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衆院選
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地球外生命体によって征服され、彼らに人類が支配された世界を描く、いわゆる“ディストピア”テーマの作品です。 2018年、突如現れた地球外生命体=エイリアンの侵略を受け、世界各地は大混乱。シカゴでは警察官のジョン・ドラモンドの一家4人が車で脱出を図りますが、両親はエイリアンに虐殺され、息子のラファエルとガブリエルは九死に一生を得て生き延びました。しかし人類は全面降伏を余儀なくされます。 それから9年が経過した2027年。アメリカ政府はエイリアンの傀儡政権と化し、シカゴに戒厳令を敷き、その地下にエイリアン居住区を建設。彼らの天然資源採掘に協力していました。市民は体制を支持する富裕層と反体制の貧民層に二分されており、ドローンによる監視と密告の奨励、特捜班の圧力による超監視社会が形成されていたのです。貧富の差はかつてないほど拡大されており、この状況をなんとかしたいと願う人々はレジスタンス活動に身を
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クエンティン・タランティーノ監督の2作品、冷酷非情なナチス軍人を演じた『イングロリアス・バスターズ』と、人間味あふれるドイツ人賞金稼ぎに扮した西部劇『ジャンゴ 繋がれざる者』で2度のアカデミー助演男優賞に輝いたクリストフ・ヴァルツ。日本のマンガを原作に、ジェームズ・キャメロンが製作・脚本、ロバート・ロドリゲスが監督したSFアクション大作『アリータ:バトル・エンジェル』(2月22日公開)のキャンペーンのために来日しました。彼が演じるのはヒロインのサイボーグ少女アリータをクズ鉄の山から拾い上げ、修理して愛情を注ぐサイバー医師イド。数々の印象的な役を演じてきた名優は、穏やかで自然体を崩さない紳士でした。 今回の『アリータ:バトル・エンジェル』は全編特殊効果だらけの映画ですが、演じる上で通常の劇映画と違った点はありましたか? 「より簡単、というわけにはいかないが、さほど困難は感じなかった。CGキャ
100%すべてPC画面の映像で展開する、ということで話題を集めている作品ですが、この手法を使った映画はこれが初めてではありません。『ブラック・ハッカー』(14)や『アンフレンデッド』(15)という前例がありますから。本作『search/サーチ』が画期的なのは、その形式ではなく、きわめて現代的な問題を扱っている点。PCを通して、真実は見えるのか? カリフォルニアに住むデビッド・キム(『スター・トレック』シリーズでスールーを演じているジョン・チョー)は3年前に愛する妻パムを病気で亡くし、16歳になった娘のマーゴット(ミシェル・ラー)とふたり暮らし。思春期を迎えた娘との仲はややぎこちなくなっています。ある日、彼女は「友人の家で勉強会、徹夜になるかも」というメッセージを残して外出しますが、そのまま帰って来ませんでした。 深夜にマーゴットから着信があったことを朝になって知ったデビッドは必死で娘に連絡
いまや『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のドラックス役で人気のアクション・スター、デイヴ・バウティスタ(WWEのレスラー時代のリングネームはUを取ったバティスタでしたね)が自ら製作総指揮も手がけて主演した『ブッシュウィック‐武装都市‐』。タイトル通り、ニューヨーク州のブルックリンにあるブッシュウィックという街が舞台です。 大学院生のルーシー(『ピッチ・パーフェクト』のブリタニー・スノウ)は恋人を家族に会わせるため、故郷であるこの街に地下鉄で向かっていました。しかし駅に着くとどうも様子がおかしい。地上への出口に近づいたところ、なんと火だるまになった人が階段を転げ落ちてきます。いったい何が? 様子を見に行った恋人も爆風に包まれ、ルーシーは一人逃げまどうことに。 地上に出ると街は戦場と化していました。上空はヘリや戦闘機が旋回し、武装した謎の一団が住人を次々と射殺していきます。建物の上には狙撃
タイトルにある“ゲッベルス”とはナチス・ドイツの国民啓蒙・宣伝大臣だったヨーゼフ・ゲッベルス(1897~1945)のことです。国民社会主義ドイツ労働者党(ナチス)のプロパガンダを管轄し、国民をナチス支持へと扇動した悪名高い人物。 この映画は、そのゲッベルスの秘書を42年から終戦の45年まで務めた女性、ブルンヒルデ・ポムゼルの、30時間に及ぶ独白インタビューをもとに構成されたものです。取材時、彼女は103歳。高精度カメラによるモノクロの映像が、さまざまな角度から深い皴の刻まれた彼女の微妙な表情を写し取っていきます。 まずはごく普通の女性の、ありふれた日常の話から始まります。生い立ち、初めてできた恋人。その彼に連れられてナチスの党大会に無理やり参加させられた時のつまらなさ。それでもヒトラーの首相就任は見に行ったこと。タイピストとして優秀だった彼女は、昼間はユダヤ人の経営する店で働きながら、午後
韓国では「精神保健法第24条」というものがあるそうで、これによれば、保護者2人の同意と精神科専門医1人の診断があれば、患者本人の同意がなくとも「保護入院」という名のもとに強制入院を実行できるのです。つまり、正常な人間でも、周囲が精神疾患だと決めつければ合法的に入院・拘束させることが可能。病院側もこうした“患者”を受け入れることで補助金がもらえるとあって、実際に財産等をめぐる親族間の争いでこの法律が悪用されるケースが続発。社会問題にもなっていました。 この映画『消された女』は、そうした現状をヒントに作り上げられたサスペンス・ミステリーです。 事件の調査を始めたナムス(イ・サンユン) TVの報道番組『追跡24』の花形プロデューサー、ナ・ナムス(イ・サンユン)は、番組のやらせ問題の責任をとらされて干されていました。そんな彼のもとに、焼け焦げた一冊の手帳が届けられます。それは、理由もわからぬままに
『マジンガーZ』、72年12月から放映を開始したこのアニメは巨大ロボットアニメの原点であり、「人間がロボットに乗り込んで操縦する」というコンセプトを最初に作り上げた作品。後のロボットアニメばかりではなく『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロのような海外のクリエイターにも多大な影響を与えた作品でもあります。そのマジンガーZが劇場版の新作として帰ってきます。 タイトルは『劇場版マジンガーZ/INFINITY』。ところでマジンガーの物語は、原作者の永井豪の手になるものだけでも、アニメ放映に先駆けて週刊少年ジャンプに連載されたものに加え、後年には『マジンサーガ』や『Zマジンガー』といった関連作品も登場。アニメ版も2009年に『真マジンガー衝撃!Z編』としてリブートされたので、今回の映画がどのような設定になっているのかが気になっていたのですが、なんとこれが、70年代に放映されていたアニメ版『マ
本国ノルウェーでは2016年の興行成績第1位を獲得、国民の7人に1人が観たという社会現象にまでなった、まさに国民映画。実在したノルウェー国王ホーコン7世を描いた物語です。 ストーリーについて語る前に、まずこの国王の一風変わった立ち位置から説明したいと思います。正直、この映画を観るまでノルウェーの歴史についてはまったく知りませんでしたので…。 ホーコン7世はデンマーク国王フレドリク8世の次男で、かつてはカール王子と呼ばれていました。兄は当時のデンマーク国王クリスチャン10世。それまでのノルウェーはスウェーデン=ノルウェー連合王国として同君連合の一部だったのですが、1905年にこれを解消して独立することになります。その際に、スウェーデン=ノルウェー国王オスカル2世に代わる新国王を選ぶ国民投票が行なわれ、選出されたのが前国王を大叔父に持つカール王子だったのです。彼はノルウェー風にホーコンに改名、
昨年大ヒットした『シン・ゴジラ』に続くゴジラ映画の新作は、なんとアニメーション。しかし、単に「アニメでゴジラを描いたもの」ではなく、まったく新しい世界観で描かれた作品になっています。この『GODZILLA 怪獣惑星』はこれまでのゴジラ・シリーズとは関連性がなく、設定は本作独自のもの。 ゴジラは過去作品と比べても最大の大きさ 1999年から、世界中の各地で謎の巨大生物「怪獣」たちが出現するようになります(その選択がけっこう通好み。回想シーンなので基本は静止画なのですが、暴れまわる姿を見たかった…)。2030年には、それまでの個体を凌駕する怪獣ゴジラが出現。ゴジラには人類はまったく歯が立たず、その生存圏は次第に失われていきました。35年と36年に2種の人間型異星人「エクシフ」と「ビルサルド」が相次いで地球に飛来。ともに故郷を失った流浪の民である彼らと、個体数を減らしつつあった人類は「地球連合」
不気味なピエロ=ペニーワイズが子供を襲う! 大ベストセラー作家スティーヴン・キングの小説は『キャリー』『シャイニング』『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』など数多く映画化されてきました。そんな彼の作品の中でも“最高傑作”“集大成”と言われてきたのが1986年に出版された『IT』。しかしこの小説はその長さ(邦訳版ではハードカバー上下巻、文庫だと全4巻)、時制がふたつの時代を行き来するという複雑な構成から、90年にTVムービーとして前後編で映像化されるにとどまっていました。昨年になって映画化の話が伝わってきた時には、どうやって映画化するのか不思議に思ったものです。 しかし、実際に完成し、この9月に全米公開された『IT/イット “それ”が見えたら終わり。』は初日から驚異的なヒットとなり、キング映画の記録を塗り替えたばかりか、すべてのホラー映画の頂点に立ってしまったのです。 そのヒット
グロリアとシンクロした大怪獣がソウルで大暴れ オスカー女優でもあるアン・ハサウェイが、あっと驚く役柄に挑戦した作品。なんと言っても「酔っぱらいのダメ女が韓国で大怪獣になって暴れて巨大ロボットと戦う」映画なのですから。しかも彼女は製作総指揮にも名を連ね、ノリノリでこの役を演じています。 ニューヨーク。失敗をしでかして会社からリストラされたライターのグロリア(アン・ハサウェイ)は、職探しもせず毎晩飲み歩き朝帰りを繰り返す日々。ついには同棲中の恋人ティム(ダン・スティーヴンス)にも愛想をつかされ、家を追い出されてしまいます。 同棲中の恋人に扮するのはダン・スティーヴンス 家も仕事も彼氏もなくしたグロリアの居場所は、生まれ故郷の田舎の小さな町しかありませんでした。そこで小学生時代の同級生オスカー(ジェイソン・サダイキス)と偶然再会した彼女は、彼が経営するバーで働き始めることに。しかし酒量が減ること
なぜ“奇跡の映画”という表現を使ったかについて。この映画『十年』の製作費はわずか50万香港ドル(約750万円)、人気スターも有名監督もいないオムニバス映画で、公開劇場も一館のみ、しかも初日の15年12月17日は大作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』と同日公開という、苦難の船出でした。しかし、口コミで観客を増やした結果“並んでも観られない”という連日満席の状況になり、上映館数も増え、製作費の十倍を超える600万香港ドル(約9200万円)の興行収入をあげたのです。さらに、16年4月の香港電影金像奨(香港アカデミー賞)で、最優秀作品賞を受賞という快挙も成し遂げました。では、なぜこの映画がそれほどの支持を受けたのか? 『エキストラ』労働節(メーデー)の集会が行なわれる直前。二人のチンピラ(一人はインド系)が控室で相談をしています。彼らは兄貴分から“集会を盛り上げるため”ということで、途中で銃を手
イランの映画監督ジャファル・パナヒは不屈の人です。アッバス・キアロスタミ監督の愛弟子であり、カンヌ(95年カメラドール)、ベネチア(2000年金獅子賞)、ベルリン(06年審査員特別賞)と世界三大映画祭で実績を残したものの、政府への反体制的な活動を理由に2010年から“20年間の映画監督禁止令”を受けてしまいました。映画製作・脚本執筆・海外旅行・インタビューを禁じられていながら、それでもなお彼は映画への情熱を失わなかったのです。2011年には『これは映画ではない』というアイロニカルな題名で、自宅で撮影した映像(この頃は自宅軟禁状態だったのです)をUSBに収め、お菓子の箱に隠して国外に運んでもらうという方法でカンヌ映画祭に出品。見事キャロッス・ドールに輝きました。本作『人生タクシー』でもまた、斬新かつユーモアに満ちた手法で、テヘランの“現在”を切り取っていきます。 活気に満ちたテヘランの街を走
インド映画で歴代興収ナンバー1を記録した作品。インド映画の底力を実感させてくれる映画です。掛け値なしに「一本で二本分楽しめる」作品なのです。 古代のインド。高貴な老女が赤ん坊を抱え、大勢の兵士に追われ滝つぼに追いつめられてしまいます。彼女は命を落としますが、最期に「バーフバリ!」と叫び、赤ん坊と共に川を流されていきます。赤ん坊は下流の村人に救われ、シヴドゥと名付けられて育てられることになりました。 たくましい青年に成長したシヴドゥ(プラバース)はなぜか滝の上流に興味を抱き、何度も登攀を試みては失敗を繰り返します。その過程で美しい女神の幻影に導かれるように滝の上にたどり着いた彼は、そこで女神と瓜二つの女戦士アヴァンティカ(タマンナー)と出会い、恋に落ちました。彼女の一族は、暴君バラーラデーヴァ(ラーナー・ダッグバーティ)が統治する王国と戦いを続けていて、それを助けるため自らも戦士となって王国
いかにもイタリア映画らしい、セックスをからめたコメディです。まるで一幕ものの舞台劇を見ているようで、先が読めないストーリー展開に引き込まれていきました。イタリアのアカデミー賞と言われるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で作品・脚本賞に輝いたのも納得の出来。 ある夜、美容整形外科医のロッコと心理カウンセラーのエヴァ夫妻の高級アパルトマンに、友人たちが集まってホームパーティが開かれます。タクシー運転手のコジモと獣医のビアンカは新婚カップル。レレとカルロッタは結婚17年目で子供も二人いますが夫婦仲には問題ありそう。男たちはみな幼馴染みの親友で、ここにはもう一組、臨時教員のペッペが婚約者を連れて来るはずでしたが、相手が急病ということで、ペッペ一人だけが参加。かくして男女7人による食事会が始まりました。他愛もない会話の中で、携帯電話が原因で浮気が発覚し破局した知人の話が出たことから、エヴァがあるゲームを
34歳の若さで夭折した作家・伊藤計劃のデビュー作で数多くの賞に輝いた同名小説をアニメ映画化した作品。本来は一昨年に『屍者の帝国』(未完の作品を円城塔が完成させたもの)、『ハーモニー』(遺作)と3作連続公開される予定でしたが、スタジオが製作中に倒産するという予想外の事態が発生して製作中止・公開延期となっていたものです。一時は未完のままに終わる危機もあったのですが、その後、本作のために新スタジオ「ジェノスタジオ」が設立され、ようやく完成しました。 9.11以降、世界はテロの脅威にさらされることになり、ついにサラエボが原理主義者の自爆テロで核爆弾によって消滅するという事態が発生します。これをきっかけに先進諸国(特にアメリカ)は徹底したセキュリティ管理体制に移行、人々は自由と引き換えにテロの恐怖からの安心を享受していました。しかしその一方で、後進諸国では紛争が絶えることはなく、内戦や大規模虐殺が増
一人のロシア人監督・ヴィタリー・マンスキーが、北朝鮮の“普通の家族の暮らし”を捉えたドキュメンタリー映画を企画しました。撮影の交渉には2年の歳月が費やされ、ようやく許可が下りた後、マンスキー監督は1年間にわたって、平壌に住む8歳の少女・ジンミに密着します。彼女やその家族と共に生活し、友人や隣人も含んだ平壌住民たちの日常生活をカメラに収めようとしたのです。 ところが、すぐにスタッフは奇妙な事実に気が付きます。撮影には“北朝鮮側の監督”が付き添い、彼のOKが出るまで家族は演技を繰り返させられ、時には演技指導も入るのです。これはドキュメンタリーのはずなのに…。不審に思ったマンスキーたちは、北朝鮮側の言いなりに撮影しているように装いながら、カメラを止めることなく、撮影の周辺をすべて隠し撮りすることにしました。映画製作の目的を、“家族の日常を描くこと”から、“北朝鮮の真実を暴くこと”に切り替えたので
1962年8月13日、アルフレッド・ヒッチコック監督は63歳の誕生日にあたるこの日から、1週間にわたるロング・インタビューを受けることになります。インタビューアーはフランソワ・トリュフォー。当時の彼は『大人は判ってくれない』『突然炎のごとく』などを発表したばかりのヌーベルバーグの新進監督でした。この二人の対談は『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』として66年に出版され(日本版が出たのはかなり遅れて81年)、世界中の若い映画ファンや映像作家のバイブル的な存在になりました。本作『ヒッチコック/トリュフォー』はこの本の成立過程を追うとともに、二人の偉大な映画監督の絆をも描き出したドキュメンタリーです。 現在でこそ“サスペンスの神様”として映画ファンからあがめられる存在になっているヒッチコックですが、じつはこの当時は“ただの大衆作家”としてしか見られてはいませんでした。その評価を一変させたのが、
本作でアニメ声優初主演を果たす女優のん(旧芸名:能年玲奈)に話題が集まりがちですが、それを抜きにしても必見の映画です。原作は、こうの史代の同名コミックス。連載中から注目を浴び、メディア芸術祭マンガ部門優秀賞をはじめ、あちこちのランキングで1位を獲得した作品です。 子供のころからぼーっとした性格ながら絵を描くことが大好きなすずさんに縁談が持ち込まれたのは昭和19年2月、彼女が18歳の時。良いも悪いも決められないまま話は進み、すずさんは広島から軍港の町・呉にお嫁にいきます。見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作(声:細谷佳正)の妻となったすずさんの日々が始まりました。折しも戦争の真っ最中。物資が次第に欠乏し、配給もままならなくなる中、すずさんは工夫をこらして食事を揃え、衣服を仕立て直し、日々の生活を前向きに過ごそうとします。しかし戦況はますます悪化。昭和20年になると、呉の軍港を目標に空襲が
国連の平和維持軍(PKF)として紛争地アフガニスタンに駐留しているデンマーク治安部隊の兵士たち。市民を守るべく派兵された彼らが、戦場で許されない罪を犯してしまう…。アカデミー外国語映画賞にノミネートされた、緊迫のヒューマン・ドラマです。 長年紛争の続くアフガニスタンへ、平和維持軍として派兵を続けているデンマーク。現地で兵士たちはタリバンから市民を守るため地雷の除去作業を行なっていましたが、兵士の一人が足を吹き飛ばされて死亡する事件が起き、不満が爆発しそうになります。駐留軍隊長のクラウス(ピルー・アスベック)は、自ら先頭に立つことで部下の士気を高めようと、翌日からのパトロールに同行することを決めます。その日、タリバンからの助けを求めて村人の一家が来ますが、「明日行くから」と帰してしまうクラウス。 だが翌日、その村を訪れたクラウス率いる一隊が見たものは、昨日の一家の惨殺死体でした。「自分が見殺
今はネットの小説投稿サイトや各種新人賞の公募などがありますが、昔はどんな文豪も、編集者に見出されなければ世に出ることがかなわなかった時代がありました。しかし、その小説家が名声を得たとしても、陰の存在である編集者の名前が知られたりすることはありません。この映画の主人公マックス・パーキンズも、アーネスト・ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドを発掘した名編集者であるにもかかわらず、現在その名を知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。この映画は、そんな実在のカリスマ編集者と若き天才作家の友情と葛藤を描いた作品なのです。 1929年、ニューヨーク。スクリブナーズ出版社に勤める編集者マックス・パーキンズ(コリン・ファース)のもとに、あちこちの出版社で断わられ、たらい回しにされた原稿が持ち込まれます。それはとんでもない分量の“超大作”でした。帰りの電車の中でその原稿を読み始めたマッ
2009年の1月15日、この衝撃的なニュースを聞いた時には、すぐに「これはきっとハリウッドが映画化するな」と思ったものです。しかし、まさかクリント・イーストウッド監督によってなされるとは想像の枠外でした。しかもこの映画、単なる“実話の映画化”を越えて、私たち観客の胸を打つ作品に仕上がっていたのです。 これが普通の監督ならば、たとえば乗員や乗客たちのドラマを群像劇風に描き、クライマックスに事故シーンを持ってくる実録再現ドラマ風に映画化するとか、機長のチェスリー・サレンバーグ(この映画の原題『Sully』は彼の通称“サリー”に基づいたもの)の一代記を描く英雄伝的なものになったのではないでしょうか。しかし、イーストウッドはそのどちらの方向にも行きませんでした。 物語はサリー(トム・ハンクス)の悪夢から幕を開けます。ニューヨークの空港を離陸直後に発生した事故によるエンジン緊急停止。近くの空港に向か
ローランド・エメリッヒ監督のSF超大作の欠点を挙げれば、「大雑把なプロット」「行き当たりばったりの展開」「あっけないラスト」ということになるでしょうか。前作『インデペンデンス・デイ』(以下、『ID4』と略)以外にも『デイ・アフター・トゥモロー』『2012』あたりを思い浮かべていただければ、わかりやすいかと思います。それぞれ、「超弩級巨大円盤の襲撃」「氷河期の再来」「マヤ歴の予言による地球の大変動」という単純にして大掛かりな思い付きからスタートしていますが、ご都合主義と結果オーライの連続で、きわめて安易な結末を迎えていくのです。それぞれに細かなツッコミを入れていくと、それだけでこの記事が終わってしまうほどの量になるので改めては書きませんが、例えば『デイ・アフター~』や『2012』のラスト、全地球規模の大災害でこれからのサバイバルが困難な状況のはずなのに、ハッピーエンドっぽく終わっているのには
突然、信じられないニュースが飛び込んで来ました。デヴィッド・ボウイ死去。先日の1月8日に69歳の誕生日を迎え、ニューアルバム「Blackstar」を発表した矢先のことでした。彼のスポークスマンが1月10日にSNSメディアに「デヴィッド・ボウイは今日、家族に看取られながら、18ヶ月のガンとの戦いを終え、安らかに永眠しました。多くの方々が喪失感を味わっていることでしょうが、家族の悲しみが癒えるまで彼らのプライバシーを尊重してあげてください」という趣旨のコメントを発表、その死を明らかにしたのです。またひとり、ロック界の偉大なカリスマが去ってしまいました。 本名デヴィッド・ロバート・ジョーンズ。1947年1月8日生まれ。64年にレコード・デビューしますが、しばらくは泣かず飛ばず。モンキーズのデイヴィー・ジョーンズと混同されることを嫌い、ボウイと改名してから徐々に人気に火が付きます。初のヒット曲は6
「銀河英雄伝説」は田中芳樹が1982年から発表した長編SF小説(全10巻プラス外伝5冊)であり、コミック化、アニメ化、舞台化されて初出から30年以上経った現在も高い人気を誇っている作品です。物語は銀河帝国のラインハルト・フォン・ローエングラムと自由惑星同盟のヤン・ウェンリーという、相対する勢力に属する二人の英雄を軸に、多数の魅力的な人物を配した群像劇。もしもまだ未体験の方がいらっしゃいましたら、ぜひお読み(あるいはご覧)くださいと全力でお勧めしたい傑作です。 さて、この二人の主人公ですが、どちらかが善で一方が悪という図式ではなく、共に読者(あるいは観客)の共感を得られるキャラクターに描かれています。しかしこの両名は決して共闘することはなく(実際に顔を合わせる機会もほとんどないのですが)、対立を続けることになります。同じように理想的な社会を求めているはずなのに…。それは、それぞれが属している
『告白』で世間を震撼させた中島哲也監督が、またやった! 新作の『渇き。』は、暴力的で刺激的、露悪趣味でいかがわしく、しかしポップでスタイリッシュな超問題作なのです。 オープニングタイトルおよびストーリーラインは、いわゆるハードボイルドの文法を踏襲しています。主人公の元刑事が失踪した少女を探すうちに、彼女やその周辺に隠された秘密を知ってしまう…これはハードボイルドの常道ですし、行く先々で探偵役がやたらと殴られたりするのもよくある展開。しかし、この作品では彼の傷付き具合がハンパではない上に、探す対象は彼自身の娘なのです。しかも主人公の元刑事自体が、とんでもない人間のクズみたいな男。いや、この映画に登場するほとんどのキャラクターが、どこか壊れた(あるいは何かが欠けている)人間失格な奴らばかりと言っても過言ではないでしょう。 暴かれる内容も衝撃的。ネタバレ防止のため詳しくは書けませんが、年頃のお嬢
原作者の車田正美が製作総指揮を手がけているにもかかわらず、キャラデザインを一新。車田キャラとも、アニメ版で人気を集めた荒木伸吾&姫野美智のキャラとも違う聖闘士たちが登場。しかもアニメ版では30回以上ものエピソード数を費やした「聖域十二宮編」を93分に収めている、と聞き、期待と不安を胸に、いざ試写室へ。結果、不安の部分は杞憂でした。原作者自ら「新世紀の星矢伝説」と語ったこの『聖闘士星矢/LEGEND of SANCTUARY』は、世界をターゲットにして作られていたのです。 ポイントは3つ。まずはキャラで「脱マンガ」を図ったことでしょう。日本にいると見過ごされがちなことですが、日本はマンガ文化が特異な発展を遂げた国で、子供の時からマンガに親しんだまま大人に成長した人が多く、老若男女がマンガを読んでいたりします。しかし、海外(特に欧米)では、マンガ(カートゥーン)はあくまでも子供のためのもので、
リヴァー・フェニックスが23年間の短い生涯を終えたのは1993年10月31日。早いもので、もう20年以上の歳月が流れてしまいました。彼と同じ時代を生きた者にとっては、何世代か前の人たちにとってのジェームズ・ディーンと同様の”永遠の青春””反逆児”の象徴になっているリヴァーですが、なにせ20年です。その後に生まれた世代も含め、彼を知らない人たちも多くなっていることでしょう。そこで、”新作”『ダーク・ブラッド』の公開を前に、何回かにわたって彼の歩んで来た道、インタビューした時に見た彼の素顔などについて語っていきたいと思います。 誕生、そして放浪リヴァーの本名はリヴァー・ジュード・ボトム。父のジョンと母のアーリンは共に60年代末に大流行したフラワーチルドレンで、各地のヒッピー・コミューンを渡り歩いている途中に、オレゴン州マドラスの農場でリヴァーを産みました。1970年8月23日誕生。リヴァーとい
先日、パラマウント映画が中国の中国電影公司との合作で3Dのアドベンチャー『マルコ・ポーロ(仮題)』の製作を発表しました。まだ監督も出演者も未定ですが、ハリウッドの俳優と中国俳優を共演させ、中国各地でのロケーション撮影も含めた超大作。今年の10月に撮影開始が予定されています。これはハリウッドが新しい可能性を求めたという部分もありますが、何よりも巨大な中国市場を意識した、と考えるべきでしょう。 実際、近年のハリウッドの娯楽大作は、かなり露骨に中国を意識しています。 まずは『アイアンマン3』。中国公開版のみに追加パートが撮影され、ファン・ビンビン(彼女は『X-MEN:フューチャー&パスト』にも出演)らの中国俳優が出演するシーンが付け加えられました。しかも悪役のマンダリンの設定が変更に。彼は原作コミックでは明らかに中国人という設定(いわゆるフー・マンチュー型の悪役)になっているのですが、これを名優
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