第1回 前編 赤坂憲雄×旗野秀人×小森はるか「福島に生きる」は可能か。 2018年11月5日 公開 映画監督、佐藤真は2007年9月にこの世を去った。90年代から00年代にかけて作品を遺した佐藤は、政治の季節を過ぎた日本で、目の前の現実と向き合い「見えないものを見る」という粘り強い方法により、自分たちの時代の闇をあぶり出そうとしていた。 佐藤真は”日常“と”不在“を視点の基調とした。大事件や悲劇ではなく日常を、出来事が起きた後や、人物が居なくなった後の不在を撮る。それこそが、わかりやすい現実ではなく、現実の本質である「見えないもの」をあぶり出すように撮るための姿勢だった。 2016年3月、書籍『日常と不在を見つめて』の刊行とともに始まった東京・御茶ノ水のアテネ・フランセ文化センターでの佐藤真の作品上映とゲストによる対談は大盛況となり、神戸、京都、福岡、福島、横浜へと、上映の波は広がっていっ