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「VCの実務」と題しましたが、すでにVCで働いている方は読まないでください。営業秘密だから、というわけではなく、あまりに基本的な内容で時間の無駄をさせたくないからです。 この記事は、大企業で新規事業を成功させたい人向けの内容になっています。なぜなら、大企業での新規事業を成功させるには「スタートアップのようなチーム」と「VCのような支援組織」が必要だからです。 「スタートアップのようなチーム」については、すでに「リーンスタートアップ」や「仮説検証」「顧客開発」など、その在り方を解説したものは数多く存在します。しかし、「VCのような支援組織」については、VCの解説書はあったとしても、(特に大企業においての)支援組織の在り方について書かれたものは少ないと感じます。(だからこそ『超・直感力』を書きました) 「ベンチャーキャピタル」、略してVCという業態は、新しい事業(ベンチャー)を育てるための資金
海外スタートアップのピッチを聞いてると、“Democratizing”(デモクラタイジング)ということをしきりに言っています。 これは直訳すると「民主化」ということなんですが、民主主義を勝ち取ったわけでもなく、普段はあまり民主主義を意識しない日本人には感覚が分かりにくいかもしれません。 そもそも、一部の君主(=王様)や貴族から国を奪還?奪取?して市民たちのものにしたのが民主主義の発端だったということを考えると、ビジネスにおける民主化というのは「一部の限られた人たちにしかできなかったことを、多くの人に届ける」ことだと捉えるとわかりやすいです。しかも、これは言い方を変えた「破壊的イノベーション」そのものです。その理由は後述しますが、「特権階級にしか許されなかったことを、一般市民にも可能にする」というのは最高でしかありません。いくつか例を挙げていきたいと思います。 焼き肉 例えば、皆さん焼き肉好
デジタルヘルス×ウェアラブル市場に参入している(しようとしている)企業は多いが、これまでのところアップルウォッチ以上の可能性を出せている会社はなさそうである。私は決してアップルファンではないので、他に良いソリューションがあってもいいはずだと思っているが、なかなか登場しそうな気配もないが、その理由を考えてみたい。 まず「ヘルスケア」という切り口で参入すると痛い目に会う 私たちの大半は基本的に健康であり、ほとんどの人にとって、病気や死を意識することはない。もし、病気や死を恐れているとすれば、すでに体調が悪かったり、病み上がりだったり、病気と隣接している状態のときである。つまり一般の人にとって、朝起きた瞬間「健康になろう」と思い立つようなジョブは抱えていない。もちろん、「健康になりたい」といった動機はあるにはあるが、具体的な活動に結びついたジョブという形では存在していないのだ。同様に「正しい食生
「イノベーター理論」と「キャズム」 新型コロナのワクチン接種のグラフを先日眺めていたら、きれいなS字を描いていることに気づきました。 新しい解決策が世の中に受け入れられ、普及するのには時間がかかります。一部の新しいもの好きはすぐに採用しますし、もっと遅い人もいます。ロジャースという社会科学者の研究によって、この採用スピードは正規分布し、採用率をプロットするときれいなS字を描くことがわかりました。例えば、日本におけるテレビの普及曲線はこのようになっています。 wikipedia commons https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Television_penetration_rate_in_Japan_from_1957_to_2015.svg その後ジェフリー・ムーアはハイテク商品を世の中にローンチしても、売上が伸び悩むことが多いことに気づきまし
分け隔てのないNOTE まず、NOTEです。 NOTEには“柔らかい”文章がたくさんありませんか?そして、まるで「プロ」のようなエッセイや小説が無料で読めます。もちろん、課金しないと読めない「プロ」が書いた作品もありますが、「アマチュア」が稼ぐことも可能だし、「プロ」が無料で作品を提供することもできるのがNOTEです。 例えばこんなエッセイにも出会えます。 今週末の日曜日、ユニクロで白T買って泣く|しまだあや(島田彩)今週末の日曜日、私はユニクロで泣く。 いつも行く、イオンの4階に入っているユニクロで。きっと、震えながら白のエアリズムコットンオーバーサイズTシャツ(5分袖)を手に取って、泣く。 何の話か全くわからないと思うけど、今、たった今3時間前に起きたことを、心臓をばくばくさせながら、今日は書く。 … 以前は、アマチュアはアマチュア、プロはプロの場が用意されていました。NOTEは読者の
ペイシェントジャーニーという言葉があります。 ペイシェントジャーニーとは、医療系サービスを受ける人が医療サービスに辿り着き、医療サービスを受け、症状や生活の質が変化するまでの行動や感情の過程を表す言葉です。似た言葉でカスタマージャーニーという言葉がありますが、ペイシェントジャーニーは医療もビジネスだと認識してカスタマージャーニーから借りてきた概念です。 アメリカを筆頭に医療がビジネス化しています。つまり医療は国民が受ける平等な社会インフラから一歩抜け出し、医療は消費者が選ぶ「サービス」として見なされるようになっていることです。医療が「サービス」ということはどういうことかいうと、病気になったり体調が悪い消費者が、治療を受ける病院を選んだり、そもそも自主的な療養などで問題解決するかを決めるということです。 例えば、私は不調を感じると、その症状をGoogleで検索し、よくある病名であれば寝て治し
どうやったら会社を成長させることができるのか? 今では本やネットの記事にあらゆる情報があふれていて、さまざまな戦略フレームワークやテクニックや事例が簡単に入手できますよね。実際、このブログにはジョブ理論やピッチのテクニック、成長戦略の描き方や事業開発のコツも紹介してきました。この手の知識はあればあるほど成功には近づきますが、知識ではカバーできないことの一つに「経路依存性」というものがあります。 経路依存性とは、簡単に言うと「物事を為す順序」ということになります。 人を増やしてから、開発をするのか? 開発を進めてから人を増やすのか? ピッチコンテストに出てから、プロダクトをローンチするのか? ローンチしてからピッチコンテストに出るのか? 資金調達を先に行ってから海外展開するのか? 海外展開で資金調達をするのか? 近い言葉に「優先順位」というものがありますが、ちょっと意味が違います。例えば、「
クレイトン・クリステンセン氏が遂に、亡くなられた。67歳だった。 Clayton Christensen dies at 67 after lifetime of business, spiritual influenceSALT LAKE CITY – Clayton Christensen, whose theory of disruptive innovation made him a key influence on Silicon Valley powerhouses like Netflix and Intel and twice earned him the title of the world’s most influential living management thinker, died Jan. 23 at age 67. 深刻な健康問題を抱えていたことは知られてい
先日「今でしょ」で有名な林修先生がテレビで現代文のコツを紹介していた。 読書は好きだったわりに国語の成積がすこぶる悪かった私は見入ったのだが、先生はそのコツを例の得意げなしぐさとともに惜しげなく紹介してくれた。その分析によると、小説問題の大半は傍線問題という文章の意味するところを答えさせるものだそうだ。しかも、その傍線は主人公の心情に変化があったり複数の感情が入り混じった所に引くのが出題者の傾向として強い。つまり、回答欄には心情を2つ書くのが必勝パターンということになる。 この分析にはナルホドと唸らされる。もう一回大学受験をしてみても…とは一瞬だけ思ったりもした。 いずれにせよ、受験には役立つ勝利の公式であると感じた。 このような分析や公式に精通すれば、大学受験には大きな武器となるだろう。国語の先生にもなれるかもしれない。しかし、こういう公式をいくら覚えたところで小説家にはなれない。クリ
XVC立ち上げを期に2021年6月2日修正しました。 さまざまなスタートアップが存在してしかるべきなのですが、なぜかITスタートアップの方が「成功しそう」だという世間の評判があるようです。 ハードウェア系のスタートアップは文字通り「ハード」だという評価は軒並み共有されているので、特に反論はしませんが、なぜそういう評価なのか?そしてどうやったら「よりイージー」になるのか?考えてみたいと思います。 ちなみに知らない人もいるかもしれませんので、ハードウェア(Hardware) という言葉は難しいということではなく「硬い」、つまり変更が効かないということから生じた単語です。ソフトウェアは柔らかく変えやすいという意味になります。ハードウェアの制御ソフトウェアなど、その中間に位置するものを「ファームウェア」(firmware=しっかりとしていて変えにくいが変えられる)と呼ぶこともあります。なお、「ハー
イノベーションのジレンマについて、より詳しい解説をこちらに書きました。 「イノベーションのジレンマ」には「技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」という副題がついています。 つまり、技術が大きく進展することで巨大企業の地位が危なくなるという現象を紐解いているわけです。しかし、大きな企業ほど技術革新に費やすことのできる資源も多く、大きな企業ほど安泰なはずなのに、なぜ危うい地位になっていくのでしょうか。クリステンセンはこのパラドックスを深く理解するためにいくつかの業界に注目します。 ハードディスクドライブや油圧掘削機の事例から、その理由を紐解く。 当初考えられていたのは、企業は成功し、巨大化すると怠けてしまうというありがちな論理です。しかし、この仮説は見事に裏切られてしまいます。実はこうして衰退するトップを走る企業はしっかりとした合理的な運営がされており、「正しい」ことを行っていたのです。しかし、ここ
ジョブ理論とは、人がどのようなものを買い、どのようなものを買わないのか、を説明する理論です。 いくつかの特徴がありますが、代表的なものを挙げてみましょう。 ある特定の状況で人が成し遂げたい進歩を“ジョブ”と呼ぶ 消費とは“ジョブ”を片づけようとして、特定の製品やサービスを“雇う”ことである 人は置かれた状況によって何を“雇う”か左右される “ジョブ”には機能的な側面だけでなく、感情的、社会的側面がある クリステンセンがイノベーションの研究をしているときに、製品の特性ではなく、顧客の状況と顧客が片づけるべきジョブが新しい製品が消費されるかどうかを決定づけていることを発見し、理論化しました。 例えば、「伸びてだらしなくなった髪を整えたい」という進歩をしたい忙しい男性にとっては、サービスがよくて時間もかかる床屋ではなく、QBハウスのようなシンプルで立ち寄りやすい立地の床屋を“雇う”のです。あくま
リーンスタートアップや、ビジネスモデルキャンバスが効果的なのは、むしろ必要なこと以外に時間やお金をかけないことにあると思っています。例えば、製品をつくる前にたくさんインタビューをするのは、作ってしまってから不満の声を聞いて対処する時間を省いてくれます。また、単純な試作品やMVPをお客さんに試してもらうことで10個の機能に散らばった1000個のバグを1つの機能の100個のバグへと絞ってくれるんです。最初から複雑なシステムをデバッグしようとすると、機能間の依存関係を紐解いて原因分析をしないといけないので、かかる労力は10倍ではすみません。部分的に機能や顧客の反応を検証すると全体の労力が減らせるのは、余計なノイズをカットしているためで、つくり込みに必要なエネルギーは変わらないように感じます。 スタートアップに向いたさまざまな手法を取り入れても結果が出ていないように感じるようでしたら、余計な作業が
日本企業、とりわけメーカーは「特許こそが参入障壁である」と考えがちだが、クリステンセンも『イノベーションの最終解』で繰り返し語るように、企業が市場に参入するかどうかは動機の問題である。市場が魅力的だと思うかどうかによって、そしてその市場で成功しそうかどうかの判断によって、参入が決まる。エンジニアとしての経験からも、会社の方針や戦略次第では他社の特許スレスレで回避するような努力をしたり、多少のロイヤリティを支払っても技術的にマネすることは日常的に行われている。特許は参入障壁を作るというよりも、参入にはコストが掛かるというメッセージを放ち、他社の動機をくじくのが究極の狙いである。
もし新たなビジネスのアイデアを出そうと、会議を重ね、ワークショップを工夫しても進まないということはよくあります。仮に良質なアイデアがたくさん出ても、新規事業に着手するところまで何か足りない、という状況をいくつも見てきました。 なぜなのか、見ていきましょう。 数多くのアイデアを出しただけで満足してしまう。 ビジネスをすることを前提にアイデア出しをしていることを忘れて「面白い」アイデアを出すことに興じてしまいがちです。アイデアを出す作業は個人的にもメチャクチャ楽しいので、ついついその目的を忘れてしまいそうになります。ですが、一通り盛り上がったら、ふとその目的を思い出すことを忘れずに! たくさんのアイデアが出たとしても、その中から取り組むべきものへ絞り込む「決断」ができない。 一つの新規事業アイデアを生むためには、殺さないといけないアイデアは山ほどあります。生かすアイデアと殺すアイデアの違いは、
「独立したんですね」と言われると、「いいえ、起業しました。」と言いたくなってしまいます。実際に、言っていることも多いかもしれません。些細な違いですが、個人的には大きな違いがあると感じてます。 「独立」というのは、プロフェッショナルとして組織に頼らずとも自分の看板だけで仕事ができるという「成長」という意味を感じます。しかし、同時に響きとして何らかの枠や縛りから、「解放」されることを目指しているように、聞こえるのです。アナウンサーがフリーになると、違う局でも出演したり、変なバラエティに出なくてもよくなったり、自由を求めての独立や、ギャラをピンハネされないようにするためにフリーになっているような例があります。そのように、「独立」にはプロとしての「成長」と同時に現状の不満がきっかけにあるような気がします。 一方、「起業」には新しい事業を創っているという意味が主にあるのではないでしょうか。実際に社内
この言葉は今や街を歩く大学生に聞いても変わらないぐらい浸透している。一方、このビジョンの本当の力を実感したことがある人がどれくらいいるだろうか?例えばビジョンを描いていたら数年後にそのとおりにいつの間にかなっていたとか、それがあったからこそ苦難を乗り越えられたなどの成功体験である。 私の経験としては、頭で理解している人の10人に1人ぐらいの割合しかいないにではないかと思っている。必要だと思っているため描いている・・・ないよりは良いと思うけど・・・という反応が殆ど。これは非常に残念な状況である。 私自身は地方剣士の全国大会での優勝。鳥人間コンテストのチーム設立から優勝までのプロセス。そして社会人になって現在に至る15年の試行錯誤のプロセス。これらを通して何度もこのビジョンの効果と不十分ゆえの失敗を経験することができた。その経験からようやく少し言葉にできるようになってきた。このビジョンが真の力
デザイン思考で自分が一番共感するポイント、考え方として取り入れたい点は、最初のステップ Empathize です。正直、これがなければ新しい商品・サービスの開発は出来ないと思っています。敢えて言うまでもないかもしれませんが、既存製品の改善にも非常に役立つポイントです。 ちなみに以下が Stanford の dschool でのデザイン思考の5つのステップです。これらはリニアではなく行ったり来たりしながら進むものですが、最初のステップ Empathize はほぼ決まっています。最初に共感ありきです。 一般社団法人デザイン思考研究所が提供している イノベーションを起こすための3ステップ・ツールキット でも人間中心主義を前面に押出し、豊富な写真で共感を呼び起こしています。 「共感って大事だよね!」ここに反論する人は少ないと思いますが、「改めて共感って何?」と問われるとスッキリしない所もあるのでは
P&GがSwashという家庭用クリーニング家電をアナウンスしました。 初代iPadと初代ルンバを買った身としては、ぜひとも最初に買ってレビューをしたいところですが、買う前になぜ注目しているのかを、聞いてもらえると嬉しいです。(ちなみに、なぜiPhoneは買っていないかというと、スマートフォンとしては、ずっとBlackberryに憧れていて、買うタイミングを逃してしまったから…)。 まず、注目しているポイントとして、 1.クリーニングは高いから。 ファストファッションが一般的になり、普段着なら1000円以内で手に入る時代です。スーツでも数万円出せばそれなりの格好ができます。なのに、クリーニングは数千円かかってしまうのって、どうなんでしょう?かと言って、洗濯に出す頻度を下げるのも…もうちょっと頻繁に手軽に洗えたら、と思っていたのは私だけじゃないはずです。どのクリーニング店も場所が微妙だったり、
学生の頃から旅行が好きで数週間、数ヶ月といろいろな国を巡った。通算62ヶ国だと思うのだが、国境が変わっている国もあり、訪問国数は数え方で多少変わる。試しに塗り絵で表現してみた。国単位なので誇張されて見えるが我ながら達成感はある。塗り絵のゲーミフィケーション効果は絶大だ! 実際は全ての地域を周っている訳ではないが、リピートしている国ではほとんどの主要都市を訪れている。こうして改めて見てみると空白地帯は、メルカトル図法で巨大な空白に見えるアイスランド。南米大陸の北部と中央部。東ヨーロッパ、中東。そして、ほとんどのアフリカだ。マリの世界遺産トンブクトゥやドゴンの村、マダガスカルのバオバブ街道はずっと前から宿題になっている。 ちなみに世界の国の数はいくつ位だと思いますか? 世界の国の数は日本目線(日本が国家承認している)で見ると日本を含めて195ヶ国。国連加盟国では193ヶ国。こうした違いを見ると
リーダーとは諸説あるが、単純にいえばリードする人だろう。人望があり、決断でき、大局感を持つ人はいずれも素晴らしく、尊敬するが、誰もが持ち合わせたい資質だが、未来思考であることがリーダーに特段必要だと考えている。一方で対比されるマネージャーとは、マネージする。現状をやりくりする役目だ。誤解なきように補足すると、どちらが良いなどと言うつもりではない。誰の中にもマネージャーの部分とリーダーの部分は同居しているので、未来思考だが現状のやりくりも上手な人は数多く存在し、リーダーシップのあるマネージャーとして評価されている。 さて、もしあなたがより良きリーダーとして未来思考を身につけたいとしたら何をしたらいいだろう。 例えば、私はこの人はリーダーだと思った身近な人を観察して真似をしようと思った。もしくはリーダーシップを発揮して成功した人を研究した本を数多く読んだ。 そういったリーダーシップに関する本は
先日、「良い会議」の直後に「悪い会議」に遭遇したので、その経験を今日は書いてみようと思う。 参加者でありながら、遭遇したという無責任な発言にはぜひご容赦頂きたい。なぜなら、中には「良く」しなくてもよい会議がどうしてもあるからだ。それは置いておいて、その落差からたった一つの特徴が浮かび上がってきた。 良い会議には、人の意見に対して他の人が言い換える場面が極めて多かった。 その違いに気づいてみると、会議を生産的にする秘訣がいくつか浮かんでくる。その秘訣とやらを書き出す前に、なぜ「言い換え」がそこまで重要なのかを考える必要があるだろう。 何が重要なのかを議論するには、その目的を明確に定義しなくてはならない。 会議の目的は、以下の二つに集約されるとしよう。 合意を取るため(言い換えると、会議室を出ると、参加者の意識が合うように) 新たなアイデアを得るため(言い換えると、参加者が会議室に入る前よりも
「行動は、結果であり、要因である。」 これだけ聞くと一体何を言いたいのか?と思うだろうが、最近特に重要だと感じている事なので敢えてこんな表現をした。一言で言うと「行動が全て!」ということなのだが、これでは言外のメッセージが伝わらない。簡単な例えで考えてみよう。もしあなたが新人の営業だとして、なかなか売上げが立たずに困っているとする。どうしたら良いだろうか? ここでピンと来た人は「つべこべ言わずに先ず行動でしょ!」と答えるだろう。前段の伏線から考えれば正にその通り。例えば、ビル一棟を端から一軒一軒回って行けば、セールストークも上手くなるし度胸も付く、営業としての精神力は相当鍛えられるだろう。だが、少し足りない。かといって、「きっちり要因を分析して顧客のニーズや売れ筋を見極めましょう!」という事ではもちろん無い。 言いたいのは「行動が全て」なのだが、ポイントはどんな行動を取るかにある。特に自身
富士フイルムホールディングスCEO古森さんが綴った『魂の経営』には、富士フイルムが新規事業を次々と立ち上げながら、デジタル事業への改革を成し遂げた過程が描かれています。 一般に、富士フイルムほどの大企業では、『イノベーションのジレンマ』により当時は未熟なデジタルカメラのようなイノベーションに取り組めないとされています。 しかし、古森さんは迷わず新たな事業を推し進めることに成功し、デジタルカメラへの着手では先行していたコダックが崩れる中、見事に改革を完成させます。デジタルカメラへのシフトに留まらず、富士ゼロックスを完全子会社化し、化粧品や医療への進出も果たしています。 『答えはシンプルだ。自分たちがやらなければ、いずれ他社がやる。ならば、やるしかない。』 このように、古森さんの考えはシンプルであり、かつ強く映ります。ご自身の経営者としての理念もこの本に紹介されていますが、まさに強さそのもので
今日は、以前あげた以下の3つの課題領域から、「ビジネスモデル等プロジェクトの方針」について考えて見ましょう。 会社の仕組みや方針 ビジネスモデル等プロジェクトの方針 人選や人の能力 ビジネスモデルとは何か、と聞かれると一言で言えば、「儲け方」と答えるようにしています。つまり、何を、誰に、どんな形態で提供し、誰から、どんな形態でお金を頂くか? クックパッドのビジネスモデルは、みんなが作った献立を、料理をしたい人たちに、インターネットを介して一部無料で提供し、広告主や一部のプレミアムユーザから広告費や会員料としてお金を頂く、となります。 クックパッドは最初、広告モデルだけでした。それが、発展し機能を増やしながらプレミアム会員からの月額使用料という新しいモデルを構築しました。このように、企業のビジネスモデルは変わっていきます。特に、ベンチャーはビジネスモデルをグルグル変えます。ハーバード大の研究
INDEE Japanの社名に込めた理念としての”IN”の意味の一つは、”INnovate”であるが、最後の”E”の一つは”Ethical”になる。つまり、いくらテーマとしてイノベーティブであっても倫理的であるかという事を非常に大切にしている。この二つを両立させるための今の苦悩を少し書いてみようと思う。 最近、テクノロジーというと殆ど”IT”というイメージが先行してしまっている。特に若い世代にとってみれば、新しい技術といえるものはインターネットテクノロジーであり、最近世を騒がせている企業といえばITというようにソフトウェア主導のものに見えるのだろう。一方、我々アラフォー以上の世代にとっては、テクノロジーとは機械や電気などハードウェアを伴う技術領域であって、ソフトウェア領域はその一部という見方をしている。そのため昨今のテクノロジーの定義にはどうしても違和感を持ってしまう。ただ、最近ようやくテ
前回挙げた3つの課題の領域、 会社の仕組みや方針 ビジネスモデル等プロジェクトの方針 人選や人の能力 から、今回は「会社の仕組みや方針」についての悩みについて、どのようなものがあるのか見ていきたいと思う。 この悩みはさらにいくつかの種類に分類することができる。 組織についてのもの 良いアイデアがあるが、どの事業部でも受け取ってもらえなさそう このプロジェクトで勝手に顧客にアクセスしたら、営業部に文句言われる 新規顧客獲得ができる部署がない 業務プロセスや審査についてのもの このような新しい提携契約は前例がなく判断できない ホームページを更新するのには3段階の承認ステップがあって、サービスをローンチするのに時間が掛かりすぎる どうしても採用したい人がいるが、人事の審査が古典的だ 一年に一度の予算配分だととても間に合わない 既存製品やサービスとの棲み分けに関するもの その新しい安いサービスを紹
子象に付けられた可哀相なくらい太い鎖、 大人の象に付けられた大丈夫かな〜と不安になる様な細い鎖。 こんな光景を想像してください。 一見、逆にするべきじゃないかと思いますが、これは悲しい事に的を射ているのです。子供の頃から鎖に繋がれた大人の象は、鎖が切れないのではなく、鎖を切ろうとしないのだそうです。どんなに力を入れても鎖を切れなかった体験から、鎖は切れないものと思い込んでしまっているのです。 学習性無力感という理論をご存知でしょうか? 心理学者のマーティン・セリグマン氏が1960年代に着想し、その後10年近くの研究を基に発表した理論です。長期にわたり、抵抗や回避の困難なストレスと抑圧の下に置かれると、動物も人も、その状況から「何をしても意味がない」ということを学習し、逃れようとする努力すら行わなくなるというものです。先ほどの象の話は正にこの理論に基づく寓話です。 セリグマン氏はその後ポジテ
社内ベンチャーや新規事業の課題に関するワークショップ等を行うと、挙がってくるテーマは大きく分けて、次の3つのどれかになる。 会社の仕組みや方針 ビジネスモデル等プロジェクトの方針 人選や人の能力 この中でも最も議論が盛り上がるのは、ほぼ例外なく「ヒト」の問題だ。その中でも、メンバーの能力に不安を抱えているというディスカッションが盛り上がる。なんとなくスキルが不足している感じがするものの、何がどう足りなくて、同補充したら良いか分からない症状である。そして、議論が進むと「アイツはダメだ」や「アイツは不十分だ」といった評価が始まる。 もちろん、そういう評価は不毛なもので、いかにして鍛えるのか?いかにして人材を集めるのか?という前向きな話がしたい。すると、話は必然とイノベーションのDNAの話になる。DNAは鍛えることはできるが、従来の環境では育たない。真剣に新たなチャレンジをするか、丸っきり新しい
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