今回からは、行動経済学を実際に活用する『ナッジ』を、4回にわたって書いてみます。最初はナッジのあれこれを書きまとめるので、いつもと違って考察はあまりないですが、お付き合いください。 ナッジは2017年にノーベル賞を受賞したリチャード・セイラー教授が提唱した考えで、『Nudge=小突く』の意味です。ちょっとした後押しを促して、人の行動を変えることを意味しています。 ナッジといえばこの本、原題はNudgeです。 実践 行動経済学 リチャード・セイラー (著), キャス・サンスティーン (著), 遠藤 真美 (翻訳) 日経BP 2009.07 ナッジと倫理観 ナッジは、人々の行動をよりよいものに誘導することが目的です。私利私欲のために使うのは、ナッジではなくスラッジ(汚泥の意味)といわれます。なのでナッジを用いるうえでは「倫理感」が不可欠です。 この倫理観について、著者たちは次のように提唱してい