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早稲田大学、ペンシルベニア州立大学の研究グループは、党派的な「見たいものだけ見る」傾向はアメリカでは頑健に観察され、日本や香港では弱く、観察されない場合もあることを初めて明らかにした。 研究グループは、アメリカ、日本、香港の3地域で比較可能なモックオンラインニュースサイト(模擬サイト)を使ってニュース閲覧行動を測定し、党派的な選択的接触の程度を比較した。 その結果、党派的な選択的接触の傾向が一貫して強く見られるのはアメリカのみであり、日本や香港では弱いか観測されなかった。また、選択的接触はアメリカ特有の現象である傾向が強いこと、その原因の1つはアメリカが政治的に極性化して、リベラルと保守との感情的対立の激化にあること、認知的不協和(矛盾する考えや信念を同時に持つことで感じる心理的な不快感)のような普遍的な心理的メカニズムでは説明が難しいこと、が示唆された。 研究では政治的分極化が進んだアメ
東京大学大学院情報学環メディア・コンテンツ総合研究機構は、中東カタールの報道機関アルジャジーラ・メディア・ネットワークと基本合意書を締結し、パレスチナ・ガザ地区の戦災を追体験できるVR(仮想現実)教育コンテンツを共同開発する。 渡邉英徳研究室の小松尚平特任研究員は、ウクライナの戦争被害を記録したバーチャル空間を、アバターを介して体験できる「戦争VRシステム」を開発し、各地で展示活動をしている。 今回の共同開発では、東京大学が持つこれらの技術をフル活用し、アルジャジーラが撮影した画像や映像データを基にガザの戦争被害を追体験できるVR・メタバースコンテンツを制作する。完成後は教育コンテンツとして活用する方針。 ガザ地区では、ガザを支配するイスラム組織「ハマス」とイスラエルによる交戦が2023年10月から続いている。イスラエル軍の攻撃により、ガザ地区の多くの町が大きな被害を受け、ガザ保健当局の発
日常に当たり前に存在する「言語」をさまざまな角度から研究する「理論言語学」の世界~同志社大学 大学ジャーナルオンライン編集部 文系・理系のさまざまな科目を、偏りなく横断的に学ぶ文理融合型の学びで、「総合知」の創出をめざしている、同志社大学の“文化情報学部”。 今回は、その中で「ことばの科学」「統辞論」「言語と脳科学」の授業を担当されている理論言語学研究室の星 英仁准教授に、詳しくお話をうかがった。 日常生活の中で、私たちの話す「言語」は存在自体が当たり前すぎて、普段はなかなか気に留めることがないものかもしれません。では、一つ一つの語を組み合わせた記号列が文になり、それを話したり理解したりするとき、私達の頭の中では一体何が起こっているのでしょう?そのメカニズムを明らかにしようとする学びが、星准教授が研究されている「理論言語学」という学問です。 「例えば、『太郎は車を修理した。次郎も修理した』
研究の世界では「研究不正」が起こることがあり、ニュースとして一般にも報道されることもあります。「研究不正」を起こさないために、全国の大学では研究倫理に関する教育が行われています。昨今の高校では、大学で言うところの「研究」に相当する「探究活動」が盛んに行われています。では、高校における「研究倫理教育」はどのように行われているのでしょうか。筆者の実践を交えながら紹介します。 高校「理数科」における「探究」 筆者の勤務校には「理数科」という学科が設置されています。「科学的、数学的な能力を高め、思考力をもつ人材を育成すること、探究的な活動を通して、専門的な知識や表現力等の育成を行い、医師や研究者、技術者など、専門的な知識・技能を生かして社会に貢献できる人材を育成すること」を設置目的とした学科です(第七次秋田県高等学校総合整備計画)。原則として「理数探究」を全生徒に履修させるものとされており、筆者の
麻布大学、北里大学、九州大学、京都大学、弘前大学、東海大学による共同研究チームは、魚油に含まれる脂肪酸の一種であるエイコサペンタエン酸(EPA)がラット骨格筋において遅筋タイプ割合を増加させ、全身脂質代謝・筋機能向上に効果をもたらすことを明らかにした。 本研究チームは、これまでに魚油摂取がラットにおいて遅筋タイプ割合を増加させることを見出しているが、そのメカニズムは明らかとなっていなかった。そのため今回、魚油に含まれる特徴的なオメガ3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)の関与について調べた。 その結果、遅筋タイプ形成や骨格筋の脂質代謝を制御する鍵因子である核内受容体PPARδに対し、EPAが高いアゴニスト活性を有することがわかった。一方、DHAではこの活性は確認されなかった。そこで、ラットにEPAを4週間投与したところ、全身のエネルギー代謝が促進され、筋
市街地の老朽化下水管から生活排水が広範に漏出、広島大学がカフェイン濃度で発見 大学ジャーナルオンライン編集部 広島大学大学院の尾崎則篤准教授らの研究グループは、老朽化した下水管(汚水管)を持つ市街地で、雨水流出管でカフェインを検出することによって下水管からの漏出が雨水管の水質に影響を与えている可能性を見出した。 排水管漏水の診断には、カメラによる直接観察、スポット漏水測定、管の状態監視、トレーサー試験などの方法が開発されているが、漏水率の推定は大きく異なる。これは地下環境の空間的・時間的な変動が影響していると考えられ、これらの影響を広域に確認する研究や調査方法は十分に発展していない。 研究グループは、比較的最近整備された市街地(10年程度)から40年以上経過した市街地まで、異なる5つの市街地の雨水流出管で、カフェイン、香料物質、多環芳香族炭化水素をトレーサーとしたモニタリングを行った。そし
障害者の受験を認める大学がすべての障害種別で減少していることが、全国障害学生支援センターの調査で明らかになった。調査は2023年7~12月に全国の大学810校、大学校10校を対象に実施。調査対象の47%から回答を得て、集計した。 今回の調査で入学試験の受験を認めているのは、視覚障害が43%、聴覚障害が45%、肢体障害が48%、発達障害が49%、精神障害が46%、内部障害が46%、知的障害が36%だった。 2017年の調査に比べ、視覚障害が4ポイント、聴覚障害が10ポイント、肢体障害が9ポイント、発達障害が15ポイント、精神障害が15ポイント、内部障害が8ポイント、知的障害が13ポイント低下し、年々低下傾向が続いている。 増えているのは対応未定とする大学で、7つの障害種別すべてで50%以上を占めた。その中で圧倒的に多い理由が「事前協議後に検討する」というもので、各障害種別の対応未定理由の48
「今よりも未来のストレスが増えることはない」と信じる人は、深刻な先延ばし癖が少ないことを、東京大学大学院総合文化研究科の開一夫教授と、博士課程の柏倉沙耶氏らによる研究グループが発見した。 先延ばし癖のある人たちはなぜ未来を軽視してしまうのか?これを明らかにするため、本研究では、過去・現在・未来の様々な時間軸におけるストレスレベルと主観的幸福度を時系列順に並べた「時系列的ストレス観」・「時系列的幸福観」という新たな指標を導入し、先延ばし癖のある人のストレスと幸福度を介した「時間観」を測定することを試みた。 「時系列的ストレス観」の類型は、下降型(未来にいくにつれてストレスは減る)、上昇型(未来にいくにつれてストレスが増える)、V字型(今が1番ストレスが低く、そこから離れるにつれてストレスが増える)、への字型(過去のある1点でストレスが1番高く、そこから未来にいくにつれてストレスは減る)の4種
2023年の日本国内の出生数(確定値)が72万7,277人となり、2022年と比べると5.6%減となりました。2024年度入試の18歳人口は、106万3,451人ですので30万人以上減少しています。18年後には受験対象者が大幅に減少することが見えている環境の中で、大学はどのような学生募集戦略をとっていくのでしょうか?そして、各地方都市はどのような生き残り戦略をとっていくのでしょうか? 注目される「公立大学の新設」「公立大学の学部新設」「私立大学の公立化」 大学は多くの学生が通うことにもなりますので、当然まちづくりにも大きく関係しています。このような中で、注目度が高くなっているのが、「公立大学の新設」「公立大学の学部新設」「私立大学の公立化」です。 「公立大学の新設」については、地方大学・地域産業創生交付金などの支援もありますが、人口9万人程の新潟県三条市に新設された「三条市立大学」の学生募
生成AIで英作文添削 東進が日本マイクロソフトと連携して新講座「英作文1000本ノック」開講 大学ジャーナルオンライン編集部 東進ハイスクール・東進衛星予備校を運営するナガセは、日本マイクロソフトと連携し、生成AIを活用した自動英作文添削講座「英作文1000本ノック」を開講した。基礎から難関大学の入試レベルまで厳選された和文英訳1,000題の添削指導が瞬時にでき、高校教員や塾、予備校講師の負担を大幅に軽減できる。 東進生が試験利用したほか、石川県の生徒に無償提供して延べ約13万回の演習を繰り返し、精度を上げている。マイクロソフトが提供するオープンAIサービス上で展開されるため、全国の東進で利用できる。 生成AIを活用すれば人の添削では到底及ばない圧倒的な演習量を確保でき、英作文能力を短期間で飛躍的に高めることが可能になる。このため、ナガセは2023年から日本マイクロソフトと連携し、開発を進
理化学研究所、静岡県立大学、東京大学の研究で、大規模な日本人の全ゲノムシーケンスから日本人集団の遺伝的構造などが明らかとなった。 これらの結果は、日本人の祖先に関わる縄文系、関西系、東北系の三つの源流の起源を示唆し、「縄文人の祖先集団、北東アジアの祖先集団、東アジアの祖先集団の三集団の混血により日本人が形成された」という三重構造モデルを支持するものである。 次に、現生人類(ホモ・サピエンス)の最も近縁とされる古代型人類ネアンデルタール人やデニソワ人から受け継がれた遺伝子領域を調べた。ネアンデルタール人由来の領域が日本人集団における2型糖尿病、冠状動脈疾患、安定狭心症、アトピー性皮膚炎、グレーブス病、前立腺がん、関節リウマチなどの病気と関連すること、デニソワ人由来の領域も2型糖尿病と関連することを見出した。 最後に、日本人の遺伝子において進化的選択を受けた可能性のあるゲノム領域を特定したとこ
鉄道新駅開業で医療費が削減、大阪公立大学などがメディカルビッグデータから推計 大学ジャーナルオンライン編集部 大阪公立大学大学院と日本システム技術株式会社は、大阪の鉄道新駅開業による医療費削減効果を分析した結果、1人あたりの累積医療費支出が有意に減少していたことを推計した。 研究グループは今回、2018年3月に開業したJR総持寺駅(大阪府茨木市)の開業による医療費削減効果を分析した。研究では、日本システム技術株式会社が保有する、匿名化された約800万人のレセプトデータをソースとしたビッグデータ(メディカルビッグデータREZULT)を利用した。 その結果、JR総持寺駅の近隣エリアにおいて、新駅開業後の4年間における1人あたり累積医療費支出が、99,257円ほど有意に減少していたことを推計した。この結果は、交通機関へのアクセスが増加することで交通機関利用者の身体的活動が増加し、医療費減少につな
TOP > トピックス > 調査結果 > 日本の研究者の1/3が「過去3年以上研究を発信したことがない」 シュプリンガーネイチャーが最新の調査結果を発表 学術出版社シュプリンガーネイチャーは、日本の研究者を対象に「研究コミュニケーション」に関する調査を行った。その結果、約9割の研究者が自身の研究成果を広く一般社会に発信したいと考えているものの、約3分の1が過去3年以上一度も発信していないことがわかった。 調査によると、94%の研究者が自身の研究をより多くの人に伝えることが重要であると考えており、87%が自身の研究を共有することに強い関心を示している。しかし回答者の21%は、過去3年以内に広いコミュニティーに向けて自身の研究に関するコミュニケーションを行ったことがなく、12%はこれまでに一度も研究の発信を行ったことがないと回答した。 過去3年間に広いコミュニティーに向けて研究のコミュニケーシ
狭い部屋にいながら無限に広がるVR空間を歩き回れる新技術、東北大学が開発 大学ジャーナルオンライン編集部 実際に歩行することでバーチャルリアリティ(VR)空間内を探索する「ルームスケール VR」体験は、まるでその世界に入り込んだような高い没入感をもたらすことから、近年、幅広い分野での応用が期待されている。しかし、大きな物理空間を必要とすることや、触覚のフィードバックが得られないことが大きな障壁となっていた。 「RedirectedDoors+」は、複数のドアを連続的に開けながらVR空間内を歩行する体験での触覚フィードバックを提示するとともに、この体験が限られた物理空間内に収まるようにユーザの進行方向をだまして誘導することを実現したシステムだ。このシステムでは、ドアノブの触覚フィードバックを提示するために、全方位自走式ロボットの上にドアノブ型の装置を搭載した「ドアロボット」を開発した。 さら
北海道大学・大学院、岡山大学、海洋研究開発機構の研究グループは、南海トラフにおけるフィリッピン海プレートの沈み込みに伴う熱分解起源のメタンと水素ガスの生成を解明した。 研究グループは地下深部での多量の水素ガス生成を推測。最新データにより地下深部での堆積有機物の熱分解によるメタンや水素ガスの生成、水素ガスの移動や微生物メタン生成について分析・検討した。 これにより、紀伊半島沖の熊野灘付近では、熱分解起源のメタンと水素ガスの生成は過去約220万年間継続し、これまでに南海トラフ1kmあたり約5,900億m3/km(日本の年間消費量の約5倍)のメタンを生成し、水素ガスの生成量はそれ以上と推定された。フィリッピン海プレートの沈み込み帯(約2000km)では、これまでに莫大なメタンと水素ガスの生成が示唆され、現在も持続。メタン・水素生成帯は同プレートの地震破壊域と重複し、地震発生によりメタンや水素ガス
ジェンダー平等教育に性別役割分業を弱める長期的な効果、明治大学などが分析 大学ジャーナルオンライン編集部 明治大学の原ひろみ教授とニューヨーク市立大学ヌリア・ロドリゲス=プラナス教授は、「技術・家庭」の男女共修化が、成人して30歳代後半になったときの夫婦の家計内での役割分担に影響を与えたことを明らかにした。 一方、中学校で学ぶ「技術・家庭」は、技術分野と家庭科分野から成る科目で、1989年度まで男女別学だった。しかし、新学習指導要領への改訂によって1990年度から男女共修となった(2016年時点で40歳以上が別学、39歳以下が共修)。 研究チームは、「回帰不連続デザイン(RDデザイン)」という政策介入の「因果効果」を識別できる分析フレームワークを適用し、男女共修化が夫婦役割分担へ与えた影響を分析した。 その結果、男女共修化により、成人した男性(夫)の週末の家事関連時間が長くなり、一方、女性
立教大学スポーツウエルネス学部の服部淳彦特任教授らは、老齢になると記憶力が低下する原因の一つが、海馬におけるN1-acetyl-5-methoxykynuramine(AMK)量の低下にある可能性を突き止めた。 まず、AMKの合成経路を調べたところ、松果体から分泌されたメラトニンは血液を介して海馬に到達し、海馬においてAMKに変換されることが分かった。次に、若齢マウスと老齢マウスの海馬におけるAMK量を測定して比較した結果、老齢マウスのAMK量は若齢の1/20以下にまで激減していることが判明した。老齢マウスでは、AMKの合成にかかわる酵素の遺伝子発現が有意に減少していたという。従って、AMKが加齢に伴う記憶力低下の原因の一つである可能性が示唆された。 実際に、AMKをマウスに投与すると、海馬において記憶形成に重要なタンパク質のリン酸化が誘導されることを見出したとしており、AMKが短期記憶か
“男に生まれ変わりたい”と答える女性の割合が、調査では70年前の7割から現在の3割に逆転。性別、居住地域、職業など数字化できないものを含め、社会を知るためのデータを分析するのが『計量社会学』~同志社大学 文化情報学部 連載コラム第3回 「皆さんは、生まれ変わっても今の性別のままでと思いますか。それとも異性に生まれ変わりたいですか?」文化情報学部の鄭教授が投げたこの質問は1953年から続く“日本人の国民性調査”の項目の一つだ。データを見ると、ここ50年頃から回答の状況に変化が生じている。“男に生まれ変わりたい”と答える女性の割合が、当初の7割から年々減少し、最新の調査では3割に逆転した。女性の社会進出の影響だと誰もが答えるだろう。では、実感として日本は女性が本当に活躍できる・生きやすい社会になっているのか。鄭教授は疑問を投げかける。「賃金格差、夫婦別姓問題など、まだまだ改善を指摘される部分が
2023年10月12日、大学図書館コンソーシアム連合と学術論文のオープンアクセス推進でオランダに本拠を置く学術出版社・エルゼビアは転換契約への合意を発表した。大学図書館が払っていた学術雑誌購読料を研究者が払う論文掲載料へ段階的にシフトする内容で、大学図書館連合会会員の京都大学、早稲田大学など57校がエルゼビアと交渉した。 大学図書館コンソーシアム連合運営委員会委員長の小陳佐和子大阪大学図書館事業部長は「各大学が契約を結ぶまでにはさまざまな検討や調整が必要になるが、合意内容の実践でオープンアクセスの推進に取り組みたい」とのコメントを発表した。 エルゼビアは学術分野の出版や情報分析を手掛け、「セル」、「ランセット」など2,800以上の電子ジャーナル、4万6,000以上の電子書籍を刊行する。 参考:【エルゼビア BV】大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)とエルゼビア、質の高い研究への継
高校テニス団体戦、勝敗と生徒の偏差値に有意な関係 北翔大学と中京大学が調査 大学ジャーナルオンライン編集部 北翔大学生涯スポーツ学部の黒田裕太准教授と中京大学教養教育研究院の紙上敬太准教授らの研究グループが、全国都道府県の高校テニス団体戦の勝敗と生徒の学力偏差値を調べたところ、有意な関係があることを見つけた。 その結果、勝った高校の偏差値が負けた高校より高かったことが分かった。この傾向は男女別、大会別に見ても変わらなかった。研究グループはテニスをすれば学力が上がるとか、学力の高い生徒がテニスを早く上達するとかいうことはできないが、文武両道が成り立つことを示唆した結果だとみている。 過去の研究で運動習慣を身につけて体力を高めることが認知機能の健全な発達、学力の向上に重要な役割を果たすと考えられるようになってきた。現在の高校保健体育の教科書では、運動やスポーツが脳を育てるとして体力の高い子ども
東京大学大学院と筑波大学の研究グループは、新型コロナ禍の誤ったイベルメクチン情報の拡散の特徴を調査した結果、日本語ユーザーは英語ユーザーとは独立して、英語の誤情報を見つけて広範囲に共有していることが明らかとなった。 今回の研究では、2020年2月~2022年3月の2年間にわたるTwitterデータを用い、英語と日本語でそれぞれ共有されたイベルメクチンが含まれるツイートに関し、そのトピックや影響力のあるユーザーを比較。多言語分析による情報拡散の特徴を調査した。 その結果、リツイートに着目した計測では、影響力のあるユーザー(インフルエンサー)はその影響力を一貫して維持する傾向を示した。特に、日本語ユーザー間ではインフルエンサーを中心に強固なコミュニティが形成されていた。また、英語の誤情報は日本語ユーザーの間で拡散しがちで、特にインフルエンサーに広く共有されていた。 さらに日本のインフルエンサー
大阪公立大学、ブロッコリースプラウトが超硫黄分子を大量に含有することを発見 大学ジャーナルオンライン編集部 大阪公立大学大学院理学研究科の笠松真吾助教と居原秀教授らの研究グループは、強力な抗酸化活性やエネルギー代謝改善作用があることから近年注目されている超硫黄分子が、ブロッコリースプラウト(ブロッコリーの新芽)に豊富に存在していることを明らかにした。 本研究グループはこれまでに、超硫黄分子がアブラナ科やヒガンバナ科の野菜に豊富に含まれていることを見出してきた。そして今回、アブラナ科のブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトの発芽から成長する過程において、超硫黄分子量の変化を詳細に分析した。 その結果、ブロッコリースプラウトには成熟ブロッコリーの約7倍に及ぶ超硫黄分子が大量に含まれており、ブロッコリーの種から根が生え、発芽・成長するにつれて超硫黄分子量が劇的に増加することを発見した。超
エナメル質を治しながら白い歯に 近畿大学と大阪歯科大学、モリタ製作所が新技術開発 大学ジャーナルオンライン編集部 近畿大学の本津茂樹名誉教授、大阪歯科大学歯学部の橋本典也教授らの研究グループと歯科用機器開発のモリタ製作所は、エナメル質を修復しながら歯を白くする技術を開発した。アレルギー反応がなく、安全な治療ができるうえ、新しい審美修復技術として注目を集めそうだ。 歯が黄ばんで汚れる原因は、茶渋やタバコのヤニ、コーヒーやワイン、カレーの着色性物質付着のほか、加齢によるエナメル質の減少と内部の象牙質増加、象牙質コラーゲンの変色など多岐にわたる。 審美歯科では現在、研磨剤を用いたクリーニングや過酸化水素などによる漂白が主に用いられているが、この方法だと歯を完全に白くするのが難しいため、もっと白くしたいときは歯のエナメル質を削り、白いセラミック樹脂版を張り付けている。しかし、これらの方法はエナメル
兵庫医科大学 医学部および自然科学研究機構 生理学研究所の共同研究グループは、呼吸の頻度やパターンを変えることで、記憶力の強化と悪化の両側面が引き起こされることを初めて発見した。 本研究で用いた遺伝子改変マウスは、光遺伝学(オプトジェネティクス)という技術により、呼吸中枢に光を照射すると、呼吸パターンを自在に操作することができる。マウスの記憶課題中に、記憶する瞬間に呼吸を停止させると、海馬ニューロンの活動が変化し、記憶力が低下するという驚きの結果が得られた。さらに、呼吸の周期性をランダムにした結果、記憶力が強化されたり、呼吸の頻度を半分に減らした結果、記憶が間違った形で作られてしまうなど、呼吸パターンを操作することにより記憶力の強化と悪化の両側面が引き起こされることを発見した。 この結果から、呼吸活動は、脳に作用して記憶や思考に関わる情報処理をある一定の単位としてまとめる役割を持つ上、記憶
九州大学、葉脈を輸送ネットワークと捉える数理解析で「かたち」の規則性と多様性を発見 大学ジャーナルオンライン編集部 九州大学大学院一貫性博士課程2年の岩政公平氏と同大学の野下浩司助教らの研究グループは、葉脈の「かたち」の規則性と多様性をデータに基づき特定することに成功した。 本研究では、画像解析と深層学習、形態測定を組み合わせた簡便かつ高効率なフェノタイピング法を新たに開発した。深層ニューラルネットワークモデルにより画像から葉脈のみを抽出し、グラフに変換することで、ネットワーク特徴量の算出が可能となる。この数値データを用いて、階層的で複雑な葉脈構造の数理解析を行い、葉脈の「かたち」の規則性と多様性の特定を試みたという。 研究グループは、5種479枚の葉標本と、国立科学博物館葉脈標本データベースに含まれる5属328枚の染色標本に、開発したフェノタイピング手法を適用した。その結果、葉脈の「かた
他者から「奪い取る」負の行動は第三者に対しても連鎖することを明らかに 立正大学、筑波大学 大学ジャーナルオンライン編集部 立正大学経営学部の山本仁志教授、筑波大学システム情報系の秋山英三教授、理工情報生命学術院システム情報工学研究群博士後期課程の梅谷凌平さんらの研究グループは、他者から「奪い取る」という負の行動は、奪い取られた直接的な相手だけでなく、第三者に対しても連鎖的に発生する傾向にあることを明らかにした。 そこで、研究ではこの課題に対して定量的な検討を行った。その結果、自分の持つ資源が誰かに奪い取られた時、それが意図的な行動であったかどうかに関わらず、その損失を取り戻すために見ず知らずの第三者からでも資源を奪い取る、つまりネガティブな行動は第三者に対しても連鎖することを示した。これまでに研究グループは、おすそ分けのような、第三者に対する協力の連鎖には行動の意図が重要な役割を果たしてい
20代の成長環境が悪化、学生に不人気の国家公務員 オープンワークが分析 大学ジャーナルオンライン編集部 国家公務員の職場環境がこの10年間、20代の成長や士気、風通しのよさなどの面で悪化していることが、転職・就職プラットフォームを運営するオープンワークの分析で分かった。口コミには国会対応など雑務に忙殺される中、膨大な量の業務をこなしても人事や評価に反映されず、徒労感漂う職場への不満が渦巻いている。 2023年の日本全体の全業界平均と比較しても、20代の成長環境が0.49、人事評価の適正感が0.41低いなど軒並み全業種平均を下回り、全業種平均を上回ったのは法令順守意識だけ、同ポイントだったのも待遇面の満足度だけだった。 また、2023年7月時点の官公庁業界平均と1府11省の総合評価を比べると、上回ったのは経済産業省(3.52)、財務省(3.17)、環境省(3.16)、防衛省(3.11)の4省
ビールにがんの抑制効果があることを、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の高田潤大学院生、岡山大学総合学術研究院の有元佐賀惠元准教授、岡山大学病院の木浦勝行元教授らのマウス実験で明らかになった。 その結果、ノンアルコールビールでの実験では、水と水で練った餌だけを与えたマウスに平均5.5個の肺がんができたが、ノンアルコールビールを加えることで平均1.7~3.0個と有意に肺がんが減少した。 アルコールを抜いたビールでの実験では、ビールを与えないマウスの93.3%に肺がんができたのに対し、アルコールを抜いたビールを与えたマウスは53.4%に肺がんができなかった。 研究グループが分析したところ、ビールやノンアルコールビールが持つDNA障害の修復促進作用ががんの発症を予防していることが分かった。さらに、増殖シグナル伝達を阻害することで生まれたがん細胞の増殖を抑制していると考えられている。 論文情報:【G
ケトン食療法の長期継続で、進行がん患者の生存期間が劇的に改善 大阪大学 大学ジャーナルオンライン編集部 大阪大学大学院医学系研究科先進融合医学共同研究講座のグループは、同学が開発した新たながん患者向けのケトン食療法を12か月以上長期継続することにより、進行がん患者の生存期間を劇的に改善できることを発表した。 本グループは、ケトン食療法ががん患者にとって有力な支持療法になりうると期待し、2013年からがん患者向けの新たなケトン食療法の臨床研究を開始した。対象は臨床病期Ⅳ期の進行がん患者で、既に2020年に有望な臨床効果を報告したが、長期継続による効果を明らかとすべく、さらに3年間観察し解析した。 全53名の進行がん患者を、ケトン食継続12ヶ月以上(21名)と12ヶ月未満(32名)の2群に分けて解析を行った。両群の生存率の中央値は、12ヶ月以上群で55.1ヶ月、12ヶ月未満群で12.0ヶ月であ
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