駒込武氏伊藤公平・慶応義塾長が中央教育審議会(中教審)に提起した国立大の「学費値上げ」が波紋を広げている。国の定めた標準額をもとに決められている授業料を、約3倍の年間150万円程度にしてはどうか、という提案だ。私立大との公平な競争環境を整えることが目的だが、学生や家族の負担増や、進学率への影響といった懸念もある。現状や課題について、京都大大学院教授の駒込武氏に話を聞いた。(聞き手 玉崎栄次) 東大生世帯のかなりが高収入 島田了輔氏 ◇ 私にも大学生の子供がいる。物価上昇によって賃金が実質的に下がっている中、一般的な家庭が支出できる授業料は、現状でもぎりぎりというところだと感じている。 国立大と私立大の授業料に大きな差があることで、競争力の側面で私立側の経営が厳しいというロジックは、その限りではもっともだと思う。しかし、どうして、私立大の経営費補助金の増額を求めて私立大の授業料を下げる方向に