「いいものが見つかりました!」。2008年冬、兵庫県西宮市の野草美千代さんは、知的障がいのある小学2年の娘・真菜ちゃんのことなどを普段から相談している公明党市議(当時)の田村博美さんに弾む声で語った。見つけたのは、デジタル化した教科書の内容を“読み”が苦手な児童・生徒向けにパソコンなどで再生する「デイジー教科書」。障がい児を持つ友人が教えてくれた。 試しに真菜ちゃんと一緒に使ってみた。すると、パソコン上で文章と読み上げ音声が同時に再生された。読み上げられる部分は強調して表示される。真菜ちゃんはそれを楽しそうに目で追いながら、音読しようとしていた。「これを使えば真菜も一人で“読み”ができるようになるかもしれない」。この光景を目の当たりにした野草さんは、手応えを感じ、「この教科書を学校でも活用して、他の子どもたちと“読む”喜びを分かち合いたい」と決意した。 野草さんと田村さんの“二人三脚”の取