立法と調査 2016.12 No.383(参議院事務局企画調整室編集・発行) 73 日本のオーケストラの課題と社会的役割 ― 東京におけるプロ・オーケストラの状況を中心に ― 第二特別調査室 新井 賢治 はじめに 現在日本には、33のプロ・オーケストラ1 が活動している2 。1年間に約3,800回の演奏会 が行われ、約425万人が来場している。約3分の1の9団体3 が東京に所在し、定期演奏会 等の活動をしている。また、東京には、複数の音楽専用ホールがあり、そこで毎日様々な 演奏会が行われ、オペラ、バレエ等のための新国立劇場も整備された。今や東京は、質・ 量ともに世界的な音楽都市である。 一方で、一部のオーケストラを除き、日本の多くのオーケストラは財政基盤がぜい弱で あり、国や地方からの公費助成なしには活動が困難な状況にある。また、国民の鑑賞機会 の観点から見ると、オーケストラは大都市に偏