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昨年、福島県を訪れた際に「福島の有機米のPR方法を考える」小さな集まりに立ち会う機会があった。 参加していたのは県内の有機米生産者と行政職員、東京のいくつかの飲食店などだった。 会の案内には前置きとして「震災から12年、福島だからと仕入れを控えるようなお店はほぼなくなりつつある」と書かれていたが、途中で意見を求められた私はあえて放射性物質による風評被害の話題を取り上げた。 もしテーマが単に「福島の米」なら、そうしなかっただろう。 だが「福島の有機米」が対象である以上、意地悪かもしれないと思いつつ、避けて通ることはできなかった。 角の立たない一般論を話しても意味がない。 それに対し、ある若手の生産者からは「どうせ何を言っても変わらない、ずっと怖がり続ける人たちをいつまでも気にしても仕方がない」という、やや苛立ちを含んだ声が上がった。 福島の生産者が戦ってきた酷い風評の数々を思えば、その苛立ち
科学的根拠のない、不思議なトンデモ健康法が発生する現象を観察するライター山田ノジルさんの連載コラム。驚くべき言説で広まる不思議食品の数々をウォッチし続けている山田ノジルさんが今回注目するのは「素手信仰」です。この夏「うなぎ弁当」での痛ましい食中毒事故が起きました。些細なミスが事故につながりかねない中、「あえての素手」を好む界隈があるとのこと。くれぐれもご注意ください。 皮膚の常在菌は食中毒の元 黄色ブドウ球菌による集団食中毒事故が発生し、一名が亡くなったとの悲しい報道を目にしました。当コラムが食中毒事故に触れるのは、デザフェスの「デスマフィン」以来でしょうか。デスマフィンは、製菓の技術と知識が根本的にどうかしていたことが発端だったようですが、今回は「素手での作業」に原因があったようです。 すでに専門家が様々な媒体で解説しているように、皮膚の常在菌には「黄色ブドウ球菌」があり、それが食中毒の
首都圏土壌医の会が主催した、下水汚泥についての研修会に参加することができた。 ゲストスピーカーに国交省担当者と東京農業大学の後藤逸男名誉教授を迎え、司会進行は久松農園の久松達央さんが務めた。 下水汚泥には、窒素やリンも大量に含まれているため、有効に再利用すれば、輸入依存が問題となっている農業用肥料として国内で循環させることができる。 久松さんは下水汚泥を「宝の山」「未利用資源の本丸」と表現するが、その大半はコンクリに混ぜられるか埋め立てられていて、肥料利用等の割合は約14%に過ぎない。 食料安保や資源循環型社会の重要性がこれだけ叫ばれているにもかかわらず、汚泥に含まれる窒素やリンのほとんどが無駄になっているのが現状だ。 普及が進まない背景にはインフラや技術面の障壁に加え、下水汚泥という言葉のイメージ、事業排水に含まれる重金属のリスクを不安視する声、さらにはそうした課題に向き合うことを避けて
感想1かなりの点で事実関係に間違いがある。細かい点を挙げれば、この記事と同じ分量の批判記事になってしまうので、いくつか大きなところを挙げる。 まず、戦後の農政の歴史について、立派な学術論文が出ているのに、マスコミで流布しているアメリカ悪玉論を信じてしまっている。食の安全やミニマムアクセスなど、特定の信条や利益を持った人や団体の主張や伝聞情報(聞く、言われるなどという形で言及)を十分検証することなく記述している。 中国の爆買いという主張自体怪しいものだが、今も昔も日本は小麦を買い負けてはいない。小麦輸入の上位3カ国はどこか知っているのだろうか? 日本が買い負けることはない国だ。農林水産省が小麦を輸入できないという情報はどこにもないし、あり得ない。 国内の農地は法律上買えないのに、外国資本をはじめとする民間企業が農地を買い漁っているというのは、本当だろうか? 農地法違反が大々的に横行し、それを
科学的根拠のない、不思議なトンデモ健康法が発生する現象を観察するライター山田ノジルさんの連載コラム。驚くべき言説で広まる不思議食品の数々をウォッチし続けている山田ノジルさんが今回注目するのは、目下炎上中のマフィンにもしっかり現れていた「不思議食品しぐさ」のあるある。作り手が「いいもの」とアピールするその「謳い文句」に注目です。 大炎上した、デザフェスのマフィン 連日「デザフェスのマフィン」で大騒ぎです。東京都目黒区の焼き菓子店が大型イベントに出張販売したところ、体調不良を訴える声がネット上に続出。SNSで広まったため、店が保健所へ連絡すると、厚労省によってリコール対象にしたと公表されたのが、事の経緯です。その危険度は、マックスである「クラス1」。「喫食により重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る可能性が高い場合」というから、さらに騒動の火が燃え広がっています。 このマフィンの製造過程のどこ
渕上 ある農薬に発がん性があるという研究論文は信用できるのでしょうか? 唐木 一言でいうと、その研究は間違いです。科学の世界では、毎年100万以上の論文が書かれています。その中には、食品安全機関が多くの論文をまとめて「発がん性はない」と判断した化学物質についても、「特別な実験条件下」では、発がん性があるかもしれないという研究もあります。 しかし、論文はあくまでも仮説であり、検証が大事です。検証が行われ、再現性がなければ、その論文は間違いと判断されます。 食品安全機関は、再現性がある論文だけをもとにして安全性を判断しています。だから、再現性のない論文を信じるのは間違いというふうに言えます。 【結論】信用できない。再現性のない論文を信じるのは間違い 参考
ミシュランガイドに新登場の“グリーンスター”指標2020年12月に発売された『ミシュランガイド東京2021』では、レストランのサステナビリティ(持続可能な取り組み)を評価する指標として新たに「グリーンスター」が導入された。東京では、三つ星を獲得した「レフェルヴェソンス」と「カンテサンス」、サステナブルシーフードの取り組みでも知られる「シンシア」など6店が今回、グリーンスターも併せて取得している。 グリーンスターは本家のミシュランガイドでも2020年より追加され、トップシェフの世界でもサステナビリティが大きな潮流になっていることを印象づけるニュースとなった。 この一見「良いこと」に思えるグリーンスターの導入に対して、受賞したシェフから批判的な意見も上がっている。2020年6月に配信されたWIREDの記事によれば、コペンハーゲンの有名店「レレ」のクリスチャン・プリージ氏はグリーンスターの選考プ
河出新書から刊行される山田正彦氏の新刊『子どもを壊す食の闇』の帯に寄せられた推薦文が、発売を目前に取り下げられるという出来事があった。推薦文を寄せていたのは、『人新世の「資本論」』が45万部を超える大ヒットを記録して一躍、時の人となった若手の哲学者・経済思想家の斎藤幸平氏だ。その顛末に迫りたい。 斎藤氏が寄せた推薦文は、元々このようなものだった。 「命の根幹である食が危ない。子どもたちの健康と日本の未来を守るために書かれた現場からの警告と改革の書」 あの斎藤幸平さんがそこまで言うなら、と思わず手に取る人もいるだろう。 読者層を広げる上での影響力、知名度は申し分ない。 だが、山田正彦氏といえば実際には、農業関係者のあいだではきわめて評判が悪い。 わずか3カ月で退任した元農林水産大臣の肩書を今も使用し、農薬や種苗などについて根拠のない情報を発信し不安を煽る人物として知られている。 もちろん斎藤
とある漫画作品で描かれた癌をめぐる偽医学と病理医との対峙。この構図は、農薬忌避や無農薬信仰と、農と食の事実と似た様相を見せる。漫画作品を通しながら、誤った情報を信じてしまう心境や原因、大事にすべきこと(原理原則)は何かを考えてみた。 『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』という漫画が好きだ。 主人公の岸京一郎は誰もが認める凄腕の病理医だが、性格と目つきが悪く、人を見下す時以外はほぼ笑うことすらない。 冷たく傲慢で身勝手な印象を振りまきつつ、その実、病理診断と患者に対してはどこまでも真摯に向き合う姿が描かれる。 AGRI FACTの記事でわざわざ取り上げるからには、いわゆる疑似科学やデマへの厳しい追及が盛り込まれている作品なのかと期待させてしまうかもしれない。 残念ながら『フラジャイル』は、それらの主題を表立っては取り扱っていない。 だが、ときに静かな怒りを感じさせる描写がある。 とりわけ印
オーガニック食品を推奨する根拠として「オーガニック食品は高価だが、食べることで健康になり、医療費が下がるのでむしろ安いのだ」と主張する人々がいます。〈前回の記事〉ではこれを批判し、デンマークでの大規模調査の結果、オーガニック食品の摂取とがんのリスクに関連性がなかったことなどを紹介しました。しかし、「オーガニックは高くない」論の本当の罪は、エビデンスの弱さではありません。今回はそれを主張する人々が見落としている、あるいは意図的に目を逸らしている問題を紐解いていきます。 「ニコラス・ケイジが映画に多く出演する年には、プールで溺死する人が増える」という有名な話がある(※1)。それぞれの統計を比べると、申し合わせたように同じカーブを描いてグラフが重なるからだ。 この状態を「相関関係がある」という。 ここで、ニコラス・ケイジに疑いが向けられる。 ニコラス・ケイジの映画出演のせいで本当に溺死が増えたの
2022年の参院選で1議席を獲得し国政政党となった参政党。大衆を扇動するような急進的で非現実的な政策を訴え、保護主義的な反グローバリズムを標榜して一部の支持を獲得している。2023年4月の統一地方選には「全国で1000人規模の擁立を考えている」という。「有機無農薬」や「伝統食」などを推進する参政党の農業政策は農と食の事実を無視したものであり、AGRI FACTとしても見過ごすことはできない。統一地方選を前に、浅川芳裕氏のツイートをもとに参政党の食料・農業政策を検証する。 世界人口を半減させる「肥料や農薬を使わない」農業政策参政党の重点政策からいきなり、農業と食料の基本を無視している。「農薬や肥料、化学薬品を使わない農業と漁業の推進」だ。「化学肥料を使わないと、養える世界人口は今の半分になる」。参政党は化学肥料に加え、「農薬を使わない農業の推進」も公約にうたっているが、使わない場合、食料生産
【前回までのあらすじ】 長崎の某市議会で「食の安全が脅かされている! 学校給食を有機に!」と訴えている議員さんがいるという情報が入りました。いったいどんな理由なんだろう?と思い、議会での答弁を聞いてみると、「農薬のせいで発達障害が増えている!」と発達障害の原因について言及していました。これは大丈夫なのか? 内容を詳しく聞きたいので直接質問に行ったところ、どうも情報源が不確かな模様です。「発達障害の当事者や親が本当は何を必要としているか、実際に聞いたことはありますか?」と尋ねてみると、「聞いたことがない。機会があれば聞いてみたい」との返答。そこで、私がたびたび参加している発達障害児・者を支えるグループの定例会に招待してみました。果たして、対話によって理解は深まるのでしょうか? 結果は予想だにしないものでした。 発達障害児を持つ親の定例会にトンデモ系市議会議員を招待定例会がどういう会かというと
長崎の某市議会に「学校給食を有機に!」と熱心に訴える議員さんがいるという話を聞きました。議会の動画を見てみると、「食の安全が脅かされている」「農薬のせいで発達障害の子供が増えている」「農薬の影響は2世代、3世代先に現れる」と主張しています。え? そうなの? 本当ならとてもこわいですね。市の担当者さんは「給食に使う食材は安全が確保されている」「有機野菜も供給や価格の面で問題なければ採用することができる」と答えていました。しかし、市議さんは全く納得いかない様子で、「やる気がない」「子供たちの安全を考えていない」と強い口調で詰め寄っていました。どの学校でも給食はたくさんの人のおかげで安全が守られていると思うのですが、違うのでしょうか? 気になったので、その市議さんに直接お話を聞きに行ってきました。 長崎県出身の元農水大臣の影響私「議会の動画を拝見しました。学校給食では安全でない食材や、給食にふさ
「宗教2世」が昨年来、話題になっている。 旧統一教会問題をめぐって多くの人に知られるようになった言葉だが、実際には少し前からNHK『ハートネットTV』で特集が組まれたり(※1)、宗教2世をテーマにしたウェブコミックが突然掲載を打ち切られニュースになる(※2)など、社会の関心を集めつつあった。 「社会調査機構チキラボ」が2022年9月におこなったアンケート調査の結果(※3)が現在、ウェブ上で無料公開されている。 回答した1,131人の当事者による膨大な声を拾っていけば、決して突然生まれた新しい問題ではないことがわかる。 そこに「宗教2世」という言葉が与えられたことによって、また不幸にも旧統一教会問題が大きな注目を集めた結果として、あらためて深刻な問題として「見える化」された。 このように問題を名づけることは、ともすれば安易なレッテル貼り、負の烙印(スティグマ)に転用されかねない点、また定義の
科学的根拠のない、不思議なトンデモ健康法が発生する現象を観察するライター山田ノジルさんの連載コラム。驚くべき言説で広まる不思議食品の数々や、その沼にはまった住人たちをウォッチし続けている山田ノジルさんが今回は、かつてのゲテモノ扱いからエシカル消費へと転化した、昆虫食にまつわる陰謀論を観察します。 流行の裏には陰謀がある!?「流行ると陰謀だと思うのが、陰謀論者の発想」 2022年12月に開催されたトークショーで、『あなたを陰謀論者にする言葉』(フォレスト出版)の著者であるライターの雨宮純さんが語っていた言葉です。続けて紹介されたのが「昆虫食陰謀論」。昭和〜平成とゲテモノ扱いだった昆虫食は、深夜番組の罰ゲーム小道具としてお馴染みでした。それが陰謀論に登場したということは、かなり認知度が上がってきた証拠です。 陰謀論とは、大きな事件や世の状況を「闇の組織が関与している」とする世界観のこと。有名ど
問題点③ 反医療運動、陰謀論団体、カルト宗教、マルチ商法等との接点オーガニック給食推進に関わる市民団体やその中心人物、ときには推進を掲げる地方議員・国会議員自身が、これらとの接点を持っている、あるいは当事者として関わっているケースが、無視できないほどの規模で観察されている。 例えば、ある推進団体の代表者は自身が主宰するセミナーで「ディープステートとの戦い」をテーマに掲げ、2021年の米議会襲撃事件の背景となった陰謀論「Qアノン」思想の影響下にあることを感じさせる。 また、「子どもの障害は全て親の食生活が原因」などの差別的発言で知られる反医療インフルエンサー・内海聡氏をゲストに迎えた動画をたびたび配信している(なお、全国オーガニック給食フォーラムで結びの挨拶をおこなった元農水大臣の山田正彦氏も、内海氏とは何度も対談するなど友好関係にある)。 別のある推進団体は過去に、米国の有名カルト宗教の国
全国オーガニック給食フォーラム開催2022年10月26日に、なかのZERO大ホールで開催された「全国オーガニック給食フォーラム」には主催者発表で会場1,100名、オンライン1,800名、また10名以上の国会議員、40以上の自治体首長の参加があったという。 農水省や文科省の官僚も登壇し、中野区の後援を得るなど、オーガニック給食をテーマにした集いとしては文字通り、過去最大級の規模になる。 本連載では度々、オーガニック給食という現象の背景と、そこに潜む危うさについて解説を試みてきた。 今回のフォーラムには、こうした批判的な声にも真摯に向き合う姿勢を期待したが、参加者に配布された資料集を読む限り、残念ながら全くその気配は見られない。 農水省や自治体の後押しを追い風に、今後オーガニック給食導入の声は各地でますます大きくなっていくだろう。 そこで今回は、これまで何度か取り上げてきたオーガニック給食運動
オーガニック志向と排外主義が融合したかのような政策を掲げる「参政党」が、7月の参院選で比例1議席を獲得しました。この出来事に、一部のオーガニック愛好者や関係者からは戸惑いの声が上がっています。同党に対する各方面からの意見に加え、オーガニック給食推進との親和性などの実態から間宮さんがこの参政党に迫ります。 参政党に対する各人の見方投票日直前の7月8日、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏は自身のFacebookで、選挙ライターの宮原ジェフリーいちろう氏のブログ『参政党はなぜ気持ちがいいのか~スピリチュアリティに理屈はいらない』を参照して、「自然主義や子育て政策を打ち出し人を取り込みながら(中略)排外主義、差別を内包していると感じます。私の周囲でも、自然派の方、農業に携わる方、そして、Qアノンはじめ元々陰謀論に取りつかれてしまった人など、幅広く、この党に飲み込まれています」と危機感を露わにしてい
ラウンドアップの主成分であるグリホサートが危険だと主張する科学者除草剤ラウンドアップ(主成分グリホサート)は、世界の規制機関によってその安全性が証明されていますが、一部の研究者がその毒性を主張しています。なかでも米国のセネフ博士はサムセル博士と連名で5つの論文を発表し、特に過激な主張を展開しています。それは、グリホサートががん、糖尿病、末梢神経障害、肥満、喘息、感染症、骨粗しょう症、不妊、先天異常など多くの病気の原因だという意見です。 メスネイジ博士とアントニオ博士による反論これらの主張に対して、英国のメスネイジ博士とアントニオ博士は論文を発表し 、以下のように反論しています。 グリホサートを含む除草剤(ラウンドアップなどの製品)の安全性について、さまざまな議論がされている。科学に基づいた研究、調査を行なっている世界の規制当局と、グリホサートを含む除草剤を販売している企業は、「規制で許容さ
農薬に関する誤解とともに多いのが、規格外野菜に関する誤解です。 規格外野菜の実情について、もっと消費者に知ってほしい! ということで今回は、 「規格外野菜に関する誤解で打線組んでみた」 をテーマに、農家の僕ナス男が解説します! 消費者の方にぜひ読んでほしい内容です! 1.(中)ちょっとくらいの傷なら売れよ!「ちょっとくらいの傷でも捨てるのか! 出荷規格が厳しすぎるのでは!?」 という意見はけっこうありますが…… 消費者の方にはあまり知られていないかもしれませんが、きれいなA品と廃棄される規格外の間に、いくつかの規格があるのです。 スーパーに並ぶキレイなA品しか出荷できないわけではなく、B品でも問題なく出荷できます。 例えばナスの場合。 程度の軽い傷や多少の曲がりなら、出荷できます。 このような野菜は、スーパーではなく外食企業や加工工場に行くことが多いです。 規格外になるものは、下の画像のよ
有機農業に関する講演の機会を得た間宮さん。その内容を要約して紹介します。 日本の有機農業50年史を50分で振り返る、というテーマで講演の機会をいただいた。 1年あたり1分しかない。 客層としては若い方が多く、必ずしも有機農業事情に精通していない。 そういう人にも、2022年の自分たちの立ち位置が見えるようなまとめ方をしてほしい、ただし安易にキラキラした希望を語らず、シビアな現実を突きつけてほしい、とのオーダーだった。 後者はともかく、前者はなかなかの無茶ぶりである。 そんなテーマなら僕よりふさわしい話し手がいるでしょう、と何人かのお名前を挙げたのだが、イデオロギー的な偏りのないフラットな話が聞きたいのだ、と主催者に押し込まれて、結局引き受けることになった。 基礎知識のない方でも全体像をぼんやりとつかめるよう心がけたが、詰め込み感は否めなかった。 まだまだ工夫の余地があったのではないかと悔や
科学的根拠のない、不思議なトンデモ健康法が発生する現象を観察するライター山田ノジルさんの連載コラムがAGRI FACTでついにスタート。驚くべき言説で広まる不思議食品の数々や、その沼にはまった住人たちをウォッチし続けている山田ノジルさん。記念すべきVol.1は「野良発酵」なる不思議食品の世界を観察します。 「野良発酵(のらはっこう)」。私が勝手にそう呼んでいる名称です。ヨーグルトや味噌、漬物、甘酒、納豆、ザワ―クラウト。家庭で作って楽しむことのできる手作り発酵食品は数多くありますが、その中に度々、驚くようなニューカマーたちが現れます。作り方や広め方、考え方。そこに振り切った自由度の野良みを感じ、いつしかそう呼ぶようになりました。具体的には、次のようなものたちです。 ・アボカドヨーグルト……アボカドの種を豆乳に入れ、常温放置するとヨーグルトになると主張されているもの。ちょっとしたブームになっ
発達障害児・者のグループに参加私がグループに参加しようと思った理由は、発達障害のことをよく知らなかったからです。 「発達障害の大きな要因は食(遺伝子組換え作物や農薬)」という国会議員のトンデモ発言に、農業関係の立場から「そんな根拠ないでしょ?」「そもそも発達障害は防ぐべきものなの?」というツッコミは入れていましたが、実際の当事者たちがどのような生きづらさを感じているのか、どのようなサポートを必要としているのか、などをよく理解していませんでした。 今回いただいた招待は、もしかしたら新しいことを学ぶきっかけになるかもしれない……。 というわけで参加してみました。 定例会といってもみんなで集まって近況報告をしたり、子育てや就労などの情報交換をしたり、お互いのあるある話に笑ってみたりと、参加しやすい雰囲気でした。 関係者が必要なのはオーガニック給食などではない当事者やその親たちが必要としているのは
「食の安全が売り渡される」「F1品種で不妊に」「発達障害の原因は農薬」「種子法廃止でコメが高騰する」など、ありとあらゆる農業のトンデモを拡散していた人物が、とうとう国会議員になってしまいました。その人物とは、山田正彦元農林水産大臣の息子山田勝彦氏。今回のコラムでは、トンデモ国会議員が誕生するまでに私が体験したことをお話しします。 トンデモ議員が長崎から衆院選に立候補私は同じ長崎県に住んでいるので、勝彦氏の(トンデモな)影響を実感していました。 バーに来たお客さんや知人の中には、講演会やSNSでの発信を真に受けた人もいて、「タネが外国に支配されるらしいけど、農業は大丈夫なの?」「最近の野菜は食べ続けると不妊になるの?」と聞かれることもありました。 確かに、勝彦氏の拡散するトンデモはインパクト抜群で、聴き手の不安を効果的に掻き立てます。 ですが、ウソの情報で農業の不安を煽り、不妊や発達障害など
米国のがん患者が除草剤ラウンドアップ(有効成分グリホサート)の製造元バイエル社(旧モンサント社)を訴えている裁判ではこれまで原告勝訴の判決が下ってきた。しかし今回、子どもが発症したがんに関してバイエル社を提訴し、和解の枠組みから外れたカリフォルニア州の訴訟で、2021年9月に被告バイエル社勝訴の一審判決が初めて下った。 10月5日のロイター(出典1)によると、 カリフォルニア州の陪審員は除草剤ラウンドアップが子どものまれながん(非ホジキンリンパ腫)の実質的な原因ではないことを認め、ラウンドアップががんを引き起こすと原告が主張する裁判に被告のバイエル社が初めて勝訴したと、同社が明らかにした。原告のクラーク氏はバイエル社が所有するモンサントを、ラウンドアップ使用による発がん性リスクを警告しなかったとして訴え、息子が家族の住居で雑草に散布したラウンドアップに曝露された結果、がんを発症したと主張し
寄付 問い合わせ AGRI FACTとは 本サイトはAGRI FACTに賛同する個人・団体から寄付・委託を受け、農業技術通信社が制作・編集・運営しています
AGRI FACTによるファクトチェック結果 その理由は?各国の規制研究機関で高い安全性が認められ、世界150カ国以上で使用されている除草剤だから。 AGRI FACTのファクトチェック【対象と選択基準】 AGRI FACTのファクトチェック【評価基準と判定】 以上の要旨はAGRI FACT事務局が作成したものです。 詳細は以下でご確認ください。 農と食にまつわる噂・ニュース・風評の「ウソ?本当?」を検証するサイトAGRI FACT(アグリファクト)は2021年3月10日、「発がん性のある除草剤グリホサート」藤田和芳氏(オイシックス・ラ・大地㈱代表取締役会長)との投稿についてファクトチェックを行い、「科学的根拠なし」とする調査結果を発表した。 (*2021年12月更新) ファクトチェックした投稿内容「発がん性のある除草剤グリホサート」 投稿内容の原文(検証対象は太字部分)と出典発がん性のあ
プロフィール渕上桂樹さん(農家BAR NaYa/ナヤラジオ) 岡田恭子さん(ママの保健室@長崎(@mykyo3123)、麻酔科医、ISD個性心理学インストラクター、2児の母) AGRI FACTで連載中の農業トンデモハンターの渕上桂樹さんが、麻酔科医でワクチンデマを不安に思うお母さんたちと向き合い、正しい情報を丁寧に伝え続ける岡田恭子先生と対談! 医療トンデモと農業トンデモの共通点や、トンデモ発信源の真の目的、トンデモ情報を回避するための注意点を語り合った。 出会いはグリホサート渕上桂樹さん(以下:渕上):岡田先生との出会いが忘れられないんです。 岡田恭子さん(以下:岡田):先輩に渕上さんのお店に連れてきてもらいました。「野菜や果物で作られたお酒がたくさんある!」とテンションが上がってカウンターに一人で乗り込みましたね。 渕上:その日に放送したナヤラジオのテーマが除草剤だったんです。それを
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