サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
srad.jp/~phason
"Programming self-organizing multicellular structures with synthetic cell-cell signaling" S. Toda, L. R. Blauch, S. K. Y. Tang, L. Morsut and W. A. Lim, Science, in press (2018). 生体内において,細胞は自発的に非常に高度に組織化された構造を作り上げる.例えば我々の臓器をみてみると,各種の細胞,神経,血管や適切な空洞などが自動的に組み上がっており,全体として高度な機能を発揮している.この複雑な構造を作り上げているのが元を辿ればわずか一種類の細胞であり,それが分化と構造形成を繰り返しながらこれほどのものを作り上げるというのは驚嘆せざるを得ない. このような複雑な分化や構造形成がどのように行われるのかというと,そのほとん
"Communication between viruses guides lysis-lysogeny decisions" Z. Erez et al., Nature, 541, 488-493 (2017). 見落としていたものをNature Digest経由で. 生物は,さまざまな方法を用いて他の仲間達と通信を行っている.これは何も動物に限った事ではなく,植物だってそうだし,場合によっては細菌同士ですら各種のコミュニケーションをとる.例えばあまりに細菌の密度が高くなっていることを互いの出す分子の密度により細菌が認識すると,分裂を控えたりするわけだ(そうしないと,局所的に餌を食い尽くして全滅したりする可能性がある). 今回の論文で報告されたのは,こういったコミュニケーションを半生物・半物質であるようなウィルスも行っていた,という発見である. 論文中で著者らは「枯草菌がウィルス(テン
"Observation of the Wigner-Huntington transition to metallic hydrogen" R. P. Dias and I. F. Silvera, Science, in press (2017). ※今回のこの話題に関しては,金属水素の室温での超伝導の可能性だとか,圧力を取り除いても準安定状態で金属水素が取り出せる可能性だとか,それによって超高圧縮状態の固体水素が作れるんじゃないかとかそういった話が出回っているが,そういったことが実現する可能性は非常に低いことは心に留めておいてほしい(いやまあ,今回の実験を遙かに超えるような超超高圧下なら室温超伝導もまあ出ても良いのだが……). 確かに軽原子は振動数が高いため,BCS理論などの予測にあるように非常に高い超伝導転移温度が実現できる可能性はゼロではない.しかしながら,超伝導転移温度は様々な
"Environmentally-friendly aqueous Li (or Na)-ion battery with fast electrode kinetics and super-long life" X. Dong, L. Chen, J. Liu, S. Haller, Y. Wang and Y. Xia, Science Adv., 2, e1501038 (2016). 不安定な自然エネルギーの利用を促進するうえで,安価で長寿命なバッテリーの開発は必要不可欠であり,さまざまなバッテリーが開発されてきている. そもそも,Li-ion電池やNi-MH系の電池などで充放電による劣化が起きるのは,充放電に伴い電極の活物質(例えばLi-ion電池で言えばコバルト酸リチウムやグラファイト等)の構造変化が起こり,これが繰り返される事で電極の一部剥離や崩壊が起こるためである. ※実際
"Number-space mapping in the newborn chick resembles humans' mental number line" R. Rugani, G. Vallortigara, K. Priftis and L. Regolin, Science, 347, 534-536 (2015). 人間の数に対する認識は,空間的な方向などに対しマッピングされている.例えば数値の大小は空間的な左右と関連づけられており,左の方に小さな数が,右の方に大きな数が存在する方が自然であると感じられる(キーボード上の数字の配列もこの順になっている).別な例として,被験者にランダムに数字を挙げてもらう際に,被験者に右を向いてもらいながら行うと大きな数字に,左を向いてもらうと小さな数字に偏ることも知られている.こういった人の認識における数と空間的な方向の関連づけは心的数直線と
"Rapid fucosylation of intestinal epithelium sustains host-commensal symbiosis in sickness" J. M. Pickard et al., Nature, 514, 638-641 (2014). 腸というのはいわば"外部"に露出した内臓であり,さまざまな外界由来の物質に接触している.このため各種感染の起点となる可能性が非常に高くなり,腸からの感染をいかに防ぐかというのは生体にとって非常に重要な課題である.例えば人間の免疫細胞の過半数は腸に存在しており,また腸を起点とした免疫系の多彩な制御なども明らかとなりつつある. 腸からの感染が危険である一方,腸が"外界"に接する器官である以上,そこを無菌状態に保つのは現実的ではない.そこで生物は,腸内に(その生物にとって)無害な細菌群を生息させ,危険な細菌類の繁殖
"Cosmic structure as the quantum interference of a coherent dark wave" H.-Y. Schive, T. Chiueh and T. Broadhurst, Nature Phys., in press (2014). 我々の宇宙に存在する物質のうち,目に見えるような通常の物質は全体量のわずか1/6以下でしかなく,大部分は目に見えない「何か」であることがほぼ確実となっている.この「光らず,直接見えない何か」はダークマターと名付けられ,その正体の解明が今も精力的に行われている.最も一般的なモデルでは,この「何か」は「重力以外ではほとんど相互作用を行わず,運動エネルギーが小さい(=冷たい)粒子」であると想定されており,「冷たい暗黒物質」(CDM:Cold Dark Matter)と呼ばれている.このCDMを用いたモデルは宇宙
"A semi-synthetic organism with an expanded genetic alphabet" D.A. Malyshev et al., Nature, 509, 385-388 (2014). ※専門外な上に時間が無いので,用語等の使い方はいつも以上におかしい可能性あり. よく知られたように,DNAは4種類の核酸塩基,アデニン(A),グアニン(G),シトシン(C),チミン(T)の配列によって情報を保持している(RNAではチミンの代わりにウラシルが用いられる).核酸塩基間には水素結合による引力が働くが,分子の形状的に特定の相手と非常にペア構造を作りやすく,A-T(またはU),G-Cという特定の組を作り安定化する.しかしながら,サイズが同じぐらいでペアを作る分子であれば,別にこの4種類に限らなくても同じような構造は作れるはずであり,この4種(RNAまで含めれば5
"Wafer-Scale Growth of Single-Crystal Monolayer Graphene on Reusable Hydrogen-Terminated Germanium" J.-H. Lee et al., Science, in press (2014). 現在の計算機を支えているのは間違いなくSiベースの技術である.それらSiを元に作られる電子素子が高い性能を発揮できる理由のひとつとして,非常に純度が高くしかも原子レベルで平坦な単結晶ウェハーを作成できる点が挙げられる.この均一なウェハーを出発物質とすることで,均質で特性の揃った素子の生産が可能となっている.ところが近年になり,そんなSiベースの半導体素子にもいよいよ物理的な限界が近づいてきたため,よりすぐれた素材の探求が各地で進められている. そんな注目されている素材の一つが単層グラファイトであるグラフェン
"Optical diametric drive acceleration through action-reaction symmetrey breaking" M. Wimmer et al., Nature Phys., in press (2013). 二つの物体間に力が働くと,作用とそれに正反対の向きを持った反作用が同時に生じる.例えば二物体間に引力が働けば,両者は逆向きの方向に加速され,重心位置を変えないまま相対速度が変化する.これはニュートンによる運動の第三法則であり,非常に重要な項目だ. さてここで,正の慣性質量を持つ通常の物体Pと,負の慣性質量を持つ物体Nとのペアを考えてみよう.もちろん通常は負の質量などというものは存在しないので,これは仮想的なものである.PとNとの間に引力が働く時,PはNの方へと引きつけられる.その一方で,Nにはそれと逆向きの力……つまりPの方へと向い
"Efficience planar heterojunction perovskite solar cells by vapour deposition" M. Liu, M.B. Johnston and H.J. Snaith, Nature, in press (2013). 色素増感太陽電池というものがある.良く用いられるのがTiO2に色素(金属錯体が多い)を吸着させたものなのだが,色の濃い色素が光を良く吸収,そのエネルギーをTiO2に受け渡し電荷分離を起こすことで起電力を得るというものだ.色素増感太陽電池の利点として良く挙げられるのは以下のような点である. ・塗布や印刷などのウェットなプロセスで作成出来るため,量産が楽. ・有機分子などを使うので,環境親和性が高い(ものもある) ・様々な色のカラフルな太陽電池が作成できデザイン性が高い.また異なる色の太陽電池をタンデム型に積層す
"Three-dimensional deep sub-diffraction optical beam lithography with 9 nm feature size" Z. Gan, Y. Cao, R.A. Evans and M. Gu, Nature Commun., 4, 2061 (2013). 光学リソグラフィは現代の半導体産業やナノ構造体の制作を支える重要な技術であるが,微細化が進む今日では技術的な壁にぶち当たりつつある.と言うのも光が波である以上は回折限界により集光できるサイズには限界があり,現在用いられている光学系ではせいぜい波長の半分や1/4程度までしか光を絞れないためだ.このため現在の半導体素子の作成では回折限界を超えるような小さな構造を作るために液浸により開口数を上げたり,多重露光で重ね書きすることで重なった細かい部分のみを削り出したり,といった工夫が行わ
来年度の小学生向け化学教室でやろうと思ってる磁性流体の作り方のまとめ. 磁性流体というのはまあ,こんな感じの磁石にくっつく液体で,強めの磁石を近づけるとトゲが生える愉快なヤツです. 各地の中学・高校などでも同じ手法の実験が行われているのですが,時々うまくいっていないところもあるようなので,そういう方の参考になれば,ということで. 手法は基本的に http://education.mrsec.wisc.edu/nanolab/ffexp/index.html のページそのままです. 条件を変えながら予備実験を何度かやってみたところ,かなり再現性良く作れる事を確認. 必要なもの: 100 mlのビーカー(使い捨てのプラ製のものが楽) スターラー(手でかき混ぜても出来ない事は無いが,スターラーを使ってよく混ぜた方がうまくいく) 攪拌子(ビーカーの内径にかなり近いサイズの方が良い.小さすぎると攪拌
"A realitt check on the shale revolution" J.D. Hughes, Nature, 494, 307-308 (21013). 今回は論文では無く,今週号のNatureの記事から. 20年ほど前から徐々に始まったシェールガス&シェールオイル掘削は,ここ10年の間に一気に数を増やし,アメリカにおける主要なガス源となっている.シェールガス・シェールオイルというのは名の通りシェール(頁岩)という薄片状の石が積み上がった地層中に閉じ込められているガスや石油であるが,従来型のガス田・油田(ガスや石油がまとまって存在し,穴さえ開ければどんどん取り出せる)に比べると採掘が難しかった事から近年まで開発が進んでいなかった.しかしここ最近の水平掘削技術の進歩や様々な採掘法の開発により,これらシェールガス・シェールオイルの掘削が比較的容易に行えるようになったのだ.アメリ
"Large-scale nanophotonic phased array" J. Sun E. Timurdogan, A. Yaacobi, E.S. Hossini and M.R. Watts, Nature, 493, 195-199 (2013). フェーズドアレイレーダーという代物がある. 通常のレーダーは,一つの波源から電波を発し,物体に当たって反射してきた波を感知するものである.電波の飛んでいく方向はアンテナの向きで決まっているため,違う方向の物体を探るときにはアンテナの向きを物理的に回転させる必要がある. これに対しフェーズドアレイレーダーは無数の小さな電波発生源が平面に並んだ構造をしており,この無数の波源から同じ波長の波を放出する.フェーズドアレイレーダー全体から放出される波を考えると,無数の波源から出た多数の波の干渉波となるのは自明だろう.さてこの時,フェーズドア
"A Physically Transient Form of Sillicon Electronics" S.-W. Hwang et al., Science, 337, 1640-1644 (2012). 実際の回路構成やデバイスの作成法や構造なども載っているSupplementary Materialsは http://www.sciencemag.org/content/337/6102/1640/suppl/DC1 通常我々が様々な電子デバイスを作ろうとするときは,それができるだけ壊れないように,長持ちするように考えて作成する.しかしそれとは逆に,一定期間で消滅して欲しいような用途だって世の中には存在する.例えば体内埋め込み型である一定期間だけ働けば良いデバイスであるとか,自然界にバラ撒いて一定期間データを送信したあとは迅速にそのまま自然に還って欲しい観測デバイスなどだ.今回著
"Integrated 3D-printed reactionware for chemical synthesis and analysis" M.D. Symes et al., Nature Chem., in press (2012). こういった論文が掲載されたことにちょっとびっくり. オープンソースの3Dプリンタ,Fab@Homeというものがあるのだが,今回の論文の著者らはそれを使って実用可能な実験器具を作り,実際の化学研究に利用出来ることを示している. そもそもこのFab@Home,コーネル大の研究者が始めたもので,2000ドル程度の材料費で3Dプリンタが作れるというものである.基本的な構造としてはX,Y,Z方向に駆動出来るヘッドの先端に注射器が付いており,ヘッド位置および注射器のピストンがプログラムにより制御され,所定の位置に内容物をはき出す.大気中の酸素や水分と反応して硬
"Fear of Predation Slows Plant-Litter Decomposition" D. Hawlena, M.S. Strickland, M.A. Bradford and O.J. Schmitz, Science, 336, 1434-1438 (2012). 自然界では食物連鎖によりそれぞれの種が他の種の生息数に影響を与えている.さて,捕食者が他種の生息数に与える影響は,通常は食った食われたの関係による数の増減だけと思われている.しかし今回,著者らは思いもよらない関係が成り立っている事を発見し報告している. 著者らが今回注目したのはバッタとその捕食者であるクモを含む生態系だ.まず結論から書いてしまうと,「バッタを補食するクモがいると,腐葉土(というか,枯れ藁などを含む植物性の廃物)の分解速度が低くなる」という,風が吹けば桶屋が儲かる,とでも言うかのような関係
"Comparing the yields of organic and conventional agriculture" V. Seufert, N. Ramankutty and J.A. Foley, Nature, 485, 229-232 (2012). 現在広く行われている農法(慣行農法)は,農薬と除草剤の散布により収量低下を回避し,肥料(主に窒素とリン)を与える事で収量の増加を図っている.これは実に良くできた手法であって,現在の食糧生産性は過去に比べると劇的に改善している. さて,このように優れた慣行農法であるが,問題も無いわけではない.一つは農薬類・除草剤・肥料の大量投入による周辺環境への悪影響である.例えば先進国や農業国における土壌および水系ののリン・窒素汚染はかなり酷い状況になっており,富栄養化を発端とする赤潮・青潮,河川および海水域での生態系の激変などはかなり問題の
"Self-limited plasmonic welding of silver nanowire junctions" E.C. Garnett et al., Nature Mater., in press (2012). 近年ではナノワイヤーやナノ粒子と言ったナノ材料の製法もだいぶ確立し,安価に大量生産できるようになってきた.特に銀ナノワイヤーに関しては,polyol法と呼ばれる手法を用いることで径が揃った(数十nm程度,コントロール可能)5角柱状のナノワイヤーを大量に得ることが出来るうえに抗菌性や高い熱および電気伝導性を持つことから,微小化学センサー用ナノメッシュ,微細回路の配線,抗菌性表面加工など様々な応用が研究されている. さて,ナノワイヤーをメッシュであるとか配線として利用しようとしたとき問題になるのが「ワイヤー同士をどうやって接合するか?」である. (配線用途に関しては,
"Graphene-Multilayer Graphene Nanocomposites as Highly Efficient Thermal Interface Materials" K.M.F. Shahil and A.A. Balandin, Nano. Lett., in press (2012). 飲みながら書いているので,妙な間違いなどが有るかも知れませんがご容赦ください. CPUに代表される近年の高機能半導体素子は高集積化と共にとんでもない電力を消費するようになり,必然的に廃熱処理の重要性が増してきている事はここをご覧の多くの方には説明するまでもないだろう.このような高発熱のチップから排熱部,つまりはヒートシンクへの熱伝達をうまく行うには,チップとヒートシンクの間を熱抵抗の小さい樹脂(またはグリス)などで埋めてやる必要がある(CPUパッケージとヒートシンクの間もそうだが,
"Experimental demonstration of a universally valid error–disturbance uncertainty relation in spin measurements" J. Erhart et al., Nature Phys., in press (2012). 今日はちょっと時間がないので実験の詳細はすっ飛ばします. 有名なHeisenbergの不確定性,つまり不可換な物理量AとB(例えばある方向の位置と運動量,時刻とエネルギー,二つの直行する軸方向の角運動量,など)においては,両者の不確実性の積に下限が存在する,という式がある.つまりΔA・ΔB ≥ h/4πというものだ.ところがこの式,作られた当初から異なる二つの不確定性をごちゃ混ぜにしているものである. Heisenbergがこういった関係式の導出を行った当初は,様々な具体的
"A Coherent Signature of Anthropogenic Nitrogen Deposition to Remote Watersheds of the Northern Hemisphere" G.W. Hoktgrieve et al., Science, 334, 1545-1548 (2011). 大気中の窒素を生物が利用可能な窒素化合物へと変換するハーバー・ボッシュ法の開発は,化学の歴史においても五本の指に入るであろう偉大な研究である.「空気から肥料を作る」とも言われるこの手法は世界の農業生産に革命を起こし,試算にもよるが,ハーバー・ボッシュ法により生み出される窒素肥料無しでは,粗食を強いたとしても現在の人口の半分以下しか養うことが出来ないとも言われている.また,我々が摂取する食物中のアミノ酸(これは窒素を含む)中の窒素原子は,穀物では8割程度,肉(餌となる穀
"Electrically driven directional motion of a four-wheeled molecule on a metal surface" T. Kudernac et al., Nature, 479, 208-211 (2011). みんな大好きナノカーの新型である.といっても作ったのは元々のナノカーを作ったところとは別グループ.こちらのグループは,分子の異性化を使って決まった一方向に回転する分子などを作っているグループであり,その成果を組み込んでナノカーを開発した. 分子を使って機械を作ろう,という分子機械を目指した研究は数多く行われているが,この時問題になるのがエネルギーをどうやって運動に変換するか,という部分である.バルクな機械では運動を一方向に制御するためにラチェットなりなんなりが簡単に利用できるが,分子ともなるとそうも行かないため,運動はラン
>最初から細かい液滴出すと冷えて固体になってしまうんだろうか。 液滴というか,気化した状態に近いです. 液滴を熱衝撃波で粉砕して気化させて,そこに次弾を打ち込む感じで. ※なぜ最初から気化した金属ガスを使わないのかというと原子密度が低いからですね.ある程度大きい体積を確保して吸収効率を上げつつ,いわゆるガスレベルに拡散する前を狙うことで密度が高くなり吸光度も高い. >液滴を粉砕してから液滴(球体?赤血球型?)が冷え切る前に表面エネルギ以上のレーザ入力で粉砕するなんてできるのか疑わしくなってきた。 そっちは余裕です. それこそ腐るほど行われているピコ・フェムト分光なんかでは後発パルスのディレイをピコ秒・フェムト秒レベルで制御できるわけで,EUV光源のダブルパルス法におけるディレイ(1 μsぐらい)はどうとでもなるかと. ※極短時間のディレイならミラー位置ずらすとかの光路長の制御でできますし(
"Strong contributors to network persistence are the most vulnerable to extinction" S. Saavedra, D.B. Stouffer, B. Uzzi and J. Bascompte, Nature, 478, 233-235 (2011) 共生関係にある様々な種からなるネットワークというものは,自然界をはじめ我々人間社会の中にも非常に多く見受けられる構造である.そのためこういった自然界/人間社会の中のネットワーク構造は,物理学,統計学,社会学などの考察の対象となってきた. このような共生関係にあるネットワーク中においては,時として相互作用する相手を非常に限定する事で,つまりニッチな場所に入る事により競争を避ける種が現れ,種の多様性が生じる.種の多様性の存在自体がネットワークの強靱性を増す事は各種の研究
"Suppression of the coffee-ring effect by shape-dependent capillary interactions" P.J. Yunker, T. Still, M.A. Lohr and A.G. Yodh, Nature, 476, 308-311 (2011). 卓上についたコーヒーなどの雫を乾燥するまで放置すると,分散していた成分が雫の周囲に集積し,リング状の汚れとして残る,というのは日常生活でもよく見るものである.何でもこれ,コーヒーリング効果なるそのままな名前がついているようだ.このコーヒーリング効果,印刷や表面コーティングの分野では,不均一な塗布を生み出してしまうことからどうやって抑制するかが日夜研究されており,溶液の表面張力を変えてみたり,濃度を調整したり,乾燥条件を変化させたりと様々な努力が行われている. さてこのコーヒーリ
"Hydrogen is an energy source for hydrothermal vent symbioses" J.M. Petersen et al., Nature, 476, 176-180 (2011). 通常我々の身近な生態系は太陽光を一次エネルギーとし,それを利用して固定された炭素を代謝してエネルギーを得ている.しかし生物には他にも様々なものを栄養として生活するものがあり,Fe2+,Mn2+,硫黄や硫化水素,水素,メタン,NO2 -,アンモニアと言った様々な化学種を酸化することでエネルギーを得て,それを使って環境中の二酸化炭素から炭素を固定する各種の細菌群(化学合成独立栄養細菌)が存在する. さて,そのような化学合成独立栄養細菌の宝庫と言えば,言わずと知れた深海の熱水噴出口である.ここではメタンや水素,硫化水素を多量に含む熱水があふれており,そこから化学エネルギー
"Climate Trends and Global Crop Production Scince 1980" D.B. Lobell, W. Schlenker, J. Costa-Roberts, Science, 333, 616-620 (2011). 人為的起源の温暖化の存在そのものに関してはコンセンサスがとれてきたが,その定量的な程度に関してはまだまだ議論があり,さらにそれがもたらす経済的(と言うか食料的というか)な損害となってくるとその見積もりは人によりかなりの幅がある.まだまだ研究は緒に就いたばかりである. 見積もりを難しくしている要因には色々あるのだが,例えば 1. 実測データの不足 2. 計算量による気候モデルの荒さ 3. モデルの正確さの不足 などがある.1に関してはデータがだいぶ積み上げられてきており,また2に関しても近年の計算機の進歩と投じられる研究費の増加により
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『phasonのページ | スラド』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く