山あいに広がる水田は、初夏に植えられた苗が成長して青々としていた。その一角には畑もあったが、7月中旬にはそこに木造平屋の住宅6戸が完成した。間取りは2DKで広さは約30平方メートルだ。 「『石川モデル』と呼ばれる新しいタイプの仮設住宅ですよ」 畑を提供した左部(さぶ)淳一さん(77)が、そう教えてくれた。防災業務を担う内閣府によると、石川モデルは全国初の取り組みという。 住宅が建てられたのは、能登半島の中央に位置する石川県穴水町の町役場から車で15分ほどの下唐川(しもからかわ)地区の集落だ。あの日から半年がたっても、崩れかけたままの石垣や倒壊した家屋が目立った。 町などによると、集落には31世帯が暮らしていた。元日には震度6強の揺れに襲われ、23世帯の住宅が全壊、または大規模半壊と判定された。左部さんの2階建ての自宅も大規模半壊だった。 地震直後は断水や停電が続いたが、町内を含め能登半島で