新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、憲法上の現実的な問題点が浮き彫りになったにもかかわらず、改正に向けた国会の動きは遅々として進まない。緊急事態宣言の解除が決まったが、感染第2波や大規模自然災害などにいつ見舞われても不思議ではない国にわれわれは生きている。「政治家は歴史法廷に立つ被告だ」。国民の生命と財産を守る責務を負う国会議員は、中曽根康弘元首相が残した言葉を胸に万全を期すべきだ。 「感染予防を怠ったとたん、一気に感染が広がっていく。これが、このウイルスの最も怖いところだ」 安倍晋三首相は25日の記者会見でこう述べ、宣言解除後も新型コロナへの警戒を緩めないよう訴えた。最も肝に銘じるべきは、国民の生活を支えるための法案を審議し、成立の可否を決める与野党の国会議員であろう。とはいえ、予見不能な国難への備えは十分とはいえない。 感染第1波によって明らかになったのは、抑制策の選択肢を広げることを