ちくま学芸文庫の「中井久夫コレクション」シリーズは、今までもこのシリーズに関してはさんざん「いい!」と書いてきたわけですが、この『「思春期を考える」ことについて』もとても刺激を受ける1冊。特に教育関係者にはぜひ読んでもらいたい1冊です。 精神医学の本を読み慣れていない人にはせめて「ある教育の帰結」だけでも読んで欲しい。 「ある教育の帰結」は、1960年代後半、おそらく愛知県と思われる県で管理主義教育が強化された結果生み出された悲劇を綴った文章です。 ある女子生徒が小学4年生ころ、学校では日教組が劇的に打倒され学校ではさまざまな小テストをはじめとするテストが盛んに行われるようになりました。教員の緊張感は少女にも伝わり、何かに追われるように少女は勉強に精を出します。彼女は優等生で成績はクラスで主席か悪くても3番以内。しかし、もう一人のライバルの女の子とは違って、彼女の勉強というのは「教科書がそ