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大そうじへの備え
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近畿のあるト協支部事務長は、「例年に比べて今年は廃業・倒産・休業などの通知が相次いでいる」と嘆く。実際、同支部会員の約1%が、今年に入り廃業・倒産・休業のいずれかに追い込まれているという。 別のト協関係者は、「経営改善がなかなか望めないため、大きな負債を抱える前に債務を整理し、廃業してしまうケースが少なくない」と指摘。「背景には後継者不足の問題もあり、事業は継続できても、経営者自身が今後に希望が持てないのだろう」と分析する。 規模の小さい事業者の廃業や倒産は信用情報で報じられないケースもあり、表に出てくる以上に運送会社の倒産・廃業は増加しているようだ。 ある業界関係者は、「コロナ融資の返済に困る運送事業者も増えている。コロナ明けには経済も復活していると予想して借りたのだろうが、いまだ回復したとは言えない状況。そこにきて2024年問題への対応などで、さらに収支が悪化し、倒産が増えているのでは
「真」の冠まで付けて所管の国交省までが表現するのは、その周辺に「偽荷主」が潜んでいることを認めているからだ。では、そのニセモノは果たして荷主なのかどうか、そこが問題である。もし、多重下請け構造のなかで「トラック事業者も荷主」と運輸当局が判断するのであれば、ちょっと話がややこしくなる。 国交と経産、農林の3省が全ト協を通じて昨年、トラック事業者にアンケート調査(回答4401件)を行ったところ「真荷主の運送を専業」は22%、「元請けの専業(2次下請け)」が13%で、あとの65%は「真荷主と元請けの双方」という結果が示された。 また、そうした事業者の7割がさらに下請け事業者に回す一方、どの段階か定かではない実運送事業者から仕事をもらうケースが8割を占め、それをまだ下へと流すケースが半数に近いことも浮かび上がった。 要は、最終的にトラックを走らせた事業者が「うちは何番目?」と首をかしげる取引が少な
車両本体だけでなく、タイヤ、部品と、あらゆるものが値上がりし、「これまでのような運賃では償却できない」という嘆きの声が聞かれる。 大阪府和泉市の運送事業者は、2年前に4トンウイングのゲート付き車両を990万円で購入。物量の増加に伴い、今年9月に同じ仕様で見積もりを依頼したが、提示された価格に同社社長と役員はあぜんとしたという。「価格はなんと1200万円。昔の大型車並みの額に本当に驚かされた。いまの運賃では5年は絶対無理で、7年程度かけて償却していくしかない」と語る。 4トン車での地場配送が中心の同社では、「1台の売り上げは月に70万円足らず」だという。「週休2日制で時間外労働は月60時間以内だが、賃金は長距離輸送を積極的に行っていた時代のまま、月30万円強」。さらに、「燃料費が十数万円、福利厚生や管理費などさまざまな経費を差し引きすると残りは20万円余り。車両の償却を5年で行うと、この期間
返却空コンテナの清掃を有償、無償を問わず海コン輸送のドライバーが行う問題が一部の港で起きている。なかでも名古屋港では汚れがなく洗う必要のないコンテナも含め、すべての返却コンテナをドライバーが水洗いする問題が常態化。国際複合一貫輸送約款において「荷主は、汚れがない状態で返却する責任を負う」と規定されているが、荷主ではなく海コン輸送事業者が担っている。 神戸港で走っていた海コンドライバーが阪神大震災を機に名古屋港に移ったところ、神戸港ではなかった水洗い作業が課せられた。驚き、疑問に感じたそのドライバーは声を挙げ、これを機に名古屋港で水洗いを問題視する考えが広がるが、一向に改善されなかった。そこで2012年12月、中運局が中心となって「返却コンテナの清掃・洗浄問題勉強会」を設立。名古屋港関係者が集まり、2018年までの約5年間、勉強会を開催し調査と検討を続け、2014年には荷主企業に要請文書を発
トラック運送業界では20年ほど前から、実運送事業者が適正な運賃を確保できない「多重下請け構造」には問題があると言われてきた。全ト協は是正に向けた方策を検討する上で、問題点を「多重下請け構造のあり方に関する提言」で取りまとめており、なかでも、無責任で悪質な水屋(利用運送専業者・取次事業者)や求荷・求車サイトへの対策を重視すべきだとしている。 全ト協では昨年10月に坂本克己会長の諮問機関として検討会を設置、今年3月に提言を取りまとめた。それを参考に、国交省は8月23日に是正に向けた「トラック運送業における多重下請け構造検討会」(第1回)を開催した。 そもそも多重下請け構造についてはこれまでも問題提起がなされてきたが、その実態を把握できず対策が見いだせていなかった。全ト協も提言で問題点を挙げているが、具体的な対策については、「これから検討する」という状況だ。 全ト協は、是正で重視している水屋や求
2024年問題への対応で、物流業務のさらなる効率化が求められており、改めてパレット活用が注目を集めているが紛失問題が足を引っ張っている。一部の荷主企業では、運送事業者に対して紛失分の弁済を求めているという。 食品の輸送・保管を展開する大阪市の運送事業者。「数年前に約400万円もかけてパレットを導入したが、たった数年でなくなった」と嘆く。「社名が擦れて消えてしまい特定できないが、明らかに当社のパレットが取引のない荷主やほかの運送会社で使用されている。コストをかけて導入しても流出するようなら、導入をためらってしまう」と話す。 また、「パレットを用意してくれる荷主や倉庫会社もあるが、使用するパレットの枚数を伝票で渡されるため、紛失したら当社の責任になる」とし、「配送先では使用済みパレットを保管してもらい、ドライバーから荷受け先に『引き取りに行くまで勝手に使わないように』と説明している」という。
「採算が取れない安い運賃の仕事は、たとえ長い付き合いであろうと毅然と断る。そう腹を決めた」。首都圏の運送事業者は、長年に渡って取引を続けてきた荷主との取引解消まで視野に入れての交渉を決意したという。 「これまで持ちつ持たれつで取引をしてきた。困ったときはお互いさまという考えで、荷主が大変な時は、厳しい中でも無理してトラックと人も出した。ある程度の信頼関係は構築できていたはずだった」。 しかし、燃料高騰に加え、人件費や車両費も上がり、これまでの運賃では成り立たなくなってきたことで、運賃の相談にいった。 「担当者は理解を示した」というものの、すぐに応諾とはならず、「待ってくれと保留にされた」。さらにその後、返事がないままに時間ばかりが無駄に過ぎていった。何度か相談に行くも担当者レベルでは話は進まず、結局、今も値上げに応じてもらえないままだという。 令和2年4月に標準的運賃が告示されて4年が経つ
「映画やドラマに漫画・アニメ。登場人物が交通事故に遭って亡くなるシーンで使われている車は、必ずと言っていいほどトラックだ」ーー。 運送業界におけるイメージの問題について意見を交わす最中、そう発言したのは静岡県内のある運送経営者。物語の重要人物が交通事故で劇的に命を落とす場面で、そのインパクトを効果的に高める大役は、思い出せる限りを数えてみても、確かにそのほとんどをトラックやダンプなどの大型車両が担っている。 「よく知られる洗脳手法にサブリミナルというものがあるが、これが人間の潜在意識への刷り込みによって行われているのであれば、子どもの頃から当たり前のように見ているテレビや漫画を通して飛び込んでくる先述のシーンは、トラックなどに対する恐怖心や嫌悪感を形成するには十分な素材。ましてや物語だけに本人がその内容へ感情移入している点も考慮すると、効果は絶大と言えるだろう」と語る。 一方で報道に目を移
中小運送事業者に話を聞くと、「4月に入っても運賃値上げ交渉はうまく進んでいない」という声が多い。期待していた値上げが実現せず、事業継続に不安を感じる経営者も増えているようだ。 大手鉄鋼メーカーの二次傭車として仕事を受けている大阪市のある運送事業者。元請けや一次請けの事業者と運賃交渉を行ってきたが、「4月上旬を過ぎても何の返事もない。値上げ幅が明確にならないので、事業計画が立てられない」と嘆息する。 高速道路の使用では、「200kmを超えた分は負担する」という通知を受けているが、「時間外労働の上限規制もあり、日帰りできない300km以上の運行は行っていないため高速利用は少なく、荷主の負担増は事実上ない」という。 別の運送事業者も、「3月に運賃値上げの連絡が来たが、対象は300km以上の運行のみ」と渋い顔。「長距離運行は数十%の値上げとなったが、日帰り可能な運行は数%程度」とし、「回数を走る配
人手不足に起因する倒産が懸念されている。帝国データバンクによると、2023年度の人手不足倒産は313件で、過去最多を大幅に更新しており、前年度の146件からも倍増している。そのうち、物流業は46件と過去最多となっている。 帝国データバンクでは、現在、資材・エネルギーなどのコスト高騰に直面している一方で、価格転嫁率は全業種平均と比較して実施できていない実態も浮き彫りとなっており、価格転嫁が思うように進まなければ、人材募集に欠かせない賃上げの原資確保も難しいと指摘する。 業界では現在、標準的運賃の告示や、荷主対策の深度化など、国の後押しを受け、価格転嫁を急いでいるが、交渉力の弱い中小零細にとって、それはいまだ大きなハードルとなっており、思うようにはかどってはいないのが実情だ。そのため、労働時間を削減することが、ドライバーの賃金の低下を招くとの声も聞かれる。実際に水面下では、「運賃交渉ができなけ
キリンビールは、「2024年問題」に対応するため、名古屋工場の自動倉庫の増強で「新自動ラック」を導入すると発表。入出庫口数の増設と出庫スピードを従来比2倍に向上させることで、荷待ち時間をトラック1台あたり14分削減する。 また、「レイヤー自動ピッキング装置」を導入。従来は、『棚に置かれた製品保管ラックまで移動し、フォークリフトで製品を取り出し、出荷パレットに載せて整える』といった一連の作業を人手で対応していたが、同装置の導入により、階層単位での自動ピッキングになり、約半分の人手で済むようになる。ピッキングパレットが減ることでトラックへの積み込みの生産性も上がり、同5分の削減に寄与するという。 いずれも今年6月に完成し、試験運用を経て同9月から稼働する予定。 さらに、キリンビバレッジの清涼飲料で使用していた保管スペースを酒類倉庫として整備し、酒類保管スペースを拡張。繁忙期に不足していた物流拠
ドライバー職への猶予期間が終わり、いよいよ4月から残業時間の上限規制が適用された。また、同時に改善基準告示が改正され、事業をどこまで継続できるかと、危機感を覚えるという経営者は多い。 5年かけて準備をしてきたという化学製品をメインに運ぶ会社の社長は「長距離便を半減した分、地場仕事を増やしたが利益は出ない」と話す。 「同業他社がどんな対策を取っているか気になる」と漏らすのは食品の二次請けの仕事を行う事業者。社長は「荷待ち時間が改善しないまま4月を迎えた。元請けには何度もお願いしてきたが、のらりくらりの対応」だという。「一部のドライバーは時間外が960時間を少し超える者もいる。他社は問題をクリアできたのか、どうやったらできるのか知りたい」と切実だ。 重量物を運ぶ会社の経営者は「事業承継を考える時期に来た。よそから良い条件を出されたら話を受けるだろう。ドライバーの生活を守るために背に腹は代えられ
公取委は昨年12月27日、一昨年12月に社名公表した13社によるその後の取組内容を公表した。本文に上げたメーカー系物流会社による取り組み状況は、「価格転嫁を申し出たすべての取引先の要求に対し、合理的な理由を確認した場合、双方合意の上、値上げを受け入れた」とある。 トラック事業者が運賃交渉に用いたものは、国交省告示の標準的な運賃とその考え方の基礎になる原価計算の手法、そして自社の諸原価だ。 「合理的な理由を確認」することも十分に可能なものだが、それでも1%、1%、1%といった不合理な形の「双方合意」。運賃額の合理性とは? そのことの算数的な意味と実態経済的な意味の違いを、まざまざと見せつけられる一例だ。 あるトラック事業者は時々夢を見るという。「乗務員が退職しましたからもう業務の対応ができません。補充もできません。そう話すと取引先が『他の業者から手が上がればそっちに切り替えてもいいの?』と聞
4月からの時間外労働の上限規制、そして足元のコスト増に備え、運送事業者は目下、標準的運賃の収受を目指すとともに、長時間労働の改善に向けて取り組んでいるが、実際の現場では、運賃交渉も労働時間の改善もなかなか進んでいない。「進められない」のが実情だ。そこには、資本力のある大手の存在が見え隠れする。 大手路線業者の下請けで幹線輸送を走る運送事業者A社は、大型トラックで甲信越から首都圏への輸送を担っている。荷主である大手路線業者も同社と同じコースを自社車両で運行しているが、大手の車両は荷物の締め切り時間がくると当然のごとく出発する。しかし、下請けA社のトラックは、遅れて入ってくる荷物を待たねばならない。「2、3時間待つこともザラで、時間通りに先発する大手のトラックとは雲泥の差」だという。 「下請けのドライバーは長時間労働を余儀なくされる一方で、大手のドライバーは規定通りの労働時間が守られている」の
運送経営者の間でたびたび持ち上がる「次はどこが倒産するのか」という話題。同業者だけでなく、ディーラーやリース会社、燃料販社なども、取り引き先運送会社の支払状況を常に警戒しているようだ。 鋼材輸送を展開する大阪市の運送事業者。「ディーラーの営業担当者が、市内の中堅規模の運送会社の倒産を予測していた。名前までは教えてもらえなかったが、『かなりの規模の事業者なので、倒産した時にはある程度影響が出るかも』と話していた」という。 車両販売やリースを全国展開する販社の担当者は、「運送会社の倒産の噂は絶えないが、取引のある会社には支払期限を延ばして負担軽減を図ったり、償却終了した車両を再リースするなど、さまざまな支援をしている」と明かす。 しかし、「そうした対応もできない運送会社は、やはり倒産していく。経済情勢の悪化や燃料高騰などで経営負担が増えれば、倒産する運送事業者は今後ますます増えていくだろう」と
燃料価格や人件費の高騰により、採算が取れない輸送を取りやめ、減車を進める運送事業者が増えてきているという。 2トンから大型までの冷凍車を保有し、食品輸送を展開する大阪府堺市の運送事業者は、「金剛自動車が路線バス事業を廃止するというニュースを見た。バスだけでなく、タクシーもドライバーが不足している。規制緩和による過当競争で利益が確保できなくなったところに、追い打ちを掛けるようにコロナ禍がやってきた。利用者も減ったが、コロナ規制が解除された今になってドライバー不足が明るみになり、社会問題化している」と分析する。 その上で、「トラックもバス・タクシー同様、ドライバーになる人材が極端に減っており、上がらない運賃の影響で、減車だけでなく廃業・倒産も増えている」と指摘。 「来年は車両不足が本格的に問題となり、届けられない荷物も出てくるだろう。こうした現状を消費者や国にも十分理解してもらい、運賃値上げに
8月中旬に台風7号が日本列島を直撃し、多大な被害をもたらした。こうした自然災害下でも、運送会社に配送を依頼する荷主企業がいまだに存在するようだ。依頼を受けた運送会社の担当者は、「強風で車両横転も考えられる中、平気で配送を依頼してくる荷主には絶望した」と憤る。 大阪市で食品輸送を展開する運送A社。「台風直撃の15日は、鉄道は運休し、スーパーも臨時休業していたが、荷主からは通常通りの配送依頼が来た。当社は強風を理由に全てお断りしていたので同じように説明したところ、その荷主担当者は『なぜ配送できないのか』と納得してくれなかった」という。 A社担当者は、「ドライバーの安全を確保できない中で、仮に運行して横転でもすれば、重大事故として監査を受ける可能性もあるため、『台風が通過するまでは配送不可』と返事した」という。 結果的に、同社が断った依頼に対し、別の運送会社が荷主の要望に応える形で配送。A社担当
2024年問題でドライバー不足が懸念されている。「一人あたりの労働時間が短くなる」ことに加え、「時間外労働の短縮で、収入が減少するドライバーが他産業に流れてしまう」という問題も起きている。 大阪府堺市に本社を構える運送事業者。「大阪ー関東間をトレーラで往復する仕事で、利益はドライバーの収入にきちんと反映させている。いまは月60万円程度払えており、長距離を希望するドライバーも多い」という。 しかし、2024年問題をクリアするため、同社では中部地区に営業所を開設。「トレーラシャシーを交換し、大阪、関東からのドライバーの運行距離を短縮することで時間外労働の削減を図った。すると、今までのような歩合給が得られず収入が減ると予測した関東のドライバー3人が早々に退職してしまった」という。同運送事業者は、「ドライバーにとっては、時間外労働の短縮=収入減を意味する」と肩を落とす。 同じく同市でトレーラ輸送を
深刻な人手不足という状況が、これまで遅々として進まなかった分野の問題を一気に片付けようとしている。ドライバーの労働環境を改善するための働き方改革を運送会社に求める一方で外国人雇用に舵を切り、16年前から若年層が小さな車両にしか乗れなくなった運転免許も昨年5月22日以降、いくつかの条件が付されるものの19歳で中型・大型免許が取れるように資格要件を緩めた。「交通事故の発生状況や、車両の安全新技術の普及を確認したうえで」との前置きはあるが、大型トラックの高速道路での最高速度まで緩和(引き上げ)の方向に進む。印象は短絡的で、もはや国を挙げて何でもありの様相だ。その先には、いよいよ個人トラック台頭の可能性まで見える。 ■行き過ぎた緩和 多くの関係省庁が横断的に取り組む「物流革新に向けた政策パッケージ」とは別に、トラック運送事業を所管する国交省にしかできないこと、例えば事業規制の見直しもその一つだ。「
運送事業者の物価高関連倒産や人手不足関連倒産が目立ってきている。東京商工リサーチが今年上半期(1月~6月)の道路貨物運送業の倒産件数などをまとめた。 それによると、倒産件数は136件となり、前年同期114件から19.2%増となった。上半期としては3年連続で前年同期を上回ったという。さらに2014年以降の10年間では2014年同期の175件に次ぐ2番目に多い水準となっている。 倒産原因は、燃料費高騰などの物価高関連倒産が46件と、前年同期29件と比べ、58.6%増、約1.6倍に増えている。一方、人手不足関連倒産も20件と、前年同期13件から53.8%増、約1.5倍に増えている。 ロシアのウクライナ侵攻などにより軽油価格が高騰し、高止まりが続いている。さらに、政府による補助が徐々になくなることから、さらなる値上がりが懸念されている。 燃料だけでなく、車両やタイヤも価格が上がっており、まさに値上
【大阪】「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開かれる大阪・関西万博の開催まで、あと2年を切った。4月13日には会場予定地で起工式が開催されるなど、いよいよ本格的に動き出し、万博を契機とした経済回復などを期待する声も聞かれるが、盛り上がりを見せている一方、周辺の運送事業者からは不安の声も挙がっている。 大阪・関西万博の会場となるのは、大阪市此花区にある人工島「夢洲(ゆめしま)」。夢洲までの車両でのアクセス方法は、同じく人工島である舞洲とを結ぶ「夢舞大橋」と、咲洲とを結ぶ「夢咲トンネル」の2パターンのみだ。 開催地周辺は多くの運送事業者や物流拠点が存在するエリアのため、万博開催期間中の道路の大渋滞はもちろん、準備が本格化する中で夢洲地区に流入する工事車両等による影響を懸念する事業者も少なくない。 大阪市住之江区の運送事業者は、「2024年問題が叫ばれている中で、自社のトラックが連日大渋滞
ドライバーを募集している運送会社は、口をそろえて「反応すらない」とこぼす。人材確保のため、運送事業者各社では涙ぐましい努力が行われている。 大阪府門真市に本社を構える運送事業者は、今年初めて人気の外国製トラックを導入。同社社長は「国産は品薄で納期も未定。急遽ドライバーに意見を募ったところ、『外国製のトラックに乗りたい』との声が挙がった。国産車と比較すると500万円ほど高かったが、背に腹は変えられないため購入に踏み切った」と話す。 ボディーには、プロがデザインしたロゴや社名をプリントし、「ドライバーが喜ぶような形にした」。結果、「外国製トラックの導入は今後も増やしていくのか」「勤務すれば乗車できるのか」など問い合わせが増えており、求人面で好影響が出ているという。 さらに、取引先や同業他社からも高い評価を獲得しており、会社のPRに大きく役立っているそうだ。 また、同岸和田市の運送事業者は一昨年
国交省、農水省、経産省が行っている「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の第9回(4月27日開催)で、「トラック輸送における多重下請構造についての調査結果」が発表された。 この調査は、トラック業界における多重下請構造の是正や契約条件の明確化を図るために、「トラック事業者向けアンケート」と「荷主、実運送事業者、利用運送事業者ヒアリング」を実施したもの。 「トラック事業者向けアンケート」は今年の2月7日から4月7日に、全ト協を通じて会員企業に対して実施(4401回答)。調査項目は、荷主や元請事業者等との関係性、下請事業者との関係、発注手段や契約の書面化の状況など。 調査の結果、7割の事業者が下請けのトラック事業者を利用していると回答し、下請金額は受託金額のおおむね90%以上。下請けのトラック事業者を利用する理由は「自社のトラックドライバーが不足」「荷主からの突発的な運送依頼」が多かった。 また
高速道路の通行料金にスーパーのタイムサービスじみた割引を採用したのが、そもそも間違いだったのか。 大型車で重量物を扱う西日本の運送経営者(60代)は「割安な設定の夜間電力が脱原発でダメになったのと同じ。深夜割引のために高速SAで待機するドライバーを犠牲に、安いトラック運賃は成り立ってきた」と指摘する。国交省とネクスコ3社が1月20日に発表した高速道路の深夜割引の見直し(2024年度中を予定)。パブリックコメントが用意されるか不明だが、運送現場からは「この制度は愚の骨頂だ」との憤りが日増しに強くなっている。 ■誰が儲かる 数百台のトラックで地場から長距離まで手掛ける中堅会社の社長(60代)は「専用アンテナの設置には莫大なカネがいる。どこの製品を使い、だれを儲けさせようというのか」と辛辣だ。深夜帯(午後10時~翌朝5時)に走った分だけを割り引く新しい割引には、その距離を正確に把握するための相当
コロナ禍での物量減少や長引く燃料高騰で採算を見直し、営業所を閉鎖したという運送会社に話を聞いた。 大阪市に本社を構える運送事業者は、10年以上前から中部と関東で営業所を展開していたが、荷主との運賃交渉で合意が得られなかったため、関東営業所の閉鎖を昨秋に決めたという。 同社社長は、「2024年問題も考慮して、営業所は残すべきかとも考えたが、コロナ禍で物量が減少したうえに燃料が高騰し、採算が取れている拠点の利益を営業所維持のために使う状況だった」と説明。「営業所で働く人材と責任者が十分に話し合ったうえで閉鎖したが、結果として大幅な経費削減につながった」と話す。 同社長は、「今後は、基本的に長距離は廃止して、近・中距離主体の輸送と保管・加工事業で展開していく」とし、「関西・中部での事業拡大を目指す」と語った。 また、和歌山県に本社を構え、青果物輸送で大阪に2、北陸に1営業所を構えていた運送事業者
「テレビでトラックステーションが特集されているのを見た」という大阪府堺市の運送経営者。 「ドライバーたちの心の叫び」と題し、「邪険に扱われ、あおられて、やりがいはあるものの家族には会えない」という内容。 同経営者は、「インタビューに答えていたドライバーは、仮眠や待機で寝屋川市のトラステを利用していた。こうした場所が大阪にはほとんどなく、南港もフェリーターミナル駐車場しかない」と指摘する。 「きちんと止められるのはトラステくらいで、ほとんどが路上」とし、「路上に止めると邪魔者扱い。トラック運送は日本経済を支える大切なライフラインなのに」と憤る。 この運送経営者も自らハンドルを握り長距離を走っている。「どこに行っても待機場所が少なく、高速道路のPAも満杯。430の休憩すらできない状態」だという。 また、「一般道を走行してもトラック専用の休憩場所や宿泊施設は少なく、あってもすでに満車」とし、「ド
深夜割引に続き、現在は「午前6~同9時」「午後5~同8時」に料金所を通過した全車種(朝夕1回100kmまで)が対象の平日朝夕割引の見直しも発表されているが、この内容についてもトラックなど事業用自動車の業界から憤りの声が漏れてくる。 通勤の曜日・時間帯が多様化するなど働き方が変化しているのに加え、高速道路の混雑を緩和するのが狙いという平日朝夕割引の見直し。「適用時間帯を全日・24時間に拡大」「利用者が事前登録したインター間を最大で半額(月に10往復以上利用する場合)」といった内容。こちらも深夜と同じく、早ければ2024年度にも全国エリアで適用したい考えのようだ。 岡山県から東方向に向けた中・長距離便を主力とする食品輸送のトラック事業者は「なぜ一般の通勤車両が終日半額で、我々のような事業用貨物は3時間だけ拡大して午後10時から翌朝5時の7時間なのか」とあきれ顔だ。 トラック向けに高速料金を安く
コンプライアンス重視で法令違反を避ける企業が増えており、運送会社に対し、積載量や車検証の確認を行う荷主もいるが、いまだに過積載を強要する企業はあるという。 大阪府堺市で建設現場へ重機を輸送する運送会社では、「数回に一回程度、トレーラで輸送すべき15トンの重機を、現場・道路が狭いことを理由に大型車で運んでいる」という。「過積載にならないよう、重機の解体を荷主の担当者に提案するが、現場が狭く組み立てができないなどの理由で、分解せずそのまま輸送させられている」。 「当社としては過積載を極力したくないので大型車を派遣するが、いくら積載量が取れていると言っても、さすがに15トンを積める車両は少なく、結果、オーバーしてしまう」という。 同社社長は、「その件について荷主と話し合うものの、毎回、『現場や道路が狭い』『重機を分解したり組み立てるスペースがない』『経費を掛けたくない』など、様々な理由で平行線を
「2024年を目前に控えて不安の声も聞かれるが、むしろ2024年問題は業界を良くする絶好の機会」と話す大阪府の運送経営者。 「きちんと取り組む事業者が損をしない業界となり、日夜頑張ってくれているドライバーが報われるような時代が早く来てほしい」と語る。 「幸いウチには倉庫があり、そこで積み込んで出発することが多いので無駄な時間が発生しにくい。いまでも960時間は守れており、働きやすい職場だと言える。あとは、ほかの業種より低いとされているドライバーの賃金。これを何とか上げるためにも、2024年問題が契機になることを願っている」と続ける。 運送業界を得意とする社労士は2024年問題で課題とされる労働時間について、「例えば、荷物を取りに行く場所が片道1時間半かかるとすると、それだけで往復3時間の労働時間が発生する」とし、「それなのに運賃だけで判断して引き受けてしまうと、あとあと換算してみると利益を
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