10代のころから、脇目も振らず格闘ゲームの腕を磨いてきた。「これが仕事になれば」──それは夢というより空想だった。だが、いつしか世界が変わる。スポンサーのオファー、そして大会賞金の高騰。積年の願いをかなえたはずの男が明かす、知られざる葛藤とは。 Text by Kyozo Hibino Photographs by Teddy Morellec/Red Bull Content Pool Edit by Toshiaki Ishii(river co.,itd.) 梅原大吾氏は、「世界で最も長く賞金を稼いでいる」としてギネス世界記録に認定されたプロゲーマーだ。初めて米国企業とスポンサー契約を結んだのが2010年。その後も複数のスポンサーを得ながら、10年以上にわたりプロとして格闘ゲーム界を牽引し続けてきた。 経歴に、ひときわ目を引く時期がある。 中学時代、1年のうち大みそかと元日を除く36