大学などで働く研究者の非正規率は極めて高い。一般労働者と比べて、おおよそ2倍の差がある。特に全体の8割を占める男性の研究者ではその差はさらに開く。国がこの30年で研究者の「非正規化」につながる任期制を推し進めてきた影響だ。研究者の待遇は悪化し、研究力を示す主要指標の論文の引用数は中東のイランに抜かれるなど、研究力の低下をもたらした。国に翻弄(ほんろう)されてきた博士人材の働き方など研究環境の問題に迫る。 この連載は4回にわたり、毎週水曜朝に掲載します。 第1回 国にほんろうされる元高齢ポスドク 第2回 出産と就活が重なり、育休も取れない研究者 第3回 過重労働を強いられた准教授 第4回 海外から見た日本の環境 「賽(さい)の河原に石を積んでは3年ごとに鬼に壊される生活だった」 元「高齢ポスドク」の土井考爾さん(58)は、X(ツイッター)に研究者時代の心境をこうつづった。ポスドクとは、博士号