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買ってよかったもの
snagano724.hatenablog.com
2016 - 01 - 07 ピエール・セルナ「フランス革命史研究所への脅威」(翻訳) (注記)これは2016年1月1日にフランス政府によって決定されたパリ第一大学 パンテオン =ソルボンヌ校の付属施設「 フランス革命 史研究所」(Institut d'histoire de la Révolution française)の閉鎖を受けて、所長のピエール・セルナ教授(Pierre Serna)が一般向け雑誌『L'Histoire』の電子版(1月5日付)に掲載した声明 「フランス革命史研究所への脅威」(Menaces sur l’IHRF) を訳出したものです。翻訳に当たって、 フランス史 を専門としない読者のために説明を補うなど、本文を一部改変した箇所があります。 2016年1月1日をもって、 フランス革命 史研究所(IHRF)は、もはやこれまでのような形では存在しなくなりました。 フラン
2013-07-22 仏映画「憎しみ」を観る essay パリ郊外に暮らすマイノリティの若者たちを描いたフランス映画「憎しみ(La Haine)」を観ました。舞台となっているのは『パリ20区 僕たちのクラス』と同じ、「バンリュー」と呼ばれるパリ郊外ですが、子供たちが物語の中核をなす『僕たちのクラス』ではやや牧歌的なムードが続くのに対し、本作で描かれる世界は極めて暗いものでした。物語は郊外で発生した暴動から始まります。暴動のきっかけは警官がムスリムの少年を暴行し、彼を重体に追い込んだこと。やり場のない憎しみを増幅させていく主人公の一人は、暴動の翌日、警官の紛失した銃を偶然見つけます。 ジャック・ドンズロの『都市が壊れるとき』で詳しく論じられているように、フランスの郊外問題はわが国のそれと比べてはるかに深刻なものです。低家賃の団地が第二次大戦後の好況期に建てられたまま棄て置かれた結果、移民や
2015-01-10 「 #JuSuisCharlie 」覚え書 忘れられない一日になりました。フランス時間で7日正午すぎ、インターネットのニュースを通じて『週間チャーリー』編集部襲撃について知りました。午後から区役所に行く予定でしたが、中止して部屋で待機することにしました。Twitterで情報を集めていると、以下のツイートが回覧されてきました。事件現場に近いレピュブリック広場で午後7時より集会を開き、「報道の自由、民主主義、共和国」のための連帯を呼びかける内容です。Rassemblement citoyen ce soir 19h, place de la République. Venez nombreux. #CharlieHebdo. RT SVP. pic.twitter.com/GcWuqa0tBe— Xavier Frison (@xfrison) 2015, 1月 7その後
2014-10-04 フランスにおける歴史研究者と政治 今月1日よりパリに来ています。寮の周辺の環状道路沿いを歩いていると、共産党系のビラの他に Debout la République のビラが貼られているのもよく見かけます。 Debout la République(DLR)とは1999年に結成されたフランスの政党で、党名を訳すと「立ち上がれ共和国」。日本にも似たような名前の政党がありました。DLRのスタンスは右派で、ドゴール主義を掲げているのだそうです。この政党の中心人物に歴史家のエリック・アンソー(Eric Anceau)がいます。アンソーは博士論文でフランス第二帝政下の代議士一名一名のプロソポグラフィーを行って実力を認められ、近年ではナポレオン3世の伝記で話題を集めました。同時にDLR党員としての活動も積極的に行っています。フランスには政治活動にコミットしている歴史研究者が多いよ
2014-09-02 フランス史研究の必携レファレンスまとめ 歴史研究を始める際にまず必要となるのが基本的な辞書やレファレンス類だと思います。しかしながら辞書類の体系的な紹介は案外ないもの。口伝えで習うのが一般的なスタイルでしょう。私自身、卒論を書いていたとき「フランス史研究に使うレファレンス類の目録があれば便利なのになあ…」と思っていたので、後学のためにまとめました。なお、定評のある『フランス史研究入門』(佐藤彰一・中野隆生編、山川出版社、2011年、304-305頁)にも目録がありますので、信頼できる日本語文献として何よりもまず参照されるべきでしょう。本記事も同書に多くを依拠しています。※随時更新予定。情報絶賛募集中です。 近世 ・現代知百科:新しい歴史学 Jacques Le Goff et Roger Chartier et Jacques Revel dir., Les en
2014-04-04 EHESS建学の功労者 『ル・ゴフ自伝』を読む ジャック・ル・ゴフ(鎌田博夫訳)『ル・ゴフ自伝――歴史家の生活』法政大学出版局、2000年。2014年4月1日に逝去した碩学ジャック・ル・ゴフが生前に自身の半生を語ったインタビュー録を読みました。『煉獄の誕生』や『聖王ルイ』などの浩瀚な著作で知られるル・ゴフですが、彼のアカデミック・キャリアは必ずしも周知されてはいません。この中世史の大家は一体どのような学問遍歴を辿ったのでしょうか。1924年元日、ジャック・ル・ゴフは南仏の港町トゥーロンに生れます。第二次大戦を経て、ル・ゴフ青年は名門リセのルイ・ル・グラン校から高等師範学校へとエリートコースを進みますが、必ずしも「優等生」ではなかったようです。卒業後、ル・ゴフはプラハやオックスフォード、ローマへと留学しながら、ついに国家博士論文を書くことはありませんでした。結果、彼に大
2012-09-30 舛添要一『赤いバラは咲いたか』を読む book 舛添要一さんがかつてフランス政治研究者だったころの著書『赤いバラは咲いたか―現代フランスの夢と現実』(弘文堂、1983年)を読んだ。タイトルの「赤いバラ」とはフランス社会党の象徴であり、すなわち「赤いバラが咲く」とはミッテラン第一書記の大統領就任(1981年)を表している。本書は70-80年代フランスの政局を分析した論文を一冊の本にまとめたものである。 赤いバラは咲いたか―現代フランスの夢と現実作者: 舛添要一出版社/メーカー: 弘文堂発売日: 1983/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る ちなみにフランス共和国大統領は現在のところわずか7名しか就任していない。7年(2000年からは5年)という任期のため、10年を超す長期政権が可能だからである。大統領の名前を列挙すると、(1)ドゴール、(2
2013-12-13 歴史家をめざす学生がwebメディアを始めた理由 essay すでにご承知の方も多いと思いますが、9月末に「The New Classic」なるwebメディアをリリースしました。東大や早稲田に所属する人文系の大学院生が中心となって運営しているニュースサイトで、現在は主に一歩深い視点によるニュース解説記事をメインコンテンツとして掲載しています。The New Classicはリリース直後からtwitterを中心に大きな反響をいただきました。googleニュースやBLOGOS、The Huffington Post日本版など多方面へコンテンツ提供を行っており、現在も着実に成長を続けています。 「The New Classic」が生まれるまで The New Classicのwebサイトそのものをリリースしたのは今年の9月ですが、webメディアを作ろうという計画はもっと早い
2013-09-25 卒論の「おわりに」には何を書けばよいか study 前回の記事では卒論の「はじめに」で書くべき内容について解説しました。今回はその続編として、卒論の「おわりに」で書くべき内容について解説します。前回の内容を簡単に振り返ると、卒論の「はじめに」に書くべき内容は「研究の意義」「先行研究」「研究の方法」「資料」の4ステップでした。「おわりに」に書くべき内容も同じく4ステップ、「限界」「解明点」「意義」「展望」です。以下、詳しく説明します。 4. 限界 通し番号を4番から始めたのには理由があります。このステップは「はじめに」における4番目のステップ「資料」に対応するステップだからです。論文の限界は資料上の制約に依存するものです。例えば、インタビューを行ったのが20代女性のみに限定される場合、他の年齢層や男性のケースは捨象されてしまいます。また、分析したのが19世紀の文献のみ
2013-06-20 東大秋入学に思うこと〜日本の大学のグローバル化について news 東京大学が前々から進めていた秋入学の構想を当面見送ることを決め、事実上断念したという趣旨の報道が行われました。ところが、東大広報室はただちにこの報道を否定し、秋入学構想の早期実現を追求していく総長の基本姿勢に変更はないことを通知します。実際、国際交流室のスタッフから話を聞く機会の多い私としても今回の報道は寝耳に水でしたので、功を焦った一部マスコミの早とちりというのが実情かなという気がします。 東大 4年後の秋入学事実上断念 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130619/t10015403621000.html 東京大学の秋季入学構想をめぐる報道と東京大学における学部教育の総合的改革について (広報室) http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/ne
history去る10月14日、東洋大学白山キャンパスで開催されたピーター・バーク博士による講演に出かけてきました。 東洋大学人間科学総合研究所10周年記念公開国際セミナー「文化と歴史」研究所プロジェクト「トランスナショナル・カルチュラルヒストリーの今後」http://www.toyo.ac.jp/event/detail_j/id/6245/ ピーター・バークといえば邦訳も多い超大物。ぼくも『歴史学と社会理論』『文化史とは何か』『フランス歴史学革命』といった歴史理論に関する著作を学部生の頃に読み、ずいぶんと影響を受けたものです。あいにく彼の近年の仕事(知識社会史に関するもろもろ)はフォローしきれていなかったのですが、何せまたとない機会ですから「スターを見に行く」ぐらいの軽い気持ちで参加してきました。 本編に先立って、バークのみならずステッドマン=ジョーンズなどといった近年のトレンドの邦訳
study新年度が始まりました。大学4年に進学する皆さんにとって、就活と並ぶビッグイベントとなるのが卒論でしょう。私も去年、西洋史学で卒論執筆を経験しましたが、一年間不安と焦りの連続でした。 「どうやって文献を探したらいいのか?」「もう○○月なのに、こんな進捗状況で大丈夫なのか?」「そもそも、どうやってテーマを決めたらよいのか?」基本的なことは一通り大学側から説明されるでしょうし、また、探せばオンライン上にも体系的な情報が公開されています。例えば、次のような。東京外国語大学大学院 南欧史http://www.tufs.ac.jp/st/club/historia/(ページ下部に「卒業論文を書くために」のコーナー) 上智大学文学部史学科http://sophia1942.exblog.jp/i6/こうした情報は確かに便利ですし、去年は私も幾度となくお世話になりました。ですが、こうした大学側の
essay「日本人は自分の食べたいものも自分で決められない」そう揶揄されることがあります。 何人かで食事に行こうという時、内心、パスタを食べたいと思っていても、「ラーメンがいいね」「ああ、ラーメン、いいね」と何人かがラーメンと続けば、「じゃあ、俺、パスタが食べたいから一人で行ってくるよ」とは絶対に言えない、そういった経験は誰にでもあるでしょう*1。 似たような心性に「連帯責任」があります。私事で恐縮ですが、小学生だった頃、クラスの一人が居残りさせられたとき、担任にクラスの全員が残されたことがありました。内心では理不尽だと思いながらも、そのときは我慢して従った記憶があります。 このような「空気を読む」あるいは「世間の目を気にする」心性は、誰もが多かれ少なかれ持っているものでしょう。 わが国に自律した個人はおらず、社会の代わりに世間があるのみ、そう述べたのは、ヨーロッパ中世史家の阿部謹也さんで
history 革命後のフランスは不憫な国だ。かつて「啓蒙の世紀」においてフランスは思潮の最先端を走っていたにもかかわらず、当時芽生えた共和主義の理想はその後100年間この地に根付くことはなかった。さらにはその「後進性」が仇となり、先に「近代化」を済ませた国々から「他者」「敵」のイメージをもって語られることになったのだ。近代人を自任するイギリスは、フランスの貴族主義を批判した。質実剛健を美徳とするドイツは、豪壮華美なフランスを煙たがった。いずれの見方も革命後のフランスに残存した「後進性」を衝いたものだ。世界でもとりわけ早く旧体制から脱したはずのフランスは、皮肉なことに、19世紀半ばには世界の流れに後れを取ってしまったのだ。未読だがトクヴィル『アメリカのデモクラシー』が欧米で大きな反響を生んだのも、こうした風潮と無関係ではないだろう。 「後進国フランス」という見方は、わが国の学界においても
news 先日、公の場でブルカ(ムスリムの女性が被るヴェール)を着用することを禁止する法案がフランス下院において可決されたようです。【ロイター】フランス下院、ブルカ禁止法案を圧倒的多数で可決http://t.co/I4whPQD【CNN】仏ブルカ禁止法施行、抗議の女性2人を拘束http://www.cnn.co.jp/world/30002424.html【時事通信】「ブルカ禁止法」施行=摘発難しいとの声も−仏http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011041100864【共同通信】フランス、ブルカ禁止法施行http://news.livedoor.com/article/detail/5482765/ ニュースソースを見比べて、またmixi日記やtwitterなどの発言を一通り眺めてもわかる通り、わが国における本法案をめぐる議論は明らかに混乱しています。
history 第二次大戦中に対独レジスタンスに身を投じ、ナチス親衛隊の凶弾に斃れたフランスの中世史家マルク・ブロックの遺作『歴史のための弁明』は、次のような印象深い文句に始まります。 Papa, explique-moi donc a quoi sert l'histoire. ―Marc Bloch, Apologie pour l'histoire 本書の目的の一つは、この問いに自分なりの答えを与えることだ、そうブロックは続けます。原文のフランス語で引用したのには理由があります。邦訳では「パパ、だから歴史が何の役に立つのか説明してよ」という幼い子供の口調なので、僕などからすればあまり現実味を感じず、切迫感なしに読めるからです。ですが、これを「親父、歴史なんて何の役にも立たないじゃんか!」と反抗期の青年の口調で訳すと、印象は一変します。「パパ」ないし「親父」を「先生」に置き換えれば、教
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