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「家電市場は二極化している。我々も高級路線とそれ以外の路線で戦略を分ける必要がある」。日経ビジネスなどの取材に応じたパナソニックの品田正弘社長は力を込めて話した。 忸怩(じくじ)たる思いがある。品田氏が22年4月にパナソニックの社長に就任して以来、白物家電事業は減収減益と結果を出せていない。21年度に国内トップシェアだった冷蔵庫は、23年度には2位に落ち、電子レンジも1位から2位に、炊飯器は2位から3位へと落ちた。
江崎グリコは4月3日に基幹システムの切り替え作業時にトラブルが発生し、物流センターにおける出荷データなどに不具合が生じた。同社製品のほか、江崎グリコが販売を請け負うキリンビバレッジの「トロピカーナ」なども出荷停止を余儀なくされている。障害発生から2カ月以上たってなお、主力商品の出荷を再開できない深刻な事態だ。 ユニ・チャームでも5月上旬に基幹システムを更新した後にトラブルが起こった。大規模な混乱にはならなかったが、公式通販サイトでは6月中旬時点で、紙おむつなどの到着に1週間~10日ほどかかる状況だ。ユニ・チャーム上席執行役員の上田健次ESG本部長はこの遅れについて、「小売店向けの出荷を優先して正常化させたため」と説明する。 3社のトラブルはともに基幹システムの障害を発端としたものだが、今後同様のトラブル事例が増える可能性は高い。日本独特の商習慣など複数の原因が絡み合い、システム刷新を難しく
「これからの経営者には、適切なプロンプトを考えるスキルが欠かせなくなる」。先日、ある企業のトップからこのような予想を聞く機会がありました。ここでいうプロンプトとは、生成AI(人工知能)への指示や質問のこと。特集で見たように、社内では膨大なデータが収集・蓄積され、AIが読み込んだり分析したりしています。これまでは部下からの報告がなければ見えにくかった事業や組織のデータを、トップが自ら引き出すことができるようになるわけです。 ただこれは誰もが簡単にできるわけではない。例えばある問題について、どの部門のどのデータを見るべきか。それをどのデータと組み合わせればいいのか。データの性質や現場の実態を把握していなければ、有効な情報を得ることは難しいでしょう。現在、取締役のスキルマトリックスには「サステナビリティー」「グローバル」「財務・会計」などの項目が並びますが、社内外の情報をのみ込んだAIとの対話力
この記事の3つのポイント 24年4月、グリコでシステム障害が起き、経営に甚大な損害 基幹システム刷新のリスクを過大に感じる経営者心理も だが「先送り」は、老朽化によってより困難を深める愚策 江崎グリコで発生した基幹システムのトラブルの余波が、思わぬところに広がっているようだ。基幹システムを刷新した際に甚大なトラブルに見舞われたのを目の当たりにして、同じく基幹システムの刷新を予定している企業の経営者がビビってしまったのだ。今のところ、既にゴーサインを出したプロジェクトを延期するなんて話は聞かないが、老朽化した基幹システムを抱える多くの企業で、システム刷新を先送りする格好の理由になりそうな雲行きだ。 確かにグリコのシステムトラブルのインパクトはすさまじかった。このトラブルは2024年4月3日に、旧来の基幹システムをERP(統合基幹業務システム)ベースのものに切り替えた際に発生した。これにより「
空前の訪日消費に沸く日本。一過性の特需と捉えるのはもったいない。持続的な成長につなげるために奮闘する企業の取り組みを追う。 ■主な連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります) ・[新連載]訪日消費15兆円は日本を救う 「爆買い」後の新潮流 ・4950円で「トイレツアー」 日本通のリピーターが切り開く新観光資源 ・アサヒビール、訪日客に想定外の「生ジョッキ缶人気」で海外発信を強化 ・箱根の高級旅館、副業で訪日客需要に対応 人手不足に発想の転換 ・外国人が頭にネクタイ スナックツアー、日本の夜間経済を活性化 ・4000円ラーメンが訪日客に人気 「並ばなくていい」権利付与で売り上げ3割増(今回) ・JTBがインバウンド向けモデルコース開発、瀬戸内に照準 ・大阪王将の一人鍋や刃物メーカーの100年ぶり新製品、訪日需要が火付け役 ・山本屋、ハラルやビーガン対応の新製品がヒット 「内なる国際化」
電子商取引(EC)の巨人、米アマゾン・ドット・コム。その圧倒的な品ぞろえと配送力で世界を席巻し、多くのリアル店舗から顧客を奪ってきた。 しかし、ここに来て気になる動きが出てきた。欧米を中心に雪崩を打ったように、自前で「マーケットプレイス」を運営する小売り大手が増えてきたのだ。彼らがよりどころとするのは、フランス発ユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)のMirakl(ミラクル)である。 マーケットプレイスを民主化 マーケットプレイスとは、インターネット上で売り手と買い手をつなぐ“市場”のこと。誰でも自由に出品できるのが特徴で、アマゾンも「アマゾンマーケットプレイス」を展開している。ミラクルがユニークなのは、どの企業でも自社サイトにマーケットプレイス機能を搭載できるようにしたことだ。いわば、マーケットプレイスの民主化である。 EC事業を拡大しようと思ったら、従来はアマゾンのような巨大
数年前「女性活躍」をテーマに講演をし、その後の懇親会で、「50歳を過ぎて結婚しても、カウントされないって知ってますか?」と突然言われ、脳内が「???」だらけになったことがあった。 その男性は某大企業の関連会社の社長さんで、30代は海外勤務が多かったため結婚の機会を逃し、その後は母親の介護で自分の結婚どころではなかったそうだ。 「昨年母親が他界してから親戚が色々とうるさくてね。自分自身も、この歳でこんなこと言うのも恥ずかしいのだけど、いい出会いがあるといいなと思っていた。でも、このご時世、仕事関係の人はハラスメントになってしまうし、色々と難しいですよね。そしたらある時、50代で結婚しても生涯未婚者扱いだって知りましてね。国からダメ出しされてる気がして。ヤンなっちゃいますよね~」 政府は50歳になった時点で一度も結婚したことがない人の割合を「生涯未婚率(50歳時未婚率)」として算出している。つ
空前の訪日消費に沸く日本。一過性の特需と捉えるのはもったいない。持続的な成長につなげるために奮闘する企業の取り組みを追う。 ■主な連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります) ・訪日消費15兆円は日本を救う 「爆買い」後の新潮流 ・4950円で「トイレツアー」 日本通のリピーターが切り開く新観光資源 ・アサヒビール、訪日客に想定外の「生ジョッキ缶人気」で海外発信を強化 ・箱根の高級旅館、副業で訪日客需要に対応 人手不足で発想の転換(今回) ・訪日外国人が頭にネクタイ、ガイド付きツアーがスナック潤す ・JTBがインバウンド向けモデルコース開発、瀬戸内に照準 ・4000円ラーメンに行列、高級食材と予約システムで納得価格に ・大阪王将の一人鍋や刃物メーカーの100年ぶり新製品、訪日需要が火付け役 ・山本屋、ハラルやビーガン対応の新製品がヒット 「内なる国際化」生かす 「インバウンドは人手不
月額10ドルを払えば、毎日映画館に行くことができる――。6年ほど前、こんなうたい文句を掲げて米国で大流行した「ムービーパス」をご存じだろうか。「映画館版Netflix(ネットフリックス)」と呼ばれ、2017〜18年にかけて急速に拡大したサービスだ。会員に配られる赤いデビットカードが目印で、最盛期には映画ファンから時間に余裕のある高齢者まで300万人超が利用した。 筆者も例外ではなく、18年春に届いたばかりのカードを携えてSF映画『レディ・プレイヤー1』を見に行った。当時のチケット代は9ドル(当時の為替レートで約970円)だったので、月10ドルで事業として成立するのかいぶかしんだことを覚えている。結局カラクリはなく、現金燃焼に歯止めがかからなかったムービーパスは19年9月に事業を停止した。 数年前の話を持ち出したのは、運営企業の内幕を描いたドキュメンタリー映画『MoviePass, Movi
通常国会が、6月23日に閉会しようとしている(もちろん会期延長の可能性もないわけではないが)。この国会では、政治資金とりわけいわゆる裏金問題など重要な問題が取り上げられ議論された。外国人労働者、子育て給付金、ライドシェア、共同親権など、国民生活に密着した重要問題ばかりだ。しかしながら、法案や議論の中身がいずれも問題の本質を避け、現行制度の延長線上でその場しのぎの政策論議になっている。こうした姿勢こそが、国民の間に政治不信が広がる根本原因だろう。 以下では、“残念な”政策論議の本質はどこにあるのか。今国会での議論から、4つの具体例を挙げて示したい。 「移民法」を避け続ける日本 目下の日本経済は、労働力不足に悩まされている。今年1月の帝国データバンクの調査によれば、正社員不足に悩む企業の割合は52.6%、中でもITなど情報サービスでは77.0%が人手不足に悩まされている。こうしたなか、今国会で
富士フイルムが手掛けるインスタントカメラ「チェキ」がBtoB(企業向け)の分野でも支持を広げている。SNSの普及や昨今のレトロブームを追い風にチェキが若年層の心をつかみ、世界的な人気に。現在は「推し選手」や「推しキャラ」と一緒に撮影するイベントを通じて、プロスポーツ企業や商業施設などとのコラボも拡大している。取引企業からは、写真に添付されるQRコードを利用した広告へのアクセス率やアンケート回答率が高いと評判だ。 「推しの選手とツーショットのように撮れてうれしい」。5月下旬に埼玉西武ライオンズが試合前に実施したチェキイベントに参加した20代女性は意気揚々と話した。 このイベントに実際の選手が登場したわけではない。球団が使用したのは富士フイルムが手掛けるアプリ「INSTAX Biz(インスタックス ビズ)」。発売から25年を迎えたチェキで初の企業向けサービスだ。 利用者側が任意の画像ファイルを
JR東海と東急は5月30日の記者会見で、静岡県の観光振興と地域活性化を目的としたクルーズトレイン「THE ROYAL EXPRESS ~ SHIZUOKA・FUJI CRUISE TRAIN~」を今秋に運行することを発表した。 横浜を出発し、静岡県内を周遊して3泊4日で横浜に戻る旅行商品として発売する。日中の移動は列車で、車内では沿線を代表する名店の料理を提供。専用バスを利用して宿泊先に向かう。宿泊は3泊とも静岡県内の名だたるホテル・旅館で、旅行代金は1人当たり75万円からという豪華観光列車だ。改めて日本のいいところを旅したいと考えている70代をターゲット層とする。 東急が傘下の伊豆急行で運用していた「アルファ・リゾート21」を改造し、2017年から運営しているTHE ROYAL EXPRESSを活用する。横浜~熱海間の運行はJR東日本が担うため、実質的には3社連携のプロジェクトと言える。
昨年11月、政府や地方自治体が共同で使う「ガバメントクラウド(政府クラウド)」の提供事業者に選定されました。これまでに採択されたのは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)ジャパンなど米系4社。今回は、国内勢からインターネットイニシアティブとソフトバンクも応募しましたが、選ばれたのはさくらインターネット1社でした。 選定事業者は、まさか1社になると思っていませんでした。ガバメントクラウドの選定に当たり、国の姿勢が大きく変化したのが昨年です。私たちは、入札基準のハードルを下げない状態で他社が手掛けた「サードパーティー製品」の使用も認めることをパブリックコメントで国に求めました。その後、国が似通った内容で入札基準を設定し、それで私たちが応募、採択に至ったという経緯があります。 今は、(本選定の条件になっている)2025年度末を期限とする技術要件の達成に向けて取り組んでいるところです。もちろんハー
近所でなかなか新型コロナワクチンの接種が始まらなくて、困っている。 データを見る限り新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は継続している。感染症法上の区分が5類に移行した昨年5月から11月にかけてのコロナによると考えられる死亡者数は1万6043人。これは「交通戦争」といわれた1970年の年間交通事故死者数1万6765人に匹敵する。最もひどかった時期の年間交通事故死者数に相当する人数が、半年で死亡している(追記:6月5日に厚生労働省は「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)」を発表した。それによると2023年の死亡者数は3万8080人。パンデミックが始まって以来3年間の死亡者数は10万人を超えた)。 では年間ではどうなのかと、厚生労働省の人口動態統計の現時点における最新版「令和5(2023)年11月分(概数)」を見ると、1月から11月までの統計で、3万6146人が死亡。一
この記事の3つのポイント 『ナッジ』共著者のキャス・サンスティーン氏が新著を出版した 成功を収める秘密として「マタイ効果」や「べき乗則」を提示 ヒットと「質」の高さには必ずしも関係がないことには言及なし スーパースターや大ヒット映画の成功を左右するのは「質」なのか?世界的ベストセラー『ナッジ』の共著者、キャス・サンスティーン氏の新著の書評を通じて、SNS(交流サイト)で一部のインフルエンサーなどが活躍する現代に、成功を左右する要素を探る。
この記事の3つのポイント 三菱マテリアルなどが23年ぶりの大型地熱を開発 ユーラスエナジーHD、北海道で国内最大級の陸上風力 再生エネ比率約1.7倍へ、開発余地の底上げ必要に JR盛岡駅から北へ車を走らせること約1時間半。5月中旬でも所々に雪が残る山奥に、安比地熱発電所(岩手県八幡平市)が姿を現した。 三菱マテリアルや三菱ガス化学、Jパワーが出資するこの地熱発電所は2024年3月に稼働したばかり。出力は14.9メガワット。約14万8000平方メートルの敷地内に4本の井戸を掘り、噴出した蒸気で発電する。井戸の深さは約2300メートルに達する。 目標の半分にも満たない地熱導入 日本の地熱開発は長く停滞していた。まず事業化までに10年以上かかる。さらにかつては新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が初期調査を担っていたが、09年に撤退。開発しようとする企業は、自力で熱水や蒸気のある地熱貯
この記事の3つのポイント Z世代との意思疎通は「対等に」「素早く」「ロジカルでエモく」がカギ 若手社員への承認は、成果だけでなく「存在自体」と「行動」も必須 質問のバリエーションを増やすことで、部下とのやり取りをスムーズに これまで2回、早期離職防止のためのコンサルティングサービスを提供するカイラボ(東京・中央)の井上洋市朗社長に、若手社員の早期離職に対応する上で必要な考え方の基本と、若手社員と接する際の「NGコミュニケーション」について解説してもらった(接し方を変えないと「3年で辞める若者」はいつまでも減らないと「甘いな」と思っているのに「分かるよ」と共感を示す上司の過ち)。井上氏によると、1990年代半ば以降に生まれたZ世代とのコミュニケーションには、3つのツボがあるという。最終回となる今回は、より具体的なテクニックをお伝えする。(聞き手 経済メディア編成部 久保俊介)
子育て世帯のニーズに応えようと首都圏の自治体が教育環境の充実を競っている。共働きで世帯所得1500万円以上の「パワーファミリー」など子育て家庭の流入・定着を促す上で、教育環境の質が問われるためだ。今春に大型マンション群「晴海フラッグ」が街開きした東京都中央区の取り組みを紹介する。 東京五輪・パラリンピックの選手村跡地にできた晴海フラッグ。分譲住宅と賃貸住宅合わせて5632戸から成る巨大な街だ。その一角に4月、認定こども園「晴海西こども園」がオープンした。開園に向けて2023年に行った園児募集の際、最も入園希望者が多かったのは3歳児クラスで、定員(50人)の約3倍もの応募が集まった。 認定こども園は「教育・保育を一体的に行う施設で、いわば幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持っている施設」(こども家庭庁)。中央区は従来、幼児教育を重視してきたが、保育時間が総じて短い幼稚園では多数派となった共働き
NHKにインターネット業務を義務づける改正放送法が5月17日の参院本会議で、賛成多数で可決、成立した。従来は「任意業務」だったNHKのネット業務が、放送と同じく「必須業務」となったのだ。ネット業務の必須化は長らく議論されてきた、NHKの今後を担う大切な業務だが、今回の着地は大失敗だと私は捉えている。その理由を解説したい。 NHKは2015年度に「公共放送から公共メディアへ」という経営方針を掲げ、放送とネットの両輪で国民に役立つ情報を提供していくとしていた。その一環で、ネットで番組を解説したり、補足したりする「理解増進情報」と称するコンテンツの配信を無料で始めた。その代表が「NHK政治マガジン」や「NHK国際ニュースナビ」などのテキストニュースで、それぞれ非常に濃厚な解説記事が評価されていた。 ところがネット業務の必須化を総務省で議論する過程で、NHKはネットで配信するコンテンツを、放送と原
「将来的には全ての車がスマートカー化する。そうでなければ誰も車を買わなくなる」。米テスラが4月末に開催した電話会見。通常は1~3月の決算を説明する場だが、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は自動運転やモビリティーサービスなど新技術の進化について多くの時間を割いて熱心に話した。 テスラが指すスマートカーとは、同社の電気自動車(EV)に搭載された運転支援システム「FSD(Full Self-Driving)」のことだ。北米の顧客向けに追加装備やサブスクリプション(定額課金)として提供している機能で、ドライバーが操作せずに車が交差点や歩行者の状況を認識しながら一定の自律走行ができる。
この記事の3つのポイント 停滞続くパナソニックHD、構造改革に本腰 楠見社長、変わらぬ事業部に「しびれを切らしそう」 PBRは1倍割れ。社内に足りない危機感 「危機的な状況だと認識している」。パナソニックホールディングス(HD)の楠見雄規社長の表情はさえない。社長就任3年目となる2024年3月期には、5年ぶりに純利益で過去最高を更新したにもかかわらずだ。5月17日に開いた戦略説明会では厳しい言葉が並んだ。 実際、24年3月期の好業績は一時的な要因が大きい。子会社の解散に伴い法人税負担が減り、1000億円強、利益を引き上げた。米大統領選の行方にも左右される米インフレ抑制法(IRA)による純利益へのプラス効果も1100億円を超える。梅田博和最高財務責任者(CFO)も「高揚感はない」と説明した。
この記事の3つのポイント 再生可能エネルギーは、脱炭素経営の生命線 再生エネ調達がしやすい場所に産業が根付く時代に ラピダスとTSMCが工場立地を決めた背景に迫る 企業が「脱炭素」を果たすために不可欠な再生可能エネルギー。安価で安定的に調達できるかが、国や企業の競争力を左右する時代に入った。国際会議では2030年までに世界の再生エネ容量を3倍に増やすことになったが、日本は地形や気候条件、コスト面から欧州などに後れを取る。既に再生エネを巡る国内の争奪戦は始まりつつあり、出遅れれば未来はない。再生エネ小国ニッポンの現在地はどこなのか。企業はどう動くべきなのか。現場を追った。 北海道の中央に位置する新千歳空港から車で約10分。視界を遮るものがない広大な土地で、心地よい風が頬に当たる。ここで2023年秋、次世代半導体を手掛けるラピダスの第1工場の建設が始まった。27年の量産開始を目指し、東京ドーム
この記事の3つのポイント 2025年、労働集約型の日本のSIビジネスは危機に 標準システムの高度化で、独自開発の需要が減少 IT技術者は、業界の構造変革に備える必要がある 「SIビジネスはパートナー企業(下請けITベンダー)の単価の低さを自分たちの利益に転換するという、世界に類のない変なビジネスモデルである」。この一文について読者はどう思うだろうか。「いつもの『極言暴論』の書き出しじゃないか」と言われてしまえばその通りなのだが、実はこれは私の言葉ではない。ある大手SIerの経営幹部が自らのビジネスを省みて口にしたものだ。 この経営幹部は次のようにも発言している。「日本企業も遅かれ早かれERP(統合基幹業務システム)など標準のものをそのまま使うようになるのは間違いない。経営者が独自のシステムをつくることにお金をかけるのはばかげていることに徐々に気付き始めたからだ」。「だけど、多重下請け構造の
この記事の3つのポイント 総額3.6兆円の大規模な少子化対策が組まれている 現役世代の健康保険料が財源となる見込み 「実質的な負担は生じない」との説明は信用できるのか 「国民皆保険制度が崩壊する契機になりかねない」。5月半ば、参議院本会議の国会中継を見つめながら、ある健康保険組合の幹部はこう厳しい口調でつぶやいた。 審議されていたのは2024年4月に衆議院を通過した「子ども・子育て支援法」の改正案だ。「危機的な状況にある」(岸田文雄首相)少子化の進行を食い止めるため、政府は3.6兆円規模の対策を打ち出した。健保組合の幹部が問題視しているのはその財源だ。3.6兆円のうち1兆円程度について、「支援金」という名目で医療保険制度を通じ保険料と合わせて徴収する。 その大部分を負担するのは、企業で働く従業員や事業主だ。中小企業で働く従業員が多く加盟する全国健康保険協会(協会けんぽ)は約3900億円、大
この記事の3つのポイント 実は傑作、特撮番組のコミカライズ「サンダーマスク」 タイパ重視では巡り合えない“自分のため”の作品 創作の速度が生成AIで爆速化した時、経済はどうなるか 私の本棚には、『手塚治虫漫画全集』(講談社)が並んでいる。といっても全部ではない。同全集は1976年から1984年にかけて100巻を1期として3期全300巻が出版されて一度完結した。さらに手塚没後の1993年から第4期100巻の出版が始まり、1997年に全400巻がそろった。 私が持っているのは、最初の300巻だけである。 買った理由は直接には、「手塚治虫の全作品を読んでみたかった」からなのだが、別途きっかけはあった。 手塚治虫は1989年2月9日に60歳で没した。この年は1月7日に昭和天皇が87歳で崩御し、2月に手塚、そして6月24日に美空ひばりが52歳にしてこの世を去っている。元号は昭和から平成に変わったが、
多くの場合は、第三者に事業を承継してもらい、企業再編を図るために用いられます。その他には日立製作所や富士通のような企業グループ内の再編や事業承継のための会社分割、企業売却のための会社分割など、背景事情によって多様な会社分割が存在します。 事業再建に会社分割を利用 伊藤忠とBMの案件は、どう分類できるでしょうか。 企業救済のための会社分割といえるでしょう。まず、企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)傘下の特別目的会社(SPC)が、BMの創業家の資産管理会社からBMの株式100%を譲渡されました。BMは事業に関わる権利や義務をWECARS(ウィーカーズ、東京・千代田)に包括的に承継し、社名をBALM(バーム)に変更しました。BALMはもともとBMが抱えていた金融債務の弁済や係争中の損害賠償などに対応することになります。 このように既にある会社に事業を承継する手法を「吸収分割」
有害コンテンツの氾濫を受けて国家が浄化に乗り出したSNS。米国で暮らす20歳の大学生、エマ・レンブケ氏はSNSの影響で摂食障害に苦しんだのをきっかけに、米国市民の間で広がりを見せる反SNS運動の先頭に立った。若者を苦しめる被害の実態や国・企業の動き、人々が自らを守る策について、レンブケ氏に話を聞いた。 高校生だった2020年に、SNSとの付き合い方を見直すよう呼びかける「ログオフ」という運動を始めました。23年には米議会の公聴会でSNSが若者に及ぼす悪影響について話すなど、反SNS運動の若き旗手とも言える存在です。何がきっかけだったのでしょうか。 エマ・レンブケ氏(以下、レンブケ氏):自分自身の経験がきっかけだ。12歳でInstagram(インスタグラム)を始め、(米女優の)キム・カーダシアンから(米レストランの)オリーブ・ガーデンまであらゆるアカウントをフォローした。当初は素晴らしい体験
「みんな悲鳴を上げて消えていった」。ある通信業界の有識者はそう語る。2023年、日本のスマートフォンメーカーが相次いで撤退や事業縮小を表明。国産スマホは絶滅の危機にひんしている。 京セラは個人向けのスマホ事業から撤退。富士通を母体とし、シニア向け「らくらくホン」を手掛けるFCNT(神奈川県大和市)も民事再生法の適用を申請し、中国のレノボ・グループの傘下に入った。21年にスマホに参入したバルミューダも撤退を決め、事業を従来通り継続できたソニーとシャープにも激しい逆風が吹く。 08年の米アップル「iPhone」上陸以来、縮小の一途をたどってきた国産スマホ。国内生産高は携帯電話時代に記録したピークの1割を割った。23年は円安や部材価格の高騰、総務省による端末割引の規制などが追い打ちをかけ、大量撤退という惨劇につながった。 ソニーは苦しい。調査会社のMM総研(東京・港)によれば23年度、ソニーのス
この記事の3つのポイント EV販売の減速を受け、自動車大手がHVに回帰している EVに対して消費者も各国政府も動きが消極的だ まずHVで利益を上げ、その資金をEV開発につぎ込む 電気自動車(EV)販売の減速を受け、自動車会社がハイブリッド車(HV)に回帰する動きを見せている。消費者が充電への不安などからEV購入に消極的で、各国政府がエネルギー移行目標を先延ばししている。自動車各社は中国EVとの価格競争を避け、まずHVで利益を上げ、その資金を安価なEVの開発に注ぎ込む考えだ。 世界の主要自動車会社が、ハイブリッド技術への投資を拡大している。各社の経営幹部によれば、バッテリーだけで走る完全電気自動車(EV)に対して消費者が消極的になっているため、業界は急激なギアチェンジを余儀なくされているという。 金利の高止まりと不十分な充電インフラへの懸念が相まって、EVへの消費者の熱は冷めてきた。その結果
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