科学的事実には、科学的根拠としての証拠=エビデンスが求められる。エビデンスがない仮説は、科学的事実の権利が認められない。仮説が科学的事実として見なされるためにはエビデンスが必要であるという思想のことをエビデンス主義という。そして、現在、この思想が絶対化されている。 通常、エビデンスは、三種類が存在する。論理的根拠、規範的根拠、実証的根拠である。 論理的根拠とは、三段論法でいうところの大前提と小前提にあたる。「ソクラテスは死ぬ」という命題が真である論拠は、大前提である「人間は死ぬ」と小前提である「ソクラテスは人間である」という命題が真であることである。この場合、実証されなくても、論理的必然性をもって結論が真であると導きだせるわけである。 また、「AはBより大きい」という命題は、「AはCより大きい」と「CはBより大きい」という命題が真であれば、論理的根拠となる。ある命題の正しさは、実験をせずと