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――アニメ化にあたっては、いくつもの挑戦的な演出が施されています。そのひとつとして、本編は通常よりもワイドな「シネマスコープ」(※1:2.35の縦横比)となっていますね。 神戸 これは以前からやってみたかったんですよ。映画的な雰囲気を出したかったので、コンテから画面の縦横比を意識して描いています。やってみると、やっぱり画面がグッと締まりますし、チャレンジして良かったと感じています。 ――もうひとつは、会話シーンの「背景チェンジ」です。これは監督のアイデアですか? 神戸 そうです。もともとは『君と僕。』という作品で一度だけ似たようなことをしたんです。キャラクターが心情を吐露するシーンだったんですけど、全体的にトーンが暗かったので、ふたりが電車に乗っているイメージカットを挟み込んだんです。そのときに「これは使えるかも」と思い、それからずっと温めてはいたんですけど、トライできる機会がなくて。本作
――SNSに、脚本執筆中に「予想外だったこと」があると書いていましたが、それはヒナのことですか? 花田 いえ、それは第1回でお話しした、仁菜を説得するのに5話もかかっちゃったことと、あとは放送後の反響です。思ったより仁菜は嫌われていないな、と。僕はもっと拒絶反応が起きると思っていたんですよ(笑)。 ――そうなんですか! 僕はもう、第1話の時点でものすごく愛せていたので……。 花田 「好き」というよりは「面白がられていた」ような気もするんですけど、でも「愛されているな」という感覚があって意外でした。皆さん、心が広いというか、ストレス溜まっているのかなぁ……(笑)。 ――あはは。花田さんとしては尖った、エキセントリックなキャラのつもりだった? 花田 そんな気持ちだったので、第4話までにルパたちを本格的に出せなかったら、キャラクターものとしては厳しい戦いだな、と思っていました(笑)。 ――でも、
――前回(第1回)のインタビューからの続きとなりますが、当初、新メンバーのふたりが動き出す予定だった第4話をまるまる使って、花田さんが仁菜を説得する必要があったわけですね。 花田 第4話は安和すばるがメインのエピソードでしたが、「こいつ(仁菜)には『自分の思っていることがすべて正解じゃないんだぞ』と思わせないとダメだな……」と思いながら書いていましたね。そのあとの第5話でようやく前向きになってくれて「仁菜、お前ひとりに5話も使っちゃったよ……」というのが、そこまで書き上げたときの心の底からの感想でした。視聴者の皆さんもおっしゃっていましたけど、「メンバーが全員揃うのが第6話じゃ遅いよ!」と自分でもツッコんでいました(笑)。 ――井芹仁菜というのはそのくらい破格のキャラクターだった。書いている人ですら説得するのが大変って、よっぽどですよね。 花田 でも、吉野弘幸さんと第2話か3話まで放送した
――まずは本作への参加の経緯から教えてください。 花田 もともとは平山さん(平山理志プロデューサー)がサンライズにいた頃、シリーズディレクターの酒井(和男)さんと3人で、フル3DCG作品の企画をゼロから作っていたんです。でも、平山さんが東映アニメーションに移られて、その企画は一度白紙に戻って。そこから東映アニメーションで新しい企画を作り直すことになったのですが「ステージで展開できる、深夜向けアニメの企画にしてほしい」というようなことを平山さんが言い出して、それはどうなんだと(笑)。これまでに近いテイストの作品をやってきていたので、正直なことをいうと、この企画が始まった当初、僕はずっと不機嫌だったんですよ(笑)。 ――うーむ(笑)。 花田 そんな経緯があって「音楽ものをやりたいなら、『バンドもの』だったらやってもいいです」といった提案をしたのをおぼえています。その話は通ったものの、平山さんか
――ここからは映像上で疑問に思ったことを聞きたいのですが、シブヤサーバーにいたツクルナというキャラクターはどのような存在なのでしょうか? 下田 先に説明しておくと、「オルタモーダ編」の原案となった「α」という企画では、オルタモーダたちは全員独立した個人として存在しています。『STA』で描かれている彼らは今回用に設定が異なっていて、ハル・ヴェルトというマスターから生まれた多重人格の分身なんです。ハルの幼児性の部分がセフトになり、兄貴分的なところがギテンになった。シドは、自家中毒の部分ですね。そして最後に残ったハルの良心が、ツクルナです。 ――なるほど。 下田 そしてツクルナ自体は、原案の「α」ではオルタモーダ世界における人工幻体なんです。要するに、シズノと同じ立場。 ――イェルということですね。 下田 オルタモーダ世界のイェルですね。だから、記憶を失ったシズノと接触したときは、彼女のサポート
2006年に放送され、複雑ながらSF心をくすぐる世界観設定と、ループし続ける街で暮らす、学生たちの切ない群像劇で人気を博した『ゼーガペイン』。シリーズ最新作となる『ゼーガペインSTA(以下、STA)』は、TVシリーズとその前日譚である『ゼーガペインADP(以下、ADP)』が再構成された「レミニセンス編」と、TVシリーズのその後を描く「オルタモーダ編」から成り立っている。この作品で見せたかった新たな『ゼーガペイン』とは? 監督を務める下田正美に、劇中に散りばめられた謎についてもあわせて聞いた。 ――今回の『STA』は、TVシリーズと『ADP』を再構成した「レミニセンス編」と、その後を描いた「オルタモーダ編」で構成されています。 下田 最初、分けるつもりはなかったんです。回顧録の要素も入れつつひとつにまとめる予定でしたが、「オルタモーダ編」のシナリオと「レミニセンス編」の回想パートの相性が悪く
――『機動武闘伝Gガンダム(以下、Gガンダム)』が放送30周年を迎えました。 秋元 この30年、だいたい毎年、何らかのかたちで『Gガンダム』関係の仕事があるんです。去年もストーカーとしてナレーションを1本録りました。あれは担当者がまだやりたがっていたから、今年も話が来るんじゃないかと(笑)。他にもゲームとか『Gガンダム』の役を演じる機会はいろいろと多いですね。 ――じつに息の長い作品ですね。 秋元 本当に。ありがたいことです。だから作品に関係する思い出も多いんです。 ――ぜひ、いろいろと聞かせてください。まず、そもそも『Gガンダム』への出演はどのように決まったのでしょう? 秋元 オーディションなどはなく、突然「今度こういう作品の仕事が入りました」と連絡をいただきました。当時はそういう、それまでの仕事のお付き合いの流れでお話をもらうことが多かったですね。最初はストーカー……つまりはナレーター
2007年にオンエアされたTVアニメ『モノノ怪』が、新たなかたちで帰ってくる。独特のビジュアルスタイルと日本の怪異譚をもとにしたユニークな物語で、熱狂的なファンを生んだ『モノノ怪』。その新作『劇場版モノノ怪 唐傘(以下、唐傘)』が公開間近の今、TVシリーズから引き続き監督を務める中村健治に、この新作にかける想いを聞いた。 ――17年ぶりの新作となった『モノノ怪』ですが、そもそも続編を作ろうという話はどこから始まったのでしょうか? 中村 今回、推進役になったのは、ツインエンジン(『唐傘』の製作会社)の社長兼プロデューサーの山本幸治氏です。もともと山本さんとはまったく別の作品を作ろうとしていたんですけど、彼から「やっぱり『モノノ怪』でしょう」と言われて(笑)。とにかく彼が駆けずり回って、いろいろな条件を整えてくれました。タイトルは同じ『モノノ怪』ですが、制作現場も今回はツインエンジンのスタジオ
放送30周年を迎えた『機動武闘伝Gガンダム』。ここでは、主人公ドモン・カッシュを演じた関 智一さんへのインタビューの後半戦をお届けします。役者陣の温かい関係、音響監督・浦上靖夫さんの愛ある厳しさ、そして総監督・今川泰宏さんへの熱い想いを、じっくりと語っていただきました。刮目して読むべし! 見よ、東方は赤く燃えている!! ――第12話で東方不敗マスター・アジアが登場してから、作品のトーンが少し変わる印象です。主演の関さんはこれを当時、どう受け止めていたのでしょう? 関 超級覇王電影弾を初めて撃ったとき、師匠の顔が飛んでいくじゃないですか。あそこで『ミスター味っ子』的な、今川ワールドが『Gガンダム』にも色濃く出始めた気がしましたね。当時はもう、痺れていました。「面白い!」って。僕は今川さんに魅了されていたんですよ。突飛だけど、ただ変なだけじゃないところが良くて「次は何をやってくれるんだろう?」
――ガンダムシリーズには前年の『機動戦士Vガンダム』から継続しての出演でした。 関 それでいうと『Gガンダム』のあとの『新機動戦記ガンダムW』にも出ているので、3年連続なんですよね。その後、『機動戦士ガンダムSEED』にも出ているので、僕はあの頃の『ガンダム』によく出ている男なんです(笑)。 ――たしかに。 関 でも、子供の頃は『ガンダム』にはそんなにハマっていなかったんです。どちらかというとスーパーロボット系の作品が好きだったので、『ガンダム』はちょっと難しい印象があって。だから『Gガンダム』のオーディションを受けたとき、内容がスーパーロボットっぽかったので「やった!」と思いました。「必殺技を言ってるぞ!」って。「きっと俺にぴったりだ!」とテンションが上がったまま受けたのをおぼえていますね。ただ、そんなことを感じながらも「受かるわけない」と思っていました。 ――なぜでしょう? 関 その前
吹奏楽青春アニメ『響け!ユーフォニアム(以下、ユーフォ)』シリーズのTVアニメ第3期『 響け!ユーフォニアム3』が最終回を迎えた。北宇治高校吹奏楽部部長として悲願の全国金賞を目指す黄前久美子の奮闘を中心に描いた今シーズン。さまざまなキャラクターたちのドラマをまじえながら、シリーズの最終楽章として久美子の高校生活3年間を締めくくった。Febriでは、放送を終えたこのタイミングで、シリーズの監督を務め続けた石原立也を迎え、最終楽章に込めた想いを前後編でたっぷりと語ってもらった。後編は、最終話について深掘り。石原監督自ら手がけた絵コンテの秘密にも迫っていく。 ――最終話はシリーズの集大成にふさわしい屈指の名エピソードとなりました。ここまで演奏シーンを封印していた分、ここで思いっきり見せましたね。 石原 ぶっちゃけていうと、演奏シーンは作画のコストが段違いにかかるので、とくにTVシリーズではそう簡
吹奏楽青春アニメ『響け!ユーフォニアム(以下、ユーフォ)』シリーズのTVアニメ第3期『 響け!ユーフォニアム3』が最終回を迎えた。北宇治高校吹奏楽部部長として悲願の全国金賞を目指す黄前久美子の奮闘を中心に描いた今シーズン。さまざまなキャラクターたちのドラマをまじえながら、シリーズの最終楽章として久美子の高校生活3年間を締めくくった。Febriでは、放送を終えたこのタイミングで、シリーズの監督を務めた石原立也を迎え、最終楽章に込めた想いを前後編でたっぷりと語ってもらった。前編は、全13話の構成や演出、作画について。 ――インタビュー時点ではまだ最終回は放送されていませんが、現在の心境はどうですか? 石原 じつはまだ鋭意作業中でして「なかなか終わらないなあ」というのが本音ですね(笑)。ただ、制作してきたこの10年は、ずっと現実世界と『ユーフォ』の世界を行ったり来たりしていたので、ある意味では片
吹奏楽青春アニメ『響け!ユーフォニアム』シリーズのTVアニメ第3期『 響け!ユーフォニアム3(以下、ユーフォ3)』が4月より放送中。高校3年生となり、吹奏楽部部長として悲願の全国金賞を目指す黄前久美子の奮闘を中心に、さまざまなキャラクターたちのドラマが描かれていく。残すところ最終話のみとなり、ファンの盛り上がりも最高潮に達しているなか、今回は久美子を演じる黒沢ともよさんのインタビューを前後編でお届け。後編は、印象的なシーンや最終話の見どころを中心に語ってもらった。 ――第12話までで、とくに印象深いシーンはどこになりますか? 黒沢 第11話での、久美子とお姉ちゃん(麻美子)の会話ですね。お姉ちゃんに髪を結ってもらいながら、オーディションでソリに選ばれなかったことなどを淡々と話すのですが、久美子が自分の感情をそのまま口に出したのって『ユーフォ3』ではこの場面しかなかったような気がするんです。
吹奏楽青春アニメ『響け!ユーフォニアム』シリーズのTVアニメ第3期『 響け!ユーフォニアム3』が4月より放送中。高校3年生となり、吹奏楽部部長として悲願の全国金賞を目指す黄前久美子の奮闘を中心に、さまざまなキャラクターたちのドラマが描かれている。残すところ最終話のみとなり、ファンの盛り上がりも最高潮に達しているなか、今回は久美子を演じる黒沢ともよさんのインタビューを前後編でお届け。前編は、キャラクターの成長や関係性の変化を中心に聞いた。 ――最終章となる第3シーズンですが、どんな気持ちで収録を迎えましたか? 黒沢 3年生編の制作が発表されたのは2019年。それからいろいろなことがあっての今回だったので、終わっちゃうんだなという寂しさはありつつも、ここまでたどり着けてよかったという気持ちのほうが強かったですね。自分の気持ちがどうこうよりも、とにかくシンプルにいいものにしたいなと思って収録に臨
――今回のテーマは「和カフェ×ギャル」。「俺のお気に入りの和カフェでギャル店員が働き始めた」という記事のサブタイトルまで珍しく決まっていましたが、テーマを知ったときはどのように思いましたか? ペイトン サブタイトルを見て「ラノベか!」と思いました(笑)。いろいろな要素が盛りだくさんなので、最初は「一歩間違えたら、とっ散らかってしまうのでは?」と思ったんです。でも、Febriさんには絶大な信頼があるので! すぐにすごく楽しみになりました。「ギャル店員」と聞くと、原宿でレインボーチーズ入りのフードを出しているような、派手なお店で働いているイメージを皆さんは抱くと思いますし、私もそんなイメージがあります。今回の撮影場所のような和カフェにあんなギャル店員がいたら、どんな異空間になるんだろう? 皆さんに見ていただけるのがすごく楽しみです。 ――前回のインタビューでは「自分の中にギャルがいる」と話して
――まず、『大室家』の劇場公開が決まったときの気持ちを教えてください。 加藤 『大室家』では『ゆるゆり』のアニメ展開がないときもコラボなどでファンの皆さんに触れていただく機会が多かったので「これはアニメ化もあるのではないか……?」と勝手に期待していました。でも、まさか劇場公開作になるとは思わず、驚いたおぼえがあります。しかも全2作だなんて、私の想像を遥かに超えた展開だったのですごくうれしかったです。 三森 お知らせを聞いたときはもちろんうれしかったのですが、向日葵を演じるのがだいぶ久しぶりだったので前作『dear sisters』のアフレコでは少し不安がありました。しかもそのときはひとりでの収録だったので、最初は「これで合っているかな」と思いながらだったんですけど、始まってみたら英美里さんのお芝居の声が脳内で流れてきたんです。そのおかげで自分の中の向日葵を思い出すことができました。『dea
――先日、十襲年を記念して、池袋・Mixalive TOKYOで上映会がありましたね。 今石 その上映会で1本、好きなエピソードを選ぶことになって、ちょこちょこと見返したんです。そうするとやっぱり「こんなのはもう作れないな」みたいな気持ちになりました。どの作品を作っても毎回思うことではあるんですけど、「あの当時だからこそ、作れたんだな」と。あまり計算していないというか――『天元突破グレンラガン』のときよりは計算しているつもりなんですけど、それでもまだ、当時のスタジオ(TRIGGER)の体力と作品がやろうとしていることが釣り合っていないっていう(笑)。当時の現場でできる量が10だとしたら、倍の20くらい発注している感じがある。まあ、だからこそ成長できたところはあるんですけど。 ――ちなみに今石監督は、上映会でどのエピソードを選んだんですか? 今石 いつもなら「ベストエピソードを選んでください
吹奏楽青春アニメ『響け!ユーフォニアム』シリーズのTVアニメ第3期『 響け!ユーフォニアム3』が4月より放送中。高校3年生となり、吹奏楽部部長として悲願の全国金賞を目指す黄前久美子の奮闘を中心に、さまざまなキャラクターたちのドラマが描かれていく。とくに久美子のライバルとして新登場したキーパーソン・黒江真由は要注目だ。そこで、ここでは真由を演じている戸松遥さんのインタビューを前後編でお届け。後編は、お芝居や今後の見どころを中心に語ってもらった。 ――お芝居についてですが、『響け!ユーフォニアム(以下、ユーフォ)』シリーズはとても生っぽい芝居が特徴です。そこはどのように感じましたか? 戸松 実写作品のような雰囲気のリアルなお芝居で、初めて収録に参加したときはいろいろ衝撃を受けました。『ユーフォ』って、アフレコ時にはもう絵が完成しているんです。普段の現場ではそんなことはなかなかないので「さすがは
――『響け!ユーフォニアム』シリーズにはどんな印象を持っていましたか? 戸松 作品自体は第1期が始まったときから知っていて、とにかくビジュアルがとてもかわいかったので、最初はシンプルに「美少女たちが楽しく音楽をやるアニメ」だと思っていました。それも別に間違いではないんですが、見てみたら想像以上に人間ドラマの部分がリアルで、セリフも楽器の音も演奏シーンもすべてが生々しくて、痛いくらいに共感しちゃいました。かわいらしいビジュアルを超越したドラマ性に打ちのめされた感じですね。 ――たしかに「楽しければOK」みたいなノリの部活ではないですからね。 戸松 そうなんですよ。ずっと心を鷲づかみにされている感じで、胸がキューってなります(笑)。 ――ちなみに戸松さんは学生時代に部活をしていましたか? 戸松 私は中高一貫校に通っていて、ハンドベルを6年間続けていました。 ――なかなか珍しい部活ですね。 戸松
4人の少女たちによる匿名クリエイティブ活動を描いたオリジナルTVアニメーション『夜のクラゲは泳げない(以下、ヨルクラ)』が面白い。ガールミーツガールをきっかけに、自分の「好き」を見つけ、手を取り合いながら前へと突き進んでいく圧倒的青春感と、そこに立ちはだかる壁。ここでは竹下良平監督に、本作に込めた想いやこれまでの話数の演出について語ってもらった。 ――本作はオリジナル作品ですが、どのように企画が立ち上がったのでしょうか? 竹下 もともとキングレコードさんと動画工房さん、そして自分という座組みで原作もののアニメをやろうという動きがありました。ただ、私の中でオリジナル作品を作りたいという気持ちがあり、試しに3つほど企画を作って提出したんです。そのうちのひとつがプロデューサーさんの目に留まったという感じですね。 ――ちなみに他のふたつはどんな作品を構想していたんですか? 竹下 アクション作品です
2024年3月15日~20日に開催された第2回新潟国際アニメーション映画祭。映画祭2日目となる3月16日、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(以下、逆襲のシャア)』がイベント上映されることを記念し、監督の富野由悠季氏とモビルスーツデザインを手がけた出渕裕氏によるトークショーが開催された。後編では、『逆襲のシャア』で描かれたシャア・アズナブルをはじめ、アニメにおける「生っぽい人間像」について掘り下げるトークが展開された。 ――『逆襲のシャア』に関して、出渕さんが今、思うことがあるそうですね。 出渕 ふたつ思っていたことがあります。ひとつは、シャア(・アズナブル)というキャラクターを再発見、再構築した作品ということです。『機動戦士Zガンダム(以下、Z)』のときに、クワトロ・バジーナという人がいたじゃないですか。あれは失敗作というか、クワトロをいい人にしちゃった。アムロ(・レイ)たちと一緒にしてお
2024年3月15日~20日に開催された第2回新潟国際アニメーション映画祭。映画祭2日目となる3月16日、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(以下、逆襲のシャア)』がイベント上映されることを記念し、監督の富野由悠季氏とモビルスーツデザインを手がけた出渕裕氏によるトークショーが開催された。本記事では、その内容を前後編にして掲載。前編では、アニメにおける長編、短編とはどういうものかを入口にトークが行われた。 富野 まず(アニメ業界)60周年というのが、イヤなの。もうひとつイヤなのは、ここで『逆襲のシャア』を上映するというんだけど、あの作品、何年前のものか知ってる? 36年前。高畑(勲)さんの作品の上映もあるので、それよりは新しいかもしれないという言い方はできます。僕にとって高畑監督は師匠ですから。師匠と一緒に上映されるのはいいのだけれど、照れるなあと。 出渕 富野さんとこうした公式のトークをやる
――『マッシュル-MASHLE-(以下、マッシュル)』のOPアニメーションは、どういうきっかけで手がけることになったのでしょうか? 榎戸 アニプレックスの古橋(宗太)プロデューサーから「OPをやってみませんか」と声をかけてもらいました。古橋さんは『Fate/Grand Order(以下、FGO)』のCMの担当プロデューサーだったんです。そのときの縁からいろいろと声をかけてくれていて、また一緒に仕事をしたいと思っていたんですよね。しかも今回、オープニング楽曲がCreepy Nutsさんだったのが自分の中では大きくて。スケジュール的にはけっこう厳しいタイミングだったんですけど、ぜひやりたいな、と。オファーがあった時点でお引き受けしようと決めました。 ――そのタイミングで、もう楽曲(「Bling-Bang‐Bang‐Born」)は完成していたんですか? 榎戸 いや、まだでした。引き受けたときに楽
――『マッシュル-MASHLE-(以下、マッシュル)』の話題の前に、榎戸さんのこれまでのキャリアについて聞きたいと思います。そもそもアニメーターになるきっかけというか、影響を受けた人というと、誰になるのでしょうか? 榎戸 中村豊さんをはじめ、さまざまな方から影響を受けているんですけど、それこそ「Web系」と呼ばれているアニメーターさんたち――たとえば、山下清悟さんをはじめとする方々に刺激を受けて仕事をしてきたところはあります。業界に入る直接のきっかけとなったのは、『ブラッククローバー』の監督をされている𠮷原達矢さんですね。 ――なるほど。そもそもアニメに興味を持つようになったのは、いつ頃なのでしょうか? 榎戸 高校生の頃からアニメは好きだったんですが、大学に進学するにあたって何をやりたいのかを真剣に考え始めた頃にちょうど「アニメというのは人が描いていて、作画という概念があるんだ」というの
――まずは『大室家』の原作に触れたときの印象を教えてください。 横谷 僕は失礼ながら、なもり先生の作品に触れたことがなくて、脚本のお話をいただいたときに初めて『大室家』と『ゆるゆり』の原作を読ませていただきました。そのときの印象は、ギャグマンガなんだけど、キャラクターがギャグを成立させるためだけにいるのではなく、ひとりひとりの個性がしっかり立っている作品だなと。とくに『大室家』はホームドラマのような感覚もあり、面白く読ませていただきました。 龍輪 僕は友達が『ゆるゆり』の大ファンだったので、『大室家』のこともよく知っていました。だから監督の話をいただいたときは、『ゆるゆり』のアニメに参加していなかった自分が『大室家』のアニメを手がけることに、ファンの皆さんは納得してくださるだろうか……とプレッシャーを感じてしまったんです。ただ、『ゆるゆり』はドタバタギャグが楽しい作品ですけど、『大室家』は
――バディもののポップさもありつつ、全体的にはハードボイルドな雰囲気も漂っている本作ですが、このややドライな肌触りは、今の時代性を考えてのことでしょうか? 出渕 そこはあまり深く考えなかったですね。肌触りは直感でやっているところがあって、SFでアンドロイドが主人公と決まった時点で、自然と「格差」や「分断」というテーマが生まれ、フィルムの雰囲気も決まっていったというのが正直なところです。 ――フィクションではありますが、今の世界情勢にかなり通じるところがありますね。 出渕 「格差」や「分断」は普遍的なテーマですから、これも特別意識したわけではないんですよ。世の中を見渡せば、そういう問題はつねにどこかで起こっていますから。とはいえ、ハマスとイスラエルの戦闘が始まった際は「まさかこんなことが起きるとは……」と驚きました。第3話の舞台となっているネアン自治区は、まさにガザ地区を含むパレスチナ自治区
人造人間の少女・ルジュが、バディのナオミとともに「インモータルナイン(政府に敵対する9人の人造人間)」の殺害任務にあたるテック・ノワールSF『メタリックルージュ』。『ラーゼフォン』以来、19年ぶりにボンズとタッグを組み、総監修&シリーズ構成としてオリジナル作品を世に放つ出渕裕へのロングインタビュー。中編では、特撮作品を思わせるメカデザインや、バトル演出に焦点をあてる。 ――人造人間(ネアン)同士のバトルについてですが、戦闘形態に変身したり、それぞれに特殊能力があるなど、特撮ヒーローっぽさも感じます。 出渕 それは意識してやっています。僕は特撮関係の仕事もしているので、それをアニメに逆輸入している感覚ですね。もともと僕が特撮作品のキャラクターデザインに誘われたのは「特撮にアニメ的なセンスが欲しいから」という理由だったんです。僕自身、もともと特撮好きではありましたが、そこで実際やってみて得た知
――本作は出渕さんにとって『ラーゼフォン』以来、19年ぶりとなるボンズとのオリジナル作品です。企画はどのように進んでいったのでしょうか? 出渕 ざっくり言うと、僕が『宇宙戦艦ヤマト2199』の作業から抜けたあたりから、なんとなく話が進んでいきました。プロデューサーの南(雅彦)君とはプライベートでもたまに飲みに行く仲なんですけど、彼も社長ですし現場を若手に任せる立場になっているから、しばらく南くん本人とはガッツリと組むことがなかったんですよ。だから「久しぶりに何かやろうよ」という話になって。僕らの世代で何かやるとなったら、これは何というかもうSF一択なので(笑)、自然とジャンルは決まった感じです。 ――「SFをやろう!」が出発点なんですね。 出渕 なんとなくですけど、そうですね。ただ、単純に「1クール作品を作って終わり」ではなくて、将来的にボンズの自社IP(知的財産)として共有できる世界観に
――今回の撮影は「悪のヒロイン」がテーマでした。 ペイトン 今までの撮影では、正義のイメージが強いヒロインをテーマに撮影していただきましたが、今回のテーマを聞いて「そうだよな、ダークなヒロインもありだよな」と思いました。 ――ペイトンさんの中で「悪のヒロイン」と聞いて思い浮かぶイメージは? ペイトン 私がよく見る『プリキュア』シリーズだと、だいたい背が高くてスタイルがいい女性が悪のヒロインだったりします。ただ、他の作品も含めていろいろ思い出してみると、子供の姿をしている悪のヒロインもいたりするんですよね。中学生、高校生くらいの主人公とあまり年齢差がないような子が悪のヒロインや幹部をやっていたり。幹部の部下、みたいな立ち位置のヒロインもいますし、いろいろなパターンがありますよね。そういう意味では、正義も悪も変わらないのかもしれないですよね。 ――「身長が高くてキリッとしている」みたいなイメー
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