人は、追い込まれると、得体のしれない力を発揮できることがある。あえて後戻りできない場所で戦う「背水の陣」という言葉があるぐらいで、一生懸命何かに取り組むときに、集中力を高めるために、自分自身を追い込んでいく作戦を取る人もいるだろう。 ただ、自分を追い込んだからといって、必ずしも結果に結びつくとは限らないのが人生だ。今回は20代のころ、勤務していた仕事を辞めて、創作経験ゼロからライトノベル作家になるため、1年間無職で頑張った経験のある男性にその時の話を聞いてきた。(取材・文:広中務) 「勝算はあった」と語る男性 本人いわく「ごく普通の社会人」として暮らしてきた男性が、突然「ライトノベル作家ならなれるんじゃないか」と思ったのは、まだ20代後半だった2009年のことであった。 「新卒である中小企業に勤務していたのですが、リーマンショックで不況続き。退職勧奨なんかも行われていたんです。このまま働い