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---名目GDP成長率が1%アップすると財政収支は約10兆円改善します。名目GDP成長率が年率3.3%を越えると一般政府(国と地方および社会保障基金を合わせたもの)の財政収支は黒字に転じます。--- 前回の記事では、名目GDP成長率が1%アップするとどれだけ税収が増えるか、を調べましたが、今回の記事では、財政赤字がどれだけ減るか、を調べます。 * 毎年の財政赤字額とはもちろん、政府支出額と税収の差のことです。(この不足分を政府は借金(国債発行)で補わなければなりません。) このうち税収は、成長率が高いほど増えます。景気が良いとおもに所得税や法人税の税収が増えるからです。前回調べた通りです。 いっぽう政府支出額は、成長率が低いほど増えます。景気が悪いとしばしば景気対策のための財政出動が行われるからです。 両者の効果が合わさって、財政赤字額は成長率が高いほど減ることになります。その関係を定量的
出所:国税庁「統計年報」 単純に計算すると、消費税の税率が3%から5%に1.67倍になると、消費税収も1.67倍になります。 1996年の消費税税収6.1兆円の1.67倍は10.2兆円です。確かに、1998年にはその水準に達しています。約4兆円の増加です。(しかし、これは財政出動によって消費が下支えされたためで、もし財政出動がなかったら、税収は見込みに達しなかったはずです。) しかし、その背後で起きたことに注目する必要があります。 所得税で3.6兆円、法人税でも3.7兆円税収が減りました。消費税収の増加をすべて打ち消しても足りず、国税全体では4.9兆円の減少になりました。景気の悪化に伴う税収減に加えて、景気対策のための減税がその原因です。 消費税率アップで4兆円の税収の増加を期待しましたが、実際には、総税収が4.9兆円減ったのです。 ■景気悪化のメカニズム 再び、TORI研究所さんの記事「
---これまでゼロ成長だったものが景気回復で年2%成長に転じたとすると、「総税収」は155.0兆円から162.8兆円まで1年間で7.8兆円アップします。2年目にはさらに3.2兆円、3年目にはさらに3.4兆円アップします--- * ブログの更新を長期にわたってお休みすると書いたばかりなのですが、休む前に記事にしておきたいテーマが2つほどあったことを思い出して、気になって仕方がないので、今回と次回の2回だけ追加で更新します。 名目GDP成長率が1%アップすると税収がどれだけ増えるのか、をさまざまな税で調べてみました。 ちょっと記事が長くなるので、結論に興味がある方は最後のほうの「■名目GDP成長率により税収はどう変わるか」という節をご覧ください。 (7/21付記:リーマンショックで激減した税収は回復しつつあります。注6に書き加えました。) ■税種別の税収の推移 まず、税の種類別に税収の推移をみ
本ブログでは、日本の財政赤字と累積債務の持続可能性について、過去に何度もとりあげてきました。しかし、リーマンショックの後、ここ1年半ほどの間は累進税制などの話が中心で、財政赤字と累積債務の問題からは遠ざかりました。 そのわけは、政策目標が転換したので安心していたからです。 リーマンショックの後、麻生内閣のもとで、累積債務のGDP比を発散させない、あるいは抑制していくという適切な目標が選択されました。2011年度までのプライマリーバランス(利息の支払や受取、および国債の発行や償還を除いた財政収支)の黒字化という(あとで説明しますが)あまり意味のない不適切な目標が、賢明にも放棄されました。 鳩山内閣にも、累積債務のGDP比を基本とする考えは引き継がれました。 適切な目標が選択されているかぎり、大きな間違いは起こらないであろう、と安心していました。 しかし、WSの空耳でなければ、先日発足した菅政
20年前の不動産バブルの終了は(おそらくは地価および金融政策の誤りのために)ハードランディングとなりました(バブル崩壊)。 その悪影響で低迷を続けていた日本経済がようやく立ち直りの兆しを見せていた1997年に、景気回復より財政再建を優先する超緊縮予算が組まれ、また、消費税などの負担増も重なりました。 橋本構造改革です。 景気は再び急速に悪化しました。 4月には日産生命が破綻、11月には拓銀と山一証券が破綻。 景気対策のため年末には特別減税が実施されることになり、財政再建路線の誤りは半年を待たずに明白になりました。 この時期の景気の急速な悪化は、経済指標にも表れています。 次の図からは民間投資(住宅投資や民間企業設備投資)が1997年前後に急速に冷え込んだことがわかります。 図1 (クリックで拡大) 民間投資の伸び率は、1997年1-3月期まで消費税率アップ前のかけこみ需要期待でプラスでした
今回の記事は気が重い。書くのがためらわれます。日本の所得分布の現状と、その再分配という微妙な問題を扱うからです。どう書いても結局は、裕福な方は一時的にその所得の一部を提供して下さい、という話になりますから。これから書くことは10年ほど前から頭の中にあったのですが、書けませんでした。今日、やっと書きます。 ■所得再分配の強化を主張する人の論拠 当ブログではくりかえし、日本の財政赤字問題の解決に最も有効な政策は消費性向のアップによる内需拡大であり、そのためには所得再分配の強化が必要である、と述べてきました。マクロ経済面から見た、再分配の勧めと言えます。 べつに、わざわざマクロ経済など持ち出さなくても、ご承知の通り、現状があまりにひどいから、再分配の強化を主張する強力な論拠はあります。憲法25条(生存権)です。 第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 2 国は、
今回は日本経済の潜在成長率と雇用の安定性、および、それらの推移について、オーカン(Okun)の法則をもとに推定し、その推移の原因を考えてみます。 オーカンの法則とは、景気がよければ失業は減る、という(あたりまえの)法則です。 ■経済の現状と大規模な財政出動 米国ではGDP比6%の緊急経済対策が実施されることが決まりました。 昨年10-12月期のGDPが2ケタのマイナスとなった日本でも大型の経済対策が実施されるでしょう。 歓迎したいと思います。 企業がリストラを行い、それが家計の消費意欲を減退させる。 さらに企業は弱気になって新規投資を控える、というのが現在の経済の姿です。 民間部門に任せておくだけではデフレスパイラルに突入してしまいます。 恐慌突入の不安が社会を覆っているときに、需要を補って景気を下支えできるのは公的部門による支出しかありません。 問題は、財政出動の規模と対象です。 財政出
表題の件について、これまで知らなかったのですが、GDPが消費税の分だけ かさ上げされていると考えると、これまで疑問だったことがうまく説明できる気がしています。 まずWSにとって何が疑問だったのか、というところから話を始めます。 ■1997年の消費税率アップで税収が減ってしまったこと 以前の記事「消費税率アップという「苦い薬」はホントに良薬ですか、Yさん?」で1997年4月の消費税率アップ(3%→5%)では、総税収が増えるどころか、逆に減ってしまったという事実を紹介しました。 住宅投資や民間設備投資の急激な落ち込みなどにあらわれた景気悪化のために、所得税や法人税の税収が落ち込み、それらの税収減が、消費税収の増加を上回ったためです。 ちょっと数字を見ておきましょう。 いま、税制調査会の以下のホームページに、所得税関係の参考資料がたくさんアップされています。 税制調査会 第2回 専門家委員会(平
高度成長期の1963年からバブル崩壊後の1997年までの35年間に、日本の家計の所得の伸び率がどう推移してきたか。 中間所得家計や高所得家計や低所得家計で伸び率に違いがあったのかどうか、を貯蓄動向調査報告(現在の「家計調査」の前身)で調べてみました。 1960年代には、低所得家計の所得の伸びが高所得家計のそれをいくらか上回っていました。 しかし、所得の伸び率自体が大きかったので、伸び率のばらつきは比率でみるとわずかでした。 1970年代には、第一次オイルショックの時期に低所得家計の所得が他の所得層にくらべて伸び悩んだものの、70年代後半にすぐにその遅れを取り戻しています。 70年代を平均してみれば、全所得層でほぼ均一な所得の伸びが実現していたと言えます。 1980年以降は、一貫して、高所得家計の所得ののびが低所得家計のそれを上回っています。 今回の記事では、上記のような推移をグラフで観察し
このところ消費税率をアップして社会保障に使う、という声がよく聞こえてきます。 でも、それは、水を満々とたたえた大河には手を付けないで、たくさんの小鳥や小動物が憩う小川から大量の取水をするようなものです。 次に示す図1は、2007年の家計調査と2007年度の国税庁統計年報から推定した、家計の税引き前の所得(年収)と消費額です(*1)。 年収で20階級にわけ、それぞれの階級での中央値を示しました。 図1 高所得側へ行くほど年収は急激に増えますが、消費額の増え方はそれほどでもありません(*2)。 その結果、消費税負担の年収に対する割合は低所得家計で重く、高所得家計では軽くなります。 次に示す図2は、家計を年収合計が同じ3つのグループに分けて、それぞれのグループの家計数や消費額の合計を示したものです。 3つのグループを順に、低所得家計のグループ、中所得家計のグループ、高所得家計のグループと呼ぶこと
「累進, 所得税, twitter」のようなキーワードでググッてみると、最高税率を引き上げてもそんなに税収は増えないよ、という趣旨のツブヤキが引っかかりました。 本当でしょうか。 ほぼ、いいえ、と答えてよいでしょう。 「ほぼ」とつけ加えたのは、累進強化による税収の増加幅は、税率の設計しだいで大きく変わるからです。 少なければ3兆円、多ければ30兆円くらいの税収増になります。 今回は、最高税率の引き上げなど、所得税の累進性を強めることで税収はどれくらい増えるのか、を2007年度の国税庁統計年報のデータを用いて見積もってみます。 * 本題に入る前に、確認です。 累進所得税の税率をアップする場合、税率表を決める大事な要素は3つあります(あとで出てくる図4を見ていただくとわかりやすいかと思います)。 1つめは、開始所得(税率が上がり始める所得)です。 たとえば、所得が2000万円以上の高所得者の税
過去10年間に、高所得家計や低所得家計にくらべて、中間所得家計の所得は大きく落ち込みました。 次の棒グラフは、2人以上の世帯の5年前の所得を100としたときに、現在の所得がいくらであるかを示しています。 短期的なゆらぎを除くために5年(60か月)移動平均をとって、その5年前の値と比較したものです。 過去10年分の月次データから計算しました。 ソースは 統計局ホーム/統計データ/家計調査/家計収支編 調査結果/6.参考結果表 です。 図1 横軸には、家計の所得分位をとってあります。 たとえば、20%とあるのは低所得側から20%目の家計という意味です。 仮に全部で8000世帯があるならば、1600番目の世帯の所得を5年前と比べていることになります。 すべての所得層で所得は減少しています。 この所得は名目所得なので、デフレ(物価下落)の影響もあるのでしょう。 所得層別に見ると、図の棒は中央付近で
先日の記事ではマクロ経済効果も考慮して、税収がGDPの20%であるような所得税単独税制の場合に、民間消費を最大化するような税率表を決定しました。 家計の消費性向は高所得になるほど小さくなります。 この事実から予想できることですが、求まった税率表は最高限界税率が90%超となるなど、累進性が強く、高所得家計に非常に厳しいものでした。 歴史的には、所得税の最高税率が92%であった1950〜1960年代の米国など、このような税率表もなかったわけではありません。 日本でも1983年以前は、個人住民税(18%)と合わせた所得税の最高税率は93%でした(参考:財務省HP 所得税の税率構造の推移と推移のイメージ図)。 しかし、現在の日本の最高税率が50%であることを考えると、90%を越える最高税率は現状ではさすがに「高すぎて」非現実的かも知れません。 そこで今回は、あとで詳しく説明するいくつかの仮定のもと
「最適」所得税制の話の5回目です。 今回は、消費税との比較をしてみます。 前回は、あるマクロ経済的な前提(税収と政府支出がいずれもGDPの20%で、かつ、民間投資が民間消費の33%)のもとで、税が所得税だけの場合に、民間消費を最大にする所得税制を求めました。 今回は、税が消費税だけの場合に、同じマクロ前提のもとで消費税率を決定します。 そして、GDPや、各家計の実効税率や可処分所得について、前回の所得税の結果と比較します。 その結果から読みとれる重要な点は、消費税単独で社会保障をやることは不可能である、ということです。 消費税の場合、低所得家計への扶助の財源を得るために、中間所得家計に大きな負担がかかります。 消費性向が低い高所得家計の税負担が非常に軽いためです。 その結果、民間消費を支える中間層が薄くなり、消費が低迷して民間投資も少なくなり、GDPの水準が下がってしまいます。 95%の比
30 表4:モデル国の減税後の税率 たとえば、もともと所得階層がCで税率が20%であった家計を考えてみます。経済が成長して、この家計は階層Dへ移動しますが、移動後の税率は30%よりはるかに低い17.1%で済んでいます。 これが以前の記事で紹介した「あのイザナギ景気のときには、二・五倍日本の経済規模が大きくなり、毎年減税をやったのに二・四倍税収がふえた」ことの秘密です。日本にはかつて宝物があった。経済成長と減税を可能にする、累進性の強い所得税制という宝物があったのです。 もう1つ、不運な家計を考えてみましょう。もともと中所得層Bで税率が10%であったが、経済が成長しても何らかの理由でそのまま階層Bにとどまった家計です。この家計は収入は増えませんでしたが、税率が10%から5.71%にほぼ半減するので、可処分所得は増えます。国の経済成長につれて減税が可能になる累進税制は、不運な家計にも優しい税制
■ 過去最高益を更新し続けた法人企業 次の図は、ここ数年の法人企業の売上高と営業利益の推移です(法人企業統計年報による)。好調だった外需を背景に、つい昨年の夏まで、輸出関連大企業を中心に過去最高益を更新していました。しかし、その好景気の恩恵は給与として従業員に還元されたとは言えません。 ■ 倍増した配当と増えなかった従業員給与 次の図は、企業の利益が何に使われたのか、その割合を示します。 ・従業員給与 ・株主への配当 ・役員報酬 ・法人税など ・内部留保 の5つの項目について、5項目の合計に対する割合を示しています。 見やすくするため、下半分を拡大すると次のようになります。 1990年のバブル崩壊時に従業員給与の割合は約70%でした。それ以降2000年ごろまで、従業員給与の割合は約80%まで増えました。その分、内部留保と法人税の割合が減っています。役員報酬の割合はほとんど変わりません。企業
細い管の開口端補正の長さは、「管の半径×定数」という形の従来の「公式」には全く当てはまらないのではないか、とWave of soundは考えています。「細い管での開口端補正の長さは、波長の8分の1」になるという仮説を順を追って説明し、関心のある皆様と情報交換をするのがこのブログ開設の目的です。最近は経済・財政にも関心をもっています。
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