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画力アップ
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このところ音楽関係者も次々と新型コロナウイルスの犠牲となっているが、リー・コニッツも亡くなってしまった。去年くらいまで普通にライヴで演奏していたので突然の死という感じもするが、改めて考えてみるととうに90歳を越えていた(享年92)わけで、怪物である。 チャーリー・パーカーを別とすれば、コニッツは私が最も好きなアルト・サックス奏者なのだが、コニッツの良さはなかなか伝わりにくいというか、とっつきにくいところがあるとは思う。その理由の一つは、たぶん彼のスタイルがジャズ・アルト・サックスの主流と明確に異なるからだろう。ほぼ全てのアルト吹きが多かれ少なかれチャーリー・パーカーの影響下にあったと言って良いビバップ以降のジャズの歴史において、コニッツはパーカーとは全く違う、しかし同じくらい魅力的な音色とフレーズ、タイム感、そして美学を備えた数少ないスタイリストだった。個性的である、というのは、少なくとも
子供を往復ビンタしたとかで最近妙に話題の日野皓正だが、まあたしかに暴力はいけませんが、彼が戦後日本随一のジャズ・トランペッターであることは間違いない。もう74歳なんですね。 大ざっぱに言えば日野は1960年代主に日本で活躍し、70年代に入って渡米したわけだが、70年代と言えばアメリカはジャズはファンクやらディスコやらに食われて大不況の時代で、巡り合わせが悪かったという気はする。それでもこのころ、流れに棹ささず頑張っていた実力派のリーダーの作品に日野は多く参加していて、なかなか良い演奏を残している。率直に言えば、数多いリーダー作よりもこうしたサイドマンとしての参加作のほうが、自由闊達に吹いていて魅力的なような気もする。 それにしても、その世界の本当の一流と、彼らの全盛期に、何かのバーターや相手の温情ではなく普通に「仕事」として共演していた人というと、ジャズでは日野と秋吉敏子くらいしか思いつか
ブログの静的生成システムをOctopressからHugoへ移行した。 2012年からだからOctopressは4年使っていることになるのだが、最近では記事生成の遅さにいらつくことが多く(かといってisolate/integrateを使うのも面倒くさいし)、加えてパッケージではなくレポジトリでしか公開されていないのでアップデートがしにくい上、最近ではどうもプロジェクトの動き自体が鈍いようだったので(いつまでたっても3.0は公式リリースされないし)、思い切ってHugoへ移行してみた。ふだんはPythonを使っているので最初はPelicanを考えたのだが、まあ流行り物ということで。PelicanもHugoもDebianのパッケージになっているので導入は楽である。ドキュメントもテーマもそこそこ揃っている。まあテーマに関しては、現状質量共にOctopressや他のポピュラーなブログ・システムには及び
将棋におけるコンピュータ不正行為(チート)の問題は、相変わらず迷走しているようである。将棋よりこの面ではだいぶ先行したチェスでは、チートの検出や棋譜分析に関して、どのような議論がされているのだろうか。 チェスにおけるチート分析の第一人者は、ニューヨーク州立大学バッファロー校のケン・リーガン准教授のようだ。リーガンは数学と計算機科学の専門家で、チェスの強豪(インターナショナル・マスター)でもある。持ち前の知識を活かしてチートが疑われた対局のコンピュータ解析を行い、成果はニューヨーク・タイムズの記事にも取り上げられた。 リーガンは「コンピュータ・エージェントへの忠実性の測定」(Measuring Fidelity to a Computer Agent)というウェブページを運営しており、なかなか勉強になる。といっても正直に言うと私は、Intrinsic Chess Rating(内生的チェスレ
将棋における不正疑惑がこのところ話題だが、お隣のチェスではどうなんだろうと思った。私は一応チェスも指すのである(将棋と同じくらい弱いが)。調べてみると、WikipediaにすでにCheating in chessというそのものずばりの項目があった。 一口にチート(不正行為)といってもやり方はいろいろあるわけだが、おもしろいのでコンピュータがらみのものだけ訳してみた。 なお、将棋しか知らない人にはやや奇異に思われるかもしれないが、チェスには別に将棋の順位戦のようなものはなく、世界各地で毎週のように大小様々なトーナメントが行われている。その勝敗でレーティングが上下し、ある基準をクリアするとFIDE(国際チェス連盟)からグランドマスター(GM)やインターナショナルマスター(IM)といった称号が与えられる。そうしたトーナメントの賞金稼ぎで生計を立てているプロ・プレイヤーもいれば、そういった連中のコ
Some Other Time: The Lost Session From The Black Forest / Bill Evans
プリンスが亡くなった。57歳。 最近、と言ってももう一昨年だが、私が好きな海外ドラマのNew Girlに(プリンス役で)ゲスト出演していて元気そうだったので、驚いてはいる。ただまあ、なんというか、例えば80歳のプリンスというのは想像しにくいわけで(それを言ったら80歳のマドンナも想像しにくいので、あまり説得力はないけれど)、仕方ないのかなという気がしなくもない。死因はまだよく分からないが、死の6日前にもドラッグ治療を受けていたということなので、薬物過剰摂取の可能性は否定できないだろう。 基本的にプリンスは好きでしょっちゅう聞いているのだが、アルバム単位だと苦手な曲がいくつか入っていることが多く、これと薦められるものがない。単体では出来の良い曲でもアルバムの流れに合わなければ没にするというくらい、パブリック・イメージも含めたトータル・プロデュースに熱心だった殿下なので、ちょっと申し訳ないとい
デヴィッド・ボウイが亡くなって、世間、特に海外はしばらく大変な騒ぎになっていたが、個人的には、さすがに主だった作品は聞いたことがあるものの、そんなに興味は無かったし、詳しいというほどではない。ただ、結果的に遺作となった「★」は、好きなサックス奏者のダニー・マッキャズリンやドラマーのマーク・ジュリアナ、ギタリストのベン・モンダーらが全面的に参加していて、音自体が好みなのでこのところよく聞いている。遺作が傑作というのは、特に音楽の世界では希なことと言わねばなるまい。 しかし、ボウイはなぜ最期に「ジャズ」をやってみようとしたんだろう?ボウイは元々「前とは違ったことをやる」のがポリシーの人だから、そんなに不思議ではないと言えばそうなのだが、どうも引っかかる。 さんざん書いてきたことだが、少なくとも私の中では、「ジャズ」と、ジャズっぽい、ジャズじみた、ジャズのような音楽は違うのである。オーケストラを
カマシ・ワシントンのThe Epicは、私も自分の2015年ジャズベスト10の一枚に選んだし、各所の評価も高いようだ。四谷いーぐるの忘年会でも、後藤雅洋氏が2015年のベストに挙げていた。 実際なかなか迫力もあるし、楽しく聞いているのだが、正直に言うとどこか釈然としない気分が無いわけではない。 先日のブログでもちょっと書いたが、ようするに昔ロフト・ジャズとかスピリチュアル・ジャズとかと呼ばれていたような、70年代に流行ったスタイルを踏襲しただけなんじゃないか、という批判があり得ると思うのだ。具体例を挙げれば、ファラオ・サンダースが70年代から80年代にかけてTheresaレーベルに吹き込んだ諸作、RejoiceとかJourney To The Oneとか、あのへんである。実際影響を受けているのだろうと思う。 最近イーサン・アイヴァーソンがブログでThe Epicに言及していて、我が意を得た
ここ数年で一番派手にイノベーションが起こった分野は、ボールペンの世界だったような気がする。油性ボールペンには滑りが悪くて書きにくいというイメージがあったものだが、それが今では大きく様変わりした。その先駆となったのが三菱鉛筆のジェットストリームだが、あれを初めて使ったときはまあびっくりしましたね。「ジェットストリーム革命」みたいなものが確かにあったのだ。それが10年くらい前。 油性なのにサラサラ書けるジェットストリームのキモは、インクの粘性を下げてペン先と紙の摩擦を減らすことにあったわけだが、その後は三菱以外の各社も低粘度インクの開発に乗り出し、パイロットはアクロボール、ぺんてるはビクーニャを繰り出してきた。低粘度インクを使った多色ペンもがんがん発表され、折からの手帳やらメモやらライフハックやらの流行と相まって、ちょっとしたブームにもなったわけです。 そんな中、筆記具の老舗の割に今ひとつ動き
書けというリクエストがあったので、〆切をとうに過ぎている原稿が他に三つもあるというのにここにしたためるのである。というか、よくよく考えてみたらヤバイのは三つどころではないのであって、いよいよ鬱が深まった。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい ジャズにおける緊張感についてしばらく考えている。「緊張感」というのが適切な表現かどうか分からないのだが、とりあえず私はそう呼んでいる。「凄み」も有力な候補である。音楽学や音響生理学の世界ではもっと適切な表現があるのかもしれない。英語に訳せと言われれば、おそらく私ならintensityとするのではないかと思う。tensionというと別の意味に取られそうだし…。 私は緊張感のある音楽が好きだ。ジャズ以外にも緊張感に満ちた音楽はいくらでもあるのだが(グレン・グールド、ボブ・ディラン、アストル・ピアソラらがすぐに思い浮かぶ)、これまでを
子供のころは将棋が好きで、さすがに町道場等には通わなかったものの、学校で友達と結構指していた。羽生七冠フィーバーのころの話。 以来20年以上将棋は見るのも指すのもご無沙汰という感じだったのだが、数年前からプロ将棋をちょくちょく観戦するようになり、最近では将棋ウォーズというサイトで結構指している。まあ何事もちゃんとトレーニングしなければダメで、将棋ならたとえば詰将棋を相当コンスタントにこなさないと強くはなれないのだが、強くなったところでyomoyomoさんのように性格がひん曲がって寂しい人生を送るのがオチなので、暇つぶしと割り切って楽しくやっている。 ご多分に漏れず私も元は振り飛車一本槍で、それも最近のような序盤から細かく研究された繊細な戦術ではなく、とりあえず飛車振って角道止めて、相手が動いてきたらポンと角道開けて後は野となれ山となれ、みたいないい加減なやつだったのだが、昔はこれで良かった
デヴィッド・サンボーンが亡くなった。新型コロナ禍が始まってからも自宅にゲストを招きSanborn Sessionsなどやっていたので健在だと思... 2024/05/19
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