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ドラクエ3
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2024年米大統領選は、共和党候補のドナルド・トランプが当選を確実にした。米大統領選は50州とコロンビア特別区(首都ワシントンD.C.)に割り当てられた選挙人の数をめぐって争われることになっており、43の州とコロンビア特別区での勝敗は事前にほぼ明白だったため、残る接戦7州の結果で勝者が決まるとされていた。 大方の予想では、直前に何らかの問題発言や事件等が起こらない限り、接戦州ごとの事情で勝敗が決まり、選挙人票もほぼ互角になって、結果判明までに数日を要する可能性もあるとされていた。だが実際には、7州全てをトランプがとる可能性もあるとされている。 一般投票の数ではあまり大きな差がつかない可能性が高いが、選挙人票の数字を見ればトランプ「圧勝」という印象になるだろう。物議を醸す発言や行動が多く、弾劾裁判も刑事訴追も経験し、勝利した場合には「報復」を行うと宣言している人物の返り咲きを認めるというのが
2024年10月27日の衆議院選挙では、野党のうち、国民民主党が議席を4倍(7から28議席)、れいわ新選組が3倍(3から9議席)、立憲民主党が1.5倍(98から148議席)に議席を伸ばしたが、維新は減少(43から38議席)だった。 比例代表の得票数を21年の前回衆院選と比べると、国民は259万票から617万票で358万票の増加、れいわは221万票から380万票で159万増加、立民は前回の1149万票から1156万票で7万票の増加にしかなっていない。立民の議席の躍進は、むしろ自民党の失敗によるものだろう(自民党の議席は256から191、1991万票から1458万票で533万票の減少)。 すると躍進したのは国民とれいわと言うことになる。なぜそうなったのかを、両者の経済政策から見てみたい。 れいわの政策の財政コストは70兆円以上 まずれいわは、個人消費を活性化させるため、消費税の廃止と季節ごとの
書店はどうネットや図書館と共存していけば良いのか。書店が減っている原因を探りながら、その手だてを模索してみたい。 小型店の淘汰から大型書店の閉店へ 日本出版インフラセンターの調査によれば、2003年度に2万880あった書店の数は23年度に1万918と、この20年でほぼ半減した。 03年度以降の書店数の動きをみると、一貫して減少傾向にあったのは売り場面積300坪未満の小型書店だった。300坪以上の大型書店は少なくとも数年前まで増えていた。 09年度以降は増加ペースが鈍化しているように見えるが、1000坪以上の超大型書店はこの間も増えており、18年度に101店になった。書店数の減少の背後に業種レベルでの大型化があったことがわかる。こうした大型化を反映し、総面積は2000年代を通して拡大していた。 潮目が変わったのは、増えていた大型書店の数が天井を打った18年度だ。以降5年連続して前年を下回って
停戦を望むが、奪った領土は返さない――。10月上旬にロシアの独立系調査機関「レバダ・センター」が公表した世論調査の結果は、そのようなゆがんだロシア人の心情を浮き彫りにしていた。 長期化し、先が見えない戦争への嫌悪感が高まりつつも、領土は返したくないとの思いが背景にある。〝強気〟の考えはまた、自国の経済が制裁にも関わらず好調で、都市部を中心に、生活に余裕があることも理由といえる。 ただ、ロシア経済は国家予算の3割ともいわれる巨額の軍事支出に支えられている。そのような支出は再生産性がなく、新たな経済成長につながる投資でもない。現在の財政構造は、制裁を迂回した原油や天然ガスなど一次産品の輸出が支えるが、社会保障費は圧縮され続けているのが実態で、国民生活に影を落としつつある。 巨額の国防支出で保たれるいびつな経済バランスは、いつかは崩れる。そのときにロシア国民の心情にどのような変化が生まれるか、注
生活保護の報道は、福祉事務所と利用者のいずれかを“悪者”に見立て、徹底的に叩くことで留飲を下げる「生活保護バッシング」の形式をとってきた。しかし、近年、メディアのなかには構造的な問題に踏み込み、生活保護の運用自体を変えていこうと試みるものがある。とりわけ地域ジャーナリズムにおいて、その萌芽がみられる。「新しい生活保護報道」の時代の幕開けである。 地域ジャーナリズムの役割 これまでNHKの報道を軸に「<メディアは生活保護をどう報じてきたか>「利用者」と「公務員」“悪”の対象に揺れた20年間」と「「生活保護バッシング」から見えた「もれなく救う」と「不正受給を防ぐ」のジレンマ 、生活保護制度の理想と現実」という生活保護の報道姿勢の変化をみてきた。そして、最新の報道では、「生活保護制度が内包する構造的問題」を描き出そうとしていることを伝えた。 こうした報道の変化は、ナショナル・メディアであるNHK
【電話の相手はAIだった】ドイツ語訛りまで再現、生成AIによる人工音声が使われた「詐欺」の恐ろしさ 【連載第9回】『生成AI社会』より本文公開 2024年10月、ノーベル物理学賞に続き、化学賞でも人工知能(AI)関連分野の受賞が決まりました。いまや生成AIの登場は社会に大きな変化をもたらし、私たちはその利便性を享受しています。しかしその一方で、「学習型のチャットボットが差別的発言を繰り返す」「採用人事で男性に優位な判定を下す」「著作物を無断で学習データとして読み込む」「偽情報の生成・拡散が簡単に行われる」「膨大なエネルギー消費による環境破壊」など、生成AI社会に潜む倫理的な課題は後を絶ちません。 私たちは生成AI技術を通して、知らず知らずのうちに大規模な搾取に加担してしまっているのでしょうか。また、これからの社会で求められる倫理とはどのようなものなのでしょうか。本コラムでは生成AIが抱える
レプリコンワクチンは臨床試験によりその安全性と有効性が確認され、2023年11月に国が承認した新しい新型コロナワクチンであり、24年10月から定期接種に使用されている。ところが24年8月には日本看護倫理学会がその安全性を疑問視する緊急声明を発表した。 これを見て、「レプリコンワクチン接種者は危険な感染性毒素を呼気から排出する」などの理由で摂種者の立ち入りを禁止する美容院やヨガスタジオが現れ、複数の医療機関までがこれに同調し、SNSはレプリコンワクチンの危険を煽るフェイク情報でにぎわっている。騒動のあまりの拡大に、ワクチン販売元のMeiji Seikaファルマは緊急声明に反論するとともに、新聞各紙の全面広告でフェイク情報に惑わされないよう注意を呼びかけた。このような非科学的な騒動が起こった原因とその影響を考える。 5種類の新型コロナワクチン 最初に、現在承認されている5種類の新型コロナワクチ
ウクライナのゼレンスキー大統領は10月13日、自身のSNSで「ロシアと北朝鮮の結束が強まっている」と述べ、「北朝鮮から武器のみならず、人員も派遣されている」と批判した。そして、翌14日のビデオ演説では、「武器にとどまらず、北朝鮮から占領軍への人の移送も行われている」と、北朝鮮の“参戦”を示唆する発言もした。 ゼレンスキー氏は具体的な根拠を示していないが、同氏の発言に先立って、複数のメディアが「北朝鮮の将校6人が死亡」(4日付、キエフ・ポスト)、「ロシア軍の背後に短距離弾道ミサイルKN-23の管制システムを支援する北朝鮮軍人数十人が存在」(10日付、英ガーディアン)、「北朝鮮の歩兵1万人が、ウクライナ付近の国境地帯への配備とロシア軍との交代に備えてロシア極東で訓練を受けている」(16日付、キエフ・ポスト)など、具体的な情報を報じている。 これら報道が示すように、北朝鮮はロシア側に立ってウクラ
NHKのクローズアップ現代で、生活保護の特集が放映された。物価高騰などを背景に申請数は4年連続増加、利用する世帯は165万を超える。先行きが見えにくい社会で、再び生活保護に注目が集まっている。 「福祉事務所バッシング」と「利用者バッシング」の両極を揺れ動くメディアで、NHKは何を描こうとしたのか。メディアは生活保護をどう報じてきたのか、過去20年の歴史を振り返ってみよう。 NHK「『助けてと言ったのに…』生活保護でいま何が?」 2024年9月18日に放映されたNHKのクローズアップ現代では、「『助けてと言ったのに…』生活保護でいま何が?」というタイトルで特集が組まれた。番組では、制度を運用する自治体で不適切な対応が相次いでいること、理想と現実の狭間で“運用の限界”を迎えていることが報じられた(NHKクローズアップ現代、2024年9月18日)。 生活保護は06年から13年の数年間にメディアで
孤独死は、ことさらにその悲劇性が強調される。多くの場合、周囲に誰もいない淋しい最期として報道され、現代社会の闇のように扱われる。 大原麗子、山口美江、梓みちよ、宍戸錠、野村克也ら多くの著名人が家族から看取られることなく、亡くなった。この人たちは、全盛期は、いつもその人を中心に人だかりができたような華やかな存在だったから、ひとりで旅立ったと聞けば、おのずとそこに哀れさのにおいをかぎとりたくなる。 ただ、忘れてはいけない。孤独死することができる人は、死の直前まで自立していた人だけという事実である。 2000年に世界保健機関(WHO)は、「健康寿命」という概念を提唱している。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を意味し、寿命と健康寿命の差は、健康を失って日常生活に制限が生じている期間を意味する。健康寿命と寿命とがほぼ一致していることが望ましい人生であることは
【「水」枯渇の危機】AI開発で深刻化する水不足、干ばつに苦しむ地域ではデータセンター建設に対する反対運動も 【連載第6回】『生成AI社会』より本文公開 2024年10月、ノーベル物理学賞に続き、化学賞でも人工知能(AI)関連分野の受賞が決まりました。いまや生成AIの登場は社会に大きな変化をもたらし、私たちはその利便性を享受しています。しかしその一方で、「学習型のチャットボットが差別的発言を繰り返す」「採用人事で男性に優位な判定を下す」「著作物を無断で学習データとして読み込む」「偽情報の生成・拡散が簡単に行われる」「膨大なエネルギー消費による環境破壊」など、生成AI社会に潜む倫理的な課題は後を絶ちません。 私たちは生成AI技術を通して、知らず知らずのうちに大規模な搾取に加担してしまっているのでしょうか。また、これからの社会で求められる倫理とはどのようなものなのでしょうか。本コラムでは生成AI
日本で漁獲されるクロマグロの大物といったらどのくらいの重量のマグロを想像されるでしょうか? 日本では大型クロマグロの分類を30キロ以上としています。100キロもあれば大物と思われるのではないでしょうか。 ところが筆者が9月下旬にノルウェーの水揚げ現場で見てきたマグロは、小さくても168キロ、大きいものは396キロもありました。その時水揚げされた尾数は約160尾で平均は何と271キロ!
Economist誌9月7日号が、ミャンマー第二の都市マンダレーを目指す少数民族の連合体Brotherhood Allianceの動き、およびミャンマー内戦への中国の関与の様子を報じている。主要点は次の通り。 9月3日の明け方、マンダレーにロケット砲が着弾した。今年に入って3度目である。 標的は軍の中部地域司令部が置かれている昔の宮殿の敷地である。中国と薄暗い関係を有するBrotherhood Allianceと称する少数民族の連合体のうちの二つのグループが軍事政権との戦いをミャンマー第二の都市マンダレーに拡大する勢いである。砲弾は恐らく中国の設計によるものである。 昨年10月、Brotherhoodを構成するMNDAA(シャン州のコーカン族の武装組織)が北東部のシャン州の中国との国境地帯で攻勢を開始したが、これは中国が陰で糸を引いてやらせたもののようである。MNDAAは国境地帯をたちまち
とある都内在住の大企業勤務の男性(45歳)を取材した時のこと。彼は子どもの教育方針の違いなどで数年前から妻と衝突を繰り返しており、取材当時は2カ月間も家出していた。会社はリモートワークで出社は月に1日程度、寝泊まりしていたのはウィークリーマンションである。 いろいろ話を聞いていると、どうやら彼は、妻に対して気に入らないことがあると家具を蹴るなどの、いわゆる「モラハラ行為」をしていたようだった。しかし彼本人は「妻に話を聞いてもらえない」と、ひたすら家庭内での孤立を嘆いていた。妻の言い分を取材していないので、ここで彼の家庭の状況を論じることは難しい。 ただ、とにかく彼が孤独を深めていることはわかった。彼には悩みを打ち明ける友人も同僚もいないのである(見ず知らずの筆者に内情を打ち明けたのは、利害関係がないからだろう)。ちなみにこの男性は、どこにでもいるごく普通の優しそうな「パパ」なのである。 こ
米共和党超保守派で知られるシンクタンクの過激政策提言が、大統領選でハリス陣営にとっての格好の攻撃材料となっている。トランプ候補自身が間を置かず「知らぬ存ぜぬ」を決め込むなど、火消しに躍起となっている。 民主党全国大会で繰り返し取り上げ 「皆さん、トランプ候補はわが国の民主主義を根本から否定するこんな危険な政策を推進しようとしています」――。 カマラ・ハリス、ティム・ウォルズ正副大統領候補が指名受諾演説を行った先の民主党全国大会(8月19~23日)では、有力民主党議員の何人かが会場を埋め尽くした5万人近くの党員を前に、この日のために特別に拡大コピーしたズシリと重い表題『Project 2025』の報告書を抱えて次々に登壇。繰り返しトランプ糾弾の演説を行い、話題をさらった。 全文920ページからなる問題の報告書は、トランプ氏と近い関係にあるシンクタンク「ヘリテージ財団」(本部ワシントン)が「次
日本のサービス業や小売業の業界では、長年カスタマーハラスメント(カスハラ)に苦しんできた。背景には、消費者は代金を払う存在だから、サービス提供者より優位に立って良いという理解が暗黙の合意としてあった。その優位性を乱用して言葉の暴力を振り回す消費者に対して、現場はひたすら耐えるしかなかったのである。 こうした傾向が改善に向かっているのは好ましい。そんな中で、横暴な消費者から従業員を守るのは企業の責務だという姿勢が広まっているのも良いことだと思う。 日本の場合は「世評を落とす」名誉毀損は罰せられるが、一対一の暴言が精神的な傷害だという点では、法整備が十分ではない。この点を改善して、いわゆるカスハラ行為については、それ自体を刑事犯罪とするだけでなく、必要な民事仲裁によって被害者を救済することも必要であると思う。 けれども、犯罪とも言える極端な事例を追放するだけでは十分ではない。人手不足の中、とも
米国の大統領選挙を報じるニュースで、再びラストベルト(さびついた工業地帯)が話題に上っている。共和党副大統領候補に指名されたJ・D・バンス上院議員の育ったオハイオ州は、ラストベルトの一角だからだ。そして大統領選挙の勝敗を左右するのが、ラストベルト諸州の動向ということもある。 オハイオ州を含む米国中西部は、かつて自動車や製鉄など重厚長大な製造業地帯だった。しかし安価な労働力を求めてメキシコなどへ工場の移転が進み、失業者が溢れた。 長く製造業に従事していた労働者は金融やIT産業といった新産業への転職もままならず、酒や薬物に溺れ、貧困のループから抜け出せなくなる。地域の治安も悪化した。そうしたルサンチマン(怨恨)が、米国社会の分断を生み出したのだろう。
歳月とともに山本さんのキーワードは「安全」から「健康」、「長寿」へと移っていった。登山客はどうしても槍や穂高、北岳などのブランド的な山にひかれがちだが、山本さんが勧めるのは日本ならどこにでもある里山だ。半日程度でいいから低い山に足繁く通えば、高齢になってもかくしゃくとする。「その機運が広がれば、日本中が生き生きとしてくる」と唱える。(以下一問一答) 自分なりの山登りへの貢献 やまもと・まさよし 1957年横須賀市生まれ。東京大学大学院修了。博士(教育学)。鹿屋体育大学名教授、および同大学のスポーツトレーニング教育研究センター長を経て、現在名誉教授。専門は運動生理学とトレーニング学。2つの体育大学で30年以上にわたり、スポーツ選手の競技力の向上や一般人の健康増進をはかるための研究と教育を続けてきた。主著の『登山の運動生理学百科』(東京新聞出版局)は韓国、台湾で翻訳されている。 ――山本さんは
日銀のわずか+15ベーシスポイント(bp)の利上げを契機として本邦金融市場は歴史に残る大荒れの様相を呈した。議論すべきことは沢山あるが、今回の本欄では為替市場に対する所感を示しておきたい。 突然現れた「円キャリー取引・円安バブル」説 金融市場では、今回の大混乱について「円キャリー取引を背景とする円安バブルが崩壊した」という解説が支配的になっているようだ。しかし、これについて筆者は小さくない違和感を覚えている。 「円キャリー取引を背景とする円安バブル」というのは具体的には「低金利の円を起点として世界の資産価格が支えられていた」という趣旨だが、今回の大混乱があってから急に目にするようになった説でもある。確かに、日本株については「円安ゆえに押し上げられている」という争点はかなり指摘されてきた部分であり、特に4月以降の円安・株高は日米金利差から大きく乖離した局面であったため、かなり危うさを感じるも
〈暗殺未遂後、トランプの勢いは完全ストップ?〉シミュレーション「ハリス対トランプ」2重、3重の「ガラスの天井」 野党共和党は、トランプ暗殺未遂事件と共和党全国大会で勢いがついたが、ジョー・バイデン大統領が選挙戦からの撤退を表明し、カマラ・ハリス副大統領にバトンを譲ると、その勢いは完全に止まった。それが、2024年7月の米大統領選挙を語るすべてであった。 米ABCニュースと調査会社イプソスの共同世論調査(2024年7月26~27日実施)では、前回の調査(同月19~20日実施)と比べて、ドナルド・トランプ前大統領の好感度が、40%から4ポイント下がり36%に変わった。一方、ハリス副大統領の好感度は、35%から8ポイント上昇し、43%になった。 今後、「ダブルヘイター(ジョー・バイデン大統領もトランプ前大統領も嫌い)」という言葉は消滅するかもしれない。 そこで本稿では、まずハリス副大統領が11月
インドのモディ首相が7月8日から9日にかけてロシアを訪問し、9日にはプーチン大統領との首脳会談が開催された。モディ首相による訪露は、約5年振りとなる。中国一極依存が指摘されるプーチン政権にとり、インドというもう一つの戦略的パートナーの存在は死活的に重要であり、しかもモディ首相の側が訪露してくれたことは、この上なくありがたかったことであろう。 首脳会談の中でモディ首相は、「戦場では解決策を見付けられない」と訴え、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に懸念を示す場面があった。ただ、モディ首相としても、プーチン大統領にそのように迫っても、聞き届けられる可能性はないことは、ある程度承知の上だったのではないか。ましてや、モディ政権が、ウクライナでの和平を実現するために、インド自身の国益を犠牲にすることはまずなかろう。 ロシアの戦費を実質的に支えるインド ロシア・インド首脳会談を総括する共同声明には、両
毎年の夏・土用の丑の日が近くなると、ウナギの話題が出てきます。日本のウナギ・二ホンウナギは国際自然保護連合(IUCN)が2014年より絶滅危惧種(IB類)に指定しています。同じカテゴリーに分類されているのが鳥でいうと「トキ」です。それだけ資源が激減してしまったため、価格の高騰が続いています。
財政規律が弛緩し、借金が急激かつ雪だるま式に膨らんでいった平成の日本。財政楽観論や減税論に惑わされず、構造的な改革を断行していくべきだ。「Wedge」2024年6月号に掲載されている「平成全史 令和の日本再生へ 今こそ知りたい平成全史」記事の内容を一部、限定公開いたします。 日本の借金が急激かつ雪だるま式に膨らんだのは、平成の時代が始まってからである。高齢化による社会保障費などの歳出が増え続ける一方、税収はバブルが崩壊した1990年度を境に伸び悩み、その差はいわゆる「ワニの口」のように開いた。しかも、少子化により税の担い手が減り続けているから、まさしく、「開いた口が塞がらない」という構造赤字が続いている。その穴埋めは公債の発行で賄われてきた。 さらに、平成は、リーマン・ショックや東日本大震災など、大きな危機が起こるたびに、財政依存を深めてきた。これは、令和になっても踏襲され、コロナ禍での1
2014年に日本創成会議・人口減少問題検討分科会により公表されたレポートは、多くの地方都市が人口減少によって「消滅可能性」があることを指摘し、物議を醸した。その結果、消滅可能性を指摘された自治体がさまざまな人口減少対策を検討することになった。 その10年後の2024年4月に、人口戦略会議から、先のレポートの続編ともいえる「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」が公表された。各自治体の人口流出を止めるための方策が若年者を奪い合うような様相を呈していることなど、14年のレポート以後の政策的動きに対する批判的検討と近年の変化について分析された。 新しいレポートでは、人口移動が可能な場合とそうでない場合のシナリオの下で、若年女性人口の減少率の高低により、「自立持続可能性自治体」「ブラックホール型自治体」「消滅可能性自治体」「その他の自治体」への分類が行われている。 レポートでは、日本全体
非正規雇用、ロスジェネ、女性問題などを取材するジャーナリスト・小林美希氏。国際経験が豊富なジャーナリストで現在は外国人労働者問題を取材する出井康博氏。不器用に生きる人々に密着して人生の機微を描いてきたノンフィクション作家の山田清機氏。この3人に、日本の労働問題、そして、フリーランスの立場から見た日本のメディアの今について語り合ってもらった。 編集部(以下、──)皆様もわれわれも全員昭和生まれですが、平成という時代はどんな時代でしたか? 山田 のっけからこのような話題で大変恐縮なのですが、僕にとっての平成とは、「一貫してお金がない」ということです……。とにかく、この一言に尽きます。拙著『東京タクシードライバー』(朝日文庫)の「長いあとがき」にも書きましたが、僕は大学卒業後、大手メーカーに新卒で入社しました。ただ、入ってみると、配属された職場の雰囲気が息苦しかった。ある時、社員旅行のとりまとめ
2024年5月21日、山口県下関市で捕鯨船の出漁式が行われた。日本が国際捕鯨委員会(International Whaling Commission: IWC)を脱退し商業捕鯨を再開して5年が経つが、今年の出漁式は例年になく華やいだものとなった。というのも、これまで約30年にわたって操業を支えてきた捕鯨母船が老朽化により退役し、新たに建造された母船「関鯨丸」の初出漁だからである。 式には地元選出の国会議員、自治体関係者などが出席。船主で捕鯨操業会社である共同船舶の所英樹社長は「新船建造は、沖合母船式捕鯨漁業を途絶えさせないという意志だ」と操業の決意を示した。 今年の操業がこれまでと異なっている点はもう一つある。これまで捕獲対象が大型鯨類の中でも相対的に小型であるミンククジラ、イワシクジラ、ニタリクジラ3種だったところ、今年から地球最大の動物、シロナガスクジラに次いで大型のナガスクジラを新た
“「産まずして何が女性か」と上川陽子外相” “出産したくても困難な状況にある人への配慮に欠けるとの指摘が出る可能性がある”──。 2024年5月18日、共同通信から配信された記事である。上川外相が静岡市で開かれた女性支持者らが出席する集会で、静岡県知事選挙の応援演説を行った際、「一歩を踏み出したこの方を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と述べたことに対してである。報道は共同通信配信先である全国多数の地方紙にも広がり、上川外相は多くの批判を受けて発言を撤回するに至った。 既に多くの記事で批判されているが、共同通信の報じ方は上川外相の発言の一部を恣意的に切り取り、それを論拠に「懸念」を示し批判を促す自作自演の「社会問題」創出、マッチポンプ・クレイム的な性質を持っていると言える。 国際大学GLOCOM客員研究員で、フェイクニュース対策や情報リテラシーに関する情報発信を幅広く行っている小
ロシアによるウクライナへの全面軍事侵攻開始から間もない2022年4月、General SVRという有名なテレグラムチャンネルが、聞き捨てならない情報を流した。ロシア安全保障会議の席でゲラシモフ参謀総長が、ウクライナ南部に加え、モルドバ全域を占領することを提案したというのである。 その際にゲラシモフは、「モルドバは、ウクライナのような抵抗は絶対にしないので、良いオマケになる」と発言したとされた。ただし、プーチン大統領はこの提案を原則的に受け入れつつも、ドンバス全域の制圧を優先するよう指示したということだった。 実のところ、General SVRは平素から怪情報の類を流しており、くだんのモルドバについての投稿も、真偽不明である。それでも、プーチン政権がウクライナの「オマケ」としてモルドバを見ているというのが、いかにもありそうな話であることも否めなかった。 同じ22年4月には、モルドバのサンドゥ
加速する「貯蓄から投資」、迎えた「金融政策転換」、景気回復の実態を伴わない「冷たいバブル」……。ここ最近、経済に関するニュースが大きな話題を呼んでいます。この身近でありながらも複雑な経済問題について、私たちはどのように向き合えば良いのでしょうか。 今回の記事では、「絶対的貧困」と「相対的貧困」について解説しています。円安、賃金の停滞、国際競争力の低下など、多くの人が日本経済の低迷を実感していますが、具体的に「貧困」とはどのような状態を指すのでしょうか。 *本記事は帝京大学経済学部教授の宿輪純一氏の著書『はじめまして、経済学 おカネの物差しを持った哲学』(ウェッジ)の一部を抜粋したものです。 貧困の定義 「貧困」(poverty)とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか? 貧困の定義はさまざまですが、大きく2つに分けて考えることができます。衣食住など必要最低限の生活水準が維持できない「
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