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アメリカ大統領選
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講演のなかで、企業やブランドがオリジナルフォントを持つという動きは欧州では広まっていて大企業や高級ブランドに限らずスーパーマーケットでもそれぞれがオリジナルのフォントを持っている、という話をしました。実際に参加された方から感想のメールをいただいたら、そのことにとても驚いたと書かれていたので、スーパーマーケットのオリジナルフォントがどのように使われているか実際の例を挙げてみることにします。チラシの値段の部分だけ、というようなものでなく店全体がフォントを統一して使っているんです。
ロシアのウクライナへの侵攻がはじまって1ヶ月が過ぎました。テレビやオンライン版新聞のニュース報道などで、車体正面に「Z」と書かれたロシアの戦車や軍用車輌が目立つようになってきました。 ロシアに対する反感が強まっている一方で、ごく一部にはそのロシアの政策に共感する人たちもいるらしく、ドイツの一部の州では、ロシア側への同調の表明として「Z」の文字をシンボル的に掲げることは刑罰の対象になる、というのが きょうの記事 になっていました。 別の こちらの記事 では、有名なチューリヒ生命保険会社も、大きく「Z」一文字が丸の中に収まったロゴの使用をやめたと書いています。 この戦争が、アルファベットの文字に残念な意味を付け加えてしまい、一文字で大きく使うことがためらわれる空気をつくっているように思います。とても残念です。 私は、個人的には「Z」の字には思い入れがあります。私がいっしょに仕事をしていたときに
ハイフンの使い方は、行の終わりにぴったり収まらない単語を途中で切って次行に送るときに使うほか、二つの単語を一つにするときにも使います。 この下の例で出てくる semi-transparent (半透明の)や upside-down (上下逆さまの)などです。 この例の「film – to」にある横棒は、ハイフンより長いです。これはダーシ(ダッシュ)です。同じ横棒でも、ダーシには、ハイフンとは全く別の役割があります。ここでは、ダーシは前の文章の補足説明になっています。 そのほか、日本で見かける英文で誤用が多いのは、「から…まで」や記号「〜」の意味になる部分でハイフンで代用しているものですが、本来はダーシを使います。たとえばこの下の例なら、「69 から72ページまで」というです。ここでダーシの代わりにハイフンにしてしまうと、「69 の 72」になります。 この2つの例は Richard L.
先週、香港に行っていました。前にこの記事 で書いた香港の独特の看板の文字スタイル、「北魏(ベイウェイ)楷書」、それについての新しい本が2冊、昨年のTDC賞コンペティションに出されていて、審査員として私は中をじっくり見ていました。なので、香港出張の時には絶対買うぞ!と思って本屋さんに行きました。 本屋さんでこの一冊ゲット。
香港の独特の看板の文字スタイル、「北魏(ベイウェイ)楷書」というスタイルの文字を見に、市場の建ち並ぶ地区に行きました。二階建ての市電に乗っていきます。
金属活字の作り手のいろんな工夫と、それをちゃんと活かして使う職人の話、3つめ。この嘉瑞工房のカード、良い意味でネタ満載なんです。
日本からの更新です。 鳥肌が立つ瞬間、というのがあるんだな。きょう、まさにそういう経験をしました。 Monotype 社の二日間連続のイベント「Type&(タイプアンド)」一日目の本日行われた児山啓一氏のトークでは、日本を初め世界の空港や鉄道の駅のサイン表示などのスライドを丁寧な解説付きでご紹介いただきました。 最後に、ロンドン地下鉄書体の例で締めくくるとき、児山氏が用意した最後のスライドが、 Frank Pick の言葉でした。ロンドン地下鉄書体を工芸家の Edward Johnston に発注するなど、今のロンドンの街の声をつくる動きを起こした彼の言葉がこれです。児山氏のスライドにあった文章をそのまま載せます。 ‘The quality of our surroundings contributes decisively to our quality of life.’ 「周囲の環境の
地名の変遷を示しているわけで、ナチスによるユダヤ人迫害などによって改名された歴史をそのままさらけ出すという、じつにまっとうな考え方が反映されています。 一番西側にある名前 Judenmarkt は、直訳すれば「ユダヤ市場」という意味で、フランクフルトに15世紀半ばから18世紀末まであったユダヤ人ゲットー(隔離居住区)の名残です。 同じ場所が、1886年に Börneplatz と名付けられます。このゲットーで1786年に生まれてのちにジャーナリスト・批評家となったユダヤ人、ルートヴィヒ・ベルネ(Ludwig Börne)の名を取って彼の生誕百年の年につけられました。 1930年代に入ってナチスが台頭したドイツでは、ユダヤ人の名前に由来している Börneplatz という地名をやめて、近くにキリスト教の聖ドミニコ修道院があることから聖ドミニコの名を取って1935年に Dominikaner
本屋さん「Supp」です。この u の上の線はアクセントというわけでなく、昔の慣習で n と間違えないようにという目的でついたものです。すぐ上の写真のような筆記体だと n だか u だかわかりにくいから。 これは二つ前の「Mannsperger」よりも読むのに時間がかかった「drugstore」。最初の字がなんだかわからないと、そこでつまづいて読み取りにくいと感じてしまう。
ついこないだ発売された、『ディテール・イン・タイポグラフィ 読みやすい欧文組版のための基礎知識と考え方』の元の本の著者、タイポグラファーのヨースト・ホフリ(Jost Hochuli)さんがデザインした本です。Frutiger Serif の使用例として購入しました。 先日、日本で『ディテール・イン・タイポグラフィ』の日本語版の組版をした一瀬さんから情報をいただき、こちらの版元から購入しました。本のタイトルは『Silberfischchen, Lilienhähnchen und andere Insekten』。 話によれば、ホフリさんがこの本にデジタル版 Meridien を使おうとして、古いバージョンのデジタル版 Meridien にはオールドスタイル数字もスモールキャップのないのでどうしようか悩んでいたところ、ある人に勧められ Frutiger Serif が事実上 Meridien
私が書いている別のブログ、「ここにもFutura」がきょうでちょうど10年です。 ブログを始めるきっかけは、最初の記事から抜粋すると、こうです。 「Futura(フツラ)という欧文書体があって、他のサンセリフ書体 Helvetica(ヘルベチカ)や Frutiger(フルティガー)、Univers(ユニバース)と同様に世界中どこに行っても使われているんですが、日本では Futura について『ナチスを連想させる書体』だとか、『ドイツやユダヤ人社会では使用に注意』などというとんでもない噂話が広まっているようです。」 「それ(Futura の海外での使用例)がたった1枚の写真でも、日本の方に安心してもらえるみたいなんです。それならいっそ Futura の使用例のスクラップブックみたいなものをつくって、身のまわりでどれだけ頻繁に使われているかを記録してみようと思いつきました。」 それから、あちこ
日本の公共サインについて、このブログでちょくちょく書いている、やたらに左右の幅を狭くしている件。たとえばこの記事では、縦線は横線より太くつくるのが欧文デザインの基本であって、縦画が細くなってしまった場合に見た目に安定感がないし読みづらいと書いています。 今回の日本出張で利用した羽田空港のモノレール。 国際線ビルのモノレール駅ホームなどに掲げられている案内を見てみましょう。日本語の部分ではなく、英文の情報だけを頼りにする人の目になって見てください。 これは到着階からモノレールのホームに上がる手前のエスカレーター。やや斜めから見たらこんな感じです。
モダンな建築物に合うローマン体ってなかなかないと思うんですが、昨日通りかかったここは非常に好印象でした。この建物はヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学 Physik(物理学)棟。場所はフランクフルト郊外に数年前新しく開発された、住宅地と教育施設が一体になった街区です。
イースター休暇で家族みんなで日本旅行の最中です。私は新潟にいって、ほぼ毎年開催しているお話会をしてきました。 昨年タイミングが合わず開けなかったため、今年は早い時期での開催となりました。会場の北書店には、夜8時の話会の開始1時間前に到着して、店長の佐藤さんに「こういう本を探してるんだけど…」と相談したら、いまは古本でしか手に入らないようなものまで集めてくれて、合計で10冊くらい購入。 話会は、毎度のメンバーも新しい顔ぶれも混じって、デザイナーでない人が半分くらいいる。毎回そうですが、私が一方的にしゃべるのでなくいきなり質問だけの話会。全然デザインに関係のない参加者からも、デザイナーからも、すごく良い質問が出るんです。毎回どんな話になるのかまったくわからない状態で行くわけですが、今年も面白かった。終わったのが夜中を回っていました。私の方でも情報をたくさんもらいました。 翌日は、参加者からいた
私が書体デザインに興味を持って写研に入社したとき、最初の仕事がゴナDの漢字制作チームの手伝いだった。ゴナは学生の時からの憧れの書体でした。そのゴナをつくった中村さんとお話ができるなんて。 トークショーの会場近くにお昼を食べに行ったとき。ナールで組んだこれを中村さんがご覧になって、「ごんべんの幅が狭かったかな?」なんておっしゃっていた。「でも、整いすぎると面白くないよと写研の人に言われたなあ」とも。
寿司は、ドイツに引っ越してきた2001年当時からちょっと大きい町に行けば寿司レストランはあった。もう今は、大きめのスーパーマーケットに行けば寿司用の材料、たとえば海苔やワサビは置いてある。でも、「ガリ」のローマ字表記のものを見たのは初めて。
今年は、公共サインについて考えることが多い年でした。公共サインについての大きな講演を二つしています。 まず1月に、日本サインデザイン協会のフォーラムで、日本の公共サインの英文の表記について話す機会をいただき、翻訳家の田代眞理さんといっしょに登壇しました。田代さんは英文表記について、私はデザインの視点からサインの英文の書体の選び方や使い方についてやや辛口の提案をしました。 そして11月には、エコロジー・モビリティ財団の主催する「バリアフリー推進勉強会」で、サインの文字の読みやすさについて、ドイツの新しい DIN1450 規格の考え方と照らし合わせながら日本のサインがまだまだ改良の余地があるという話をしました。そのときのスライド資料の一部がこちらで公開されていますので、興味のある方はどうぞ。(実際の講演では、DIN1450 規格の中身について解説をしましたが、 公開用資料では著作権の関係で割愛
私のデザインした新しい書体ファミリー、Between が全世界でいっせいに発売になりました! テーマは「声のトーンのように使い分けができるファミリー」。3種類のトーンがあります。 1は、カッチリした形でありながらどこか人間的な優しいリズム感。
ひと文字単位で考えるのでなく文字を組んで単語になった状態、つまり集合体としたときに読みやすいようにつくられているのが、文章を組むための欧文書体です。小文字 d や y などの上下の飛び出しと同じように、すごく大事なことなのに日本ではあんまり気にされていないのが、文字と文字との間のリズム感です。 日本語フォントに含まれるローマ字のデザインには、1文字1マスの日本語に合わせて等幅に m も i も正方形の一文字分につくった「全角英字」が備わっています。それとは別に、フォントによっては、全角の半分のスペースに収まる等幅の「半角英字」や字形に合わせた字幅を持った(プロポーショナル)英字が入っています。 英文などの文章を読むときには、ひとつひとつの文字の形だけでなく、リズム感も大事です。日本語は1文字1マスが基本ですが、欧文のアルファベットは文字の形によって幅が変わります。画数の多い M m などの
日本のなかでも、注意書きに英語が添えてある例が増えてきました。 でも、なんとなくギクシャクして読みづらい。綴りは間違っていないのに、一瞬考えないと伝わらない。途中で読みたくなくなってしまう。そんな欧文のサイン表示や注意書き、けっこう多いんです。欧文の読まれ方のメカニズムを知っていれば避けられるミスなんです。 写真の「Emergency」や「stop」、小文字 g や y、p を切り詰めた形なので読みにくいですね。日本語フォントに含まれるローマ字の典型的なデザインです。 電光掲示板の英字にもなかなかスゴイものが。 これはデジタルフォントとは違うでしょうが、英字の情報を見る人にとっては、だれがつくっているかとか、アウトライン表示かドットなのかは関係ないですからね。ここでも g や y がかわいそうなことに。 たいていの日本語フォントに含まれるローマ字は、小文字の g や y などの下に飛び出る
今年3月に書いたこの記事で、いろんな言語の観光ガイドが増えてきたことを書きました。数年前には聞いたことのなかった「インバウンド需要」という言葉もあちこちで使われています。
去年と今年は、日本に出張が多いので日本でも道路の交通標識や案内標識を中心にいろいろ写真を撮ってきています。ドイツの標識の例と比べると、わかってきたことがあるので、何回かに分けて書いてみようと思います。
雑誌『Typography』 最新号 がいよいよ発売です。 特集「美しい本と組版」で組版についてかなり掘り下げて、書体会社10社100書体の文字組見本の小冊子つきだそうで、お買い得感ありです。 私の連載「文字の裏ワザ」では、イタリック体の文字の微妙な傾きの違いについて解説しています。 たとえば、たいていのセリフ書体の b d l f の傾きは全部微妙に違っています。しかも一定の法則がある。微妙なのですぐには気づきませんが、文字を重ねてみると傾きを変えているのがわかります。上半分の長い直線部分の傾きが違うから重ならないんです。 まず Adobe Garamond のイタリック。 b は右に倒し、逆に d は少し起こしてつくると安定する、という裏ワザを使っています。 それって古い感じをねらった書体だけなんじゃないの?って思っている人もいると思うので、 Bodoni でも比べてみました。キッチリ
仕事で、東京と台湾と上海をまわってきのう夕方ドイツに戻りました。 今回、東京では「日本語を読めない外国人観光客の目線」で見てみました。 なんでかというと、日本ではなんか急に自治体や商業施設が力を入れて観光客向けのキャンペーンを展開しているのを感じたから。 都営地下鉄の入り口にも、英語をはじめ数カ国語で組まれたパンフレットとか地図、英語のガイドブックがたくさんある。 でも、街を実際に歩いてみると、「入り口だけ英語」みたいなのが多くて気になるんです。 新宿区のオフィスビルですが、「INFORMATION」の下にある社名などはすべて日本語。観光客には縁のないところかもしれないけど、仕事で来る人もいるはずです。 つまり、英文の文章から入ってくるのに、途中からは「日本語がわかることが基本だよね」的な情報がすごく多い気がしてしまう。 商業施設が力を入れて観光客向けのキャンペーンを展開している割には、意
フォントをつくるうえで必要なお約束などが書いてある本を紹介してほしいという内容の投稿をいただいたので、良いのがあるかちょっと考えてみました。 デザイン的な部分でのお約束、というふうに受け取りました。ソフトウェアの操作方法についてならばチュートリアルをご覧ください。 紙媒体で、たぶん一番手に入りやすくて、詳しくて、というふうに絞っていくと、単行本の書籍で思いつくものはありませんが、私が毎号記事を連載している日本の雑誌『Typography』だと思います。日本語で読めるのもちょっとお得かと。 『Typography』の第1号は特集「フォントをつくろう!」ですし、2号の特集「ロゴをつくろう!」にもいろいろなコツが載っています。日本語の文字やロゴについての記事も、私以外の超エキスパートが執筆されているので、さらにお役立ち感があります。 私が担当する連載記事では、1号から6号まで「欧文書体のつくりか
こないだ、ドイツのギムナジウムに通う次男が書いたドイツ語のレポートをチェックしていました。文法などのチェックは長男がやってくれるので、私は、単語の間のスペースがひとつ多い箇所を指摘しただけでした。 提出するレポートの使用書体とサイズについては、規則があります。Times New Roman で12ポイント、または Arial で11ポイント。別のギムナジウムに通う長男もそう言っているので、教育関係の共通の決まりなのかも。 その規則については前にも聞いたことがあったけど、実際に Times New Roman 12ポイントと Arial 11ポイントで同じ文を組んで比べてみようと思ったことがなかったので、やってみました。 そうしたら、文章の量はだいたい同じ。決めた人からすれば、それによってレポートの量の目安にするわけだから「だいたい同じで当然」ということなのかもしれないけど、けっこう新鮮な驚
小林さんと小泉さんのコメントから、お気持ちがすごく伝わってきました。 私はUniversが大好きです。おそらく自分の仕事の中で一番使わせていただいてるフォントです(もちろん世界中の多くの人もきっとそう言うと思います)。 小泉さん監訳の「サインとシンボル」で、より親しみを持ったところでしたので、とても残念でなりません。 フルティガーさんのご冥福を心からお祈りいたします。
あの Helvetica(ヘルベチカ)が1957年に発売された当時の名前、ノイエ・ハース・グロテスクの活字カタログを休み時間に見ていました。製造発売元ハース社のカタログ類です。
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