インターネットなどに押されて、近年、紙の新聞は部数が減り続けています。そんな時代に、新聞の役割は? 毎日新聞の「開かれた新聞委員会」委員を務める社会学者、西田亮介・日本大教授と、沖縄で米軍基地問題などについて発言する国際政治学者、山本章子・琉球大准教授が上下で語り合います。「上」は、西田さんが注目する通称「エモい記事」問題と、山本さんが現場で感じる報道の問題点などを議論しました。【構成・鈴木英生】 ※後編もあります 新聞は自らの基盤を見失っていないか 「エモい記事」論争の本質 「エモい記事」って何? ――西田さんは、3月に朝日新聞のサイトでの「その『エモい記事』いりますか?」という寄稿が話題になりました。「エモい記事」とは? 西田 読者の感情に訴えるような文体と内容で、往々にして特定の個人や事例を主人公にした物語調の記事のことです。「街の老舗が閉店する」とか「夫と死別した妻の思い」とか。読