図書館と著作権についての「残された問題」 南 亮一 当研究会では昨年度,「図書館に関係する著作権の動向2015」をテーマとして図書館学セミナーを開催した。88名の方々がご参加くださったこと,また,当日の会場からのツイッター中継のまとめページへのアクセス数の多さ(執筆時点で8,214view)から,図書館の活動と著作権との関わりについての関心の深さがうかがえた。 ただ,このセミナーで取り上げた「著作権の動向」は,まさにこの時期に採択が取り沙汰されていたTPP(環太平洋パートナーシップ)協定との関係,国内外で目覚ましい進捗が見られたデジタルアーカイブ関係と視覚障害者等の情報保障関係についての動向であった。いずれも動きがあるテーマであり,これらをまとめて聴けることはあまりないので,それはそれで開催の意義はあったとは考える。ただ,これらのテーマが「図書館と著作権」のメインかと尋ねられると,そうでは