また「メダルの数」を数える日々が始まった パリ五輪が開幕した。市の中心部を流れるセーヌ川とその周辺が会場となった開会式は、競技場外での挙行という夏季五輪では初の試みだった。斬新な仕掛けを施しつつ大会ごとにその派手さを際立たせながら、五輪はいまだに生きながらえている。そう印象づけられた。 マスメディアは、感情に訴えかけるナレーションを用いながら、その後も五輪を盛り上げる論調で記事や映像を乱発している。ことさら日本人アスリートのメダル有力候補を取り上げ、その個人的なヒストリーを感情移入しやすいように仕立て上げて、取得メダルを数えることに躍起している。自国開催だった前回大会と比べればその過熱ぶりは控えめながらも、演出が施された五輪特有の祝祭ムードはいつもと変わらず私たちの日常を席巻しつつある。 浮ついた五輪報道に触れれば、いやおうなく3年前の東京2020大会が思い出される。新型コロナウイルスの感