サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
www.snrec.jp
この連載もついに最終回。ふさわしい話題として、音が出力される=完成する直前のセクション、マスターにおける音量(音圧)調整についてお伝えしたいと思います。 小泉こいた。貴裕 音圧調整前の最終確認 音作りが完成したら、最後にマスターセクションでピーク値(トゥルーピーク)とラウドネス値をチェックしましょう。これらは摂氏温度(絶対温度)と体感温度のような関係にあり、トゥルーピークが大きくても聴こえる音量が小さく感じることも、またその逆もあります。「聴こえる音量=体感音量」が一般的に「音圧」と呼ばれています。 市販の音源や他の歌ってみた音源と比較して著しく小さく聴こえる(=音圧が低い)場合、音が悪いと思われてしまうことがありますので、マスターセクションで適度な音圧に調整しておきましょう。調整にはマキシマイザーと呼ばれるエフェクトが便利で、筆者はWaves L1 Ultramaximizerを愛用して
日々音楽生活を送っていて、ふとした疑問が湧いたり、制作がうまくいかなくて悩むことはありませんか?『音楽制作お悩み相談室』は、サンレコWEB会員の皆様が、そんな疑問をいつでもプロに投げかけることのできるコーナーです。本日は、カトウさんからの質問にお答えいたします。 回答:中村公輔 Q. 曲を作った際、例えば1小節分のコードだけがどうしてもしっくりこず、DAW搭載のコード支援機能や、リハーモナイズについて提案してくれるプラグインを用いて、代替のコードを探すことがあります。 しかし、まれにどの代替案もピンとこず、頭の中で鳴っている雰囲気と一致しないことがあるのですが、特定の和音を当てはめてしまうと、成立しない曲、音楽というものもあるのでしょうか? それとも、私が正解のコードに辿り着いていないだけ、もしくは"頭の中で鳴っている探し求めている雰囲気"自体がある種の誤解…ということもあり得るのでしょう
ZOOMは、32ビット・フロートオーディオに対応した、ゲイン調整の要らない10chの超小型デジタルミキサー&レコーダー、LiveTrak L6(オープンプライス:市場予想価格36,900円前後)を9月下旬に発売する。 各入力チャンネル+ステレオマスターの12tr同時録音を実現 LiveTrak L6は、デュアルAD回路と32bitフロート録音技術を搭載したことで、ゲイン(入力音量)の調整が不要な世界初のデジタルミキサー。10ch分のオーディオ信号を入力し、別売りのmicroSDHC/SDXCカードに最大12トラック(10トラック+マスターL/R)の同時録音が行える(動作&録音サンプリングレートは48kHz)。 本体右側に電源用USB-C端子とmicroSDカードスロットを備える マイク&ライン入力に対応するch1&2のXLR/TRSフォーン・コンボ入力端子×2系統は、48Vファンタム電源の
1970年頃に活動を開始し、10年ほど世界を席巻したアメリカのシンセサイザー・メーカーといえば、ARP、MOOG、SQUENTIAL、そしてOBERHEIMがトップ4であることに異論はないと思います。そんなビッグ4の創始者たちが次々と鬼籍に入る中、現在もなお現役で活躍するエンジニアがトム・オーバーハイム。ついこの前、88歳の米寿をお迎えになりました。おめでとうございます。同氏率いる現在のOBERHEIMブランドに、最新モデルとして、5ボイスのアナログ・シンセTEO-5が加わりました。“TEO”というのは“Thomas Elroy Oberheim”、つまりオーバーハイムの本名のイニシャルですから、スタッフたちが創始者へのリスペクトを込めて付けたのかもしれませんね。 レビュー&テキスト:H2 現行モデルの中で最もコンパクトな筐体にOBERHEIMを代表するサウンドがびっしり TEO-5以外の
細井美裕 一度“聴こえなくする”ことで 本来の川の音を際立たせる方法を模索 初めての屋外展示が無事終了しました。連載第3回で紹介した奈良県の芸術祭『MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館』の展示公開までの記録を前/中/後編に分けて記録します。たどり着いたコンセプトは、“川の音を消すこと”でした。 作品タイトルは「Erode」。日本語にすると“浸食する/される”という動詞で、インストールされた音が本来の川の音を一度浸食し姿を見えなくすることで、再度現れた本来の音を際立たせ、人間が自然に向き合う0から1の瞬間を擬似的に生み出すことが目的でした。 画像処理のプログラムに詳しい方は同名の関数=erodeが思い浮かぶかもしれません。モルフォロジ演算の代表的な処理で、簡単に説明すると“収縮(erosion)によりオブジェクトの境界からピクセルが除去される。収縮により孤立した領域や小さなオブジェ
まるで人がつまみを動かしているような、身体性を伴った瞬間がある曲が好きなんです 札幌を拠点に活動するLAUSBUBは、岩井莉子(写真左)と髙橋芽以(同右)の2人から成るテクノ・ユニット。2020年、SoundCloudに発表した楽曲「Telefon」が大きな注目を集めたのも記憶に新しい。弊誌では2023年1月号のプライベート・スタジオ特集に登場してもらったが、この7月、満を持して1stアルバム『ROMP』をリリースした。岩井の手掛けるトラックにはさらなるアイディアがちりばめられ、髙橋のボーカルによる表現も多彩になり、1stアルバムながら新たなフェーズの始まりを感じる作品となっている。まずは、プライベート・スタジオ“3F STUDIO”の写真を元に、機材変遷の話から伺っていこう。 Text:Satoshi Torii Photo:Chika Suzuki(上記、および*マークの付いた写真)
iLoud Precision MTM、iLoud MTM MKII、ARC Studioの3製品をプロの目線でレビューしてもらおう。ファンク、R&B、ヒップホップに根差した作品を中心に手掛けるエンジニア、福田聡のプライベート・スタジオにてじっくりと試してもらった。 Text:Daisuke Kitaguchi(EDIT) Photo:Yusuke Kitamura レビュー:iLoud Precision MTM iLoud Precision MTM:206,800 円/1台 中高域の印象が音量の大小で変わらない。細かなところまで本機だけで追い込めます 粒が細かくしなやかなサウンド 福田は、普段からIK Multimediaのモニターを用いることがあるという。 「サブモニターとしてiLoud Micro Monitorを持っていますし、iLoud MTMも以前所有していました。iLou
米国のメーカーであるWARM AUDIOは、ビンテージ・マイクに範を取った製品を比較的リーズナブルな価格で数多く発売していて、好評を得ているものもたくさんあります。このたび発売されたWA-44は、これまでリリースしてきた製品群からさらに時代をさかのぼり、オリジナルは1930年代に発売されたリボン・マイクの名機RCA 44-BXです。どのような製品なのか、早速見ていきましょう。 レビュー&テキスト:山崎寛晃 撮影:川村容一(メイン画像) 日本で生産された純度99.1%のアルミ製リボン 外箱を開封すると、ジッパーで開閉するソフト・ケースの内部に、本体を縦にしっかりと固定できるようにマイクをかたどった発泡スチロールがあしらわれていて、さらに袋状のソフト・ケースに本体が収められています。リボン・マイクは構造上、繊細な取り扱いが要求され、基本的には垂直にしておく必要があります。本体の重量が重いので、
下北沢南口商店街に突如として現れる、ビビッド・カラーの看板が目印の下北沢LIVE HAUS。緊急事態宣言によるオープン延期などの困難を乗り越え、2020年8月1日に誕生した。ライブ・ハウス激戦区の下北沢の中でも、特に音響面が強みだというLIVE HAUSのこだわりについて、店長のスガナミ ユウ、PAエンジニアの堀田昌太郎に伺っていこう。 撮影:八島崇 まずは設計のコンセプトについて、スガナミに聞いた。 「LIVE HAUSは、下北沢THREEというライブ・ハウスの店長だった自分と、渋谷のOrgan Barというクラブの店長を務めていた(宮川)大仏君と共同で立ち上げたスペースです。それもあって、ライブ・ハウスとクラブ、その両面を持った場所を作りたかったんですよ。現在、昼間はライブ・ハウスとして、深夜はDJを中心としたクラブとして営業をしています」 写真左から、店長のスガナミ ユウ、PAエンジ
イギリスのシンセブランドPWMのシンセサイザーが日本に上陸。ハイブリッドアナログシンセMantis(242,000円)とモジュラー式ピュア・アナログシンセMalevolent(99,000円)が8月16日(金)に発売となる。 SUPERBOOTHで話題を呼んだシンセブランドPWM PWMは、イギリスで電子楽器業界での長い経験を持つポール・ウィッティントン氏によって設立。2021年のドイツSUPERBOOTHでブランドをお披露目し、MantisとMalevolentをアナウンス。2023年のSUPERBOOTHでMantisを発表した。そして今回、Malevolentの発売を機に、日本へのディストリビューションがスタートすることになった。 OSCarやWASPの機能を取り入れながら現代仕様にしたMantis Mantisは、EDP Gnat、WASP、OSC OSCarなど伝説的なシンセを手
ハウリングを気にすることなくパフォーマンスに集中できる(サトミ・マツザキ) 繊細なサウンドが表現でき、モニタリングもしやすい(Nancy) カーディオイドのNexadyne™ 8/C(以下NXN8/C)とスーパーカーディオイドのNexadyne™ 8/S(以下NXN8/S)をラインナップする、ボーカル用ダイナミック・マイクSHURE Nexadyne™ 8シリーズ。特許技術“Revonic™(レボニック)テクノロジー”により、明瞭度の向上、不要な信号の除去、ハンドリング・ノイズの低減などを実現し、ライブ向けボーカル・マイクとして有用な仕上がりであることがうかがえる。本連載では、PAエンジニアとボーカリストにライブ形式を想定した製品チェックを行っていただき、その結果を全4回にわたってレポートする。今回は、PAとレコーディングの両方で活躍するエンジニアNancy、そして彼女が10年来PAを担当
クリムゾンテクノロジー株式会社が手掛ける、利用料/楽曲登録料が無料の音楽配信代行サービスCRIMSON MUSIC。ユーザーインタビューも交えて、その魅力をひも解いていく。 無料サービスが充実したCRIMSON MUSICでの配信 CRIMSON MUSICは、クリムゾンテクノロジー株式会社が手掛ける、利用料/楽曲登録料が無料の音楽配信代行サービス。ダウンロードサービス楽曲の売上は100%アーティストへ還元されるのが大きな特徴だ(サブスクの売り上げは80%還元)。 そのほか、配信先のストアなどをまとめたリンクページlinkfireの作成、歌詞投稿コミュニティ「プチリリ」への投稿代行、配信に必要なJANコードやISRCの発行及び管理、JASRACへの著作権登録代行など、多彩な無料オプションが用意されている。 主な配信サービス一覧 登録に必要なもの 音源 ジャケット写真 楽曲情報 上記3点を、
Moogから、2基のジェネレーティブシーケンサーを搭載したセミモジュラー型アナログシンセサイザーLabyrinth(オープンプライス:市場予想価格98,800円前後)がリリースされた。 Labyrinthのデュアルシーケンサーは、それぞれが独特な8ステップのシグナルパスを生み出し、互いに影響し合いながら偶発的なドラムやベースラインのサウンドパターンを形成する。 また、Labyrinthは多機能パッチベイを装備しており、アナログクロックやMIDIを通じてほかの機器とも連携可能。例えば、同じくMoogがリリースしている4音パラフォニックのセミモジュラーアナログシンセMatriarchとの同期演奏や、可変式の10バンドフィルターバンクで構成されたアナログスペクトラルプロセッサーSpectravoxとのスペクトル生成など、多彩な拡張性も魅力の一つだ。 Moog Labyrinth 製品情報 htt
Dos Monosのラッパー/ビート・メイカーの荘子itです。僕の音楽制作は、常にAbleton Liveと共にあり続けてきました。最初に手に入れたのはオーディオ・インターフェースに付属していたLive 8体験版。それ以降Liveを使い続け“まずはLive付属デバイスで音を出す”という考えが根付いています。そこで、連載初回は、付属インストゥルメントでの音作りを紹介。5月にリリースしたDos Monosの最新アルバム『Dos Atomos』の収録曲でも相当な数を使っています。 解説:荘子it|第1回 ギターや鍵盤は使わずにAPPLE MacBook Proのみでアイディア出し 最初に紹介するのは10曲目の「ATOM」です。僕のバースから始まる曲で、バック・トラックで流れるギターのメイン・リフには、付属インストゥルメントTensionのプリセットNylon Old Guitarを使いました。
YAMAHAは、柴咲コウの声を元にしたVOCALOID6専用のボイスバンク『galaco BLACK』『galaco WHITE』を発表。インターネットを販売元として、8月5日(月)に発売する。 galacoは、俳優・歌手の柴咲コウの声を元に作られた『VOCALOID(TM)3 Library ギャラ子 NEO』(2014年8月発売)の10周年を記念して、ヤマハとSDR、ビクターエンタテインメントとの協力体制の下、VOCALOID6用にリメイク。VOCALOID6の合成エンジンVOCALOID:AIで、自然で表現力豊かな歌声が合成できる。 また、クリエイター自身の歌唱データをもとに歌い方や歌詞を再現するVOCALO CHANGER(ボカロチェンジャー)機能や、日本語・英語・中国語を織り交ぜた流暢な歌唱を可能とするマルチリンガル機能にも対応している。 ボイスバンクは、力強くもナチュラルなga
MACKIE.から配信向けの素晴らしいアイテム、DLZ Creator XSが発表されました(6月25日発売予定)。一台あれば、初心者でも簡単に音声配信が行えるデジタル・ミキサーです。以前、上位機種であるDLZ Creatorをレビューさせていただいたのですが、本モデルも全く引けを取りません。コンパクトな見た目からは想像が付かないほど機能満載なDLZ Creator XS。早速、チェックしていきましょう。 レビュー&テキスト:いけだゆうた(BREIMEN) 撮影:川村容一 上位機種と同じONYX 80マイクプリを搭載 ユーザーの熟練度に合わせた3モードを選択可能 まず驚いたのは、本体のコンパクトさとシックなデザインです。260(W)×83(H)×204(D)mmのボディに7インチの大きなフルカラー・タッチ・ディスプレイが付いて、重量はわずか1.2kg。机の上のちょっとしたスペースに置くこと
東京・渋谷のシビック・クリエイティブ・ベース東京(CCBT)が、体験型イベント『オーディオゲームセンター+CCBT』を開催。同イベントは、音声のみを用いて作られた“オーディオゲーム”を体験するもので、夏休み期間を中心に実施される。 音だけで楽しむオーディオゲーム体験 オーディオゲームとは音から発想され、音のみで楽しむゲームのこと。視覚情報に頼らずに、音声情報をだけを活用した新しいゲーム体験だという。このイベントではオーディオゲームの体験コーナーや創作体験コーナーが設置されるほか、オーディオゲームを創作するハッカソンやゲストを招いたトークセッションなどが行われる。 『オーディオゲームセンター+CCBT』プログラム詳細 ハッカソン「音からゲームをつくる」 開催日:7月13日(土)~15日(月・祝) 内容:オーディオゲームの魅力や創作方法、ビデオゲームとのアクセシビリティの違いなどを講師陣が解説
かつてフランスには、RSFという小さなシンセサイザー・メーカーが存在していました。1978年に発売された鍵盤付きの小型シンセKobolは、生産数こそ限られていましたが“フランスのMinimoog”とも呼ばれ、ジャン・ミッシェル・ジャール、ハンス・ジマー、ヴァンゲリス、デペッシュ・モード、ニッツァー・エブといった偉大なミュージシャンに愛用されたそうです。その後発売された3Uラック版のExpander Iを現代的なユーロラック・フォーマットで再現したのが、BEHRINGER Kobol Expanderです。 レビュー&テキスト:Yebisu303 撮影:川村容一 ほぼすべてのパラメーターにCV入出力を搭載し自由度の高い音作りを実現 まず目を引くのはその特徴的なパネルです。上下対称に並んだつまみとスイッチに対応する形でシグナル・フローが描かれているため、今触っているパラメーターが、どのように前
Typhonは、2オシレーター+アナログ回路のフィルターを搭載するモノフォニック・アナログ・シンセサイザー。綿密にデザインされた8つのノブを中心としたインターフェースでシンセ・コア部分をコントロールでき、コンパクトなボディの内部にはノート・シーケンサーや柔軟なモジュレーション群に加え、音楽ソフトウェアの設計/構築を専門とするSINEVIBES開発の強烈なDSPエフェクトなどを盛り込んでいます。早速、僕なりにつかんだ感触を紹介していきます。 レビュー&テキスト:深澤秀行 撮影:川村容一 WAVEノブ1つで2つのオシレーターの波形を調整可能 まずは外観。非常にしっかりとしたアルミ製でテーブルなどにセッティングしたときの存在感は強いです。重さもそれなりにあるのでライブ時にも安定するでしょう。入出力はオーディオ出力L/R(TRSフォーン)、ヘッドホン出力(ステレオ・ミニ)のほかにモノラルの外部オー
Ableton Live 12.1が発表された。Live Liteを含むすべてのエディションにおいて、新機能の追加や従来機能&ワークフローの改善が行われている。Live 12のユーザーはベータプログラムに参加することで、今すぐ無料アップデートを楽しむことができる(英語のみ)。ベータテスト期間終了後、Live 12のユーザーはLive12.1に無料でアップデート可能だ。 Auto Shift〜ピッチ補正&ハーモナイズ機能 Auto Shiftは、新たなピッチ補正&ハーモナイズ機能。スケールを選択するだけですべてのノートをキーに合わせることができるほか、MIDIサイドチェインを使用すれば、任意のモノフォニック信号からハーモニーを作成できる。 ビブラートを追加したり、MPEまたはデバイスのLFOを使用して、サウンドにモジュレーションをかけることも可能だ。 自動タグ付け機能 フィルターを使用して、
今年も7月26~28日の3日間、新潟県湯沢町苗場スキー場にて開催されるFUJI ROCK FESTIVAL(以下、フジロック)。開催を記念して、2022年に弊誌で公開したWHITE STAGEのPAシステムをWeb記事として公開! 2024年は各日のヘッドライナーとしてPEGGY GOU、GIRL IN RED、TURNSTILEを迎え、そのほかにも国内外の注目アーティストが多数出演する。同ステージのPAを手掛けたトライオーディオの東雅明氏による解説を中心に、サウンド・システムの紹介や運営チームのスタッフによる裏話などを紹介していこう。※PAシステム、セッティングなどは2022年10月号掲載時のものとなります。 Text:Kanako Iida Photo:Yusuke Kitamura チームで支えるフジロック〜100%のパフォーマンスを満足してやれる場所を提供するように チームワークが
細井美裕 我々が思う“公園”の役割を問い直す日比谷公園の持つ歴史 日比谷公園で新作『余白史』の展示が終了しました。東京都のプロジェクトで、現代美術作家の大巻伸嗣さん、建築家の永山祐子さんと、細井の3名による屋外展示です。 お話をいただいてから、まず圧倒的なビジュアルの作品を作られているお二方と、音の作品がどのように共存すべきかを考えました。日比谷公園の歴史のリサーチから始め、公園に通ってたどり着いたのは、日比谷公園のサウンドスケープを公的に保管する、というリサーチ・ベースの作品です。 日本初の洋風近代式公園として作られた日比谷公園は、我々が思う“公園”の役割を問い直すさまざまな歴史を持ちます。例えばまだ公園に花があれば盗まれる時代に、“花を盗まないくらいの公徳心を養う教育機関のひとつ”として花菖蒲、朝顔、菊しか見ていない人々にチューリップやパンジーを、しかも西洋花壇の形式で鑑賞させる(*)
15年間で感じた音楽シーンと社会情勢の変化 2009年の8月に、何の計画もないまま“1年住んでみよう”とベルリンに越してきてから、もうすぐ15年が経つ。そして、これがこのコラムの最終回となった。ベルリンに移る前の東京時代、『サンレコ』には主にインタビューの通訳要員としてよく関わっていた。ベルリンで仕事のあてのなかった私に、当時お世話になっていた編集者の白石裕一朗さんが作ってくれたのがこの連載枠だった。 当初はフリーランスのライターとして、執筆や編集を主にやっていたが、だんだんとアーティストのマネージメントやブッキング、イベントの制作などの仕事が増えていった。その間、実にさまざまな仕事をやってきたが、思えばこのコラムだけがずっと一貫して続いてきた。それが、自分にとっても大きな転換期となった2024年に遂に終わるというのは、感慨深く、なにか運命的なものすら感じる。 この15年の間に、世界的な音
フィールド・ワークから音楽のレコーディング、ポッドキャストや映像用のオーディオ収録まで、さまざまな用途に対応したハンディ・レコーダーZOOM H4essential。今回はこちらの製品をレビューさせていただきます。 レビュー&テキスト:佐藤公俊 最大入力音圧130dB SPLに対応 視認性の高いフルカラーLCD搭載 H4essentialは、手のひらに乗るコンパクトなサイズ感。最大4chの同時レコーディングに対応し、最高32ビット・フロートで44.1/48/96kHzの録音が可能です。筆者は学生時代に同社のH4Nを使用していたのですが、そのころからなじみ深い、指向角90°のX/Yステレオ・マイクを内蔵します。耐音圧は130dB SPLで、大音量の入力でもひずむことなく収録できるでしょう。風が強い屋外などで必須のローカット・フィルターは、オフ/80/160/240Hzの4段階で設定ができ、内
祝・完全復活!独自の音響システム“SPEAKER+”の全貌やメンバーの楽器写真から約2年ぶりのツアーを徹底解剖 2024年4月から全国アリーナ・ツアー『SAKANAQUARIUM 2024 “turn”』をスタートさせたサカナクション。山口一郎(vo、g)の体調不良による休養もあり、約2年ぶりとなったライブを待ち望んでいたファンも多かっただろう。ライブに先立ちアナウンスされていたのが、“SPEAKER+”という独自の音響システムを用いていること。音響的な死角をなくすためのシステムとのことだが、一体どのように構築されているのだろうか。PAエンジニアを務めたアコースティックの佐々木幸生、笠井宏友、機材の手配などを担当したアーチドゥーク・オーディオの四辻恒太郎の話から解き明かしていこう。 DATE:2024年4月21日(日) PLACE:幕張メッセ国際展示場9-11ホール PHOTO:鳥居智 P
スズキユウリとコーネリアスとのコラボレーションによる『THE AMBIENT MACHINE - Cornelius edition』が発表。50台のLimited Editionとして抽選販売される(220,000円)。 スズキユウリはロンドンを拠点に活躍するサウンドアーティスト/エクスペリエンスデザイナー。これまでサンレコでは、レイモンド・スコットの電子楽器Electroniumを解析&復刻する『Electronium Project』や、細井美裕との作品『Crowd Cloud』を紹介してきた。 スズキによるTHE AMBIENT MACHINEは、32個のトグルスイッチ(8種類の音源×4種類の機能)を掛け合わせることでアンビエントミュージックをカスタマイズすることができる作品だ。2023年にはサンフランシスコMoMAのパーマネントコレクションに選定されている。 コーネリアスこと小山
エントランスにあしらわれた、バスドラム用ヘッドの数々(Photo by Daisuke Ohki) 昨年逝去した高橋幸宏の業績を網羅的に振り返る展覧会『YUKIHIRO TAKAHASHI COLLECTION Everyday Life』が、高橋の72回目の誕生日である6月6日(木)から9日(日)まで、東京・代官山ヒルサイドテラスで開催されている。 音楽家/ファッショニスタ/釣り師...etcの多才なキャリアを総括 音楽としてのソロキャリアはもちろん、YMOをはじめとする数々の参加バンドでの活動、レーベル主宰としての顔のほか、テレビや映画への出演、エッセイ集などの著書、さらには自身のブランドも持つファッショニスタとしての一面、愛好した釣りにまつわるアイテムなど、公私に渡って高橋の多才な面を感じ取れる本展。所属事務所ヒンツ・ミュージックの佐藤雅和によると、メイン会場となる代官山ヒルサイドフ
GForce Softwareから、OberheimのリズムマシンDMXをソフトウェアとして再現したOberheim DMX(オープンプライス)がリリースされた。通常価格8,470円前後のところ、6月1日(土)まで約50%オフの4,180円前後で販売される。 Oberheim DMXの実機(Photo : Alison CC BY-SA 4.0) DMXは1980〜1981年にOberheimからリリースされたサンプリングベースのリズムマシン。ニュー・オーダーやマドンナ、RUN D.M.C.などの、時代を彩る名曲で使われてきた。国内発売当時の価格は890,000円。 DMXは24種類の音色を備えていたが、EPROMの交換で別の音色を扱うこともできた。このGForce版Oberheim DMXでは、1981年および1983年のアップデートされたDMX、姉妹機DX、Sequential Drm
GForce Softwareは、伝説的なイギリスのハードウェアシンセOxford Synthesizer Company(OSC) OSCarを再現したソフトシンセ、impOSCarの最新版=impOSCar3をリリース。通常価格22,550円のところ、6月14日(金)までイントロプライスとして約50%オフの12,980円で販売される。Mac/Windowsで動作し、スタンドアローンまたはAAX/AU/VST/VST3プラグインとして動作する。 OSCar3のウェーブテーブルエディター画面 impOSCar3の中核を担う独自のデュアルフィルターは、ドライブ/カットオフ/Q/セパレーションを備えた9つのフィルターモードを搭載。また、2ポールあるいは4ポールのLP/HP/BPを組み合わせた複数の設定により、フォルマントのようなテクスチャーやフェイジング、レゾナンスエフェクトを生成することがで
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『サンレコ 〜音楽制作と音響のすべてを届けるメディア』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く