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俳優、ミュージシャン、アート、声優など創作あーちすととして活動する のん が劇場長編映画『Ribbon』を完成。今までも初監督作品として『おちをつけなんせ』を発表していたものの、劇場公開は初。コロナ禍で卒業制作展を行えなくなった美大生の記事を読んだことから物語が生まれたという のん監督自身が脚本、監督、主演を務めた本作。自らが生み出した絵を捨てられてしまうという悲しみと、作品を発表出来ないもどかしさに葛藤する主人公いつかの想いをリボンの揺れで表現しながら、親友との本音のぶつかり合いや個性的な家族との関係、一人の青年との出会いを探る謎解きのような自分探しの物語になっています。そんな のん監督ならではの映画製作におけるこだわりや人との繋がりを伺いました。 ―― リボンが宙に舞うシーンなど、どれも幻想的で美しかったのですが、リボンの表現を特撮で撮影しようと思った理由とは。 のん 最初はCGで表現
永遠に続くような幸福感に満ちた時間とともに、同じ熱量で出会いと別れをじっくり描き、恋愛映画の新たなマスターピースとなった『花束みたいな恋をした』。人気脚本家・坂元裕二のオリジナル脚本をもとに、菅田将暉×有村架純が歓びも哀しみも見事に体現した珠玉の名編として話題を呼び、予想外の大ヒットを続けている。 映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』の池ノ辺直子が、宣伝プロデュースを担ったヨアケの中野朝子さん、マーケティングを担当したGEM Partnerの梅津文さん(代表取締役/CEO)、山下啓司さん(DOGS ポテンシャル調査担当)、海部亜梨沙(DOGS ポテンシャル調査担当)、細田健士さん(PANDA デジタルマーケティング担当)、佐藤鉄舟さん(CATS/作品別詳細担当)に、宣伝展開と共にリサーチ、デジタルマーケティング、トラッキングをどのように行っていったかをうかがいました。 池ノ辺
業界のプロフェッショナルに、様々な視点でエンターテインメント分野の話を語っていただく本企画。日本のゲーム・エンターテインメント黎明期から活躍し現在も最前線で業務に携わる、エンタメ・ストラテジストの内海州史が、ゲーム業界を中心とする、デジタル・エンターテインメント業界の歴史や業界最新トレンドの話を語ります。 → 31「今も輝き続けるプレイステーション産みの親 久夛良木健 (2)」はこちら セガに在籍していたおよそ20年前のある日、渋谷の開発オフィスで会議をしていた私の携帯に海外の番号から電話がかかってきました。電話に出てみると、英語で“Is this Shuji?(シュウジの電話ですか?)” という第一声。 聞き覚えのある声でしたが、まさかと思いつつも一応冷静さを保ちながら“This is Shuji speaking. Who‘s this?” と返したところ・・・ “Hi ,this i
『ガンダム』から学んだ“宇宙的恋愛” ――“岩井美学”とも言われる唯一無二の世界観で、ファンを魅了しています。そんな岩井監督にとって、影響を受けたと感じるエンタメ作品を教えてください。 影響を受けたと感じる作品はたくさんあります。意外だと思われるかなというものだと、『機動戦士ガンダム』です。『機動戦士ガンダム』はロボットアニメとしてではなく、ラブストーリーとして観た時に、ものすごくじれったい物語なんですよね。高校生の時に観て、「こんなラブストーリーがあっていいのか」と衝撃を受けました。 ――とても意外です。じれったいと思われたのは、どのような点でしょうか。 まずヒロインだったはずのフラウ・ボゥという女の子が、アムロの友人と付き合うことになってしまったり。「ヒロインだったよな?」と思っているうちに、ヒロインから下落していく。こんなことがあっていいのかと思いました。そしてララァという女の子が、
業界のプロフェッショナルに、様々な視点でエンターテインメント分野の話を語っていただく本企画。日本のゲーム・エンターテインメント黎明期から活躍し現在も最前線で業務に携わる、エンタメ・ストラテジストの内海州史が、ゲーム業界を中心とする、デジタル・エンターテインメント業界の歴史を語ります。 私がソニー株式会社に入社したのが1986年。すでに34年の月日が流れたことになります。 幸運なことに、私はその間にプレイステーションビジネスの立ち上げに深くかかわり、そのライバルとなるドリームキャストの立ち上げ、数少ない日本発のディズニーIPで成功を遂げたタイトルの開発、マイクロソフトのパートナー開発会社としての商品提供、PCやモバイルのオンラインゲームやソーシャルゲームの創成期に立ち会うなど、様々な国内外のエンタテインメント会社のプロデューサーやマネジメントを経験し、ゲーム業界の大きな変遷期に様々な角度で参
コロナ禍の下、今年のゴールデンウィークはステイホーム週間となった。とはいえ、外出自粛と言ってもカレンダー上は連休には変わりない。それにあわせ配信サービスでも様々な作品が配信開始となっているが、その中でも大きな注目を集めていたアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』(以下『2045』)が公開となった。 タイトルでわかるように00年代のシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(02年 以下『SAC』)の続編となる。自社オリジナルのアニメコンテンツに力を入れているNETFLIXによるもので、同社の独占配信作品となっている。 『SAC』前作の長編『Solid State Society』(06年 以下『SSS』)から14年ぶりとなる本作は様々な要素がこれまでとは異なっているのが特徴だ。 これまでの『SAC』同様の神山健治に加え、同じ士郎正宗原作によるコミック『APPLE
『スター・ウォーズ』シリーズでも監督を務めたライアン・ジョンソンの新作は、彼自身が書いたオリジナル脚本でアカデミー賞にノミネート。映画批評サイト、ロッテントマトの満足度でも、批評家97%、観客92%と、圧倒的な高い支持を得ている。大富豪の謎の死を巡るミステリーという、“定番”の設定の本作が、なぜそこまで愛されているのか? キャストの魅力やオマージュなど、映画的な楽しさに溢れた本作を解説していこう。 古典ミステリーを意識したオリジナル脚本 2017年に公開された『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は、シリーズファンの間では否定的論調が支配的で、監督のライアン・ジョンソンも槍玉にあげられてしまったが、野心的チャレンジを評価した人も多かった。そのジョンソン監督が起死回生とばかりに、オリジナル脚本で挑んだのが『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』である。 ジャンルは王道のミステリー。ライアン・
『Love Letter』(95年)、『スワロウテイル』(96年)など数々の傑作を世に送り出してきた岩井俊二監督。最新作『ラストレター』は、ふたつの世代の恋愛と、それぞれの心の成長と再生をつづる物語。過ぎてしまったあのころ、生きていく未来…。ノスタルジックな切なさと美しさが交差する、感動の1作となった。ロマンティックな叙情を持つ作品群から、岩井監督にスマートな印象を持つ人もいるかもしれない。しかしインタビューを試みると「いつも死に物狂い。ハードルを上げて作品づくりに挑んでいる」と、とことんストイックでアグレッシブな岩井監督。ラブストーリーを作るうえで刺激を受けているのは『機動戦士ガンダム』と明かすなど、意外な素顔が明らかとなった。 唯一無二の世界を生み出す秘密 ――手紙のやり取りから、登場人物たちの初恋の記憶や、移ろいゆく人生が浮かび上がる物語です。『Love Letter』もそうですが、
『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』(14年)などで知られる、アイルランドのアニメスタジオ“カートゥーン・サルーン”。このアーティスティックな作風で知られる気鋭のスタジオが、アニメ作品ではなかなか取り上げられてこなかったアフガニスタンを舞台に、一人の少女と、その家族にのしかかる過酷な現実を、幻想的な物語とともに描いたアニメーション作品『ブレッドウィナー』(17年)が、日本で劇場公開される(Netflixでのタイトルは『生きのびるために』)。アヌシー国際アニメーション映画祭で高い評価を受けた本作の魅力を紐解いてみる。 生きるために“少年”として生きる少女 フランスの東部、アヌシーで毎年6月に開催されるアヌシー国際アニメーション映画祭。もっとも長い歴史を持つアニメーションの国際映画祭であり、1990年代には『紅の豚』(92年)や『平成狸合戦ぽんぽこ』(94年)が長編部門クリスタル賞(グランプリ
マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロが、22年ぶりに本格合体を果たした『アイリッシュマン』。ジョー・ペシとハーヴェイ・カイテルの常連組、さらに加えてアル・パチーノまで顔を揃えた最新作は、約60年にわたるアメリカの裏面史を描ききる超大作となった。上映時間210分(およびここまでに名前を挙げた男たち、全員合わせて388歳)のNetflix映画、さまざまな意味で常軌を逸した本作について掘り下げてみたい。 デ・ニーロ不足を補うスコセッシ渾身の大作 近年のマーティン・スコセッシに対しては、ある不満を抱えてきた。ロバート・デ・ニーロが足りない! ゼロ年代以降、レオナルド・ディカプリオと組んだ『アビエイター』(04年)に『ディパーテッド』(06年)、それに『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13年)。あるいは自身にとって極めて重要なテーマである信仰に向き合った『沈黙 -サイレンス-』(16年)
1979年、島根・出雲生まれ。音楽評論家。元レコード屋店長。21世紀以降のジャズをまとめた世界初のジャズ本『Jazz The New Chapter』シリーズ監修者。共著に後藤雅洋、村井康司との鼎談集『100年のジャズを聴く』など。ライナーノーツ多数。若林恵、宮田文久とともに編集者やライター、ジャーナリストを活気づけるための勉強会《音筆の会》を共催。 10月にロンドンに行ったときにバーレーン出身のトランぺッターのヤズ・アハメドを観た。民族性やジャンルが入り混じるロンドンらしいハイブリッドな音楽がとても面白かった。今のUKジャズの最も面白い部分を観た夜だと思った。 ヤズ・アハメドを知ったのは、個人的に注目していたUKのNaim Recordからのリリースをチェックしていた時だ。 バーレーン生まれで、イギリス育ちの彼女はアラビックな旋律とリズムをジャズに取り入れたサウンドを追及している。その個
『ゲーム・オブ・スローンズ』のHBOが製作し、『ブレイキング・バッド』『ウォーキング・デッド』のヨハン・レンクが監督、ヨーロッパの実力派俳優が集結した超ド級の社会派エンターテイメントドラマ『チェルノブイリ』。人類史上最悪の原発事故はいったいなぜ起こったのか。事故発生時の様子と、隠蔽を図る国家とその顛末までを克明に描いた圧倒的なリアリズムと、サスペンスフルな真相究明劇が融合し、世界中から称賛の声を集めた本作の魅力に迫る。 未曾有の大事故を描く社会派ドラマ 人類史上最悪の事故と称されるチェルノブイリ原発事故。その発生から30年以上の時を経て、あの日、あの時、そしてその後、チェルノブイリで何が起こっていたのか、その真実を圧倒的なリアリズムで描いたのがドラマ『チェルノブイリ』だ。 旧ソ連のウクライナ共和国にあるチェルノブイリ原子力発電所の4号炉で事故が起こったのは1986年の4月26日。炉心はメル
1979年、島根・出雲生まれ。音楽評論家。元レコード屋店長。21世紀以降のジャズをまとめた世界初のジャズ本『Jazz The New Chapter』シリーズ監修者。共著に後藤雅洋、村井康司との鼎談集『100年のジャズを聴く』など。ライナーノーツ多数。若林恵、宮田文久とともに編集者やライター、ジャーナリストを活気づけるための勉強会《音筆の会》を共催。 ジャズ作曲家の挾間美帆がプロデュースによるシンフォニック・ジャズのコンサートに行ってきた。シンフォニック・ジャズの名曲と挾間美帆の書下ろしのピアノ協奏曲を東京フィルハーモニー交響楽団が奏でる贅沢なコンサートだ。 『NEO-SYMPHONIC JAZZ at 芸劇』を観てきた。 シンフォニック・ジャズとは何かというと「オーケストラが演奏するジャズとクラシックが融合した音楽」といったところだろうか。 そういった「ジャズでもクラシックでもどちらでも
1979年、島根・出雲生まれ。音楽評論家。元レコード屋店長。21世紀以降のジャズをまとめた世界初のジャズ本『Jazz The New Chapter』シリーズ監修者。共著に後藤雅洋、村井康司との鼎談集『100年のジャズを聴く』など。ライナーノーツ多数。若林恵、宮田文久とともに編集者やライター、ジャーナリストを活気づけるための勉強会《音筆の会》を共催。 最近、ジャズのベスト100を選ぶ雑誌の企画に参加した。名盤を選ぶ作業は楽しいのだが、やり始めると意外と難しい。名盤はずっと名盤なのか。評価は変わらないのか。そんなことを考えていたら一向に終わらなくて大変だったのだ。 先日、老舗音楽専門誌『ミュージックマガジン』 が2019年9月号で「2020年代への視点 50年のジャズ・アルバム・ベスト100」という企画をやるから、そのために僕が考えたベスト30を送れと言われたので、あれこれ考えていた。 ここ
ジャズ作曲家・挾間美帆さんに何度もインタビューしたことがあるという音楽評論家・MEKIKIの柳樂光隆さん。今回は、彼女の色彩豊かな音楽のルーツを探るべくクラシック遍歴を根ほり葉ほり。なんと!挾間美帆さんの昔の写真もお借りして、貴重な半生記になりました。 挾間美帆はクラシックを学び、そこからジャズに行って、ジャズ作曲家になった。NYを拠点に活動し、4枚のアルバムを出した。近年はヨーロッパでの活動も増え、オランダのメトロポール・オーケストラやドイツのWDRビッグバンドといった名門とも仕事をし、今年、デンマークのダニッシュ・レディオ・ビッグバンドの首席指揮者に就任することが発表された。まさに今、世界の最前線にいるジャズ作曲家なのだ。 また、挾間美帆はジャズシーンに身を置きながら、吹奏楽やオーケストラにも取り組んでいる。吹奏楽団のシエナ・ウィンド・オーケストラのコンポーザー・イン・レジデンスを務め
年頭から目を休める暇もない勢いで続く今年のアニメ映画ラッシュ。その中にあって最大の注目作と言える『天気の子』がついにそのベールを脱いだ。 (公式サイト:https://tenkinoko.com/) 改めて書くまでもない。『君の名は。』の新海誠監督による新作長編。事前の試写会はいっさいナシという方針をとり、本作は公開まで全てが謎に包まれていた。そして公開早々から予想通りの大ヒットとなっている。 さて、ここからは少し内容について触れているので、そのことを承知いただきたい。(これから映画を見る予定の方はご注意いただきたい) 上映が終わるなり快感と同時に「えらいもんを見てしまった」とかなりの困惑を感じた。『君の名は。』はこれまでの新海作品の全てが入っている集大成だった。それが日本の歴代興行で記録を作るほどの大ヒット。だから、もっと『君の名は。』が受けた層にわかりやすい(同系統の)作品を出してくる
1979年、島根・出雲生まれ。音楽評論家。元レコード屋店長。21世紀以降のジャズをまとめた世界初のジャズ本『Jazz The New Chapter』シリーズ監修者。共著に後藤雅洋、村井康司との鼎談集『100年のジャズを聴く』など。ライナーノーツ多数。若林恵、宮田文久とともに編集者やライター、ジャーナリストを活気づけるための勉強会《音筆の会》を共催。 20世紀のジャズはミュージカルや映画の名曲をカヴァーして、名演を残してきました。では、ジャズがヒップホップやインディーロックとも結びついている21世紀のジャズミュージシャンはどんな曲を奏でいるのでしょうか。 ジャズにはスタンダードと呼ばれる曲がある。様々なミュージシャンにより演奏されている定番曲のことだが、これはジャズ・ミュージシャンが書いたオリジナル曲だけでない。ブロードウェイ・ミュージカルや映画、ポップソングの人気曲などがジャズミュージシ
1979年、島根・出雲生まれ。音楽評論家。元レコード屋店長。21世紀以降のジャズをまとめた世界初のジャズ本『Jazz The New Chapter』シリーズ監修者。共著に後藤雅洋、村井康司との鼎談集『100年のジャズを聴く』など。ライナーノーツ多数。若林恵、宮田文久とともに編集者やライター、ジャーナリストを活気づけるための勉強会《音筆の会》を共催。 僕は音楽が素晴らしい役割を果たしている映画にはどうしても惹かれてしまう。ポーランドの映画『COLD WAR あの歌、2つの心』はまるで音楽がもうひとりの主役と言えるほど素晴らしい貢献をしていた。そして、その音楽はあまりに美しく、エモーショナルだった。 東西冷戦下の1950年代にポーランドで出会った男女がソ連の支配下に置かれたポーランドの状況に翻弄されながら、愛し合い、時にぶつかる模様を描いたこの映画は『イーダ』でアカデミー賞の外国語映画賞を受
1979年、島根・出雲生まれ。音楽評論家。元レコード屋店長。21世紀以降のジャズをまとめた世界初のジャズ本『Jazz The New Chapter』シリーズ監修者。共著に後藤雅洋、村井康司との鼎談集『100年のジャズを聴く』など。ライナーノーツ多数。若林恵、宮田文久とともに編集者やライター、ジャーナリストを活気づけるための勉強会《音筆の会》を共催。 「ジャズと平成」シリーズ、今回はイタリアです。50~70年代のイタリアのジャズのレコードが復刻されたり、若手ミュージシャンがまるで50年代に回帰したようなスタイルのジャズを演奏して、それが若いリスナーに師事されたりしたブームを改めて振り返ります。 2000年前後ごろから突如、イタリアのジャズの話題が雑誌に載り始めて、レコードショップに50-70年代ごろのイタリアンジャズの再発のCDやレコードが入荷され始めた。それ以前にもヨーロッパのジャズは日
1979年、島根・出雲生まれ。音楽評論家。元レコード屋店長。21世紀以降のジャズをまとめた世界初のジャズ本『Jazz The New Chapter』シリーズ監修者。共著に後藤雅洋、村井康司との鼎談集『100年のジャズを聴く』など。ライナーノーツ多数。若林恵、宮田文久とともに編集者やライター、ジャーナリストを活気づけるための勉強会《音筆の会》を共催。 ビル・エヴァンスの伝記映画『ビル・エヴァンス タイム・リメンバード』を観に行ってきました。ビル・エヴァンスとはどんなピアニストだったかをここまでわかりやすく伝えてくれるものは他にないと言えるくらいによくできたビル・エヴァンス入門にぴったりの映画でした。 『ビル・エヴァンスタイム・リメンバード』 ©2015 Bruce Spiegel ビル・エヴァンスのように様々なエピソードを並べれば、簡単に悲劇の物語ができてしまう人生を送ったミュージシャンも
1979年、島根・出雲生まれ。音楽評論家。元レコード屋店長。21世紀以降のジャズをまとめた世界初のジャズ本『Jazz The New Chapter』シリーズ監修者。共著に後藤雅洋、村井康司との鼎談集『100年のジャズを聴く』など。ライナーノーツ多数。若林恵、宮田文久とともに編集者やライター、ジャーナリストを活気づけるための勉強会《音筆の会》を共催。 平成のジャズの振り返りシリーズの第4弾。クラブジャズ、メインストリーム、ジャムバンドの次はフューチャージャズ。アメリカでもイギリスでもなく、北欧ノルウェーから出てきたサウンドを改めて解説します。 今、思えば「未来のジャズ」なんてずいぶん大げさな名前だ。とはいえ、この「フューチャージャズ」と呼ばれるムーブメントはとても興味深いもので、当時、明らかに先を行っていた。今振り返ってみる意義は十分にある。 おそらく一般的になってきたのは90年代の終わり
1979年、島根・出雲生まれ。音楽評論家。元レコード屋店長。21世紀以降のジャズをまとめた世界初のジャズ本『Jazz The New Chapter』シリーズ監修者。共著に後藤雅洋、村井康司との鼎談集『100年のジャズを聴く』など。ライナーノーツ多数。若林恵、宮田文久とともに編集者やライター、ジャーナリストを活気づけるための勉強会《音筆の会》を共催。 クラブジャズ、メインストリームについて書いた流れで、平成に起こったジャズのムーブメントとしての「ジャムバンド」について書いてみたい。あの頃、多くの人が即興演奏の魅力に気付くきっかけになったジャズにとっても重要なムーブメントなはずだからだ。 平成の間のジャズのムーブメントと言えば、ジャムバンドも欠かせない。 もともとはグレイトフル・デッドやオールマン・ブラザーズ・バンドなどの長尺な即興演奏を聴かせるロックバンドに起源をもつカテゴリーで、その後、
1995年の『新世紀エヴァンゲリオン』放送がもたらしたエヴァブームはアニメファンのみならず、90年代オタクシーンという全体そのものを大きく変えた。 爆発的なブームは分野と潜在人口を一気に増加させ、アニメファンをはじめとした“オタク層”と呼ばれていた人種がマイノリティの時代はそこで確実に終わった。 『エヴァ』ブームがもたらしたものはあまりにも多岐にわたる。アニメ周辺環境においてはアニメ雑誌以外で本格的に『エヴァンゲリオン』を大々的に特集したのがアダルト雑誌『デラべっぴん』(96年8月号)だったことに始まり、『クイック・ジャパン』をはじめとした幾多のサブカル系メディアによる熱狂など。アニメを大々的に取り上げる媒体も評者も一気に増えた。いわゆるサブカルやアカデミズムの論者やメディアも加わることになり、アニメへの評や視点、さらには社会的な価値付けに新たな時代が訪れた(このへんは本来なら当時のパソコ
まもなく新たな元号の令和元年となる。僕にとっては社会に出てからと平成30年間はほぼ被るので、アッと言うまであった気すらする。その30年前。平成元年(1989年)にはどのようなアニメがあったのかと調べなおしてみると、平成元年前後はとりわけアニメ映画においては今なお語られる名作がいくつも登場した時期で、昭和/平成という元号、80年代/90年代という西暦。どちらで考えても大きな歴史の節目であったと言える。節目であるというのは、その作品が登場したことで何かが変化したことや、その前後を区切る点となることを示すが、とりわけ昭和63年(1988年)に『AKIRA』が。翌平成元年(1989年)に『機動警察パトレイバー the Movie』が公開されたことは、今になって振り返ると一つの象徴であったと思う。 昭和最後の年は64年だが、わずか1週間しかなかったこともあり、まるまる1年間という時間が存在した昭和6
1979年、島根・出雲生まれ。音楽評論家。元レコード屋店長。21世紀以降のジャズをまとめた世界初のジャズ本『Jazz The New Chapter』シリーズ監修者。共著に後藤雅洋、村井康司との鼎談集『100年のジャズを聴く』など。ライナーノーツ多数。若林恵、宮田文久とともに編集者やライター、ジャーナリストを活気づけるための勉強会《音筆の会》を共催。 話題の映画『グリーンブック』を見てきました。ピアニストの演奏を聴くって意味でこんなに面白い映画はなかなかないかと思いました。 『グリーンブック』TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー (C) 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved. 『グリーンブック』は公開される前からずっと気になっていた映画だった。この映画の音楽を担
古川登志夫、平野文の〈レジェンド〉声優インタビュー総集編!古谷徹、田中真弓を始め、豪華ゲストとの声優トークを振り返る 一世を風靡したアニメ「うる星やつら」の主人公、あたるとラムの声を演じた、レジェンド声優の古川登志夫さん、平野文さんがホスト役を務めるレジェンド声優インタビュー。これまで数多くのレジェンド声優の方々に、ご自身が演じられたキャラクターの話や声の演技について、様々なお話を伺ってきました。今回はその振返りとして、過去にインタビューしてきた方々の各種エピソードや、今後お話を聞いてみたいレジェンド声優やレジェンドクリエイターについてお二人に語って頂きました。 古川登志夫が一番影響を受けた先輩、レジェンド声優「富山敬」 平野文: (以下、平野) これまでたくさんのレジェンド声優をインタビューしてきましたが、登志夫さんが一番影響を受けた方は、どなただったんですか? 古川登志夫: (以下、古
ジェームズ・キャメロンの製作・脚本で、木城ゆきと原作の「銃夢」を実写映画化した『アリータ:バトル・エンジェル』が公開された。メガホンを執ったのは、「僕の脚本をいかしつつ彼自身の作品にした」とキャメロンが称賛するロバート・ロドリゲス。本作におけるOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)版からの影響と、二人だからこそ生み出せた革新的な映像表現、ハリウッドで続く日本発コンテンツの実写映画化の可能性を解説する。 原作コミック以上にOVA版『銃夢』の影響が色濃い『アリータ』 木城ゆきとの国産SFコミック「銃夢」をベースとした、20世紀フォックスのハリウッド超大作『アリータ:バトル・エンジェル』(以下『アリータ』)がついに公開となった。“ついに”というのを強調したいくらい、本作は『ターミネーター』(84年)、『タイタニック』(97年)の巨匠ジェームズ・キャメロンが長いこと抱えていたプロジェクトであり、20
TVアニメ、および劇場作品において、アイドルアニメというのは一大ジャンルだ。もちろんアイドルを題材としたアニメ作品は古くからあるが、近年のそれはかつてのものとは大きく異なっている。さらに描かれるアイドルスタイルも変化し、実際の芸能界においてソロよりもグループアイドルが隆盛を誇っているのと同様、アニメでもグループアイドルが主流となっている。 16年に男性アイドルグループを主人公とする『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(通称:キンプリ)の応援上映が大ヒットをしたのは記憶に新しい。現実のアーティストによる劇場でのライブビューイングは以前よりあったが、このヒットは応援上映というスタイルを知らしめ、その後の劇場アニメ興行に大きな影響を与えた。それまでファンが直に作品のアニメアイドルに接する手段は出演声優や楽曲担当アーティストによるライブイベントなどしかなかった。対象が現実
1月末でTVアニメ『HUGっと!プリキュア』が最終回を迎えた。堂々たる大団円だ。 始まった時はずっと見てきた例年の『プリキュア』シリーズの新シリーズとしか思っていなかった。それがまさか、50歳を過ぎて『プリキュア』にここまで泣かされる1年になるとは予想もしなかった。 『プリキュア』についてはアニメをそれほど見ないかたでもさすがに知っているだろう。日曜日の朝にテレビ朝日系列で放送されている女児向けアニメシリーズ。女の子たちが不思議な力によって“プリキュア”と呼ばれる戦士に変身し、謎の敵と戦うという内容だ。 2004年の第1作『ふたりはプリキュア』から始まり、主要キャラクターや敵、大枠のテーマを作品によって変えつつ続いている。昨年は『プリキュア』シリーズ開始15周年で、そのアニバーサリーイヤーに放送されていたのがシリーズ15作目『HUGっと!プリキュア』(以下『はぐプリ』)になる。 おそらく歴
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