子フィルター)のプログラムでは(linear search methodからWalker's alias methodに入れ替えただけで)約30秒ほどかかる処理が約15秒で終わるように
[我らは日々、嵐に立ち向かう] さて、我々の生活は常に困難に満ちています。 (事例その1)満員電車の中で突然、お腹が痛くなったのに、事故で電車が止まってしまったり(しかも、駅に到達する直前に!)、 (事例その2)明日定期テストなので一夜漬けをしようと思ったがうっかり寝てしまって、起きたらすっかり朝だったり、 (事例その3)通貨発行権を国民から付託されているはずの中央銀行がデフレになったらその職務を放棄し、「いや、我々はもう出来る事はありません」と言張ったり・・・ そう、困った事に我々の生活は常に困難に満ち満ちていますね・・・ 僕はそんな中でも、いつも出来る限りユーモラスな回答を求めています・・・いや、まあ、そんな都合のいいものが得られるかどうかはまた別の話ではあるんですが・・・回答がないにしても日々の生活はユーモラスであってほしいといつも思っています。 [実名と匿名と] インターネット上で
[実績のある教科書の改訂版の出版] 実績のある教科書の改訂版の出版が相次いで行われましたので、今日は少しその話題を取り上げたいと思います。 一つ目はC. Walsh先生の"Monetary Theory and Policy"の第3版が出版された事です。すでに書店で現物を見たのですが、第2版以後のマクロ経済学の発展に応じた内容が追加されるとともに、従来の章立てが少し見直されて内容が整理されて非常にすっきりとまとまった教科書になっていました。これについてはまた日を改めて本格的に取り上げたいと思います。 さて、今日取り上げたいのはD. Romer先生の"Advanced Macroeconomics (third edition)"の翻訳である「上級マクロ経済学[第3版]」(日本評論社)[以下、第3版ローマー]が出版されたという話題です。 第3版ローマーと同レベルの日本語で読める教科書としては
主要国のインフレ目標「平時から4%に」 IMFが提言 国際通貨基金(IMF)は12日、平時から「4%」など高めの物価上昇率を容認し金利水準も引き上げることで、金融危機のような経済ショック時の利下げの余地を広げることが望ましいとの論文を公表した。危機の教訓をふまえたマクロ経済政策の見直し論議が本格化し始めた形だ。 NIKKEI NET(日経ネット) http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20100213ATGM1301213022010.html 「まあ、当然の話だよね」とリフレ派なら誰もが思う訳ですが、本当にそんなことをBlanchard先生が言っているのか念のために関連部分を訳してみました。 訳したのは"IV. IMPLICATIONS FOR THE DESIGN OF POLICY"の"A. Should the Inflation Target B
先週土曜日に経済理論史研究会で若田部昌澄先生の「危機の経済政策」の合評会があり、討論者をさせていただきました。資料を作ったところ、肝心の「危機の経済政策」についての話は非常に短く、「政策分析に用いる動学的確率的一般均衡に関して矢野が最近考えていること」に関する話が大半を占めるという変な資料になってしまいました_| ̄|○(こんな資料でも「それで良いです」と言ってくださった若田部先生に心より感謝いたします)。 危機の経済政策―なぜ起きたのか、何を学ぶのか 作者: 若田部昌澄出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2009/08/20メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 152回この商品を含むブログ (18件) を見る 若田部先生のこの本は(1)1930年代アメリカの大恐慌(本書の用語では「大不況」)、(2)1970年代の大インフレ、(3)1990年代日本の大停滞(俗にいう「失われた10年
先日の「パパは何でも知っている」というエッセイで、「矢野は自分のことを専門バカだと思っている」というお話をさせていただきました。専門バカなので、「自分の勉強したことのない分野のことはできる限り話さない」ようにしているのですが、今日はその原則から少しばかり逸脱することにしたいと思います。 それは、現在発売中の雑誌「エコノミスト」に掲載されている伊藤秀史教授(一橋大学)の「ノーベル経済学賞の2氏 市場の枠超え、ガバナンスの仕組み解く」(週刊エコノミスト2009年11月24日号)という記事に感動したからです。 さて、矢野は今まで当blogではノーベル経済学賞についてほとんど話題にしたことがありません。というのはそもそも自分の専門が狭すぎるので、誰がノーベル経済学賞を受賞してもほとんどの場合知りませんし、毎年恒例の発表直前の「今年は誰が受賞するか」という話題にも・・・まあ、あまり興味を持ったことは
日中はフルタイムの仕事をしていますので、当たり前のことですが、その時間帯にメールやtwitterなどで質問やご要望を出されてもお返事ができません(公務員の職務専念義務がありますので、それらを見ることすらできません)。 そのため、お返事ができるのは帰宅してからになります。場合によってはいただいたメールやtwitterのつぶやきが多すぎてメッセージをいただいても気がつかない場合もあり得ます。申し訳ありませんが、常にそのような可能性がありますことをご承知置き下さい。
[お知らせ] 「DSGEとベイズ統計学」解説論文査読者募集中! http://d.hatena.ne.jp/koiti_yano/20091112/p1 [お詫び] 本日の朝このエントリーを更新した時に冒頭に不適切な表現があり、皆様には不快な思いをさせてしまい大変に申し訳ございませんでした。robinsさん、yagenaさん適切なアドバイスをいただき本当にありがとうございます。今後はこのようなことのないように社会人としての節度を守り、応用統計学者としての職務を全うする所存です。皆様今後ともよろしくお願いいたします。 [お断り] 当blogに書かれていることは矢野浩一個人の意見であり、矢野が属するいかなる団体とも関係ありません。 [はじめに] インフレとデフレと景気に関しては非常に社会的影響が大きいこともあり、世間の話題に上ることも少なくないのですが、それらに関するよくある質問集(FAQ)を
「リフレ政策の根拠は何か?」とよく聞かれるのですが、その根拠は「新ケインズ派動学的確率的一般均衡モデル(New Keynesian Dynamic Stochastic General Equilibrium Models、以下NK-DSGE)」だと矢野は理解しています。 というのはKrugman (1998), Svensson (2001), Eggertsson and Woodford (2003), Auerbach and Obstfeld (2005)など(他にも数多くの論文あり)のリフレ政策論文はすべてNK-DSGEを基礎理論として採用しているためです。 NK-DSGEは、新古典派の実物景気変動モデルにケインズから始まるケインズ経済学の知見を組み合わせたもので、現在のマクロ経済学の研究において非常に大きな位置を占めています。 NK-DSGEの有効性については、現実のマクロ経
デフレからの脱却の重要性について話をしていると、「そんなことを言っているのはKrugmanっていう変人だけじゃないの?」とよく聞かれます。 もちろん、そんなことはないです。たとえば、2003年に内閣府で開催された国際フォーラムにはWoodford教授(共著者はEggertsson博士)とAuerbach教授(共著者はMaurice Obstfeld教授)が来られてKrugman教授とほぼ同じ主張をしています。 この時に発表されたEggertsson and Woodford論文は少し姿を変えて、Brooking papersに、Auerbach and Obstfeld論文はAmerican Economic Reviewに掲載されています(Auerbach and Obstfeldは厚生分析もしています)。 デフレからの脱却と経済再生に関する国際フォーラム http://www.esri
さて、上のエントリーの補足です。その中でウィーナーの考えたことをまるで見てきたかのように書きましたが、その元ネタはノーバート・ウィーナー「サイバネティクス<第2版>」(池原他訳、岩波書店、1962年刊)の序章にあります。矢野の手元にある本の奥付けをみると「1989年6月10日 第23刷」とありますので、今からちょうど20年前に当時19歳の矢野がこの本を買ったことが分かります。 本を開くと鉛筆で書き込みがしてあって、当時の僕が何とかこの本を読もうと苦心惨憺した有様がよく分かりますが、当時の僕がこの本を理解できた訳では全くありません。というのが当時の僕の数学の知識が極めて低レベルだったからです(悲しいことに当時も今も変わらず矢野は低レベルの三流研究者ですが・・・) とはいえ、その後、僕の知識も少しだけ増えたので、今ならばこの本を読めるのですが、残念なことに仕事が忙しくてなかなか読む時間が取れそ
さて、やっと畑農先生の著書を紹介する準備ができました*1。書評シリーズ第1回と第2回、第3回に続き、第4回です。 財政赤字と財政運営の経済分析―持続可能性と国民負担の視点 作者: 畑農鋭矢出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2009/09/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 120回この商品を含むブログ (6件) を見る [構造パラメーターは安定か?] 2007年にFernandez-Villaverde and Rubio-Ramirezによる"How Structural Are Structural Parameters?"(構造パラメーターはどのくらい安定か?)という論文(以下、FR2007)が出版されました。 近年、動学的確率的一般均衡モデル(Dynamic Stochastic General Equilibrium Models, 以下DSGE)を用いたマクロ経済
畑農先生の「財政赤字と財政運営の経済分析」が素晴らしいという話を書こうと思ったら、いつの間にか「フィルタリングアルゴリズムとその応用の歴史」を書くはめに陥ってしまった(「ミイラ取りがミイラ」みたいな(?))書評シリーズですが、第1回と第2回に続き、第3回です。今回は日本におけるカルマンフィルターを用いた先行研究として(1)小川一夫先生の業績(1990)、(2)谷崎久志先生の業績(1993)を取り上げます。 財政赤字と財政運営の経済分析―持続可能性と国民負担の視点 作者: 畑農鋭矢出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2009/09/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 120回この商品を含むブログ (6件) を見る [変化ヲ抱擁セヨ〜時変パラメーター〜] 北川源四郎先生によって書かれた「FORTRAN77時系列解析プログラミング」という本があります。矢野がこの本を書店で見つけたのは
第1回に続き、畑農鋭矢、(2009)、「財政赤字と財政運営の経済分析」書評の第2回です。 財政赤字と財政運営の経済分析―持続可能性と国民負担の視点 作者: 畑農鋭矢出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2009/09/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 120回この商品を含むブログ (6件) を見る [若きシュミットの悩み] 博士号を取得したばかりの若き研究者スタンリー・シュミット(当時33歳)がNASA(アメリカ航空宇宙局)に呼び出されたのは1959年秋のことです。彼に課された研究課題はただ一つ。 「月探査ロケットを制御するために、その位置を正確に測定するにはどうすればいいか?」 当時、NASAは歴史上始めて人類を月面に送り込むべく、新しく検討を開始したばかりでした。その際に非常に問題になったのは「月探査ロケットの位置を正確に把握するにはどうすればいいか?」でした。ロケットの位
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『ハリ・セルダンになりたくて』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く