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KADOKAWAがランサムウェア攻撃にさらされた一件は、日本中にサイバーテロの脅威を改めて知らしめたと言える。被害に遭わないためにはどのような対策が有効なのか。かつてイギリス政府機関のサイバー部門で活躍し、現在はサイバーセキュリティ企業CyfirmaのCEOを務めるその道のプロが、対策法を分かりやすく解説する。 復旧費用だけで3億円以上 ランサムウェア攻撃が相変わらずセキュリティ業界では大きな話題になっている。 世界中でランサムウェア攻撃は猛威を振るっているが、日本では6月8日、大手メディア企業のKADOKAWAへのランサムウェア攻撃が明らかになり、いまもまだ完全復旧には至っていない。 企業がランサムウェア攻撃に直面すると、まず考えるべきことがいくつかある。 まずは、ランサム(身代金)を支払うかどうかの判断をしなければならない。身代金を支払えばファイルのロックが解除されるかもしれないが、専
昨年夏、2018年に沖縄近海の光ファイバー海底ケーブルから中国製の盗聴装置が発見されていたことが在沖縄米軍向け英字誌の指摘で明らかにされ、防衛・通信関係者に衝撃を与えた。だがこのときクローズアップされた海底ケーブルの脆弱性について、その後の日本の対策は十分とは言えない状況が続いている。もし「台湾有事」となれば、海底ケーブルの“脆さ”は日米台、ひいては背後に北朝鮮を抱える韓国などにも致命傷となりかねない。日本の大手民間電気通信事業者OBもこう警鐘を鳴らす。「民間任せではもう限界。重要インフラとして国を挙げて防護、管理を進め、近隣国・地域とも協力する必要がある」――。 “むき出し”の超重要インフラ 「米軍基地の電話線ルートなども含め全容を把握している」 那覇市内で筆者のインタビューに応じた大手民間電気通信事業者OBはこう切り出した。 彼が一例として挙げたのが沖縄本島勝連半島先端に位置する海上自
蓮舫さんの経歴は、抜群です。旧民主党政権では国務大臣を務め、旧民進党代表(途中で投げ出しちゃったけど)も歴任するという輝かしい経歴を持ち、状況が許せば日本憲政史初の女性総理大臣にも就任するかもってぐらいの、野党の切り札的存在。 そんな抜群の知名度を持つ大物の蓮舫さんを都知事選に担ぎだしたところまでは良かったんですけれども……。蓋を開けてみたら、俺たちの女帝・小池百合子さん相手に大惨敗してしまったのは皆さん記憶に新しいところかと思います。 立憲民主党や日本共産党など野党陣営からしますと、いくらエース級の蓮舫さんとはいえ、現職都知事に勝ち切るのは当初から難しいと判断していたようです。せめて、2020年の都知事選で担ぎ出していれば、まだ勝算はあったんじゃないですかねえ……。 東京都下の衆院選に鞍替えする布石として、都市部で人気が急落している自民党へのダメージと、衆院選顔見世の一環として蓮舫さんが
連合東京が野党勢力の候補を支援しなくなった元凶 ある程度いけると思っていた蓮舫さん陣営。それでも小池さんに惨敗してしまったので、なんでこんなに苦戦したのと反省するために、立憲民主党は主力の支持団体である連合(日本労働組合総連合会)の会長・芳野友子さんに来てもらって、敗戦の総括をしたわけですよ。 もっとも、蓮舫さんは幅広い支持を集めるためとの名目で「オール東京」を標榜し、立憲民主党を離脱して無所属扱いとなりました。しかも、左派活動家や著名人のグループである市民連合を緩衝材として、日本共産党が無所属蓮舫さんを強力に支援しました。結果的に、これが裏目となって、オール東京ではなくオール左翼になった結果、活動家っぽい独特な選挙戦に都民の投票意欲は冷めてしまったのもまたむべなるかな。 ただ、この日本共産党と連合との間には、労働組合同士の長い対立の歴史もあって、同じ左派勢力でも不倶戴天の敵とも言える関係
バブル崩壊(1990年代初め)、リーマンショック(2008年)、コロナショック(2020年)など経済的な危機に見舞われるたびに大きく成長してきたアイリスオーヤマ。その秘訣について、同社の大山健太郎会長は「ピンチをチャンスに変える経営」ではなく、「ピンチが必ずチャンスになる経営」の結果と説く。同氏の著書『いかなる時代環境でも利益を出す仕組み』(日経BP)では、「経常利益の50%を毎年投資に回す」「新製品比率50%に設定」といった独自のKPIとともに、会社を変える「15の選択」を提示している。本連載では、同書の内容の一部を抜粋・再編集して紹介する。 第5回は、組織の活性力を保つための仕組みについて解説する。 <連載ラインアップ> ■第1回 アイリスオーヤマの“憲法第1条”「利益を出せる仕組みこそ重要」はなぜ生まれたか ■第2回 業界の定説に反したアイリスオーヤマの「農作業用の半透明タンク」が大
AP通信のフォトグラファー、エバン・ブッチ氏の「奇跡の一枚」。トランプ前大統領は7月13日の選挙集会で銃撃された直後、拳を上げて強さをアピールした(写真:AP/アフロ) 拡大画像表示 トランプ前大統領の暗殺未遂事件で、銃撃を受けた直後に拳を高く上げる写真が、「奇跡の一枚」として話題だ。 撮影したのはエバン・ブッチ氏。AP通信に所属し、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に押さえつけられ死亡したことへの抗議デモを撮影した一連の写真で、2021年にピュリツァー賞を受賞している。 SNSなどで「完璧」と賞賛される一瞬の構図を捉えた腕前は、これまでも様々なシーンで発揮されてきた。ピュリツァー賞を受賞した写真や、トランプ氏の「薄毛」写真、驚きの構図の写真などを紹介する。(JBpress) 【この記事に掲載している写真】 ・「奇跡の一枚」だけじゃない暗殺未遂現場の写真 ・トランプ氏の「薄毛」に関
斎藤元彦知事(46)の「パワハラ疑惑」を告発していた県の元西播磨県民局長(60)が7月7日に自死したことを受け、県職員労働組合が10日、片山安孝副知事へ斎藤知事の辞職を求める申し入れを行った。 同日の定例記者会見で斎藤知事は「私自身が生まれ変わってよりよい県政を進めていくために職員のみなさんとの信頼関係を再構築していくことをやるべき。それが私の大きな責任」と述べて辞職を否定したが、日に日に知事に対する県民の批判の声は高まっている。 土俵際に追い詰められた知事サイドに、この状況を打開する術もない。 「このような事態になったのは知事の責任が大きい。官僚出身で、知事になったことで殿様にでもなった気持ちになり、誰もが自分の言うことを聞くと思ってしまったのか、職員に対するパワハラ行為や、直ぐに怒鳴る、気が短いという気質がこの泥沼を生みました。 百条委員会も設置されましたから、今後、知事のパワハラなど
チャイナ・イノベーションは、応用や社会実装に強みがある一方、基礎技術に弱点があった。米国などの制裁によって輸入できなくなった、死活的に重要な35のボトルネック技術について、中国は自主開発に舵を切った。その結果、15の技術はすでに技術封鎖を突破し、実現したと見られる。一方12の技術は依然として国外に依存しているのが現状だ。(JBpress) ※本稿は『チャイナ・イノベーションは死なない』(李智慧著、日経BP)より一部抜粋・再編集したものです。 これまでのチャイナ・イノベーションは、技術の巧みな応用や社会実装の早さに強みがあった。他方、基礎技術から生まれるイノベーションが少ないことが弱点だった。 しかし、ここに無視できない事実を指摘しておきたい。過去に米国から制裁を受けた分野では、中国の自主開発に弾みがつき、技術封鎖を突破してきた事実だ。位置情報を管理する米国の「GPS(全地球測位システム)」
7月15日、「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」(令和6年3月12日現在)と題された文書を公開し、県から一方的に「嘘八百」「事実無根」「誹謗中傷」に当たるとされ、定年直前に解職ののち、停職3か月の懲戒処分とされた、故・渡瀬康英・兵庫県西播磨県民局長が「死をもって抗議する」と、召喚されていた「百条委員会」に提出する証拠、証言の音声データなどをすべて整えた末、自ら生命を絶っていたとの報道がありました。 筆者は渡瀬氏と同世代であり、また長年にわたって「無謬原則」建て前の組織で不当な現実を目にしてきた一個人としても、本件は他人事とは思われません。 本来なら「59年目のパリ祭:加藤登紀子の安田講堂」という別稿を準備していましたが、急遽予定を変えて、本件に関して報道から漏れていること、また報道が全く理解しない本質的なポイントを補いたいと思います。 冤罪追い込みそのものが「知事パワハラ」 今年4月
世界中にその名を知られている「NINTENDO」。家庭用ゲーム機の市場をつくった会社だ。しかし1983年に「ファミリーコンピュータ」を発売する直前までは、花札やトランプを主力製品とした京都のローカル企業に過ぎなかった。それを大きく生まれ変わらせたのが、22歳にして社長に就任した山内溥氏(1927─2013)だった。 シリーズ「イノベーターたちの日本企業史」ラインアップ ■盛田昭夫はいかにして無名だったソニーを「世界のSONY」に成長させたのか ■盛田昭夫が夢見たソニー流「エレキとエンタの両輪経営」はこうして実現した ■ヤマト運輸元社長・小倉昌男が採算の合わない「宅急便事業」に挑戦したワケ ■「宅急便」の生みの親、小倉昌男はケンカも辞さない江戸っ子経営者だった ■松下幸之助をはねつけてまで貫いたダイエー創業者・中内功の「安売りの哲学」 ■中内功が築き上げた日本有数の巨大企業グループ、ダイエー
2017年10月24日、日本外国特派員協会で、ジャーナリストの伊藤詩織氏が元TBS記者の山口敬之氏から性的暴行を受けたと会見を開いた。その後、しばらく事件の報道が過熱し、伊藤氏と山口氏の両サイドが様々な情報を発信した。山口氏との裁判の後にも、伊藤氏は、SNS上での誹謗中傷に対して提訴している。 伊藤氏をめぐる一連の裁判はその後どうなったのだろうか。7月9日、「伊藤詩織さんの裁判報告会」が都内で行われた。主催者は『伊藤詩織さんの民事裁判を支える会 Open the Black Box』。以下、多少の補足説明を交えながら、報告会で配布された資料と公開された情報を記したい。(長野 光:ビデオジャーナリスト) TBS記者に対する1100万円の損害賠償訴訟の顛末 伊藤氏は2017年の会見後、山口氏の件を含め、4つの裁判で争った。いずれの裁判も伊藤氏の勝訴で終わった。 ■裁判①:山口敬之氏への訴訟(終
ロシア軍は2022年2月24日、地上軍の侵攻と同時に空軍戦闘機でウクライナ軍の防空兵器を攻撃、破壊した。 ウクライナの移動可能な防空兵器は、事前にその場を離れて破壊を逃れたが、固定の防空レーダーはミサイル攻撃を受け、破壊され燃えた。 このことは、ウクライナの人々にとって極めて衝撃的なものであっただろう。私もその映像を克明に記憶している。 今では、それが逆転しつつある。 ウクライナは、大規模ではないが、ロシア国内の重要施設を突き刺すように攻撃しているのである。 ウクライナは現在、クリミア半島へは主にATACMS(Army Tactical Missile System=陸軍戦術ミサイルシステム、エイタクムス)で、ロシア領土へは比較的大型の自爆型無人機で攻撃している。 その攻撃目標は、弾薬・武器・燃料保管施設、石油輸出拠点、早期監視レーダー、衛星管制施設である。 早期監視レーダー、衛星管制施設
薫風香る5月10日の午後、和歌山城の内堀の直ぐ脇にある和歌山地裁前には60人を超える行列ができていた。彼らの目当ては、2021年4月に逮捕・起訴された「紀州のドン・ファン」こと故・野崎幸助氏の元妻・須藤早貴被告(28)の初公判である。相変わらずドン・ファン事件への関心の高さがうかがえる。 法廷には地裁で一番大きな部屋が充てられていたが、それでも傍聴は抽選となった。 メディアの関心も高かった。開廷が午後2時からだったため、この時間に生放送を行っている「ミヤネ屋」(日本テレビ系)や「ゴゴスマ」(TBS系)は地裁前から中継を行うなど、まるで2018年の殺人事件時の騒動を彷彿とさせる放送態勢だった。 殺人事件の初公判日程はまだ決まらず ただ、この日の初公判は2018年5月に発生した本命の殺人事件の裁判ではなかった。早貴被告が19歳の時、故郷・札幌でキャバクラ嬢をしていた時に知り合った当時61歳の男
(尾中 香尚里:ジャーナリスト、元毎日新聞編集委員) 3位に沈んで増幅した蓮舫への中傷 7日に投開票が行われた東京都知事選は、事前予想通りに現職の小池百合子氏の3選で幕を閉じた。「現職が負けたことがない」難しい選挙にリスクを取って挑戦した立憲民主党(出馬にあたり離党)の蓮舫前参院議員は、ふたを開ければ小池氏だけでなく、新人の前広島県安芸高田市長、石丸伸二氏にも及ばない3位に沈んでしまった。 結果はともかく、野党第1党として都知事選を「捨て試合」にせず「与野党ガチンコ勝負」の構図を創り上げた蓮舫氏の挑戦を、少なくとも筆者は高く評価したいと思う。 訴えの内容も(聞く人の政治スタンスによって好むと好まざるとの差はあるだろうが)立憲の理念を体現しており、小池氏との選択肢となる役割はおおむね果たしていた。「ひとり街宣」のように、若い世代などが政治へのファーストコンタクトになり得るきっかけも提示した。
唐鎌:はい。2022年の発表されている経常収支は11.5兆円の黒字でしたが、キャッシュフローベースで見るとマイナス9.7兆円の大幅赤字だったことになります。2023年の統計上の経常収支は21.4兆円と過去最高だったのですが、キャッシュフローベースでは、マイナス1.3兆円の赤字でした。 これが、多くの人が持つ「経常収支は黒字なのになぜ円安が止まらないのか」という疑問に対する私なりの回答です。現状の円安の正体にもつながってくる考え方です。 そして、経常収支黒字が「仮面」ならば、その積み上げの結果である「世界最大の対外純資産国」という印籠も当然通用しなくなってくるはずです。 現に、リスクオフの円買いはもう起きなくなっています。世界金融危機や東日本大震災などの悪いことが起きると、日本企業が手元にキャッシュを持っておくために、ドルを円に戻してくるので円高になる、と言われていました。しかし、このところ
2022年から始まった「円の独り負け」とも言うべき急速な円安。歯止めがかからず、輸入物価の上昇を起点とするインフレが私たち日本人の日々の生活を圧迫している。弱い消費によって1~3月期の実質GDP(国内総生産)成長率もマイナス2.9%(年率)に。 円安が止まらないことを予見し、財務省の「国際収支に関する懇談会」でリードスピーカーとしてその原因を解説した唐鎌大輔氏が、このほど『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』を上梓した。円安になる理由を「キャッシュフローベースの経常収支」から明らかにした。そのエッセンスを聞く(前編)。(聞き手:大崎明子:ジャーナリスト) 2012~2013年に起きた経常収支の構造変化 ──急速な円安が進んだ2022年。「日米金利差が縮んでいけば円高になる」と多くのエコノミスト、アナリストが予想する中、唐鎌さんは円安が続くと見抜き、同年9月に『「強い円」はどこへ行ったのか』を
過去最多の56名が立候補した東京都知事選挙は、現職の小池百合子氏が3選を決めた。驚いたのは、小池氏の最大の対抗馬と思われた蓮舫氏がまさかの3位に沈み、次点に元安芸高田市長の石丸伸二氏が躍り出たことだ。小池、蓮舫、石丸の各氏はともに「無所属」での出馬だが、石丸氏については政党のバックアップが全くないなかでの躍進になる。 いったい都知事選で何が起こっていたのか。元産経新聞記者で現在は永田町でロビイストとして活躍する山本雄史氏と、世論調査や選挙予測も手掛けるJX通信社代表の米重克洋氏が分析した(JBpress)。 「小池vs蓮舫」の構図を巧みに避けた小池氏 山本雄史氏(以下、山本) 「小池圧勝」となった都知事選ですが、この結果は当初から想定されていました。特に連合が蓮舫さんではなく小池百合子さんの支援に回ったことが決定的でした。ただ当初は小池さんと蓮舫さんの争いになると見られていただけに、石丸伸
(小川 匡則:ジャーナリスト) 対立軸作りに失敗した 東京都知事選は現職・小池百合子知事の3選が確実になったと、開票開始の夜8時にNHKで報じられた。知名度の高い蓮舫氏が名乗りを上げ、事実上の「与野党一騎打ち」の構図となったところまでは盛り上がった。だが、その後はイマイチ盛り上がりを欠いたまま終わった印象だ。
法律を守る意識が希薄なリーダーが世界を代表する都市の一つを率いているとしたら・・・日本としても恥ずかしいことではないだろうか(ProtaによるPixabayからの画像) 告発したのは郷原信郎弁護士と、神戸学院大学法学部教授の上脇博之さんのお2人。 現職の知事が選挙に出る場合、通常なら選挙期間中は休職、副知事など地方自治法に基づく執行代理を立てるのに、小池都知事は「公務優先」を旗印に、それを立てませんでした。 そして、候補者でありながら、露出のある公務には取り巻きの記者が取り囲み、候補者としてのPRを公務の中で行っていたのです。 これは、公職選挙法136条の2第1項1号に明確に違反しており、現職の都知事が刑事告発されました。 私の見る限り、これを最初に指摘したのは、鳥取県知事、総務大臣を歴任した片山善博氏と思われます。自治省出身の公務員OB、こうした法務には精通しておられて当然です。 これに
中国の日本人社会に衝撃 まるでいまの時節の梅雨空のようなモヤモヤした昨今の日中関係だが、先週さらにモヤがかかる事件が起こった。 中国時間の6月24日午後4時過ぎ(日本時間5時過ぎ)、上海に隣接した江蘇省蘇州市の高新区塔園路新地センターのバス停前で、蘇州に来て間もない52歳の周という男が、刃物を振り回した。周は日本人学校のバスに乗り込もうとする日本人母子に狙いを定め、凶行に及んだ。
その1:戦闘機同士の戦い これは、戦闘機がミサイルを発射して、敵機を撃墜するという空中戦となる。現代戦では、戦闘機が交戦するのは、百数十キロ遠方にいる敵の戦闘機である。 勝敗を決めるのは、ミサイルの射程、誘導方式とそれらの性能だ。 しかし、それはあくまで目標の種類とその位置を事前に特定できるか次第であり、空対空ミサイルの射程が長くなればなるほど、その重要性は増す。 戦闘機は、百数十キロも離れた敵機の情報をどこから得るのか。 それには早期警戒機から受ける場合と、戦闘機が自ら捜索して見つけ出す場合がある。 実際の戦闘では、ミサイルを発射する前の敵機の種類や位置の情報収集とそれらの伝送が決め手となる。 その2:防空ミサイルによる戦闘機への攻撃 戦闘機は、敵の防空ミサイルが存在している限り、その射程内を自由に安全に飛行することはできない。 しかし、防空ミサイルには弱点もある。 レーダーが戦闘機を捜
(黒木 亮:作家) 去る6月18日、小池百合子東京都知事を学歴詐称で刑事告発し、記者会見を開いた小島敏郎氏に対し、東京国際大学教授のイサム・ハムザ氏(カイロ大学名誉教授)が、質疑応答セッションで真っ先に手を挙げ、「学生時代に小池氏に学内で会ったことがある」「小池氏の卒業証明書は本物」などと、長々と力説した。 一般の日本人にも開催がほとんど知られていない記者会見のことを一介のエジプト人学者がどこからか聞きつけ、参議院議員会館内の会見場に入り、小池氏擁護論を展開したことに胡散臭さを感じた人は少なくない。
生成AIの活用が進むにつれて、従業員が業務の中で勝手に生成AIを活用するケースが増えている。いわゆる「BYOAI(Bring Your Own AI)である。 もっとも、最新の研究によれば、一人ひとり従業員が個々にAIを活用していては、AIによる力は活かせない。 組織の生産性向上を最大化する上で、生成AIをどのように活用すればいいのだろうか。 (小林 啓倫:経営コンサルタント) 生成AIを「勝手に」使い始めた社員たち MicrosoftとLinkedInが共同で「2024年ワークトレンドインデックス年次レポート」を発表した。これはFortune 500企業で働く31か国3万1000人を対象に行った調査の結果をまとめたもので、「AI が仕事だけでなく労働市場全体をどのように変化させているかについて包括的な見解」を示している。 さまざまな興味深いデータが提示されているのだが、その一つとして、次
工場で稼働しているキヤノンのKrF半導体露光装置「FPA-6300ES6a」(資料写真、キヤノンのニュースリリースより) (湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長) 「装置の帝王」の転落劇 まだ日本半導体産業が競争力を持っていた1995年に、露光装置の出荷額シェアでニコンは48.9%、キヤノンは28.7%を占めており、合計すると日本は77.6%のシェアを独占していた。そして、この当時、露光装置でシェア1位だったニコンは、「装置の帝王」と呼ばれていた(図1)。 【本記事は多数の図版を掲載しています。配信先で図版が表示されていない場合はJBpressのサイト(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81810)にてご覧ください。】 ところが、1995年にシェア15.9%だったオランダのASMLが、その後、急速にシェアを向上させ、2002年にニ
従来とは大きく異なる競争環境で組織が生き残るためには、周囲の変化のスピードを上回る速さで自ら変革を成し遂げられる「自走式」になる必要がある。そして、この自走式組織へと変化を促すために求められているのが、「共感型リーダー」だ。本連載では、元スターバックスコーヒージャパンCEOの岩田松雄氏による『共感型リーダー まわりが自然と動く、何歳からでも身につく思考法』(岩田松雄著/KADOKAWA)から、内容の一部を抜粋・再編集し、組織を自走させるためのリーダーシップについて紹介する。 第4回は、さまざまな著名企業でも採り入れられている、自走式の組織に最適な2つの新しいリーダーシップのスタイルについて解説する。 <連載ラインアップ> ■第1回 血の気が多かった徳川家康が、なぜ260年もの太平の世を築けたのか? ■第2回 危機的状況でも部下に厳しく言えない…上司が選択すべき最適解とは? ■第3回 孫正義
(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官) まだ未確認ですが、ロシアがクリミア防衛のために配置したと言われる「S-500」が、配備早々に撃破されたとの情報があります。 S-500は、ロシアの最も高度な防空システムである「S-300」シリーズの最新型です。この他にも、ロシアがウクライナ内の占領地や周辺のロシア領内に、多数配備しているS-300系SAM(地対空ミサイル)が、最近になって相次いで撃破されています。 その一番の理由は、本年(2024年)4月に成立したアメリカの追加予算で決定した、弾道ミサイル「ATACMS」(Army Tactical Missile System、エイタクムス)を含めたアメリカ製長射程攻撃兵器の追加供与と、それに付随したそれらのロシア領内への使用許可でしょう。 以下では、S-300系SAMが相次いで撃破されている原因を考察するとともに、供与された長射程兵器の
江蘇省蘇州市で6月24日、日本人の母親と男児が中国人男性に切りつけられた。スクールバスを待っていたという。 当局は「偶発事件」と説明するが、2週間前には吉林省吉林市の公園で米国人4人が襲撃されており、外国人排斥の機運が高まっているのではないか。 そもそも日本はこうした事件に対して弱腰で狙われやすい。数年おきに反日機運が高まる周期にいま突入しており、警戒が必要だ。(JBpress) (福島 香織:ジャーナリスト) 江蘇省蘇州市で6月24日、スクールバスの停留所で待っている日本人の母親と男児が中国人男に突然切りつけられ負傷した。男はスクールバスに乗り込もうとしたが、バス案内係の中国人女性が体を張って阻止。女性も刺されて意識不明の重体という。 日本人母子には生命の危険はないという。日本の子供たちを守るために大けがを負った中国人女性の早い回復を祈るばかりだ。 犯人はすぐ捕まったが、動機はまだ明らか
日本初の「ユニコーン」に名を連ねようとしているSakana AI。赤いサカナにも意味がある(同社のロゴ) 日本発のスタートアップが「ユニコーン」に名を連ねようとしている。創業わずか1年のSakana AIだ。 同社が他のAI企業と異なるのはその開発手法。生物が進化していくように、複数のAIモデルを組み合わせ、より高性能なモデルを生み出していく。 欧米中心の大規模な開発アプローチが幅を利かせる中、Sakana AIの「進化的モデルマージ」はどこまで通用するだろうか。 (小林 啓倫:経営コンサルタント) 国内最速でユニコーンになろうとしているサカナ 「ユニコーン(一角獣)」と呼ばれるベンチャー企業がある。ベンチャー企業の中でも、特に革新的な製品やサービスを手がけ、急速に成長する企業を「スタートアップ」と呼ぶことがある。そうしたスタートアップの中で、さらに大成功を収めた企業が「ユニコーン」と呼ば
中世ヨーロッパ風の剣と魔法のRPG世界を舞台に、魔王討伐の旅のあとを描いた人気漫画作品『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人、作画:アベツカサ)。その豊かな世界観を、西洋史を専門とする研究者が歴史の視点でひも解く! 「中世ヨーロッパ」のイメージと言えば? 西洋中世に関連する分野を研究する者として、専門外の方々に「西洋中世にどのようなイメージを持っているか」という質問をすることがよくある。すると、大きく分けて相反する2つの答えが返ってくる。 一方は、総じてポジティヴな中世イメージだ。華やかで、貴族たちが舞踏会に興じ、壮麗な建造物が街にあふれかえるような様相である。 他方でネガティヴなイメージを抱いている人も少なくない。宗教に支配された世界、硬直化した社会、戦乱が相次ぎ、人々は飢饉や不衛生に苦しんでいる、といったものである。それらが「暗黒時代」という言葉で括られることもよくある。 興味深いことに
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