0-0のまま90分が過ぎ、延長戦に入る直前。試合に出ていない内田篤人、森本貴幸がチームメートの足をほぐし、中村俊輔が岡崎慎司に身振り手振りを交えてパラグアイの特徴をアドバイスする。すでにピッチを退いていた松井大輔が気合いの入った表情で本田圭佑に「頼むぞ!」と声を掛け、本田は力強く頷いた。 一丸となって闘っていた。 それは、紛うことなき真実だった。 結果、パラグアイの前にPK戦で敗退した。 4試合2失点と完璧に近い守備を見せた田中マルクス闘莉王が、センターサークルの上で大の字になる。デンマーク戦でスーパーFK弾を決めた本田はうつむいたまま、スタンドへ向かった。PKを外して泣きじゃくる駒野友一の肩を、涙ボロボロの松井大輔が抱いている。あのクールな遠藤保仁も涙を流していた。 やりつくしたが、勝利に届かなかったという事実がスタジアムに存在した。 前半20分の戦術変更も含め、ほぼプラン通りの試合運び