サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
iPhone 16
courrier.jp
シリコンバレーの投資資金を獲得するには、スタンフォード大学の砂岩でできた建物であれ、創業初期のフェイスブックの落書きだらけのオフィスであれ、出身母体が物を言う。ベンチャーキャピタルが今注目するのは、イスラエル軍のサイバー部隊に所属していた新しいタイプの起業家たちだ。 高度なサイバーセキュリティーとサイバー戦争能力で知られる「8200部隊」の出身者は、これまで数十社のサイバーセキュリティー企業を設立してきた。独力で影響力のあるベンチャーキャピタリストとなり、起業家精神を持つ元隊員のメンターとなっている者もいる。 8200部隊の元隊員が設立し、米国で上場しているハイテク企業は少なくとも5社あり、その時価総額は計約1600億ドル(約23兆4000億円)に上る。元隊員が立ち上げた非公開企業の評価額の合計はそれをはるかに上回る。 中でも最大の企業であるクラウドセキュリティー企業のWiz(ウィズ)は、
テロを予測する「遠見の石」 パランティアという社名は、英作家トールキンの『指輪物語』に登場する、あらゆるものを見ることができる遠見の石「パランティア」からとられた。カリフォルニア州パロアルトにある同社オフィスは、「ホビット庄」と呼ばれる。 アレックス・カープは米ニューヨークに生まれ、その後フィラデルフィア郊外で育つ。ユダヤ人の父は小児科医、黒人の母はアーティストだった。左派の両親は社会運動家でもあり、公民権デモ行進などに幼いアレックスを連れ出した。おじのジェラルド・ジェインズはイェール大学の教授で、専門は経済学とアフリカ系米国人研究だ。きょうだいのベンも研究者で、現在日本に暮らす。 「いつも疎外感を感じているんです」とカープは言うが、彼には独特のカリスマ性がある。民主党のストラテジストで、パランティアのアドバイザーでもあるジェームズ・カービルは、「控えめに言っても、彼は唯一無二の存在だ」と
この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 「もっとセックスしておけばよかった」 妻から一夫一婦制をやめないかと提案されたとき、彼女は「そうすれば私たち、もっと強くなれるから」と言った。「そうすれば離婚することになる」と僕。結果的にふたりとも間違ってなかった。 僕が神学校を卒業する頃、僕らはすでに結婚7年目を迎えていた。その頃の僕は「牧師仲間への崇拝」と表現するのがおそらく最もぴったりくるような人生の段階を終えようとしていた。僕のキリスト教信仰が、綿密かつ学術的に解体されつつあったのだ。 神なしの人生を想像するのはできても、高額な費用をかけて取得したピカピカの神学修士号を手に、神なしのキャリアを想像することは難しかった。 対するコリーはというと、その一年前には宗教に背を向け
5兆5000億円の買収提案 8月末の金曜日の午前10時過ぎ、激しい豪雨が降りしきるなか、セブン-イレブン国内1号店である東京の豊洲店のレジには3人が並んでいた。 一人はクロワッサンとコーヒー、もう一人はいくらおにぎりとヤクルトに、限定のぶどう味のガム、もう一人は猫のおやつを買おうとしていた。店の奥から出てきたのは、緑、赤、オレンジのジャケットのユニフォームを着た女性だ。彼女はフライドチキンを持ってきた。 コーヒーとクロワッサンを買った人は言う。「私はどの店よりもセブン-イレブンでお金を使っています。あちこちにあっていつでも行けるし、生活の一部です。食べ物もどんどん美味しくなっています。買収されるかもしれないと聞いたけれど、そんなのありえないでしょ?」
日本生まれの小さな動物の人形たちが、2023年末からメキシコの市場で人気を博しているという。その注目ぶりは、シルバニアファミリーの海賊版まで出回るほどだ。このブームの現場を、スペイン「エル・パイス」紙の記者が訪れた。 メキシコシティで増えている青空市場では、週末になると、住民たちが食品、家庭用品、化粧品など生活に必要なあらゆる物を求めてやってくる。街の中心部にある地下鉄バルデラス駅の外では、ある市場が何年ものあいだ、あらゆる種類のおもちゃ、とくに「マテル」社のミニカー「ホットウィール」を販売してきた。だが2023年12月から、「シルバニアファミリー」の人形たちが、店舗の大部分を支配している。 そしていまや、かつてなく賑わうこの場所は、「テルヌリネス市場」として知られるほどだ(「テルヌリネス」「テルヌリン」は、メキシコでのシルバニアファミリーおよび人形の呼称)。そこでは定番モデルや人気モデル
ロシアとの国境に近い、ウクライナ第二の都市ハルキウで、新学年のスタートに合わせて、ウクライナ初の「地下学校」が始まった。長引く戦争の影が色濃く反映された学校の悲喜こもごもな滑り出しを、米紙「ワシントン・ポスト」が取材した。 ポリーナ・ザモルスカ(16)が最後に教室に足を踏み入れたのは、もう2年半以上も前のことだ。だが、第80学校での最終学年には、教室に戻ることにした。 ただし、そのためにポリーナは地下に潜らなければならなかった。 新学年が始まった9月最初の月曜日、ポリーナは色とりどりの刺しゅうが入った伝統衣装の白いチュニックに身を包み、母と一緒に、ウクライナ初となる常設の地下学校へと向かった。 そこでは、これから毎週かわりばんこで学校を使うことになる、最年長の生徒と最年少の生徒がお祝いをすることになっていた。 「できるだけいっぱい思い出を作りたいです」とポリーナは言う。 地下6メートル近く
中国が、外国人警官を数千人単位で訓練しようとしている。それは世界秩序が「より公平で、合理的で、効率的な方向に発展する」ためだと公安部長である王小洪は述べた。 年に一度のグローバル公共安全フォーラムで、王はこうも語った。 「訓練を必要としている国々には警察コンサルタントを派遣し、その警察能力を迅速かつ効率的に向上させる手助けをする」 9月9日、中国東部の江蘇省にある連雲港市で開かれたこのフォーラムには、122の国と地域の警察の代表者や、国際刑事警察機構(インターポール)などの国際組織が参加した。 このフォーラムは、自らを国際的な安全保障のリーダーとして位置づけることを目指す中国共産党の取り組みの一環だ。 米国優位の世界秩序を作り替えるためか 2022年、中国の習近平国家主席は、「グローバル安全保障イニシアティブ(GSI)」を立ち上げた。これは中国をファシリテーターとして中心に据え、「グローバ
ユニクロやアマゾンの暗部に切り込んだことで知られるジャーナリストの横田増生が潜入取材に身を投じたきっかけのひとつに、米大学へのジャーナリズム留学があった。自身の取材技法をまとめた新著『潜入取材、全手法』から、転機となったニュージャーナリズムとの出会いや異人種間カップルへの調査報道の経験を抜粋で紹介する。 【米国留学の経緯】 学生時代に日本で新聞記者を志すも大手紙に就職できなかった筆者は、米アイオワ大学でジャーナリズムを学ぶために渡米。まずは米通信社AP通信の元記者だった教授のもと、最も重要なことを先に書くニュース記事の構成「APスタイル」や、客観報道の成り立ちを学ぶ。 次の学期では、ニュージャーナリズムについて学んだ。 ジャーナリズムに小説の技巧や私という一人称の視点を取り入れて、より読みやすい記述を目指すという手法。この本のテーマである潜入取材は、APスタイルより、このニュージャーナリズ
ロシアで占い師の需要が高まっている。ここ数年、特にタロットカード占いへの関心が高まり、企業も占い師の職を募集するほどだ。 なぜいまロシアのビジネスは「占い」を求めているのか──ロシアメディアの「ホロド」が取材した。 工場が「タロロジスト」を募集 2024年春、旋盤工具を生産しているウラジーミル州のキルジャチ工場が、人事用タロロジスト(タロット占い師)の求人情報を出した。 タロロジストは専門職扱いで、「人材の募集、選抜、配属」に従事するということだった。応募にはいくつかの課題があった。タロット占いに基づいた従業員個々の育成プランを策定すること、従業員の隠れた能力と成長の可能性を占いで予測すること、会社にとって重要なポジションの欠員募集を出すのに好ましい日付を占うことだ。 応募者の条件にはこうあった。 ・占星術、数秘術、秘教の知識があること ・外部からの魔術的な力から防御するパワーを有すること
最新のニュースに登場した時事英語を紹介するこのコーナーでは、世界のニュースに出てくるキーワードを学ぶと同時に、ビジネスの場や日常会話のなかでも役立つ単語やフレーズを取り上げていきます。1日1フレーズずつクイズ感覚で学び、英語に触れる習慣をつくっていきましょう。語彙力の向上には、日々の積み重ねが大事です。 今日の時事英語 2024年9月11日(水)の「BBC」に次の一文がありました。 Her “Childless Cat Lady” comment was a nod to remarks made in 2021 by Vance, who is Trump’s candidate for vice-president.
遺伝は人生を決めるのか ──1875年に英国のフランシス・ゴルトンが双子研究を立ち上げますね。彼は、双子は単に外見が似ているだけではないと予感してはいましたが、遺伝子がどれくらい強く私たちの人生を規定する要素かについては、まだ何も知りませんでした。私たちの何が生まれつき定まっているかについて、現在では何がわかっているのでしょうか。 「定まっている」という言葉は私は好きではありません。いかなる変更も可能ではないように聞こえるからです。 自分を変えたり、改善したり、知識を増やしたりすることはできるのです。にもかかわらず、遺伝子が私たちの人生において多くの領域で顕著な影響を及ぼしているということです。 ですから私は、どの特徴がどちらかと言えば「安定的」かという言い方をします。 ──どの特徴がより「安定的」なのでしょうか。 たとえば私たちの目の色です。それは、私たちがどこでどのように育っても変わり
日本のセブン&アイ・ホールディングスはカナダの競合から買収提案を受けたが、評価額などを理由に協議に応じなかったことが報じられている。だが、もし取引が成立したとしたら、日本でお馴染みのコンビニチェーン「セブンイレブン」は変わってしまうのだろうか? 米紙「ワシントン・ポスト」が、独特の発展を遂げた「日本らしい」セブンイレブンの魅力を報じている。 米国のセブンイレブンとは大違い 賑やかな銀座のセブンイレブンで、スガワラ・シュンカ(29)はビジネスウェアに身を包んだ人々の座っている列につき、おにぎりと小豆菓子といういつものランチをとっていた。 レジの電子音が鳴り、周りの客がもぐもぐと食べ、店員が次の客を呼ぶべく声を張り上げる。そんななか、郵便局員のスガワラは、日本のコンビニが使う米の質の高さを称賛した。彼女は週に数回はセブンイレブンでランチを買っているという。 そのため、カナダの小売大手「アリマン
【今回のお悩み】 「歳を重ねるにつれて、親が自分を頼るようになってきて負担が増しています。ちょうど良い距離の取り方を教えてください」 自分の面倒を見てくれる立場だった親が、自分のことを頼るようになってきた。もちろん、親の力になりたいという思いはあっても、こちらも自分の生活があり、親のためだけに自分の時間や労力を捧げるわけにもいきません。どうしたら互いを傷つけることなく、関係の変化に対応できるのでしょう。 アドラー心理学に詳しい岸見一郎先生に相談しました。 親は、以前できていたことができなくなってきたと自覚したときに、これから先の人生を思って不安にならないわけにいきません。他方、子どもも、親がいろいろなことができなくなってきているのを見たら、動揺します。 そんな親を見て力になろうと思わない人はいないでしょうが、親を援助しなければならないからといって、自分の生活を変えることは難しく、何から何ま
米民主党の副大統領候補に指名されたティム・ウォルズ氏は、天安門事件が起きた年に中国で教えていたり、新婚旅行先に中国を選んだりと、かなりの「中国通」とされる。そんな彼を中国政府や一般の中国人はどう見ているのか。作家の譚璐美氏が解説する。 親しみやすい「庶民派」 11月の大統領選挙を控えて、米国ではいま、民主党の副大統領候補に指名されたティム・ウォルズ氏(60)が注目されている。 現在、ミネソタ州知事2期目を務めている彼は、ネブラスカ州で生まれた。高校時代に州兵に入隊登録して24年間を過ごした。州兵は、普段は民間の仕事や学業に従事するかたわら、州知事の指揮下で治安維持や災害救援などにあたる。戦争になれば、連邦政府の指揮下に入り、即時召集される予備役部隊でもある。 ウォルズ氏は入隊後、並行してネブラスカ州立大学に入学し、同僚教師と結婚して、妻の故郷であるミネソタ州に移り住み、高校の地理の教師にな
ラーメン一杯は1000円を超えると客足が遠のくと言われている。だがインフレや円安、エネルギー費の高騰を背景に、多くの店がいま苦渋の決断を迫られている。そんな岐路に立つラーメン業界を米紙が取材すると、日本経済が抱える問題点が見えてきた。 ラーメン店の閉店が過去最多ペース 手頃な価格で楽しめるラーメンは、日本の国民食とも言えるだろう。麺とたっぷりのスープからなる熱い一杯が、1000円を超えることはほとんどない。 仕事の昼休みにも、学校帰りのお腹を空かせた中高生にも、遅い電車で帰宅途中のサラリーマンにとっても、さっと食べられて頼りになる食事だ。 だが日本はいま、数十年に及んだデフレを経てインフレを経験しており、この安価な一杯にも影響が出ている。2024年、ラーメン店の閉店が過去最高のペースで進んでいるのは、店主たちがコスト上昇に対処するために「1000円の壁」を超える値上げをするか、さもなければ
カテゴライズできない批判的思想家 ある日の午後にカフェでお茶をしていると、ひとりの男がゆっくり近づいてくるのがジジェクの肩越しに見えた。刈り込んだ頭に小さな丸メガネ、ソ連のスパイが暗殺に使ったことで有名な傘に似たものを持っている。 彼はジジェクの後頭部目がけて何かを叫び出した。ジジェクは気づいていない。男は立ち去りかけたが、気が変わったのか踵を返して戻ってきた。ジジェクが振り返った。大きな声でしばらく会話したのち、彼は私に言った。 「『あんたはここに座って哲学してりゃいいが、俺たちは何もかもをどうすりゃいいんだ?』って言ってたよ。いささか攻撃的な男だな」 「俺たちは何もかもをどうすりゃいいんだ?」という問いが宙に浮いていた。我々は意見対立を通じた弁証法的推論にはそぐわない時代に生きている。哲学者であり本誌「ニュー・ステイツマン」の常連寄稿者でもあるジョン・グレイが、アムステルダムで開かれた
大統領候補になったのは「大した話じゃない」 今年の3月でジジェクは75歳になった。金融危機について語った結果、最近では思想界の「ロックスター」として名を馳せた。彼のラカン派的世界観も、人々が政治と精神分析の関係に興味を持ちはじめるなかで、改めて注目されている。 ロラン・バルト以来のわかりやすいポップカルチャー批評理論を展開する『スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド2 倒錯的イデオロギー・ガイド』(2012)など、映画製作もおこなった。この4年で9冊の本を著し、1989年のデビュー作にして、ときに代表作とも言われる『イデオロギーの崇高な対象』から数えると、(共著書を除けば)50冊を書き上げたことになる。 1990年にスロベニアで共産党体制が崩壊したとき、ジジェクはスロベニア自由民主党から大統領候補として擁立された。本人いわく、これはそれほど大それた話ではなかったらしい。ジジェクはあくま
30回以上の訪中経験があり、中国通で知られる民主党の副大統領候補、ティム・ウォルズ。そんな彼とカマラ・ハリス大統領候補という「意外な」組み合わせは、逆に中国政府を悩ませているという。それはなぜなのか、英誌「エコノミスト」が分析する。 中国のプロパガンダに反するハリス 中国政府とその政治アナリストたちは、米国大統領選について頭を悩ませている。突然米国大統領候補になった女性には訪中経験もなく、習近平国家主席と会ったのも一瞬だけだ。ハリスと、ミネソタ州知事のティム・ウォルズ陣営の候補選出によって、中国政府には2つの問題が生じた。 まず、ハリスとウォルズの陣営は、「米国政治は人種差別的で消極的だ」という中国の解釈を揺るがすことになる。さらに、もしハリスが当選すれば、同政権がどのような対中政策をとるのかは未知数だ。それは単にハリスの中国に関する経験が限られているためだけではなく、ウォルズはここ数十年
妻に悪態つきまくり 夫婦の生活時間帯がバラバラなのは問題だ。スラヴォイ・ジジェクの妻の就寝時間は遅く、だいたい午前4時頃。一方のジジェクは、午前1時にはベッドに入る。 朝、ジジェクは掃除をし、買い物を済ませて朝食も作る。焼きたてのパンに半熟卵、妻のためにグレープフルーツも添える。午後4時ともなると彼はもう疲れてしまうのだが、妻はよく「ちょっと前に起きたばかりじゃない」と文句を言うそうだ。 「ふざけんな! 起きたばかりなのは君だけだ! って言ってやるんだ」とジジェクは中指を突き立てて吐き出した。「俺はもう活動を始めてから7時間たってんだ! ってな」 夜こそが、ジジェクの妻のゴールデンタイムである。 「『もう働く時間はおわり。休んでいいよね』と言って、ソファーに寝転んで足を伸ばし、何かちょこちょこ食べるものを用意して、ばかすかタバコも吸って、映画を観る。妻はこれを夫婦のコミュニケーションの時間
国府田敬三郎は祖国から遠く離れた地で米作りを始め、「カリフォルニア米の帝王」と称された。その敬三郎の意志を引き継ぎ、有名シェフからも愛される米を代々作り続けてきたコウダ農場だが、ついにその地を手放すという決断を下した。 8月に水の引き込みが切られると、カリフォルニア州のサウス・ドス・パロスにある水田は緑から黄金色へと変わる。コウダ農場を経営するロビン・コウダとロス・コウダの姉弟は、だんだん水分が抜けていく稲を手にとり、最適な収穫時期の頃合いを計る。 いまから97年前にカリフォルニアで家族経営の米作りを始めたのは、2人の祖父の国府田敬三郎(こうだ・けいさぶろう)だ。コウダ農場は新品種「コクホウローズ(國寶ローズ)」を開発し、1960年代に初めて売り出した。世代を問わず、多くの料理人がこの米国育ちの日本的な米に感銘を受け、さまざまな料理を作ってきた。 だが今秋、コウダ家の農場から新米が出荷され
2023年11月17日(米国時間)、OpenAIの取締役だったヘレン・トナーらは、同社CEOサム・アルトマンの解任を発表した。 OpenAIは、世界で最も知られたAI企業だ。トナーと他3人の取締役は、アルトマン解任の理由を「我々に対する率直さを欠いた」からだと説明したが、詳細は明かさなかった。 それから時価総額860億ドル(約12兆4200億円)企業が空中分解する危機の渦中に立たされたトナーは、シリコンバレーの伝説的な起業家へのクーデターの“首謀者”として注目される。 OpenAIの混乱は5日間続いた。同社の有力な投資家や支援者、従業員は取締役会の決定に猛反発し、アルトマンの復帰を強く要求。クーデターチームのひとりがアルトマン側に寝返ると、取締役会もそれに倣った。アルトマンはCEOに復帰し、トナーは辞任に追い込まれた。 この騒動は単なる人間同士の衝突にとどまらず、人類史上最も影響力のある発
問題は、賃金格差だけではない ──日本のジェンダー平等の水準は、極めて低い状況にあります。2023年の世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」ランキングでは146ヵ国中125位でした。 男女間の格差は大きく、政界や経済界における女性の存在感は極めて低い状況です。女性が首相になったことはありませんし、財務省のように重要な省庁のトップに就いたこともありません。また国会議員に占める女性の割合は衆議院で10%未満、参議院で約27%です。首相を含む20人の閣僚のうち女性は現在5人で、これは一つの成果と見られています。ですが現状は、女性の政治参加の低さを永続させています。 ──およそ1年前まで女性閣僚は2人しかいませんでしたね。 一つ下の役職に目をやると状況はさらにひどくなります。女性の副大臣は現在、一人しかいません。政府は企業に男女平等に向けた行動計画の策定を義務付けておきながら、権力の中枢で
児童生徒を上半身裸にする日本の学校健診は、文科省から配慮を求める通知があったにもかかわらず、なぜなくならないのか? 英紙「ガーディアン」東京特派員が女子の母親や識者に取材し、その理由を探る。 「胸が完全にさらされて恥ずかしかったです」と中学校で年に一度の健診を受けた、日本のある女子は書いている。 「健診前に先生から、トップスとブラをめくり上げるように言われました……したくなかったけど、嫌とは言えませんでした」と別の女子は述べる。 日本の学校では5〜18歳の男女が健診の際、上半身裸になるよう求められることがある。ガーディアン紙が入手した13歳の女子生徒2名による証言は、そうした学校に通う子供たちが覚える不快感やトラウマの典型だ。 親や活動家のあいだではこの慣習に対する怒りが広がっており、教育・保健関係者は4月に新年度が始まる前に廃止してほしいとの要望を受けている。 松山市議の田渕紀子は、自分
iPhone受託製造会社が向かう先 電気自動車に本格参入を表明した台湾フォックスコンに勝ち目はあるのか? エヌビディアのファンCEOと登壇するフォックスコンの劉会長 Photo by Walid Berrazeg/SOPA Images/LightRocket via Getty Images
今回の米大統領選では、前回の選挙ではあまり見られなかった現象が起こっている。民主党・共和党の政治家たちが、政治的スタンスの異なるメディアに盛んに出演しているのだ。なかでも、運輸長官のピート・ブティジェッジはFOXニュースによく出演している。なぜこうした現象が起こっているのか、英紙「ガーディアン」が解説した。 8月に開催された民主党大会で、バイデン政権の運輸長官ピート・ブティジェッジは民主党員たちに向けて、少し変わった自己紹介をした。 「ピート・ブティジェッジです。FOXニュースで私を知っている人もいるかもしれませんね」 この発言は笑いを誘ったが、そこには確かな真実があった。大統領選挙までの最後の約2ヵ月間、政治家たちはまだ説得可能な有権者たちの票を得ようと、イデオロギー的に一致しないメディアにも出演しているのだ。 ブティジェッジは、「ハリス−ウォルズ陣営を代表して保守系放送局に出演すること
男性の年齢も、生殖能力や出生児の健康に影響する。オーストラリアの公衆衛生と予防医学の専門家が、最新の研究結果をひもとき、男性の生殖能力の改善策も紹介する。 女性の妊娠可能年齢や、年齢がいかに妊娠の可能性に影響するかについてはよく聞く。 新たな研究では、男性の生殖能力も年齢に影響されることが示されている。父親が50歳以上の場合、妊娠合併症のリスクは増す。 この研究では、米国で2011年から2022年までのあいだに産まれた4600万人以上のデータを使って、30代の父親と50代の父親を比較した。 母親の年齢と、妊娠結果への影響が知られている他の要因を考慮に入れたうえでわかったのは、父親の年齢が10歳上がるごとに合併症もより増えるという関連性だった。 父親が50代のカップルでは、父親が30〜39歳のカップルと比べると以下の傾向があった。 ・早産リスクが16%増 ・低出生体重のリスクが14%増 ・妊
世の中には、世界が「字幕付き」で見える人がいる──。もしかしたら、この記事を読んで初めて自覚する人もいるかもしれない。特定の音や数字、色が脳内で結びつく「共感覚」の一種とされ、「ティッカーテープ共感覚」とも呼ばれる、この特殊な脳を持つ人は、話す言葉、聞く言葉、想像する言葉がすべて脳内で「文字起こし」されるのだという。 自分の脳が「普通の人とは違う」ことにカロリーヌ・アンドリウが気づいたのは、かなり歳を重ねてから──45歳頃のことだった。だが、これはカロリーヌと同じ特異な脳を持つ人のあいだでは、さほど珍しい話ではない。 パリ在住のジャーナリストであるカロリーヌは言う。「以前は、他の人も私と同じように、人の話を聞きながら字幕が見えているのだと思っていました」 どうやらそうではないと気づいたのは2018年。仕事で編集を担当した記事で、世の中にはこんな独特な脳を持つ人がいると紹介されていたのを読ん
虚偽情報を垂れ流すX 8月30日、ブラジル最高裁判所は米ソーシャルネットワーク「X」のブラジル国内におけるサービス停止を命じた。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、その背景にあったのは、2022年の大統領選挙で敗れたボルソナロ前大統領に関する偽情報がX上で溢れていたことだ。前大統領は犯罪捜査を受け、選挙への出馬も禁じられている。しかし、2年前の選挙での敗北には不正があったなどの嘘がX上で流れ、ボルソナロ陣営は勢いづいていた。 ブラジル最高裁のアレクサンドル・デ・モラエス判事は、偽情報を拡散する数十のアカウントを停止するように4月からXに求めてきた。しかし、Xを所有するイーロン・マスクは、それを「言論の自由」に対する攻撃として命令に対応せず、ブラジルのオフィスを閉鎖し、裁判所と対立してきた。
『ワーク・シフト』『LIFE SHIFT──100年時代の人生戦略』の著者リンダ・グラットンが、変化の激しい現代のワーク・ライフ・バランスを論じる連載。 世代間対立ばかりが話題になるが、実は人生の規定コースが変化したことは、60代も30代も変わらない。全世代に向けて企業や国が取るべき施策と、ひとりひとりができる対策とは。 新型コロナウイルスに対する個人的、集団的な対応に追われた時代は過ぎ去った。コロナ禍から何を学び、何を未来への教訓とできるだろうか、と考えだした人は少なくない。 私たちの人生観というものは、部分的には私たちの「ナラティブ(物語)」、つまり人生に対する理解や思い込み、期待を反映している。新型コロナウイルスによるパンデミックの経験は、過去10年にわたりずっと続いてきた、私たちの労働者としての人生に関するナラティブに、転換をもたらしたように思う。 それは年齢を問わず、私たち全員に
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『クーリエ・ジャポン | 海外メディアから記事を厳選!』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く