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災害への備え
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不穏なコントが怖い 病院やお葬式のような、普段は笑うことが許されないシチュエーションで意外な展開が起こると、緊張が緩和されて、笑ってはいけないけど思わず笑ってしまう。 緊張と緩和によって感情を揺さぶるという点で、実はホラーとお笑いのコントは似ています。そして、笑いへのフリとなる緊張が過剰になると、コントはホラーに接近するのです。 歴史を辿ると、千原兄弟さんの『ダンボ君』、バナナマンさんの『ルスデン』、ラーメンズさんの『採集』は、三大怖いコントとして語り継がれる名作。『ダンボ君』は、男が頭に段ボールを被せられ、いたぶられているビジュアルがとにかく不気味。 『ルスデン』は深夜に帰宅した男が38件の留守電を再生することで、友人に起こった事件を追いかけていくという、構成自体が画期的で秀逸なコント。そして『採集』は、同級生2人の久しぶりの再会から始まり、片方がだんだんと疑心暗鬼になっていく一人芝居が
『化け猫あんずちゃん』、どう動きだす? 山下敦弘 原作『化け猫あんずちゃん』は、いましろさんの中ではちょっと独特の作品ですよね。おじさんの話ばっかりだったいましろさんが小学生向けの『コミックボンボン』に描くなんて!という驚きもあったけれど、読んでみたら、ちゃんと主人公の猫は可愛らしくて。 久野遥子 いましろさんの漫画は、男の人が自分が今どのように負けているかといった状況をすごく見つめていて、その情けなさやキュートさがあると思っていましたが、あんずちゃんはハッキリと作風が違うなと。 猫だから、男性主人公とは違って、責任をある種背負ってない部分が魅力だなと感じていました。 山下 あんずちゃんはキャッチーだから、映像化には向いているだろうとどこかで思って狙っていたんですよね。 いましろたかし 5年ぐらい前に話をもらって、正直流れるかもしれないと思いながら聞いてましたけどね。最終的にアニメの企画に
ポップかつ破壊的な楽曲を生み出すgroup_inouと、その独創性から「イリュージョン漫才」と称されるランジャタイ。音楽とお笑い、全く異なる領域でひときわ異彩を放つ2組の対談が実現。出会いについてから、ネタ・楽曲の制作やライブで生まれるグルーヴ、共通の影響源に至るまで語り尽くしてもらった。 imai 初めて2人を生で見たのは、2016年の『倉本美津留の太鼓判』ライブで。笑い飯やナイツみたいなガチガチの強い人たちに囲まれて急に知らない人たちが出てきたから、どんなコンビなんだろう?と思ってたんだけど、人生で見たことないぐらいウケてて、本当に腹ちぎれるぐらい笑ったんだよね。劇場で爆発してたのが衝撃的だったし、一発でファンになっちゃった。それから何年も後に、国ちゃんが急にDMをくれて。イノウの曲のスクリーンショットと一緒に「好きです」って送ってくれた。 国崎和也 友達から『HEART』を教えてもら
『BLUE GIANT』石塚真一と挾間美帆が考えた、楽器から入るジャズ講義 〜INTRODUCTION〜 「楽器の魅力を知れば、ジャズがもっと身近になるはず」。そう考えた『BLUE GIANT』シリーズ作者・石塚真一が、第一線で活躍する音楽家にインタビュー。楽器の個性やバンド内での役割、聴くべき名盤までを教わりました。
片足は空想に、もう片足は現実に立っている 『ドラえもん』をはじめ、多くの作品で空想の世界を描いてきた藤子・F・不二雄。彼は自身が描くSFを“サイエンスフィクション”ではなく“すこし・ふしぎ”と表した。それは遠い宇宙や厳密な科学が題材の壮⼤なスケールのドラマではなく、日常⽣活と不思議な現象が隣り合い、⽚⾜は空想にあり、もう⽚⾜は現実に立つ物語だ。 『のび太の宇宙開拓史』では畳をめくったその先が、遥か遠い星の乗り物の扉につながる。ありふれた場所に異空間への入口がある、藤子はそんな“すこし・ふしぎ”な世界を生み出してきた。 なぜSFを“すこし・ふしぎ”としたのか。それを解くヒントは、藤子のSFとの関わりにある。SFがまだ空想科学小説と呼ばれていた幼少期から、藤子は国内外のSF作品に心酔してきた。彼は『S−Fマガジン』を創刊号から愛読した、いわゆるSFマニアであった。 そのため、作り手として描き始
Sounds Good Store ソウルの気鋭ショップが、サン・ラーを選ぶとは。今や音楽好きが韓国に向かう“理由”にもなりつつあるレコードショップ〈Sounds Good Store〉。そのグッズは、マニアも唸るチョイス。例えばこの《Journey Stars Beyond Cap》。独特の音楽性で孤高の存在として知られるサン・ラー。彼の曲「Journey Stars Beyond」からインスパイアされたデザイン。色違いのネイビーもあり。39,000ウォン。soundsgood-store.comジャズのお家芸なグラフィックが胸に躍る。1950〜60年代のブルーノートのデザインを彷彿とさせるグラフィカルな“JazZ”が印象的なスエット《JazZ Crewneck》。アッシュグレーのボディにポップな色味が映える。マーチャンダイズといえばボディは既製のものも多いが、こちらはオリジナル。厚手な
渡辺貞夫さん、“ジャズ”は人生ですか? 「世界のナベサダ」こと渡辺貞夫は、日本のジャズのパイオニアであることは誰もが認めるところだろう。実際、渡辺は戦後間もなくジャズと出会い、その後のミュージシャンとしてのキャリアは、そのまま日本のジャズの歴史と重なる。 1933年に宇都宮市に生まれた渡辺は、12歳の時に終戦を迎える。 「日本が負けて1週間も経たないうちに進駐軍放送が始まりました。ジャズ、ハワイアン、ヒルビリー。アメリカの明るい音楽が一気に流れてきたんです。それに、音楽映画もいろいろ入ってきました。僕の1級上の山内さんという人のお父さんが、電気館という映画館の支配人で、そこで観た『ブルースの誕生』が決定的でした。ニューオーリンズの波止場で、黒人たちがディキシーランド・ジャズを演奏しているところに、少年が横から入ってクラリネットを吹くんですが、その少年に憧れたんですよね」 そのうち渡辺は、父
武田砂鉄 今はノンフィクションとフィクションの境界も曖昧になっている気がします。それこそ麻布競馬場さんもご自身の小説について「どこまで本当?」と聞かれませんか? 麻布競馬場 そうですね。あらゆる作品の根底にリアリティがあるのは間違いないので、フィクションを書くうえでも取材は必要になります。フィルターを通して物語にしているから一概に言えないですけれど。 武田 取材対象のすべてを捉えることはできないですしね。話を聞かせてください、とマイクを向けた瞬間に、聞き手の意思があるわけだし。 麻布 そういう断片から、時代の空気が保存できる本にしたいなというのはありました。生まれたときから「失われたN年」が始まって、ずっと閉塞感のなかで生きてきたので。 武田 きている事象や空気を捉えていることもあるんじゃないかと。だから定義づけは時に乱暴です。 綿密な取材から気づかされる、 見えていなかった現実 麻布 …
繰り返し会いたくなる、本は一番身近な娯楽 というのも、20代の頃の貧乏生活が長すぎて、本というものを持てるような生活ではなかったんです。本当にお金がなかったので(笑)。でも読書は好きだったので、本は買うものではなく図書館で借りて返すもの。だから本棚を置く必要性もなくて。その延長線上で生活が続いているので、今でも本は買っても読み終わったら売ることが多い。もしくは後輩や友人が家に遊びに来た時にあげる。 「好きなの持っていっていいよー」と言うと、気づくとなくなっていたり。自分が読んで面白かった本は、もっと読みたい人の元に届いてほしいと思うんです。だったら小学校とかに寄贈した方が世間の役に立ちそうではあるけれど、なんだかそれはすごく厚かましいような気がして。 そんな生活の中でも繰り返し読みたくなる本というのがあるわけで、どうしているかといえば、ベッド脇に積んであったり、段ボール箱に詰めて置いておい
1月に第170回芥川龍之介賞を受賞した、作家・九段理江の小説『東京都同情塔』。新しい刑務所〈シンパシータワートーキョー〉が設立されることになった近未来の東京を舞台に、登場人物たちが言葉について逡巡するさまを描いた作品だ。トーキョートドージョートーと軽快に韻を踏んだタイトルも話題を呼んだように、九段はかねて音楽好きを公言。2021年のデビュー作『悪い音楽』では音楽そのものを作品の題材に選んでいる。文学を構成する大きな要素である、言葉とリズム。以前から親交がある文筆家のつやちゃんを聞き手に、九段の考える文学と音楽、そして生活のつながりを聞いた。
バンド・GEZANのフロントマンでありながら、初監督映画『i ai』が3月8日から全国公開されるマヒトゥ・ザ・ピーポーと、本作に出演する俳優でありながら、自身もプロデューサーとして舞台作品などを支える小泉今日子。二人が語った、表と裏から見る作品作りとその意義について。
昨年12月にリリースしたファースト7インチシングル「ふきだし」が即日ソールドアウトとなるなど、早くも大きな注目を集めるシャッポ。1940年代の大衆音楽をベースにしたインスト曲で、楽しさと心地よさを探求する2000年生まれの2人、福原音と細野悠太はそもそもなぜバンド結成に至ったのか?結成以前から細野晴臣のラジオ番組に出演し、イベントでは共演を行うなど、細野の音楽的遺伝子を濃密に受け継ぐ2人が語る、抱腹のバンドヒストリー。
2023年末にロサンゼルス・エンゼルスからロサンゼルス・ドジャースへの移籍を発表し、世界が注目するメジャーリーガー大谷翔平選手。日頃から「睡眠時間は基本的に10時間。最低でも8時間はとる」「いつ寝るかの準備を数日前から計画的に行う」と公言するように、彼の活躍を支えるのは良質な睡眠だ。 体を酷使するアスリートにとっては、「睡眠で疲れをとること」だけでなく「翌日、最高のパフォーマンスを発揮すること」も最重要課題。疲労を回復し、次の日も百点満点の活躍ができるよう、大谷選手は睡眠と真っ向から向き合っている。 何より大切なのは寝具選び。人によって体の凹凸は異なり、負荷がかかる部位も千差万別。特に野球選手は肩と臀部(でんぶ)の張りが大きいため、長い睡眠による圧力をマットレスが分散させる必要がある。そのためには自分の体に合った寝具を選ばなければならない。 大谷選手は北海道日本ハムファイターズに在籍してい
聴いても、共演しても、ジャズは優しい ジャズの要素を取り入れたRIP SLYMEに影響を受けてラップを始めたからなのか、私にとってすごく体に馴染みやすい音楽なんですよね。昨年はジャズイベントに参加する機会にも恵まれました。最初は不安だったんですが、みなさんすごく温かく迎えてくれて。 きっとそれはこの音楽が持つ懐の深さにも通じているんだろうなと思います。普段のライブではトラックからズレてしまわないように気を張っていますが、即興性のあるセッションの場合は少しくらい失敗しても周りの演奏が導いてくれる。音に身を委ねる楽しさを体験できたのは印象的な出来事でした。 鈴木真海子が選ぶ、おすすめの3枚 Q1:オールタイムベストは? 『A Boy Named Charlie Brown』Vince Guaraldi Trio 『ピーナッツ』シリーズの音楽を担当していると知って聴き始めたヴィンス・ガラルディ。
BTSのRMにV、坂本龍一に見出されたSe So Neon、その周りにジャズミュージシャンがいるのはご存じだろうか?世界からも注目されるポップスの台風の目には、彼らの存在が欠かせない。盛り上がる韓国のシーンで何が起こっているのだろうか?BTSのRMによる『Tiny Desk Concert』でも演奏したベーシストのジェシン・パク、キーボーディストのドクスキムの二人に話を聞いた。 本記事も掲載されている、BRUTUS「JAZZ is POP!!」は、2月15日発売です。
特集「JAZZ is POP!! 2024年、あなたが聞くべきジャズ250」内で紹介された楽曲が聴けるプレイリストページ。本誌P18-25の「ミュージシャンが語るジャズ」で登場した16人のミュージシャンが紹介した楽曲リスト。さらには、ミュージシャンが今回のために特別に作ったBRUTUS.jpとの企画連動プレイリストも公開。
“当たり前”になった考え方を見直し、自分がいる環境をよりよく変えていく 2019年にハロー!プロジェクトのグループであるアンジュルムを卒業。その後もソロやバンドで音楽活動を続ける傍ら、自らの体験や問題意識を基に「アイドルとはこうあるべき」「女性とはこうあるべき」といった社会通念を問い直す発信も積極的に行ってきた和田彩花さん。そうした挑戦が始まったきっかけは、「自分にはロールモデルがいない」と気づいたという18歳の頃。 「アイドルのセカンドキャリアを考えたときに、ママになる以外の選択をしている人がまだまだ少ない。ただ、私は恋愛や結婚に興味がなかったので、自分はこれからどうやって生きていけばいいのだろうと考えた時期があったんです。それで、どうにか参考にできる存在を求めて、偉人の言葉をネットで検索してみたんですが、どれも自分にはしっくりこなかった。自分に合う考え方は、自分自身と対話して見つけてい
photo: Masahiro Ota, Kazuhiro Tsushima / text&edit: Mikiyasu Kato 名古屋で時間が余ったら。隅々まで満喫したい人のために、予想以上に奥深い王道の観光名所からディープな名所まで魅力あるスポットを紹介。名古屋エリアの魅力を堪能できる体験プログラムツアーを企画する大ナゴヤツアーズの加藤さんが、でら楽しい!と驚いてもらえる時間の過ごし方を提案します。 初出:BRUTUS No.895「名古屋の正解」(2019年6月15日発売)
案内人:倉方俊輔(大阪市立大学准教授、建築史家) 大阪はカオティックな街だと思われがちですが、都市構造は明快です。ベースは豊臣秀吉による碁盤の目状の街割でした。近代に入り、政治、産業、交通手段の変化に合わせて新たな建築が造られ、街の造りも変化していきました。 まず廃藩置県により中之島の流通拠点として立ち並ぶ蔵屋敷が姿を消し、広い開発用地が生まれました。そこに〈日本銀行大阪支店〉や〈大阪府立中之島図書館〉〈大阪市中央公会堂〉などの西洋建築ができ、中之島は近代化のシンボルとなる建築が集結する拠点となりました。 日本銀行大阪支店(1903)設計/辰野金吾ほか 中之島の西洋化の先陣を切り、日本の近代建築のパイオニア・辰野金吾が設計。西洋の古典様式に則し、ドーム形屋根と石造の壁からなる、格式を感じさせる外観だ。事前予約で店内見学ができる(平日のみ)。 住所:大阪市北区中之島2-1-45 | 地図大阪
お笑いライブを制作するK−PRO代表の児島気奈が、その仕事術をまとめた一冊『笑って稼ぐ仕事術』を上梓。長きにわたりK−PROライブに出演してきた盟友ウエストランドと、その歴史を語り合う。11月に赤坂の草月ホールで行われた、3回目となるウエストランドの単独ライブ『FANG!』の公演後、3人で思い出話に花を咲かせた。
数々のアニメ映画を観倒してきた藤津亮太、高橋克則、青柳美帆子。3人の「今こそ観直したい50作」とは?配信やDVDで今すぐ観られる名作を中心に、「戦い」「音楽」など6つのテーマに沿ってセレクト!偏愛も暴走愛もありの“極私的・推し映画”を語り尽くします。激論!50作品決定座談会。Vol.3「人生」はこちら。
漫画、小説、ルポ、実用書に創作術の本も読む雑食系 『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』をはじめ数々のヒット作を世に放ち、漫画家からも漫画読みからも絶大な信頼を集める林士平さん。「電子版が出ている本はKindleで購入するのが基本のスタイル」と語る、徹底した電子書籍派の本棚はどうなっている? 「KindleはMacで管理。読書にはKindle OasisとPaperwhite、iPhone、漫画は見開きで読みたいのでiPadも併用しています。気になる本、人に薦められた本は片っ端から購入して、漫画、人文書、アート、創作資料、すぐ読みたいフォルダなどに分類しているのですが、あれ、未分類のものだけで1万8,000冊以上ありますね」 すっきり整頓された自宅の書斎。昇降式デスクにデバイスが並ぶ。20,000冊ほどの電子書籍には老後の楽しみにとってある岩波少年文庫なども。 引っ越しを重ねるたびに本
あの人はどんな本を読んできたのだろう?年末年始の人気企画・ブルータスの本特集。今回はさまざまなフィールドで活躍する皆さんの本棚を訪ね、理想的な本棚のつくり方や本がもたらしてくれた経験など、「本棚と本のはなし」を根掘り葉掘り聞きました。本棚にも多様な個性があり、まるでその方自身が表れているようです。BOOK IN BOOKは、エッセイ集「私の本棚の、絶対に捨てられない1冊。」
文芸編集者を形作る、豊かで膨大な読書体験が詰まった本棚 「編集部の自分の棚には、担当作家の本、企画で使う本、いつかやりたい企画の資料、個人的に読みたい本、いただいた本などが混在しています。ほかの編集部員の棚から本を借りることもあって、専有と共有の間のような使い方。ただ会社では原稿とゲラ読みで時間切れになってしまうので、本は家に持ち帰って読みます。会社と家の本棚で分けているというより、本が行き来したり重複したりすることもしばしばです」 編集部の壁や通路は本、本、本で埋め尽くされている。壁沿いの2棹&デスク後ろの1棹が浅井さん専用の本棚。 文芸編集者という仕事に直接・間接的に繫がった読書体験からおすすめを教えてもらった。 「金井美恵子さんは純文学の仕事をしたいと思わせてくださった書き手の一人です。平凡社のエッセイ・コレクションはどの巻もいいんですが、書き手についての言葉が独特の鋭さを持って、読
数々のアニメ映画を観倒してきた藤津亮太、高橋克則、青柳美帆子。3人の「今こそ観直したい50作」とは?配信やDVDで今すぐ観られる名作を中心に、「戦い」「人生」など6つのテーマに沿ってセレクト!偏愛も暴走愛もありの“極私的・推し映画”を語り尽くします。激論!50作品決定座談会。Vol.2「戦い」はこちら。
日々働いてばかり、 なのか どうなのか? 粛々と働いてばかりの日々である。観たい映画が気がつけば公開時期を終えていることにも慣れ、読みたくて購入した本もただベッドの脇に積まれていく。結婚式の招待状に仕事でやむなく欠席と返信する旨もさらさらと入力できるようになってしまった。粛々と働き、酒を飲む日もあれば、飲まない日もある。早くに仕事が終わる日は、一人で深夜まで喫茶店で作業する日もあれば、思いたって生牡蠣を食べに行く日もある。 何か気が滅入ることが起きても、数時間後にこの身体で照明の下で喋っていると思うと気が滅入っている場合ではないと背筋が伸びる日もあれば、こんな状態で照明に当たれば足元から溶けていってしまうのではないかと奇妙な不安に苛まれる日もある。 時々、好きな男ができる日もあれば、幻滅しては逃げるようにタクシーをつかまえる日もある。タクシーといえば運転手さんに不遜な態度を取られて一気に機
“グラフィック・ノベル”とは何だろうか?開いてみると、コマ割りの、いわゆるマンガ仕立てになった絵のページが目に飛び込んでくる。マンガとは違うの?という素朴な疑問。また、ほとんどが外国人作家によるもので、書店によっては外国文学の棚に置かれている。なるほど、ノベル(小説)でもある、と少し合点がいく。 最近、日本のグラフィック・ノベル好きの間で人気が高まってきているのが、アメリカのエイドリアン・トミネである。昨年公開されたフランス映画『パリ13区』の原作となったことでも話題になった。そのトミネの日本語版の担当編集者である国書刊行会の樽本周馬さんに、グラフィック・ノベルの魅力について話を伺った。 国書刊行会で、エイドリアン・トミネなどのグラフィック・ノベルの編集を手がける樽本周馬さん。『キャメラを抱いて走れ! 撮影監督 仙元誠三』(仙元誠三・山本俊輔・佐藤洋笑)や、『乱視読者のSF講義』(若島正)
50年代インドネシアの洗練されたジャズを、CDで 小西康陽の命名のもと、8月に発売されたマルシアル・ソラール・トリオ『Martial Solal “Trio”』の世界初のCD化を皮切りに、新レーベル 〈Série Teorema (セリエ・テオレマ)〉が始動した。 主宰者は『レディメイド未来の音楽シリーズ』などのマスタリングを手がけるマスタリングエンジニアの長野ビイト。毎回さまざまなゲストによる監修で、ジャズやワールドミュージック、ロックンロールなどのコンピレーションを発表するとのこと。 9月には、アジア各国を放浪し知られざるレコードを集めるDJ兼レコード店主の馬場正道が選曲、1950年代のインドネシアのSP盤をまとめた『KENANG KENANGAN』が発売された。 〈Série Teorema〉オーナーの長野ビイトという人は、埼玉・川越にあるレコード店で、再発レーベルも運営する芽瑠璃堂
わたしを不安に駆り立てる 持たざる者と、 持つ者の境界線。 洗濯機のない家に住んでいた頃、あまり親しくない人から「ええ?家に洗濯機もないの?恥ずかしいね、かわいそうに」と大きな声でおおいに笑われたことがあった。いや、笑われたというよりかは、笑いを噛み殺すようにして笑われた、という表現の方が正しいような、なんとも意気地の悪いような笑いかたをされたものだった。 私は他人からの悪意に鈍感な節がある。ゆえに巷にはびこるマウントがどうだのこうだのという話題に幸か不幸かついていけた試しがなかった。 しかしこの時ばかりは違った。私に向けられた悪意というよりも、その人自身の価値観に内包されている侮蔑する対象に自分が放り込まれた感覚である。対他人に対する悪意ではなく、その人が確固として持つ尊敬と侮蔑の価値観なだけで、誰かがそれをジャッジする必要もない。 しかしそれはまるで鍋の中になみなみと揺らぐ油のようで、
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