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パリ五輪
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じゃがいも料理の究極の形はグラタンではないか、と思います。じゃがいもは様々な形に姿を変えますが、乳製品との相性は抜群。今日はグラタン・ドフィノワの作り方をご紹介します。 じゃがいものグラタンは簡単につくろうと思えばいくらでも簡単につくれる料理ですし、逆に丁寧に作ることもできる料理です。今回は丁寧な作り方で、究極のじゃがいもグラタンを目指します。世間にあふれる簡単なレシピとは一線をかくす、骨太な作り方です。 グラタン・ドフィノワ じゃがいも 500g(皮を除いた重量) 生クリーム 200c(動物性のもの乳脂肪分45%のもの) 牛乳 200cc 塩 5g(小さじ1) ニンニク 一片 チーズ(グリエールが一般的ですが、今回はパルメジャーノチーズ) 適量 材料はシンプル、ホワイトソースも使いません。さて、ジャガイモのグラタンをおいしくつくるにはどのように作ればいいのでしょうか。す
日本の食の基本、米。食べ物として重要な存在ですが、これまであまりガストロノミー的には議論されてこなかった食材です。なにせ現在の主要品種であるコシヒカリは1970年代に生まれた品種。あの米は美味しい、これはいい、という話はよく聞きますが、料理人はもう少し根源的なところを考える必要があるでしょう。どの品種を使い、なにを表現したいか、それについて説明できなければいけません。 さて、今日のテーマはリゾット。どんな品種の米を使うのがいいのでしょうか。それには明確な答えはありません。スープを多めにしたゆるい感じの仕上がりにしたいのか、ぼってりとさせて米やチーズの味をしっかりと感じさせたいのか、その目的によって用いる米は異なります。 米の主成分は澱粉です。その含有量にはさしたる違いはありません。大きく異なるのはアミロースとアミロペクチンという二種類の澱粉の比率。アミロペクチンが多いと粘りが強く、米の内部
鶏もも肉のコンフィのポイントは油ではなく温度にあり 鶏もも肉や鴨もも肉のコンフィはビストロの定番料理。コンフィとは今では広い意味で使われてますがオイル煮のこと。元々はラテン語でするという意味のconficereが、フランス語で保存する(CONFIRE)という形になり、コンフィになりました。ジャムを意味するコンフィチュールなども語源的には同じです。 コンフィという調理法は「脂のなかで加熱することでしっとり仕上がる」という風に説明されることが多いようです。ところがモダニストキュイジーヌの生みの親、ネイサン・ミアボルトはこんな風に指摘しています。 油のなかで肉を調理すると、本当に肉に変化が起こるのか? まったくわけがわからないよ。油の分子は大きすぎて肉の中には入っていけないはずだ。外側にあるはずだよ。(cooking for Geekより) まったくもってその通り。油の分子の大きさは水よりもずっ
家庭用真空料理器の本命か? Anova Precision Cookersを使ってみた 真空調理法というのは1970年代にジョルジュ・プラリュという肉屋さんが考案した料理法。簡単に言えば真空調理法とは調理される食材の目標温度と同じ温度の媒介(蒸気であったり水であったり)で加熱すること。日本ではスチームコンベクションオーブンを導入するのが一般的ですが、欧米では恒温水槽が多く使われています。 実際は真空であることにあまり意味はなく(無意味とまではいいませんが、本質ではない)温度のコントロールにあります。むしろ『水槽調理法』という名前にすべきだった、と書いているフードライターがいましたが、いちど決まってしまった名前は変えられないものです。 温度管理が完璧にできるのでメリットとしては 加熱しすぎることがない上、食品の成分が水に溶け出るおそれがない 下準備が簡単 鍋を使わないため洗い物が楽 などが挙
『牛肉の赤ワイン煮込み(ちょっと現代的な)』の作り方〈肉を煮込む(もしくはスープをとる)ことを学ぶ(第3回)〉 先週は『オックステールの赤ワイン煮込み』をつくりましたが、今回は『牛肉の赤ワイン煮込み(ちょっと現代的な)』です。モダニストキュイジーヌチームが開発したテクニックを応用しています。 まずはレシピです。 牛すね肉(黒毛和牛) 500g 長ネギ 3本 塩 付け合わせの野菜 適量 オックステールの赤ワイン煮のソース 適量 レシピは至極シンプル。というのも牛肉は煮込みません。 真空パックにして湯煎にかけるのです。スチームコンベクションオーブンがあればそれを使ってもOK。タニカのヨーグルトメーカー、ヨーグルティアでも大丈夫です。(参考記事『低温で24時間加熱すると豚の肩ロースも柔らかくできます』) タンパク質の変性について復習しましょう。 ものすごくざっくり言うと、肉
ラタトゥイユはフランス南部プロヴァンス地方を代表する野菜料理。よく似た料理にイタリア料理のカポナータがありますが、この二つには似て非なる別物です。カポナータの作り方は別の機会にご紹介しますが、今日のテーマはラタトゥイユ。 ラタトゥイユをつくると なんとなくぼやけた仕上がりのもの 油っこいもの という残念な仕上がりになることがあります。いくつかのコツを踏まえれば美味しく作れます。いつもより丁寧な作り方かもしれません。まずは材料です。 ラタトゥイユ(4人前) トマト 3個(約500g) にんにく 2片 玉ねぎ 小1個(約150g) オリーブオイル 大さじ2 バジルの茎、ローリエ、赤唐辛子 適量 トマトペースト大さじ1 ズッキーニ 2本(今回は大きいものだったので1本 250g〜300gが重量目安) なす 3本(約250g) パプリカ(赤、黄)各1個 玉ねぎ 小1個(約100g、今回は極小
夏野菜料理の王様『ラタトゥイユ! 失敗しないコツ』 ラタトゥイユはフランス南部プロヴァンス地方を代表する野菜料理。よく似た料理にイタリア料理のカポナータがありますが、この二つには似て非なる別物 ...
夏に作る料理でもないのですが、今日は三回にわけて、肉を煮込む(もしくはスープをとる)ことを学びたいと思います。料理としては三品 牛のブイヨン オックステールの赤ワイン煮込み 牛肉の赤ワイン煮込み(モダニストキュイジーヌ風) です。作りながら肉の加熱温度について復習し、ビーフストック(ブイヨン)の新しい作り方もご紹介します。 肉の加熱温度について知るために簡単な実験からはじめましょう。 肉の切り身を二つ用意します。(A,Bとしましょう) なるべく同じサイズ、重量は43gに揃えました。 二つの切り身を湯の中で20分、加熱します。切り身Aは100度で。 切り身Bは80度で加熱した後の重量の変化を観察します。 こちらは切り身A、100度で加熱した結果、重量は31gでした。加熱によって12gの水分が肉から失われた結果です。 こちらは80度で加熱した切り身B。重量は40gなので失われた水分は3gでした
これが究極のアスパラガス料理か? アスパラガスの垂直ロースト 三週にわたって書いてきたアスパラガス研究も第三弾です。いよいよひょっとすると〈まったく参考にならない〉調理法のご紹介になるかもしれません。 ...
三週にわたって書いてきたアスパラガス研究も第三弾です。いよいよひょっとすると〈まったく参考にならない〉調理法のご紹介になるかもしれません。 今回、ご紹介する調理法は〈アラン・パッサールによる垂直のアスパラガスLes asperges à la verticale d’Alain Passard〉この調理法の考案者はパリにある野菜料理で有名なシェフalain passardさんです。 まずはある程度の量のアスパラガスが必要です。下部の固い部分を2cmほど切り落とします。 計量カップなどにアスパラガスを立ててタコ糸で縛ります。 ほどけないように三箇所ほど縛ります。結構、きつくしばることが最初のコツです。 厚手の鍋に80gの塩バターを入れて、弱火にかけます。かなりの量です。加塩のバターを使うことが2つ目のコツ。 バターが溶けてきたら、アスパラガスを立てた状態のまま入れます。 バターをかけながら火
ジュとフォンの違い〜豚肉にかけるソースをつくる〜 『低温で24時間加熱すると豚の肩ロースも柔らかくできます』という記事で豚肩ロース肉に火を通しました。さて、そこにかけるソースはなににしましょうか。普通にローストすると焼き汁が得られますが、低温長時間加熱だとそれができません。その弱点を補うために、今日は豚のジュをつくってみましょう。 さて、ジュという言葉はここ数十年、メニューなどで見かける頻度が高くなりました。Jusとは英語でジュース(肉汁)のこと。たくさんの水分とある程度の時間をかけて煮出すフォンとは違い、ジュは素材が隠れる程度の少量の水分を加え、短時間で煮出すのが特徴です。 通常、ジュは肉の切り落としや余った骨、焼き汁などからとりますが、先日紹介した24時間加熱した豚の肩ロースなど真空調理法を採用した場合はこの焼き汁が得られません。そこで登場するのがレストランではまず使われてこなかった「
今日のテーマはアスパラガス。 先日、調理したタケノコと同じく、春の訪れを告げる野菜です。肥料を多く使い、収穫するまでに3年と、手間のかかる野菜です。農家の方が手間をかけて育ててくれた野菜、せっかくなら美味しく食べたいもの。 基本の茹で方をマスターして春の味を堪能しましょう。 今日、用意したのはグリーンアスパラガスです。他にホワイトアスパラガスもありますが、これは品種ではなく栽培方法の違いによるもの。そのまま育てるとグリーンアスパラガスに、遮光して育てるとホワイトアスパラになる、というわけ。 まずは茹でる前に付け合わせの準備です。 市販の温泉卵を準備しました。卵とアスパラガスは相性抜群。黄色も春を感じさせる色合いです。このままでは盛り付けなどをするときにも扱いづらいので沸騰した湯で表面を固めておきます。 30秒ほど加熱すればOK。温泉卵を使う理由は黄身の濃度がついているため、アスパラガスに絡
「今さら誰も教えてくれない」目玉焼きのつくりかた 卵はありふれた食材ですが、卵料理には料理の基本のすべてが詰まっています。しかし、巷にあふれているレシピ本には〈目玉焼き〉のような定番メニューのつくりかたはあまり掲載されてません。 「料理はあんまりしなくて、つくれるのは目玉焼きくらいで・・・・・・てへへ」 のように簡単な料理の代名詞として使われる目玉焼きですが、プロならではの料理のコツを伝授しましょう。ただの目玉焼きですが、めちゃめちゃ長いレシピです。 まずは〈卵の保存〉から。 『卵の保存』 卵は通常、冷蔵庫に保存します。また包装パックに入っていれば、そのまま入れたほうがいいでしょう。野菜室などには入れないようにしてください。なぜなら卵は匂いがうつりやすい食材だから。卵の殻には気孔があるため、ニンニクなどと一緒に卵を袋に入れておくと、匂いがすぐにうつってしまいます。冷蔵庫には普通、ドアポケッ
シンプルなチキンブイヨンを自分でつくってみよう チキンブイヨンは何にでも使える汎用的な出汁です。 伝統的なブイヨンは二時間、三時間と充分な時間をかけて、骨や肉から味を引き出します。ラーメン屋さんがスープに命をかけているように、たしかに時間のかかる作業なので、家庭ではどうしてもブイヨンキューブなどのインスタントに頼ってしまいがちなのが現状です。 しかし、一度でも自分で出汁をとる経験をすれば、もうインスタントには戻れなくなることは請け合い。今回は『モダニストキュイジーヌ(現代的料理法)』を応用したチキンブイヨンのとり方をお教えします。このストックは以前に紹介したブラウンストックとは違い、材料を焼かないでつくるので、ブロンドストックと呼ばれています。香ばしさがないのでより汎用的な出汁です。 とても簡単なので、是非、試してみてください。 チキンブイヨン 鶏肉(どの部位でも骨と肉をあわせて) 1kg
(※記事の公開後、常にアクセスが続く人気の投稿を再度掲載いたします。今回は2014年7月に公開した「失敗しないマヨネーズの作り方!」です。) 夏になりました。きゅうりやトマトなどの夏野菜の美味しい季節、手軽な食べ方としてマヨネーズをつけてかじる、というものがあります。便利で美味しい市販品もありますが、一度手作りしてはいかがでしょうか。 手作りマヨネーズ 卵黄 一個 マスタード(ディジョン) 小さじ1 サラダオイル 160cc レモン汁 大さじ1 塩 小さじ四分の1 ところでこのマヨネーズ、つくっては見たものの失敗してしまった・・・・・・ということがおきがちなソースでもあります。今回は分子調理学の見地から失敗しないマヨネーズの作り方をご紹介します。 マヨネーズは乳化ソースです。乳化とは油と水が混ざった状態。本来混ざらないはずの油と水が混ざるのは、乳化剤のおかげです。卵黄は優れた乳化
2月16日に「基本のミートソース〜プロはなにが違う?〜」という記事をエントリしました。これはイタリアンのシェフたちのレシピの平均値を導き出したいわば「イタリアンの味」 しかし、先日、生パスタの専門店でめっぽう旨いミートソースを食べました。取材許可などはとってないので写真はモザイクです。 カウンターだけのお店で調理場には生パスタの製麺機と茹で釜、そして後ろの寸胴鍋ではミートソースが煮込まれていました。注文して出てきたのがこちら。 「よく混ぜて召し上がり下さい」という声とともにサービスされたのがこちら。めちゃくちゃ旨いです。味のポイントとなるのはコクと苦味。ビーフシチューのような味です。 このあいだ紹介したミートソースはいわゆるイタリア風の味わい。それに対して、こちらはまさに正調、日本のミートソースと言えるでしょう。 今回はこの料理に挑戦です。近い味をつくってみよう、というコンセプト。 ところ
フランスの豚の塩漬け「プティサレ」のレシピ 腐敗を抑えて肉を貯蔵するということは、人類の歴史のなかで大きな問題でした。 腐敗を防ぐ方法のひとつとして、『塩漬け肉』があります。イタリアでは『パンチェッタ』、日本では『塩漬け豚』(神奈川県などで明治から戦後の一時期まで一般的に食されていたようです)、そして今回、ご紹介するフランスの『プティ・サレ』があります。 塩で漬けた肉の内部にはどのような変化が起こっているのでしょうか? 塩を加える事で通常は互いに繋がっている筋細胞の繊維がバラバラになります。そのため、肉の色が少し赤く見えるはずです。通常の筋繊維は光を通しません。しかし、それがバラバラになっているため肉が半透明になり、それによって色が明るく見えるのです。 また、筋繊維がバラバラになっているため、食感は軟らかくなります。 豚バラ肉(かたまり) 500〜700g 塩 肉の重
先日、新潟県妙高市を取材で訪れた際、おみやげとして『かんずり』を買い込んできました。(この時の取材の内容は株式会社ダイヤモンド社が運営しているダイヤモンド・オンラインに掲載しています。『アメリカ人も絶賛した日本の辛味調味料「かんずり」はタバスコを超えるか』です) 個人的には子供の頃から冷蔵庫に入っていた調味料ですが、周りの反応は『はじめて見た』というもの。 オススメの調味料なのでこれを機会に食育通信online的な使い方をご紹介します。 写真は新潟県内などで入手できる『生かんずり』風味が一味違います。 さて、このかんずりは塩漬けにした唐辛子を雪に晒し、辛味を抜いた後、粉砕し、麹、柚子などを混ぜあわせ熟成発酵させたものです。発酵の権威、東京農業大学の小泉武夫先生によると「世界でも珍しい唐辛子の発酵食品」とのこと。たしかに唐辛子の発酵食品は他にタバスコくらいしか思いつきません。小泉先生のお話に
イチゴと黒胡椒の組み合わせや、キャビアとホワイトチョコレートの組み合わせなど、レストランで登場する食材の意外な組み合わせ、その方法のひとつに食品にそなわったフレーバーの相性を科学的にマッチングさせる「Foodpairing」があります。ベルギーに本社を構えるFoodpairing.comは膨大な食品の揮発化合物の相性をデータベースにしてインターネットで調べられるようにしています。先のキャビアとホワイトチョコレートは代表的な組み合わせのひとつです。 https://inspire.foodpairing.com/ さて前回のリンゴと紫蘇の組み合わせもこのサービスを活用しています。今回はあらたな組み合わせを探索。果物と野菜のコンビネーションができないか、あれこれ探してみました。結果、長ネギとはちょっと違うのですがLEEKを検索していたら「Good aromatic match」としてイチゴが掲
今日はパスタ料理の王道、ミートソースを攻略します。いわゆるragù alla bologneseイタリア語でいうところのボローニャ風煮込み(ラグー)です。発祥は不明ですが、パスタ料理は非常に貧しいイメージの料理でしたが、ボローニャの町のお金持ちがフランスの煮込み料理を真似てつくらせた、という説もあります。 うるさい人は「スパゲッティ・ボロネーゼ(ミートソース・スパゲティ)は『イタリアにはない!』」と主張しますが乾麺で食べるラグーもおいしい料理。イギリスでは国民的な料理とされ、最近はイタリアでも逆輸入の形でメニューにならんでいるようです。 さて、ミートソースの材料はおおまかにいうとひき肉、香味野菜、水分(トマト)、油脂分。この要素はプロとアマチュアも同じです。ならば、味の違いはどういった部分に出てくるのでしょうか? まず、レシピの比較分析をしましょう。レシピの比較分析には分量を%に変えると検
パリにある三つ星レストラン「アルページュ」は野菜料理で有名。シェフ、アラン・パッサールさんは火入れの的確さで名が知られたシェフでしたが、狂牛病騒動などをきっかけに野菜料理の探求にのりだし、現在も三ツ星を維持しています。 アラン・パッサールさんは「le piont」という雑誌に野菜料理の連載しているのですが、そのなかで『人参のサラダ』の作り方があったので、つくってみました。 人参のサラダ、キャロット・ラペはフランスのビストロ、家庭料理の定番。おろし金で人参をおろし、ドレッシングで和え、冷蔵庫で冷やせば出来上がりという簡単な料理ですが、さすが三ツ星シェフ、パッサールさんのレシピはひと味違います。 用意するのは当然、人参です。質の良いオーガニックなものを選んでください。 ついで必要なのはパッサールさんが『マンドリーヌ ジャポネーズ』と呼ぶスライサー。日本での商品名は『ベンリナー』です。amazo
低温で24時間加熱すると豚の肩ロースも柔らかくできます スーパーなどで売っている豚の肩ロースはなかなか難しい肉です。というのも筋肉が動く部位なので筋肉が発達し美味しいのですが、コラーゲンが多く加熱すると硬くなりがち。その弱点を補うために薄切りにして、例えば生姜焼きにすることが多いのですが、この部位を軟らかいステーキにできたら経済的です。 肉のタンパク質にはおおまかにいってミオシンとアクチンの二種類が調理に大きく関わっていること、そして肉の硬さはコラーゲンの量が決めるということについて以前、書きました。(参考『鶏のブレゼをマスターして、肉料理の科学を理解する』) 簡単にまとめるとミオシンの変性は美味しいが、アクチンが変性は味を悪くする、ということです。そして、コラーゲンを分解させ、ゼラチン化すれば肉をジューシーに感じさせてくれます。問題はタンパク質の変性温度よりもコラーゲンが分解する温度が高
鮭を担ぐ木彫熊 鮭を咥える木彫熊 鮭を食べる羆 羆(ヒグマ)は鮭が大好きです。冬眠を控え、この上ないご馳走であることは間違いありません。絶滅危惧が叫ばれる「木彫りの熊)」は、鮭を咥えているか!担いでいました?ヒグマでは、まさに一子相伝(クマの場合は二仔)、サケの獲り方や食べ方で、そのクマの母親が判るという研究報告があります。 飛び跳ねるサケを咥える (アクロバチックな母熊の教え) 浅瀬を逃げるサケを追いかけ掴まえる (ポジティブな母熊の教え) サケが近くにいても獲らず残り物を漁る (グータラな母熊の教え) 北洋、つまり北太平洋に生息するサケの仲間は、ニジマス(スチールヘッド)、サクラマス、マスノスケ、ベニザケ、ギンザケ、カラフトマス、シロザケです。ヒグマが秋に食べるサケ達は、シロザケ、カラフトマス、ギンザケです。これは、他のサケ達は春に河を遡上し、河口よりはるか上流域で産卵するからです。ま
家庭向けのチキンブイヨンについて考える いつもの食事につい使ってしまうブイヨンキューブ。でも、ちゃんと本物の材料で手作りしたスープは美味しいものです。 ただ、本格的なチキンブイヨンとなるといくつかの問題点があります。 例えば丸鶏をつかってスープをとればおいしいに決まっていますが、まず入手にハードルがあります。つぎにスープをとりおえた後の始末です。出し殻は食べられないことはありませんが、美味しいものではありませんし、捨てるのもなんだかもったいない気がします。 丸鶏ならまだいいのですが、鶏ガラともなると捨てるだけになってしまいます。 また香味野菜も問題です。香味野菜は余ったクズ野菜で……といいますが、普段料理をしていて都合よくセロリや人参、玉ねぎなどが余ることってありませんよね。 もう一つの問題 は『和風、洋風、中華風』と家庭では様々な種類の料理をつくります。西洋料理の出汁をとり、中華だしをと
お店で食べるレバーペーストっておいしいですよね。赤ワインにぴったりで、クリスマスの時期のホームパーティにもぴったりです。 レバーペーストには様々なレシピがありますが美味しさのポイントは 臭みがないこと 滑らかで口どけがいいこと 深みのある味 の三点。これを目指して早速、つくってみましょう。レシピはHeston Blumenthal氏のchiken liver parfaitを参考にしています。まずは材料です。 鶏レバー 100g 卵 80g にんにく 3g 玉ねぎ 50g マディラ酒60cc オイル 大さじ1 溶かしバター 100g 塩3g 胡椒 1g 鶏レバーは鮮度の良いものを選びます。スーパーでレバーを買うと心臓がついているので、切り離します。肝臓はこんな感じで二つの肝葉が繋がっているので切り離してから、血管を断ち切るように三等分くらいにスライスします。 まずは血抜きです。冷水
究極のマッシュポテトをつくるには? マッシュポテトは昔からある料理ですが、専門店ができるなど根強い人気があります。今日は家でもできる『究極のマッシュポテト』をご紹介します。 世界一のマッシュポテトと聞くと、ジョエル・ロブションの『じゃがいものピュレ』が挙げられます。ジョエル・ロブションがまだジャマンという店のオーナーシェフだった時代に発表したこの料理について、彼はのちに「自分が三ツ星を穫れたのはじゃがいものピュレとグリーンサラダのおかげ」と語っています。 では、おいしいじゃがいものピュレとはなんでしょう? それはさらりとした口溶けで、少しも粘ついてなく、豊かな風味のものです。反対にまずいマッシュポテトは糊のようにベタつき、口や歯にくっつき、舌に膜がかかったようになるもの。今日はそれを避ける方法をいくつかお教えします。 マッシュポテト (ジェフリー・スタインガーデンとヘストン・ブルメンタール
プロは何故カルボナーラに生クリームを入れるのか? カルボナーラは人気のパスタ料理の一つ。 「本場では生クリームは入れない。卵だけでつくるのが至高」 「卵黄だけを使うのがおいしくつくるコツだと某グルメマンガで」 と色々と議論の材料になることが多いパスタ料理でもあります。カルボナーラは炭焼人 (Carbonara) という意味。黒胡椒を炭の粉に見立ているわけですが、職人が仕事の合間につくって手早く食べられる料理という意味があります。 今回は二つの詳細なレシピをご紹介します。私見ですがレトルトなどの市販のパスタソースは殺菌のために高い温度で加熱されているので、どうしても美味しくありません。レトルトのものは一度、火が入った卵を均質化するところに様々な技術が投入されているようですが、カルボナーラは家でつくるのが一番。 レシピを紹介しながらプロのコツをお教えします。 カルボナーラ(生クリームありバージ
牡蠣の洗い方研究!(人気の投稿再掲載) (※記事の公開後、常にアクセスが続く人気の投稿を再度掲載いたします。今回は2013年11月に公開した「牡蠣の洗い方研究」です。) いよいよ牡蠣のシーズンですね。 豊満な乳白色の味覚は冬の喜び。牡蠣がお好き、という方も多いのではないでしょうか。これから数回にわたって牡蠣料理を研究します。 さて、牡蠣を購入して、困るのは牡蠣の下処理の仕方。というのも料理の本によって、言っていることがそれぞれ違うのです。 ある本には 『牡蠣は塩水で振り洗いし』 と書いてあり、また別の本には 『大根おろしで洗いましょう』 とあります。また、別の方は 『大根おろしなんてもったいない。片栗粉で十分だよ!』 と仰います。さて、正解はどれでしょう? まずは基本のおさらいです。牡蠣を洗うときには真水を使ってはいけません。塩水で洗うのは浸透圧による成分の流出を防ぐためです。ためしに真水
今、日本はバター不足です。生クリームからバターは簡単につくることができます。以前、「手作りバターはめっちゃおいしい」という記事で、紙パックを振る方法をお教えしました。この方法は簡単ですが、案外大変です。 今日は文明の利器を使いもっと楽にバターをつくる方法をご紹介します。必要な道具はミキサーです。 材料は生クリームの他に同量の氷水が必要です。生クリームは動物性の本物を使いましょう。 ミキサーに生クリームを投入し、回します。今回は1パック使いました。 数秒回すとこんな感じで固まってきて、ミキサーが回らなくなります。そこで必要なのが氷水です。 氷水を投入します。基本的には生クリームの同量から1.5倍量の氷水が必要です。ミキサーを回して中身がまわるくらいの量を入れましょう。氷水をいれるのにはちょっと勇気がいりますが大丈夫です。 氷水を足しながら、回し続けます。すぐに分離して色が変わってくるはずです
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