ポツポツと雨が降り始めた時や、シトシトと降り続く時、独特の「におい」を感じる人も少なくないはず。子ども時代を思い出すような、どこか懐かしいにおいだ。なぜ、ただの水であるはずの雨ににおいがあるのだろうか。あのにおいはどこから来るのか。 アニメ映画「天気の子」の気象監修を務めた気象庁気象研究所主任研究官の荒木健太郎さんによると、このにおいは、主に2種類に大別できるという。一つは「ペトリコール」、もう一つは「ゲオスミン」と呼ばれている。 「ペトリコールは『土っぽい』と表現されることが多いのではないでしょうか。しばらく雨が降らない中、久しぶりに雨が降った時に感じるにおいです」と荒木さんは説明する。ギリシャ語で「石のエッセンス」という意味のペトリコール。乾燥した土や石の表面にくっついた植物の油が、降雨によって空気中に放出されて発生するという。 ペトリコールが「降り始め」のにおいだとすると、ゲオスミン