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アメリカ大統領選
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<要旨> 加藤厚生労働大臣は1月31日の答弁で、高プロについて、「そういった是非働き方をつくってほしいと、こういう御要望をいただきました」と答弁していたが、それは合成された虚偽答弁だったことが明らかに。 はじめに 野党と労働団体、過労死を考える家族の会などが強く反対している「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)の創設を含む働き方改革関連法案が、6月14日にも参議院厚生労働委員会で強行採決されるのではないかと案じられている。 その中で、高プロに対する労働者の「ニーズ」として示されてきたヒアリング内容について、参議院厚生労働委員会における福島みずほ議員の質疑を通して、数々の矛盾・改ざん・隠蔽が明らかになってきた。新聞も少しずつ報じ始めているが、まだ詳細には報じていない(下記の中では朝日新聞の記事が時系列のインフォグラフィックスもついて、わかりやすい)。 ●2月に高プロのヒアリング実施 野党追
<概要> 働き方改革関連法案に含まれる高度プロフェッショナル制度は、労働者のニーズがないまま立法化されようとしている。その中でニーズのヒアリングとされた12名のヒアリング結果について、加藤大臣が1月31日の参議院予算委員会で虚偽答弁を行っていたことが判明した。 わずか12名へのヒアリング結果が高プロの「ニーズ」調査? 労働基準法の労働時間規制をはずし、使用者が労働時間規制に縛られずに労働者を働かせることを可能とする高度プロフェッショナル制度(高プロ)について、労働者にそのニーズを聞き取ったとされるヒアリング結果をめぐる疑義が、社民党の福島みずほ議員によって参議院厚生労働委員会で呈されている。 ことの経緯の概略は、筆者が把握している限りにおいて、こうだ(より詳しい経緯があると思うが、把握しきれていない)。 まず、5月9日の衆議院厚生労働委員会において、立憲民主党の岡本あき子議員が、高プロのニ
<要旨> 高度プロフェッショナル制度は「時間ではなく成果で評価する制度」と紹介されてきた。だが高プロは労働基準法の改正。同法は最低限の労働条件を定めるもの。成果主義の評価制度など、そもそも同法には盛り込めない。 働き方改革関連法案に含まれる高度プロフェッショナル制度(高プロ)について、第1回は「労働時間の規制を外す」とは、使用者にとっての縛りがなくなることだ、と解説した。 ●高度プロフェッショナル制度「きほんのき」(1):「労働時間の規制を外す」→でも労働者は時間で縛れる(上西充子)- Y!ニュース(2018年6月7日) 第2回の今回は、高プロについて、「働いた時間ではなく成果で評価する」制度であるかのように紹介されてきたが、それは間違った宣伝文句だということを説明していきたい。 「働いた時間ではなく成果で評価」と、NHKなどで繰り返し報じられてきた 「働いた時間ではなく成果で評価するとし
<要旨> 高度プロフェッショナル制度(高プロ)は「労働時間の規制を外す」ものと説明される。しかし、規制を外すとは、労働者が自由に自律的に働けることは意味しない。使用者を縛る規制がなくなるだけだ。 野党や労働団体、「過労死を考える家族の会」などが強く反対している(私も反対している)「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)を含む働き方改革関連法案が、衆議院本会議で5月31日に可決された。今後の審議は、参議院に移る。 ●働き方法案、衆院を通過:朝日新聞デジタル (2018年6月1日) この高プロは、現在、「高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す」ものだとニュースなどで報じられている。確かにそうなのだが、「労働時間規制から外す」とはどういうことなのか、誤解されている場合も多いのではないかと思う。 「労働時間の規制から外す」とは、使用者を規制の縛りから解放すること 言葉だけを頼りに考えると、「労
<要旨> 高鳥修一衆院厚生労働委員長の解任決議案の前の質疑。「過労死を考える家族の会」との面談に応じるよう、柚木議員が安倍首相に求めるも、加藤厚生労働大臣が答弁に立ち、別の論点を答弁。野党の抗議を委員長は放置。 委員長の解任動議により、強行採決は先送りへ 昨日5月23日の衆議院厚生労働委員会。午後に働き方改革関連法案について総理入りの質疑があり、質疑終了後に強行採決が行われるのでは、と危惧されていた。 質疑が終わったところで立憲民主や国民民主、共産などの野党が高鳥修一・厚生労働委員長の解任決議案を提出。これにより、同日の採決は見送られた。24日の朝日新聞は、下記のように報じた。 首相への質疑が終わっても法案審議のスケジュールについて折り合わず、高鳥委員長が職権で審議を進めようとしたため、野党が反発。委員会運営は「横暴かつ強引極まるもので、決して容認できない」などとして解任決議案を提出した
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改めて問われるべき3月2日の加藤大臣答弁 高度プロフェッショナル制度(高プロ)の「異次元の危険性」に対する野党の質疑にまともに答えないまま、5月23日にも厚生労働委員会で働き方改革関連法案の採決がねらわれている。 今、政府は、野党の指摘に対して、法案の一部修正と省令で対応するかのように答弁している。しかし、これまでの答弁姿勢を見ていると、まともな審議を行う条件は、すでに崩壊していると言わざるを得ない。 高プロの「異次元の危険性」について、3月2日の参議院予算委員会における小池晃議員(日本共産党)と加藤大臣の質疑の重要部分を下記の方が切り取って紹介してくださった。字幕もついているので、ぜひ、まずはこれをご覧いただきたい。 小池晃議員は論理的に詰めた質疑が上手な議員なので、加藤大臣の不誠実答弁を見抜き、「答えていない」と指摘している。しかし、普通に聞けば、小池議員の指摘(月のはじめに4日間休ま
※「ID:101~200」 フォロワーの皆さんへの筆者からの呼びかけ 2018年5月17日、筆者はツイッター上で、フォロワーの皆さんにこう呼びかけた。 きっかけは、2日前の5月15日に行った講演の内容を、アナさんという方がブログ上で自分の言葉で語りなおして紹介してくださっていたのを読んだことだ。 アナさんはそのブログをこう結んでいた。 講演を聞いて思ったのは、結局は「私たちがどういう社会を望むか」ってことだと思うの。「働き方改革」法案は自分には関係ないって思ってる人も、家族や友達が関係したらどう思う?子ども、孫の世代にどうなるか?この法案が通ったら、政府の次の悪だくみが待っている。するとどうなるか?想像してほしい。 私は長時間働く人が増えるのは嫌だし、過労死もなくしたい。いつも仕事がなくなる恐怖におびえているなんていやだ。みんなが1日に8時間くらい働けば暮らせる社会がいい。あなたはどう思う
<追記>(2018年5月10日) この記事で紹介した加藤大臣の「追及かわし」の手法を、筆者はツイッター上で「#ご飯論法」と名付けた。 <追記>(2018年5月16日) 上記の追記が不正確であったため、改めて追記しておきたい。国会から不誠実答弁を追放すべく、「#ご飯論法」とハッシュタグをつけて積極的に拡散したのは筆者であるが、「ご飯論法」という表現じたいは筆者の命名ではなく、ツイッター上からいただいたものである。初出について、確認の上、改めて追って追記したい。 <追記>(2018年5月17日) 「ご飯論法」の初出について、確認したところ、紙屋高雪氏(@kamiyakousetsu)が5月7日にこの記事を紹介いただきながら「ご飯論法」と言及されていたことが初出と確認できた。「ご飯論法」の来歴と拡散の推移については、次の記事で改めて取り上げたい。 ここでは「#ご飯論法」を、次のように定義しておき
<概要> これまで、裁量労働制をめぐる比較データがどう作られたかを見てきた。意図的に作ったものではないとされているが、作成された比較データには、ねつ造を疑われないための隠蔽が加えられていることを、今回は検証する。 <全7回の連載目次(改訂版)> ※第1回 ※第2回 ※第3回 筆者作成筆者作成はじめに 前回までで、裁量労働制をめぐる比較データとは、どう作られたものであったかを見てきた。改めて整理すれば、下記の通りだ。 【1月31日に加藤大臣が参議院予算委員会の答弁で説明した比較データ】 ●私どもの平成25年度労働時間等総合実態調査、これ、厚生労働省が調べたものでありますけれども、平均的な一般労働者の時間が9時間・・・、これは1日の実労働時間ですが、9時間37分に対して、企画業務型裁量労働制は9時間16分と、こういう数字もある 【(これまでに判明している限りにおいての)実際の比較データ】 ●
<概要> 本稿は、連載第2回の続きである。裁量労働制をめぐる比較データの作成方法を引き続き示し、これがうっかり作れるようなものではないことを、論証する。 <全6回の連載目次(改訂版)> ※第1回 ※第2回 ※第4回 筆者作成2-6. 答弁撤回後も続いた野党の追及 さて、前回の「2-2」に述べたように、2月7日の厚生労働省担当者から長妻議員らへのレクにおいては、一般労働者の「平均的な者」の9時間37分というデータは、 という計算式だと説明を受けていた。 ただし、文書でそのように説明されたわけではない。口頭である。その後、野党合同ヒアリングに何度も同席させていただいて分かったことだが、厚生労働省の担当者は野党側が文書での回答を求めても、ほとんどの場合、口頭でしか回答しない(しかもその回答の多くは、実質的に回答拒否である)。都合の悪いことは文書で残したくない、という事情によるものと思われる。上
<概要> 裁量労働制のほうが一般の労働者より労働時間が短いという安倍首相の答弁で用いられた比較データ。連載第2回の今回は、この比較データの作成方法を示し、これがうっかり作れるようなものではないことを論証する。 <全6回の連載目次(改訂版)> ※第1回 ※第3回 ※第4回 筆者作成はじめに 本連載は全5回を予定していたが、連載の第2回用に用意した記事が長すぎてシステム上掲載できないらしいので、連載第2回の記事として用意した分を第2回と第3回の2回に分けて、連載は全6回で掲載することにする(予定)。 前回の連載第1回では、撤回された安倍首相と加藤大臣の答弁(それぞれ1月29日、1月31日)を紹介し、その答弁が、裁量労働制の拡大に伴う長時間労働の助長と過労死の増大への懸念を示す野党の質疑に対し、反証のように用いられていたことを見た。 また、その答弁のもとになった参考資料と、さらにそのもとになっ
<概要> 裁量労働制のほうが一般の労働者より労働時間が短いという安倍首相の答弁で用いられた不適切な比較データ。「ねつ造」ではないとされているが、政府と厚労省の説明には不自然な点が多数。5回連載で改めて検証する。 <全5回の連載目次> ※第2回 ※第3回 ※第4回 筆者作成はじめに 働き方改革関連法案は大型連休直前の4月27日(金)に審議入りし、連休中の5月2日(水)に衆議院厚生労働委員会で7時間の質疑が行われた。いずれも、日本維新の会を除く野党6党が欠席する異常事態の中で、強行されたものである。この次は9日(水)の衆議院厚生労働委員会で審議が行われるかが、当面の焦点である。 労働基準法の労働時間規制のほとんどを適用除外する(労働者を労働法の保護の外に追いやる)高度プロフェッショナル制度の創設を含んだまま、短時間の審議で法案の強行採決がねらわれているという噂もあり、今後の情勢は予断を許さない
<要旨> 高プロの創設を一括法案に組み込んだまま、与党は審議入りを強行しようとしている。法の保護をはずれてしまうと、違法だとして問題を正す手がかりも失われる。法改正は、命と健康にかかわる問題だ。 4月27日に働き方改革関連法案の審議入り? 4月6日に国会に提出された働き方改革関連法案が大型連休前に審議入りとなるか、与野党の攻防が激しくなってきた。 与党は通常国会の会期内(~6月20日)の法案成立を図るため、国会の正常化を求める野党の要求に耳を貸さないままに、4月27日の衆院本会議で審議入りに踏み切る方針を固めたようだ。 ●働き方法案、綱渡り 27日に審議、与党方針:朝日新聞デジタル(2018年4月25日) ●働き方法案、27日審議入り 自公幹事長が方針、野党は反発:共同通信(2018年4月25日) 働き方改革関連法案の中で、もっとも与野党の見解が対立しているのが、高度プロフェッショナル制度
<要旨> ●4月17日の東京新聞「こちら特報部」が、働き方改革関連法案に含まれる大胆な規制緩和策である高度プロフェッショナル制度(高プロ)の審議過程に、大きな問題があったことを指摘した。 ●2014年の労働政策審議会に提示されたアンケート調査結果は、「新たな労働時間制度」(高プロ)へのニーズがあることを示すものとして事務局から提示されたが、「今のままでよい」「変えたほうがよい」の二択という不自然なものだった。 ●「変えたほうがよい」の割合が規制緩和を支持しているものと見ることはできない。二択という尋ね方そのものが、高プロの「導入ありき」の審議に沿ったアンケート調査結果を出せるように、意図的にゆがめられたものだったと考えられる。 ●裁量労働制は労働政策審議会に提示したデータに問題があったことによって法案からの撤回に至ったが、高プロも審議過程に問題があったことが明らかになった。 ●「ニーズに応
<要旨> ●3月30日の定例記者会見で、厚生労働省東京労働局の勝田(かつだ)智明局長は記者団に対し、「なんなら、皆さんのところ(に)行って是正勧告してあげてもいいんだけど」と発言。 ●このような恫喝(どうかつ)の背景には、昨年12月に東京労働局が野村不動産に対して行った特別指導をめぐる不透明な経緯に、野党とメディアの追及が強まっている事情がある。 ●特別指導は裁量労働制の違法適用をめぐって行われたが、根拠規定なく行われ、その背後には過労死の労災認定があったことが、3月の朝日新聞の報道で明らかになっている。 ●野村不動産への特別指導は、裁量労働制の拡大をねらっていた安倍政権にとっての不都合な事実である過労死の労災認定を隠すために、権力を濫用したものであった可能性が高い。記者団への恫喝は、その権力の濫用を、記者に対しても行ったものであり、黙らせて追及を封じることをねらったものと見ることができる
<要旨> ● 政府・与党は働き方改革関連法案について、裁量労働制の拡大は削除したものの、高度プロフェッショナル制度は盛り込む姿勢を示している。長時間労働を助長し過労死を増やすという野党の指摘に、向き合う姿勢はない。 ● 裁量労働制をめぐる全く不適切な「比較データ」について、どのような動機で作られたものであったか、加藤大臣も厚生労働省も、真相究明を行う姿勢をいまだに全く見せていない。課員の認識不足やミスであったかのように説明している。 ● しかし「比較データ」は、認識不足やミスで作成できるものではない。加工のためには調査結果冊子にないデータの入手が必要であった。加藤大臣は作成の経緯を聞いて、「特段、不自然なところもない」と思ったというが、それはありえない。 働き方改革関連法案が、いよいよ閣議決定されて国会に提出されそうな情勢になってきた。 自民党は3月29日に、厚生労働部会などの合同会議を開
<要旨> ●昨年(2017年)12月25日に厚生労働省東京労働局は野村不動産に対し、裁量労働制の違法適用があったとして特別指導を行い、翌26日に記者発表を行った。この特別指導は新聞各紙で大きく報じられ、また国会でも、裁量労働制の違法適用に関する指導実績として答弁で言及された。 ●しかし3月4日の朝日新聞報道により、その特別指導の背後に裁量労働制が違法適用されていた男性社員の過労自殺(2016年9月)と労災認定(2017年12月26日)があったことが、明らかになった。労災認定を隠して特別指導の記者発表を行い、違法適用に対して適切な指導を行った好事例のように国会答弁で言及されていたことが、問題になっている。 ●厚生労働省は野村不動産において過労自殺と労災認定があったことを認めておらず、特別指導の経緯についても詳しい説明を拒んでいる。しかし特別指導が明文化された根拠に基づかず、決裁書も作らずに行
2018年3月17日、エキタスの主催により「新宿アルタ前大街宣~ #高度プロフェッショナル制度もやめろ!!~」( #0317アルタ前 )が開催された。 スピーチ予定者としてホームページで告知されたのは下記の方々(末松議員は実際には伊藤圭一さんのあとにスピ―チ)。 ・エキタス(メンバーがスピーチ予定) ・上西充子教授(法政大学) ・伊藤圭一さん(雇用共同アクション/わたしの仕事8時間プロジェクト)(スピーチ要旨はこちら) ・中村優介さん(日本労働弁護団事務局次長) ・清水直子さん(プレカリアートユニオン執行委員長)(スピーチ原稿はこちら) ・佐戸恵美子さん(東京過労死を考える家族の会) ※佐戸さんはNHK記者の過労死当事者の佐戸未和さんのお母様 ・中原のり子さん(東京過労死を考える家族の会) ※中原さんは過労死認定を求めている小児科医中原利郎医師の奥さん 支援する会 ・吉良よし子議員(日本共
3月16日、日本労働弁護団の主催により、「働き方改革」一括法案の問題点を考える院内集会が開催された。 ●「働き方改革」一括法案の問題点を考える院内集会声明 筆者も登壇し、裁量労働制をめぐる「データ問題」を追及した立場から、高度プロフェッショナル制度(高プロ)の導入も断念すべきことをスピーチした。 当日のスピーチ原稿を下記に掲載しておきたい。 *** 法政大学の上西です。「データ問題」について、安倍首相の国会答弁にヤフーの記事で疑義を呈した者です。その疑問点を引き継いで、国会で野党の皆さんが追及を深めてくれました。 それによって、働き方改革関連法案において言及が避けられてきた裁量労働制の拡大に世の中の注目があつまり、報道によって、裁量労働制が「みなし労働時間」分だけ残業代を払えばよい制度であること、そのため長時間労働を助長する危険があることを、多くの方が知るところとなり、法案から裁量労働制の
<はじめに> 裁量労働制の労働者と一般の労働者の労働時間の比較をめぐるデータの問題が国会で大きく展開を見せている。 筆者は2月21日の衆議院予算委員会の中央公聴会で公述人意見陳述を行い、この問題が政策立案や国会審議をめぐる問題でもあると指摘した。 公述の原稿と国会での配布資料は、立憲民主党のホームページに掲載いただいた。 ●立憲民主党【衆院予算委】「裁量労働制の拡大と高度プロフェッショナル制度の創設は一括法案から外す決断を」上西公述人 筆者はこのYahoo! ニュース 個人の記事で問題を追及してきたので、こちらにも本日の公述人意見陳述の原稿を掲載しておきたい。議事録へのリンクや参照図表などはおいおい追加することとして、まずは原稿を以下に掲載しておく。 なお、公述は20分であるが、その後の質疑の中身も聞いていただければと思う。全体の内容は、衆議院インターネット審議中継から、録画でご確認いただ
<要旨> ●裁量労働制のもとで働く労働者の方が一般の労働者よりも平均で比べれば労働時間が短い「かのような」データに安倍首相と加藤大臣は国会答弁で言及したが、そのデータは、検証に耐えられない問題だらけのものだった。 ●2月9日の衆議院予算委員会で山井和則議員はこの問題を取り上げ、1月29日の安倍首相の答弁の撤回を求めている。 ●「厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均な、平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」という安倍首相の答弁は、4つの点において問題がある。 ●第1に、これは調査結果ではない。一般労働者のデータは、調査結果であるとされる未公表のデータを使い、かつ不適切な計算式による加工も施した上で算出されたデータであり、実態ともかけ離れた過大な数値となっている。 ●第2に、この調査のデータは、定義された「平均的な者」のデータであるが、安
<要旨> ●裁量労働制のもとで働く労働者の方が一般の労働者よりも平均で見れば労働時間が短い「かのような」データに安倍首相と加藤大臣は国会答弁で言及したが、そのデータは検証に耐えられない問題だらけのものだった。 ●加藤大臣は問題を指摘され、「精査をさせていただきたい」と答弁したが、個々のデータを精査するまでもなく問題のある加工をしたことが明らかであり、精査を待つ必要はない。不適切なデータであったとしてただちに撤回すべきものだ。 ●加藤大臣は、安倍首相が調査結果を紹介したまでであるかのように答弁したが、安倍首相と加藤大臣が答弁したのは、調査結果ではなく、その調査結果の加工データであり、また、本来比較すべきでないものを比較したものである。これは調査結果の問題ではなく、事務方に責任をなすり付けるべき問題ではない。 ●安倍首相と加藤大臣がこのデータを持ち出した文脈を考えると、裁量労働制の拡大が長時間
<要旨> ●安倍首相と加藤大臣が答弁に用いた、裁量労働制のもとで働く労働者と一般労働者の労働時間の比較。この答弁の根拠となったデータへの疑義を玉木雄一郎議員、岡本あき子議員に続き、山井和則議員が指摘した。加藤大臣は説明できず、「精査中」と答弁した。 ●山井議員の質疑により、一般労働者の労働時間のデータが、実際より過大な数値であることが明らかになった。 問題の答弁の内容 今国会の最重要法案と位置付けられている「働き方改革」関連一括法案。その中には、裁量労働制の拡大という労働法制の規制緩和が含み込まれているのだが、その裁量労働制をめぐり、あたかも平均でみれば一般の労働者よりも労働時間が短い「かのような」答弁を、安倍晋三首相と加藤勝信厚生労働大臣が予算委員会で行った。 厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均な、平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータも
<要旨> ●安倍首相と加藤大臣が答弁に用いた、裁量労働制のもとで働く労働者と一般労働者の労働時間の比較。これについて、裁量労働制のもとで働く労働者のデータが果たして妥当なものなのかと前回の記事で疑問を提示したが、一般労働者のデータについても、疑問が出てきた。 ●2月5日の衆議院厚生労働委員会で希望の党の玉木雄一郎代表は、加藤大臣が答弁で紹介したこのデータについて質疑で取り上げ、「平均的な者」のデータは平均値とは違うと指摘し、労働時間の平均を比較できるデータを出すよう求めた。 裁量労働制のもとで働く労働者の方が一般の労働者より平均労働時間が短い? 前回の下記の記事において筆者は、1月29日に安倍首相が、また1月31日に加藤厚生労働大臣が、答弁の中で言及したデータ(あたかも裁量労働制のもとで働く労働者の方が一般の労働者よりも平均でみれば労働時間が短い「かのような」調査データ)の妥当性に疑問を呈
<要旨> ●1月29日の衆議院予算委員会で長妻昭議員は、裁量労働制のもとで働き、過労死に追い込まれた事例を複数紹介した。これに対し安倍首相は、「厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」と答弁した。 ●この「平均的な方で比べれば」について、データの出所である平成25年度労働時間等総合実態調査結果を確認したところ、裁量労働制で働く労働者と一般の労働者のそれぞれの労働時間の平均値の比較ではなかった。それぞれについて、「平均的な者」のみを取り出して、その労働時間の平均値を比べたものであった。裁量労働制では長時間労働に歯止めがなくなるという指摘に対して示すデータとしては、不適切である。 ●裁量労働制の方が通常の労働時間制の労働者よりも長時間労働の者の割合が高く、平均で見ても労働時間が長いという傾向は、厚生労働省の要請
通常国会の最大の対決法案となると見込まれている「働き方改革」関連一括法案。労働時間規制の強化と緩和に関わる法改正を「抱き合わせ」で行おうとする与党の姿勢を、NHK日曜討論で野党各党が厳しく批判した。 明日22日(月)から通常国会が始まる。政府は64本の法案を提出する予定で、最大の対決法案は働き方改革だと毎日新聞は報じている。 なぜ「働き方改革」関連法案は、対決法案となるのか。 野党がこの法案に反対する最大の理由は、労働時間規制を強化する法改正(時間外労働の罰則つき上限規制)と、労働時間規制を緩和する法改正(高度プロフェッショナル制度の創設と、裁量労働制の拡大)を同時に含んでいることにある。政府は、それらを一括法案によって「抱き合わせ」で成立させようとしているのだ。 1月21日のNHK日曜討論で、各党代表が論戦 この問題について、1月21日のNHK日曜討論が取り上げ、各党の代表がそれぞれの見
昨年9月から、にわかに話題となった「フラリーマン」 「フラリーマン」という言葉をご存じだろうか。「働き方改革」の動きの中で定時退社や残業削減を促された男性たちが、まっすぐ家に帰らずに居酒屋などで時間を潰す現象を指す言葉として広がっているものだ。「働き方改革による悲哀」「働き方改革が生んだ皮肉」などの言葉と共に広められている。 2017年9月19日のNHK「おはよう日本」で、「なぜ?まっすぐ帰らない 密着“フラリーマン”の夜」として10分弱の特集「けさのクローズアップ」で取り上げられたことをきっかけに、ネットで話題となり、テレビや新聞各紙でも「働き方改革」との関連で「フラリーマン」が取り上げられ続けている。主なものを時系列で並べると、次の通りだ。 ********** (1)2017年9月19日「男たちがまっすぐ帰らない理由」(NHK「おはよう日本」特集「けさのクローズアップ」)(番組内容紹
「わたしの仕事8時間プロジェクト」が厚生労働省担当者に対し、「働き方改革」一括法案の問題点について質疑 「8時間働いたら帰る、暮らせるワークルールをつくろう」というネット署名活動(※1)に取り組んでいる「わたしの仕事8時間プロジェクト」(※2)が、これまでに集まった署名15,044筆と1,500件あまりのコメント一覧を2017年12月6日、厚生労働省に提出した。 署名提出の際に、「わたしの仕事8時間プロジェクト」のメンバー6名が厚生労働省労働条件政策課の担当者に対し、「働き方改革」一括法案(要綱)(※3)について質疑を行っている。その概要の一部が、下記の署名提出報告に掲載された。 ●「わたしの仕事8時間プロジェクト」署名提出のご報告(2017年12月16日) 年明けの通常国会に提出が見込まれている「働き方改革」一括法案(現在は「要綱」のみ公開)には、「残業代ゼロ法案」と言われてきた「高度プ
新たな明示項目を示すリーフレットを厚生労働省が公開 2017年3月に職業安定法が改正され、その後に制定された省令・指針とあわせ、求人トラブル(求人詐欺・偽装求人)に対し、一定の対策が取られることとなった。 ●厚生労働省「平成29年職業安定法の改正について」(法改正の内容、リーフレットなど) もっとも注目されるのは、募集・求人時の労働条件の明示項目に固定残業代や裁量労働制、募集者の名称などの明示が新たに求められるようになったことだ。この明示は年明け2018年1月より必要となる。 厚生労働省が新たな明示事項を星印で示した募集要項記載例を、下記の通りリーフレットで示している。 厚生労働省リーフレット「求職者の皆様へ」より試用期間 試用期間を設ける場合はその旨を明記することが必要となった(省令による)。 なお、試用期間は有期労働契約とは異なるので、使用者はその試用期間終了時に安易に本採用を拒否する
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