1 「バーゼル規制入門」 (服部, 2022)では自己資本比 率規制について取り上げ、金融危機をうけて、普通株 式等Tier1資本(CET1)が導入されるなど、自己資 本の質の向上が図られたと説明しました。図表1は、 服部(2022)でも紹介した図表になりますが、CET1 比率がかつて2% 2 であったところ、バーゼルIII以降 では4.5%が求められていることがわかります。その 一方で、図表1には、 「その他Tier1」と「Tier2」も 記載されており、金融危機以降の規制改革の中で、基 礎的項目であるTier1や補完的項目であるTier2につ いてもその定義が見直されています。具体的には、前 者をいわば「生き残るための資本」であるゴーイン グ・コンサーン・キャピタルとする一方、後者を「秩 序ある破綻のための資本」であるゴーン・キャピタル として定義しなおしました。 1 III Tier