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Higgs Boson Ale (ヒッグス粒子ビール)なるものが... 味はまずまずでした。
本日7月4日、ここCERNにおいて、ヒッグス粒子に関するセミナーが開かれます。この中では、今年2012年に取得したデータを用いて行ったヒッグス粒子探しの結果について報告がされる予定です。今年はまだ半分過ぎたばかりなのですが、実は既に去年一年間に貯められたデータと同じ分だけのデータが貯められています。 そこで、一度中間まとめとしてヒッグス粒子探しについての今年の結果を、皆さんに報告しておこうという趣旨で開かれるセミナーです。難しい数式こそないものの、一目見ただけではよくわからない図やグラフがたくさん出てきます。今のうちに少しでも見慣れておいて、本番に備えましょう。 さて、第三回まで、ヒッグス粒子がガンマ線2本に崩壊するような壊れ方を探す方法についてお話しました。その中で少しだけほのめかしましたが、ヒッグス粒子というのはガンマ線以外にもさまざまな崩壊の仕方をします。今は一刻を争ってヒッグス粒子
時間がだいぶあいてしまいましたが、ヒッグス粒子探しの続きです。前回は、ヒッグス粒子が2つのガンマ線に崩壊するような現象の説明でした。ガンマ線は目で見ることができませんので、電磁カロリメータの中で電子のシャワーに変換して、電気信号として検出してあげます。電気信号の大きさはガンマ線が持つエネルギーに比例しますので、そこから元のガンマ線のエネルギーを知ることが出来るというお話でした。 さて、この中に登場する素粒子はどれも身近なものでした。ガンマ線は光の仲間ですので言うに及ばず。電子だって、現在進行形で眼の前のパソコンや携帯電話の中を駆け巡っている存在ですので、生活に欠かせない親しみ深い存在です。 しかしこれらは素粒子のうちのまだまだ一部分にしか過ぎません。世の中にはもっとたくさんの素粒子が存在しています。似た性質ごとにそれらをまとめていくと、幾つかのグループに分けられます。 電子と同じグループに
東京大学の秋本祐希です。実験の方が佳境に入っている中の更新ですみません...! ずいぶんと間が空いてしまったのですが、絵で見る物理学。今回はそもそもヒッグス粒子ってなんだろう、というお話です。 今回のイラストを作るにあたってはICEPPの小林富雄様と東京大学の浅井祥仁様に沢山のご助力をいただきました。誠にありがとうございます。 ビッグバン直後の熱い宇宙では、すべての素粒子は現在の光(光子、フォトン)と同様に質量のない状態でした。この世界ではみんながみんな、光と同じ速度で運動していて、止まることもできない世界です。 そんなスピード狂な世界も、そう長くは続きません。宇宙はどんどん膨張していき、それにしたがって温度がどんどん低くなっていきます。 そしてビッグバンから10^(-10)秒後、宇宙の温度が1000兆度に下がったとき、「相転移」という現象が起こります。この相転移によって宇宙の状態が大きく
さて前回の復習から入りましょう。 ヒッグス粒子はとても不安定で、生成されてもすぐに他の素粒子へ崩壊してしまいます。さまざまな壊れ方をするのですが、その中でも「ガンマ線2本」へと崩壊する壊れ方はシンプルかつ特徴的なので、一番の注目株となります。しかし、ヒッグス粒子から出てくるもの以外にも、一回の衝突から「ガンマ線が2本」が発生する反応はたくさん起こります。これを「バックグラウンド事象」と呼びます。 何とかして、ヒッグス粒子からの「ガンマ線2本」を、バックグラウンド事象からの「ガンマ線2本」と区別してあげなくてはいけません。そのために考えたのは「重さ」でした。止まったヒッグス粒子が壊れて出来る「ガンマ線2本」のエネルギーを足し合わせると、ちょうどヒッグス粒子の重さになります。一方で、バックグラウンド事象からの「ガンマ線2本」のエネルギーを足しあわせても、何か決まった重さになるわけではありません
まずは前回の復習からはじめましょう。 CERNには、LHCという加速器があります。これは陽子同士をぶつけることで、高いエネルギー状態を作ることが出来る装置です。衝突点からは普段身近に存在しないような素粒子、例えばヒッグス粒子などが飛び出してくる可能性があります。でもヒッグス粒子はものすごく短い時間で他の素粒子へ崩壊してしまいますので、直接見たり捕まえたりすることは出来ません。きちんとヒッグス粒子が出来たかどうかを確認するためには、ヒッグス粒子が崩壊した後の素粒子を検出してあげて、そこから推測をしてあげるしか無いということでした。 ではヒッグス粒子は例えばどういう粒子に壊れてゆくのでしょうか? いろいろな崩壊の仕方が考えられますが、その中でもまず真っ先に挙げられるのは「ガンマ線」です。あまり聞きなれない言葉かと思いますが、ガンマ線というのは「光」の一種です。性質は普通の光とほぼ同じ。ただエネ
2011年末、CERNはヒッグス粒子発見か?ということで湧き上がりました。日本でも幾つかのメディアに取り上げられたのでご記憶の方もいらっしゃると思います。 その時の結論は、 「ヒッグス粒子発見の兆候は見えました。でもまだ間違いの可能性が少し残っています。2012年にさらにデータを貯めるので、それを使って解析をもう一度やって、それから最終結論を出しましょう」 ということでした。ですので、今年のいつかには(少なくとも)去年見えた兆候が正しかったのかについて結論を出す予定です。もし正しければ、科学者たちが約半世紀も探し続けた粒子の発見になりますので、物理学界隈ではちょっとしたお祭り騒ぎになると思います。きっとテレビ・新聞等でもニュースにもなるでしょうから、みなさんもぜひその輪に加わっていただきたいと思います。そしてその時に、ヒッグス粒子とは何なのか、どうやって探したのか、という知識を持っていると
12月13日(火)日本時間22時から、LHCアトラス実験、CMS実験の最新成果のセミナーがCERNにて行われます。 webcastで映像をご覧いただけます(英語)。 http://webcast.web.cern.ch/webcast/ アトラス実験日本グループでは、公式ツイッターを用意し、メンバーが映像と同時に解説を行います。 http://twitter.com/#!/lhcatlasjapan アトラス実験本サイト http://atlas.kek.jp/index.html 臨時サイト https://sites.google.com/site/lhcpr2011/ ともにご確認ください。 東大理 横山広美
お絵描き役の秋本です。 探査機はやぶさ、満身創痍ではありますが、小惑星イトカワからようやく地球に帰ってきました!はやぶさの運用チームの皆様、本当にお疲れ様でした!そしてもう一息、がんばってください! はやぶさ本体がバラバラになって燃えつきる様子、みなさんもご覧になられたかと思います。それはとてもきれいで、どこか切ないものでした。7年間も一生懸命にがんばってくれたのだから、そのままの姿で戻ってきてほしかったなあ、そのまま再び宇宙の旅に出てほしかったなあ……そう思います。そう思うのですが……一般的な実験では、実験の終了とともに実験装置はお払い箱になってしまいます。分解されて部品の一部は再利用され、残った部分はそのまま廃棄処分です。そう考えると、探査機としてのはやぶさの終わり方、みんなに温かく見守られながら、大気圏へ超高速で再突入するという貴重な実験を行って消えてしまうという最期も、悪くないのか
東京大学、秋本です。 ちょっと間が開いてしまいましたが、第3回目の「絵で見る物理学」。今回は反物質なんてものについてのお話です。 去年の5月に公開されたトム・ハンクスさん主演の映画「天使と悪魔」、憶えていらっしゃいますでしょうか?その「天使と悪魔」の舞台の一つとして、LHCを建設したCERN、欧州原子核研究機構が登場しているのはご存知の方も多いかと思います。CERNの研究者が作り出した「反物質」をめぐって、バチカン市国を駆けまわるドタバタ大騒動……とかそんなお話だったと思うのですが、この「反物質」が今回のお話のテーマです。映画に出てきた反物質がどれだけ科学的に正しいのか?ということに関しては昨年、東京大学の早野先生がお話ししていますので、こちらもちらりとご覧下さい。 で、そもそも反物質って何でしょうか?その説明にはまず「反粒子 antiparticle」というものの説明が必要になります。前
東大の横山です. 2月11日(木)祝日に安田講堂で一般講演会を行います. くわしくはこちらをご覧ください. 皆さまのご参加をお待ちしております.
東京大学、秋本です。 突然ですが、力ってなんでしょう?「絵で見て知ってしまおう物理学」第2回目の今回は前回お話しした素粒子、その素粒子どうしに働くの「力」のお話です。 素粒子に働く力といっても私達の身の回りでイメージできるような、素粒子がぶつかってぐいぐい押したり押されたり、して力を伝えているわけではありません。素粒子に働く力というのは、素粒子どうしが「あなた大好き!ねえこっち来てよー」とか「おまえ嫌い!あっちいけー」とか言い合ってる……わけでは多分ないのですが、お互いに「何か」をやり取りして、その結果、お互いに近づく力が働いたり、遠ざかる力が働いたりしています。これを素粒子物理学では「相互作用」と呼んでいたりします。 この相互作用ですが、それぞれ電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用、そして重力相互作用と、全部で4つの種類があって、それぞれ違う性質をもっているんです。例えば、強い相互作
東京大学の秋本です。 今回から始めるつもりの「素粒子物理学、ヒッグス粒子、LHC、ATLAS……いろいろ絵で見て知ってしまおう!」な企画ですが、第一回目の今回はまず「素粒子って何?」というお話から始めてみましょう。 素粒子とは、物を構成する一番小さい単位のことをいいます。それはつまり、皆さんの身体も、着ている服も、その手に持っているお菓子も、みんなみんな素粒子の集まり!ということです。 物理になじみのない人でも、分子だとか原子だとかそういう言葉は聞いたことがあると思います。たとえば、水。これは水分子がたくさんたくさん、集まってできているものです。そんな水の分子は、酸素原子1つと水素原子2つがくっついてできています。 じゃあ原子が素粒子!というわけではありません。原子もよく調べてみると、もっともっと小さなものが集まってできていたんです。原子は、原子核とそのまわりに捕まっている電子でできていま
KEK徳宿です。 LHC加速器の運転再開の準備が進んでいます。8月にこのブログでお伝えしたように、11月の中旬にビームの再入射。その後、加速をする前にまず入射エネルギー(ビームあたり0.45テラ電子ボルト、0.45TeV、4500億電子ボルト)のままで陽子陽子衝突を行います。 その後ビームあたり3.5TeVまで加速して、衝突実験にはいります。この、世界最高エネルギーでの初衝突は12月中旬に起こる予定です。 以上の節目節目にCERNがどのようにメディアに報告するかの方針が今月示されました。 基本的には http://press.web.cern.ch/press/lhc-first-physics/ のウェブページで現在の状況、スケジュールの最新情報を得ることができます。 その中でスケジュールのページに書いてある重要な点を上げておきます。 1.ビーム再入射、入射エネルギーでの衝突、ビーム加速
ブログ移転後初の記事で若干緊張しますが…… みなさまはじめまして!東京大学医学系研究科の秋本祐希です。 一昨年、東京大学理学系研究科で素粒子実験(アクシオンと呼ばれる素粒子に関するものです)で博士号をいただいた後、現在はマブチデザインオフィスというデザイン事務所で働く傍ら、東大医学部のGCOE特任研究員として横山先生と一緒に科学コミュニケーションに関する研究をしています。 これからちょくちょくと、素粒子物理学やLHC、ALTASに関する解説や旬なトピックスなどを描かせていただくつもりです。どうぞよろしくお願いいたします! というわけで、第1回目は自己紹介もかねて大学院時代に研究していた素粒子、アクシオンの紹介をさせていただきます。 みなさんはアクシオン(axion)って粒子、知っていますか?知らないですよね! 日常生活では決して出てくることはありませんけれど、宇宙の質量の25%をしめるとい
6月16日(土)に多摩六都科学館にて一般向けの企画を行います。 「巨大加速器LHCで探る宇宙−Phantom of the Universe」 プラネタリウム用に作られたムービーはパソコンの上で見るのと違い、大迫力です。 定員は120名です。申し込みは https://www.tamarokuto.or.jp/event/index.html?c=event&info=1701&day=2018-06-16 からです。興味のある方は是非! 今年の13TeV陽子・陽子衝突は本日で終了しました。 最終的には4.0fb-1ほどのデータをATLASでは取得できました。(LHC deliveredは4.3fb-1) あとは5TeV runとHeavy ion runをやって今年はおしまいです。 現在、これらのデータを用いて冬の国際会議に向けた解析を進めています。 予定通り、CERN時間の午前中に13
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